2013年5月18日土曜日

オズフェスト・ジャパン2013(5月11日編) 

伝説よ起きてくれ。

OZZFEST JAPAN 2013
2013. 05. 11. 幕張メッセ

ロックファン、特にメタルファンにとっての伝説。メタル、ハードロックの最高峰の一つたるロックフェス、オズフェスト。
それが日本で開催されると聞いて、心が躍るどころかモッシュピットにならないわけがなかった。
しかし、ヘッドライナークラスの出演アナウンス以降は、「それもオズフェストに出すの?」という疑問の残るアーティスト発表で、一転暗雲が立ち込めた。
実際のところ、オズフェスト・ジャパンにまつわる嫌な予感は、出演アーティストとは関係のないところで現実になったのだった。

土曜日当日は雨だというのに、傘はメッセ内持ち込み禁止。(つまりクロークにすら預けられない)
相場500~700円のクロークが1000円。その割に、受け取りに行くために屋外へまわらなくてはならない。(日曜なら大した問題ではなかったかもしれないが、この日は雨で冷え込んでいた。来場者の多くはヘッドライナーのステージ直後で汗だくのままだ)
たいていのフェスでは水のペットボトルのみ持ち込み可のライヴエリアに、飲み物が一切持ち込めない。(メタル系フェスともなれば水分補給は必須だ)

思うに、オズフェスト・ジャパンの主催側は、フェス運営の経験に乏しかったのかもしれない。
しかし、フェス黎明期ならともかく、以前同じ場所でラウドパークが開催されていたとあっては、前例があるのになぜこのようなことになったのかと指摘されてもいたしかたない。Twitter上でもこの手の苦情つぶやきを入れたのだが、メールフォームなど直接主催者に訴える手が目下見当たらない。どうすればダイレクトに伝えられるのだろうか……。
ただ、運営には難が多々あったものの、ステージは常に最高の状態だったのは本当に幸い。

↓ぎゅうぎゅうのフードコート。 
↓デスボイスカラオケは正直楽しかったです。
巨乳まんだら帝国の教祖様の「Enter Sandman」良かったです。

マキシマム ザ ホルモン待ちの間、今回出演が最大の物議を醸したももいろクローバーZも自動的に聞くことになった。
メタル系フェスにあえてアイドルを呼ぶことは、主催者側の気合や冒険心が感じられれば面白い試みに思えたのだろうが、正直そのへんが伝わってこなかったので、営利目的のほうが強いのではとマイナスイメージのほうが強まってしまった。
とはいえ、ステージの全力投球ぶりとフロアの盛り上がりぶりは、どう見てもアウェーな空間でよくぞやったとは思う。この手のアイドルの好き嫌いはあるものの。

ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)いわく、「オズフェスにスリップノットとMAN WITH A MISSIONとホルモンの名前が挙がったとき、『被り物が3組かよ!』ってつぶやきがあった」らしい。つぶやき主は何をもってホルモンを被り物ジャンルに入れたのだろうか。ギラギラ感だったら、オーディエンス込みでみんな被ってたけどね。
マキシマム ザ ホルモンは厳密にいうと純正メタル/ハードロックではなく、様々な音楽性のミクスチャー。しかし、オーディエンスがそろって激しくヘッドバンギングし、モッシュもいたるところで発生する様子はメタル系フェスに組み込んでも違和感なし。というより、ホルモンはフェスにいてくれると嬉しいバンドなのだ。

激しく重い音と激しいオーディエンスだけでなく、「三度の飯より!!」「飯が好き!!!」コールや、恋のおまじない「麺カタ……こってり!!!」もキマっていた。ダイスケはんのMCで「君たちは人間じゃありません! 今日この記念すべきフェスの初日に来た、ロックモンスターです!!」って、人間じゃないと言われてこんなに嬉しいこともない。
ところで、私ヘッドバンギングの最中、どなたかの背中に頭突きをかましてしまったことをおぼろげながら記憶しております。申し訳ありません。

ホルモンで思いのほかぐしゃぐしゃになってしまったので、ブラック・ステージヘッドライナーのスラッシュは休憩しながら鑑賞。しかし、ときどきガンズ・アンド・ローゼスのナンバーをやってくれると、つい反応してしまう。個人的には、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーの「Slither」までやってくれたのが嬉しい。ラスト「Paradise City」には大合唱が巻き起こった。


そしていよいよ、5年ぶりの来日公演となるスリップノット。#2ことポール・グレイ(B)が亡くなってから、初めての来日公演でもある。
白い幕に覆われたステージに響く、場違いな50~60年代ポップソング。その曲がレコードの針が飛んだように「Left Behind」というフレーズしか繰り返さなくなり、スリップノットらしい不気味さを醸し出す。
「Disasterpieces」のイントロとともに幕が落ちると、白地に血の飛び散ったツナギでそろえたメンバー9人の姿が現れた。ポールの穴を埋めるベーシストはいるが、それでもポールの不在という喪失感は強く残っている。しかし、喪失感も含めたすべてをかけて燃え上がる気迫のほうが強かった。その気迫に、「病んでいるとき人々は騒音を生み出す」(Disasterpieces)に始まり、「オレの狂気を解放しろ」(Liberate)へと続く流れは完璧だった。

#8コリィは例によって、「トーキョー、サワゲ!!!」「テヲアゲロ!!」「トベー!!」とオーディエンスを煽りまくっていたが、コリィに言われなくともフロアは後ろのほうまで飛び跳ねていた。レスポンスや叫びだけじゃなく、「Wait and Bleed」などのシンガロングも強力。ステージから上がったスモークやパイロは、オーディエンスの興奮を代弁するかのようだった。

そんな中でも、「Dead Memories」のイントロではなぜか突然ポールのことを思い出して泣けてきてしまった。紙吹雪が舞う中での「Gently」にも、その美しさがスリップノットらしからぬような、ふさわしいような、不思議な感動があった。
「Duality」ではコリィがポールへの言葉を述べ、「君たちに歌を手伝ってほしいんだ」と呼びかけた。エリアに響き渡ったコーラスは、スリップノットにしっかり届いてくれただろうか。

↓ステージに掲げられた②。それだけで様々な思いが。



本編ラスト「Spit It Out」のしゃがんでからのジャンプもキマり(今回「スワレー」はなかったな)、アンコールは「(sic)」→「People=Shit」→「Surfacing」と、どこがクライマックスでもおかしくない怒涛のセットリスト。バンド、オーディエンスともに、最後の力を出し切っていた。
「Fuck it all! Fuck this world! Fuck everything that you stand for!!」(Surfacing)の雄叫びは、間違いなくこの日のベスト・モーメントでした。


素晴らしいステージと、運営にあたって多くの課題をもってスタートしたオズフェスト・ジャパン。
やがて春のメタルフェスとして定着し、「第一回の初日は会場ゴタゴタだったなぁ」と笑い話になるときはくるのだろうか。
「え、お前あの伝説の第一回行ったの!?」なんて、いつかは言われてみたいという野望も密かにあったりしますよ。

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