2015年2月27日金曜日

未体験ゾーンの映画たち2015

いい映画は劇場で観たい。そうでなくても劇場で観たい。

未体験ゾーンの映画の映画たち2015
ヒューマントラストシネマ渋谷 2015.1.3.~2015.2.27.

「この言葉 グッときたなら 劇場へ」と言わんばかりのアツい文言。
ゾーンは昨年末から燃えていた。

壁一面のポスターと感想。絶景だ!


上映経費を抑えながらパッケージ(ソフト)の宣伝にもなる特集上映……という仕組みで成り立っているのが「未体験ゾーンの映画たち」。もちろんその仕組みを後押ししているのは、いい映画は劇場でかけたいという仕掛け人さんの思い。(映画秘宝2015年2月号/西澤彰弘さんインタビュー参照)
付け加えるなら、いい映画……といえるかどうかっていう映画も、できる限り劇場でかけてほしい。そりゃDVDレンタルや映画チャンネルで観たほうが安上がりだが、自宅TVで観ていながら「劇場で観たかったなー……」と思うこと数知れず。B級映画特有のゆるーい空気が劇場に充満する感じ、個人的には大好きなもので。
(この他、未体験ゾーンについての思うところは去年こちらに書きました。映画を劇場で上映するって本当に難しいんだなぁ)

49本中27本制覇! でも24本制覇のDVDプレゼントには間に合わず。

せっかくなので、去年に倣って極私的ベストを作りつつ、今年は観てきた未体験ゾーン作品にちょっとずつ触れていきたい。もはやDVDしか観る媒体がなくとも、発掘してほしい映画もあるんです。

未体験ゾーン2015極私的ベスト10


1位 ホラー・シネマ・パラダイス
私の大好きな極彩色スラッシャーホラーというジャンルで魅せつつ、「ホラー映画を楽しむ人とは? 面白ければ本物の殺人ネタも好きなのか?」という一部の人間にとっては深刻な誤解にも踏み込んできた。登場人物がどいつもこいつもキャラが立ってる中、MVPは「けっこうな変態なぐらいが面白い系イケメン」ノア・セガンで。

2位 絶叫のオペラ座へようこそ
これまた大好物の極彩色スラッシャーホラー。しかもミュージカル! しかも怪人がカブキマスクでギターかき鳴らしながら「イ゛ェェアァァァァァァァ」ってハイトーンシャウトをキメる! 何を言ってるか分からんでしょうがホントにそんな絵面です。『ベイマックス』しかり、怪人を目指すならカブキマスクの時代到来だ!! たぶん!!

3位 マシンガン・ツアー ~リトアニア強奪避航~
イケメンを使いません! 美女も使いません! スクリーンにカッコいいものは何一つ映しません! チンケな強盗に始まりヨーロッパ東西ギャング対決になだれ込むドタバタを、ムサい顔面(しかもバカ)ばかりが牽引する!!

4位 ブルー・リベンジ
去年の『MUD』と同様、極私的好みではベスト3に入らなかったが、映画として優れているのはこちら! 枠。派手な演出も余計な会話/シーンも使わず、話し合いが通じなさそうなヒルビリーの怖さ、終わりが見えない復讐の地獄絵図をなぜかスッキリした後味で描く低予算傑作。主人公に味方してくれるガンマニア&デスメタルファンのベンがイイキャラしてます。真っ当な奴じゃないけど。

5位 余命90分の男
主演のロビン・ウィリアムズの死と重ね合わせずにはいられない。彼の最期が決して幸せではなかったことを思うと、ハッピーエンドがなおさら哀しい。せめてこういう形で去っていったのなら、まだ救いがあったのに。

6位 ブレスト要塞大攻防戦
ソビエト万歳感は拭いきれないが、水もなく武器も限られていく籠城戦の消耗と疲弊はビシビシと伝わってくる。戦争というものについて何よりも多く物語るのは、出口あるいは水を求めた人々の屍の山。

7位 オキュラス/怨霊鏡
鏡の幽霊なんて何か不気味な人が映ってくるだけでしょ……と思いきや、お父さんを操り家族を追い込み、現実を曖昧にし、過去と現在を巧みに入り乱れさせる! さすがアメリカは幽霊もアグレッシブだな! 呪われた鏡に挑むお姉ちゃん(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のネビュラの中の人)の、『ホーム・アローン』と『SAW』を足して2で割ったような仕掛けもスゴい。

8位 オール・チアリーダーズ・ダイ
タイトルそのまま、チアリーダーはみんな死にます。でも何だかんだで蘇ります。でもそれはそれで面倒なことになります。女同士の三角関係がストーリー上どうでもよさそうなところが好きです。

9位 AFFLICTED
どんどん人間じゃなくなっていく友人デレクを撮るPOV(途中からそのデレクがカメラの持ち手になる)。そんなに目新しくもないはずの手法だし、ハッピーエンドは見えそうにない流れなのに、超人的な身体能力を手に入れたデレクの目線で建物からの大ジャンプをキメたり警官をぶっ飛ばしたりと、妙にヒャッハーな気分になれる不思議な映画。

10位 FEAR X
ニコラス・ウィンディング・レフン監督の初期作。赤の使い方がダリオ・アルジェントチックかつ『オンリー・ゴッド』への布石のよう。ジョン・タトゥーロの顔面がイイ味出してる。音楽は実はブライアン・イーノ。もっと認知されてほしい一本。


ザ・B級アクション賞

コードネーム:プリンス(こういうところに年1回は顔出すブルース・ウィリスとジョン・キューザック)
タイムリミット‐72(ルーク・ゴスがもっと仕事に恵まれますようにとお布施)
エージェント:コール(ゲイリー・ダニエルズも仕事に恵まれますようにとお布施)

ザ・B級SF賞

アノマリー(ヘムズワース家の長男見ーつけた)
タイム・チェイサー(お久しぶりですハーレイ君。いいバイプレイヤーになってください)

今年のゾンビ枠賞

ザ・デッド:インディア(もしもこの国でゾンビハザードが起きたらシリーズとしてまた作ってほしい)
人造人間13号(人造人間と謳ってますが生態はゾンビですよね?)

めちゃくちゃ貴重で賞

ネクロマンティック(粗い撮影とチープな音楽、合間に入れたガチの畜殺映像、それに死体愛好というアブない題材が奇跡的に映画の「味」となった一本。劇場で観られる機会はまずなさそう)

このままシリーズ化してほしいで賞

シャークトパスvsプテラクーダ(ゆくゆくは掛け合わせ怪獣三つ巴、四つ巴のバトルを……)

エンドロールがカッコいいで賞

悪魔の存在を証明した男(IMKなるアーティストの "Something Real" という曲が使われてるのは分かったけど、残念ながらオフィシャルな情報があまりない)

着メロを変えたい衝動にかられた賞

13の選択(あのメロディよく聞くけど "Enter Of The Gladiators" って曲名なんだ。初めて知ったよ)

ジャンル間違えてました賞

ロスト・フロア(ごめん、オカルト系だと思ってたらマジメなサスペンスだったよ)

異色の字幕で賞

Facebookで大逆転(字幕で「www」「キタコレ」って初のケースだよ)

ジェイソンかマイケルに来てほしいで賞

ファイナル・デッド・クルーズ(ハメ外したバカな若者が次々死ぬのはスラッシャーホラーと同じだが、本作の場合は仲間割れによる自滅。大型殺人鬼不在だと、人間こうも面倒臭いんだなぁ)


頑張れ! ルーク・ゴス

デス・クルー(傭兵アクションかと思ったらアレ? そっちの話ですか!? な一本。トレホもいるよ)
タイムリミット‐72(72時間の逃走劇と思ったらアレ? 世直し道中ですか!? な一本。RZAもいるよ)

動ける・イケメン・ハゲがカッコいいと三拍子そろっているのに、なぜかジェイソン・ステイサムクラスに届かない不遇の男、ルーク・ゴス。大作出演時には特殊メイクで顔が分からないというネックもあり。いつか素顔で表舞台で活躍してくれることを祈る!

スゴいぜ韓国

ハイヒールの男(長身のムキムキハンサムがヤクザ相手に女装で無双アクション!)
その怪物(頭のネジが外れた殺人鬼vs頭のネジが外れた露天商姉さん。10歳児が一番マトモだ)

この2作品に共通しているのは、バイオレンスの合間に場違いなほどの笑いをぶっこんでくるという思い切りの良さです。


もしかすると出会えなかったかもしれない映画の数々を、スクリーンで体験させてくれた未体験ゾーン。また来年も、そしてその先も、できる限りたくさんの映画に出会える機会をいただけると嬉しいです。仕掛け人の西澤さん、そしてヒューマントラストシネマ渋谷さん、今年もありがとうございました。

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