2014年11月12日水曜日

スキンウォーカー・プロジェクト

「どうも! 超常現象です!!」

スキンウォーカー・プロジェクト('13)
監督:デヴィン・マッギン
出演:ジョン・グライス、カイル・デイヴィス


しばらく前、久々にTVで恐怖映像特集を見たら、思いの外幽霊らしきものが堂々と映っていたため、かえって「合成臭くね?」と冷めてしまった。
その一方で、『パラノーマル・アクティビティ』を観たときには、ドアが動いたり照明が揺れたりした程度の怪奇現象初期段階に「さっさと衝撃映像出せや!! 夫婦の内輪揉めとかいいから!!」となぜか急かしていたことも。
つまり、怪奇現象モノはホンモノ触れ込みなら出し惜しみが、フィクションなら(POVやファウンド・フッテージだとしても)堂々たる露出がいいってことですね。あくまで自分の個人仕様としては……

2010年、ユタ州スキンウォーカーの農場で、子どもが両親の目の前で忽然と姿を消す事件が起きた。翌年に民間調査団体MDE社がリサーチに向かうと、そこでは謎の光、謎の超音波、家の外を徘徊する巨大生物、同じ時間にキッチンを走り抜ける子どもの姿など、あらゆる超常現象が起きていた。

定点カメラ、手持ちカメラが捉えた超常現象といえば前述『パラノーマル・アクティビティ』だが、あちらの怪奇現象がドアの揺らぎに始まり小出しにやってくるのに対し、こちらは初っぱなから出し惜しみなし。調査班がやってきた初日の夜から、「どうも!」の挨拶代わりにドギャァァァンと轟く超音波&コウモリの大量死。毎日のように何かが堂々と写りこむカメラ。実に豪快である。

異常な状況下に限られた人間がいるからには、調査班と農場主との対立や調査員同士の仲間割れなど揉め事も発生する。
しかし、ちょっとでも人間たちにドラマが傾きそうになると、すかさず消えた子どもの姿が! 納屋から周囲が明るくなるほどの発光が! 超常現象のクセして(?)「主役はこっちだーー!!!」と言わんばかりの自己主張の強さである。

ここまで隠れる気ゼロの怪異だと、『パラノーマル……』に衝撃映像を急かす身としては、いっそ清々しさまで感じる。「いやぁよくやってくれたよ! ありがとう!」ってバシンと肩を叩きたい気分である。超常現象の肩を叩けるのか、そもそも超常現象に肩はあるのかは置いといて。

このオレオレ怪異のおかげで話はさっさと進んで行くのだが、そこが賛否分かれるところだろう。謎はバラまくだけバラまかれて何も解決していないし、説明らしい説明もつかない。人間たちのキャラクターもドラマも薄いまま。もっといえば、超常現象もの/POVものとして取り立てて目新しいものでもない。邦題に「プロジェクト」とついているけど、計画も何もない。
もはやこれは、謎解きもドラマも隅に追いやり、現象そのものだけにスポットライトを当てた、超常現象=アイドル映画なのかもしれない……。

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