2011年12月10日土曜日

アタリ・ティーンエイジ・ライオット@恵比寿リキッドルーム

アクションを起こせ。ライヴでも、社会でも。

ATARI TEENAGE RIOT
2011.11.17. 恵比寿リキッドルーム

フジ・ロック'11最終日。観たい観たいと言いながら、諸事情によりレッドマーキーに辿り着いたのは終演15分前。
そのときできることといったら、15分で1時間分踊り狂うことと、「あとで単独来日してくれよ……」と節に願うことだけだった。
この体力的&一部精神的な消耗が報われたと知ったのは、約2ヵ月後にCD店でアタリ・ティーンエイジ・ライオット11月来日公演のフライヤーを手にしたときだった。

オープニング・アクトは9mm Parabellum Bullet。なぜエレクトロニック系/政治的・社会的メッセージ濃厚なアタリに、生音ハードコアな9mmというジョイントなのかと思ったら、彼らがライヴのオープニングで必ずアタリの「Digital Hardcore」をかけているかららしい。また、特に滝(G)と中村(B)はアタリの大ファンらしい。さらに、韓国のフェスでアタリと会い、対バンの約束を交わしたという背景も菅原(Vo./G)が明かしてくれた。憧れのバンドとジョイントライヴ……音楽オタク憧れのシチュエーションである。
菅原いわく、「ウォームアップじゃぬるいし、ヒートアップじゃヒートテックみたいだし、バーニングアップで」。その言葉に違わず、ロックンロールも歌謡曲ばりのメロディも、ゴリゴリにハードな音でかき鳴らし、フロアが熱を帯びていた。滝に至っては、ときどきギターそっちのけで暴れ出していたが、こういうバカかってぐらいのエネルギー、個人的には大好物である。

9mmがバーニングアップなら、アタリは灰すら残さないぐらい燃え尽きる勢いだった。開始直前ぐらいからフロアの人口密度と温度が上昇していたのだが、最新作『Is This Hyperreal?』のトップを飾る「Activate!」でステージが幕を開けた瞬間、フロアは突然サウナと化した。1000人近い人々が一斉に踊り狂い、一部の人はアタリのフラッグやステイトメントを書いたプラカードを掲げ、アレック・エンパイア(Vo./Programming)、ニック・エンドー(Vo./Noise)、CX・キッドトロニック(MC)と共にシャウトするのだから、熱くなるのも当然か。汗だくになるペースが予想以上に早く、わずか2曲目で体力が持つかどうか怪しく思えた。
……だというのに、アタリの面々のエネルギッシュなこと! どれほど時間が経過しても、疲れた様子がカケラも見えない。ちょっとオーディエンスがヘタっていると、アレックがガンガン煽ってくる。サウンドもぶっとく容赦なくガンガン鳴り響いていて、実はノイズの衝撃でフロアの壁に亀裂が入ってるんじゃないかとさえ感じる。
これほどのパワーがあるからこそ、「Are you ready to testify?」(証言する覚悟はいいか?)「How much blood will it take!?」(どれだけ血を流せばいいんだ!?)といった叫びが、恐ろしいほどリアルにぶつかってくるのかもしれない。そしてオーディエンスも、同じ叫びをぶつけかえすパワーを引き出されているのかもしれない。

フジのステージでは「今日本に行くのは危険だっていうけど、今こそ日本でプレイするときじゃないか」と叫んでいたアレックだが、今回は明確なステイトメントを語ることはなかった。
しいていうなら、オーディエンスが持っていた「ANTI 原発 RIOT」(裏面は『原発反対! 責任トレ!』)のプラカードを受け取って高々と掲げたことが、自らの姿勢の表明だろうか。声明文を読み上げるような「Is This Hyperreal?」の詩を叫ぶ姿も、新旧のファンを前に、改めてバンドのステイトメントをぶち上げているように見えた。
しかし、アレックがここまで言い切って/やり切っているにも関わらず、悪化の一途を辿っている現状では、アタリに合わせる顔がないように思える。オーディエンスがどの程度原発に否定的なのかは分からないが、「今のままじゃヤバいんだ!」というパワーに突き動かされて拳を振り上げていた人は多いんじゃないだろうか。

メタルを彷彿させるノリと性急なビートの「Speed」で本編が終了したかと思いきや、ほどなくしてメンバーがステージに戻り、ほぼ燃え尽きたかに見えたオーディエンスを「Start the Riot」で再燃させる。最後の「Revolution Action」は、前述した「今のままじゃヤバい」パワーをオーディエンスが出しきった最骨頂だろう。
曲が終わってなお、アタリは延々サウンドをぐわんぐわんと響かせ、リキッドルームをノイズの洪水で呑み込んだ。オーディエンスの大半は、ノイズに呼応するように拳を掲げ続けていた。この音の波が何分間続いていたのかは分からない。終わりがないようにさえ感じられるほどだった。
轟音が消えてフロアの照明がつくころには、ニックとCXはステージを去っていたが、アレックはしばらく残って握手をしたり手を振ったりしていた。アレックの姿はアルバムアートワークや雑誌の写真で知っていたものの、明るいところで比較的近くから見ると、改めて「普通の好男子」だと思う。ただ、人混みに紛れたら分からなさそうなこの普通の男のメッセージが、世界を揺さぶり続けているのだ。

90年代にアタリが作ったサウンドは今でも生きている。普遍的にカッコいいことは単純に素晴らしいと思う。
その一方で、アタリが発したメッセージが今でも効力を発揮しているということは、世界の政治的・社会的変革はまだまだ進んでいないし、提起された問題もまだ解決していないと言われているようで、どこか歯がゆい気持ちにもなるのだった。

ライヴを締めくくった「Revolution Action」のPV。↓

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