2015年5月13日水曜日

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE‐01~劇場版・序章

戦慄暴走ファイル 工藤がコワすぎ!

戦慄怪奇ファイル コワすぎ!
監督:白石晃士
出演:大迫茂生、久保山智夏

面白い映画には、だいたい魅力的な悪役がいる。この「魅力的」ってのが厄介で、現実なら近くには絶対に寄せ付けたくないヤな奴のクセして、スクリーンやテレビで観ているとやること成すこと面白くって、たとえ悪行だろうと外道だろうといいぞもっとやれと後押ししている自分がいる。

まぁ、工藤ディレクターは純然たる悪役とは言えないが……上司にこんな奴がいたらメンタルがもたなくて仕事辞めてると思う。
しかし、画面越しである限り、市川ADとカメラマン田代の苦労を無視して思ってしまう。「いいぞ工藤Dもっとやれ!!!」

FILE-01 口裂け女捕獲作戦('12)




投稿者から送られてきた映像に映っていた、大きなマスクをして信じられないスピードで走ってくる長身の女。かつて日本中を噂が駆け巡った「口裂け女」ではないかと推測された。ディレクターの工藤は、「口裂け女を捕獲する」という目的のもと、取材を開始する。

「撮影する」でもなく「真相を確かめる」でもなく、「捕獲する」という飛躍の激しい工藤Dの目標。
一瞬何かが映ったとか暗がりに見えたといった奥ゆかしさ(?)もなく、白昼にも夜間にもカメラに堂々と映り込む怪異(ただし、思わず鳥肌の立つ映り込み方ってのもちゃんとありますよ)。
追う側も追われる側もアグレッシブで、心霊モキュメンタリーを観るつもりでいたはずが、始まったのは見世物小屋という個人的には嬉しい誤算。同じモキュメンタリーなら『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よりは『食人族』に近いんじゃなかろうか。ただし白石監督いわく、もっとも影響を受けたモキュメンタリー映画は『ありふれた事件』だそうだ。

何よりこのシリーズのイメージを決定づけたのは、工藤Dの暴走だった。謎に迫るためには、恐喝・暴力だいたい何でもやらかす。ホームレスをぶん殴り、何か知っていると思しき呪術師を怒らせ、投稿者にも協力を仰ぐといって危ない橋を渡らせる。
もちろんいつも身近にいるAD市川さんとカメラマン田代は、ちょっと反対意見を言うだけでどやされる。幽霊や妖怪の類に遭遇するよりもよっぽど後味が悪い。しかももっと困ったことに、この横暴男は幽霊より確固たる現実なのだ。

終盤、口裂け女を追う工藤Dは、金属バット片手に夜の住宅街を走り回る。口裂け女はどこに行ったか分からないので、我々の目に見えるアブナイ存在は、バットを持って叫びながら疾走するおっさんのみ。大げさな言い方になるが、狂気が怪異に追いつき追い越した、金字塔的瞬間だった。

FILE-02 震える幽霊('12)




幽霊が出ると噂の廃墟で撮影された映像。そこに記録されていたのは、鈴のような音、謎の足音、そして小刻みに震える人型のようなもの。工藤は投稿者らとともに問題の廃墟に足を踏み入れ、いくつかの怪現象を確認。
しかし、投稿者の中の女性一人が失踪したのを皮切りに、その女性が持つ不可解な能力、スカイツリー上空に浮かぶ物体、「先生」と呼ばれる人物など、謎はさらに広がっていく。

『パラノーマル・アクティビティ』系統の心霊もので来たか? と思いきや、スカイツリーの怪や謎の人物まで現れ、予想外の展開へとなだれ込んでいく。ただ、風呂敷が思わぬ方向に広がったはいいが、今回は収拾のめどがつかないまま幕を閉じてしまう。おそらく後に伏線が回収されるのだろうと予想しつつも、若干の消化不良は残るだろう。

その結果、市川や田代そして投稿者たちを悩ませる工藤Dの暴走が、モヤモヤの多い作中の清涼剤と化すという不思議な逆転現象が生じている。
前回、髪の毛を編み込んだ呪いの道具を気軽に持って帰ってしまうという暴挙に出た工藤だが、それを「実験だよ!」と言っていわくつきの場所で活用するというさらなる暴挙に出た。呪具の力がスゴいのか、工藤Dの暴力がスゴいのか、ここに「工藤D×呪いの編み飾り」という痛快コンボが誕生してしまう……。ついでに、工藤Dのもとに映像を持ち込んだ投稿者は悲惨な目に遭うという法則まで確率してしまうのだが。

脅しありビンタあり投稿者巻き込みありと、今回も不穏な活躍には事欠かない工藤D。彼が呪いの編み飾りを首にかけ、怪現象の真っ只中へ迷いなく突っ走っていく姿を観て、うっかり感動してしまった自分は、きっと幽霊よりもある意味厄介なものに憑かれてます。

FILE-03 人喰い河童伝説('13)




投稿者のカップルが立ち入り禁止の池で撮影した映像には、食い荒らされた動物の死骸とキュウリとともに、謎の生物が映っていた。その池には河童が棲んでいるという噂があった……。
市川と田代は入院中の工藤に変わって現地調査に赴き、その地に古くから伝わる河童の伝説、また河童について何か知っているらしい農家の男の存在も確認。そこへ、無断で病院を抜け出してきた工藤が「河童を捕獲する」と言い張って合流し……。

「普通に考えたら物理攻撃で何とかなりそうにない相手に物理攻撃で挑む」というシチュエーションが大好物の自分にとって、FILE-01のときから金属バットを振りかざす工藤Dの姿勢は大変に望ましいものだった。それが3作目に来て、遂に観たかったものを提示してくれたのだ。
そう、河童の体当たりを食らって転倒&ケガを負う工藤Dに、反撃に河童を殴り倒す工藤D! あととばっちりを喰らって河童に引きずられた市川AD! 宇宙人をグーで殴る『プラン9・フロム・アウタースペース』、火星人とボクシングする『マーズ・アタック!』、魔女をぶん殴る『ヘンゼル&グレーテル』、宇宙人とプロレスする『バトルシップ』……などなど挙げだしたらキリがないが、本作はこの「物理攻撃シリーズ(仮)」に邦画代表として君臨した。
ちなみに河童をぶっ飛ばしたパンチには、例の呪いの編み飾りが一役買っているのだが……そんな形で呪具を使いこなしてしまう工藤D、とうとうヘタすると陰陽師より使えるという域に達してしまった。ただの暴力人間と何が違うんだって奴なのに。

1作目で金字塔になり、2作目では清涼剤になり、3作目に至っては不在だと心もとなく、戻ってくるとようやく安定感が生まれる。……これはマズいぞ。工藤Dに、ひいては白石監督にダマされてる証拠だぞ。ダマされる甲斐もあるけどな。

FILE-04 真相! トイレの花子さん('13)




2人の少女が廃校で撮影したビデオに映っていた、トイレから飛び出してくる少女は「トイレの花子さん」なのか? その翌日のビデオ映像に見えた、投稿者自身の死のビジョンは未来を予言しているのか? 
工藤Dは今回、霊媒師・真壁を伴って現場を訪れた。彼女は「ここは向こうの世界とつながっている」「時間も空間も歪んでいる」と語る。そしてほどなく、投稿者のうち1人が姿を消す……。

いや、とんだ学習不足だった。FILE-02だっていかにも心霊ホラー的なシチュエーションを提示しておきながら、異世界の謎の種をバラまきまくった一本だったじゃないか。だったらテーマがトイレの花子さんだからって、ただの学校の怪談の範疇に収まるわけないと予測もできたじゃないか。実際FILE-02に近いものがある怪現象も起きていたじゃないか。
しかし、まさか、サブタイトルになっている花子さんの影が思ってたより薄く、メインはみんなでレッツ・ドゥ・ザ・タイムワープ・アゲインなんて……!!!

今回の工藤Dはおとなしめ……といっても恫喝ぐらいはやらかす。代わりに市川ADが珍しくキレる光景が見られる。そのぶん異世界側からのアプローチと、それに対抗する真壁の能力がアグレッシブで目まぐるしい。何せ、怪異のほうは時間や空間をねじ曲げてしまい、真壁は時間を遡ったり先へ飛んだりできるので、一同昼夜を行ったり来たり、また学校と投稿者宅を行ったり来たり……「あれ、これ『X-MEN』だっけ……?」と勘違いするようなしないような。
そしてしまいには、シリーズ通して示唆されてきた「向こう側の世界」にとうとう触れることになる。ホラーやミステリーよりもギャグ寄りじゃないかというような見せ方ではあるのだが、もうこのシリーズはこれぐらい吹っ切れてもいいよな! と思いきれるだけのパワーを手にしてしまったからなぁ。
それにしても、わずかなショットながら、異次元に飛んでも工藤Dは工藤Dなのだな……。

劇場版・序章 真説・四谷怪談 お岩の呪い('14)




前回の事件よりしばらく『コワすぎ!』シリーズから遠ざかっていた取材班が、ここへきて再び企画始動に乗り出す。「向こう側の世界」の真相を探る、どうやら関わりがあるらしい工藤の過去と「向こう側の世界」の関係性を明らかにする、そして借金返済といった理由のもとに……。

今回の投稿映像は撮影中止になった映画の一部。顔が半分崩れた女の姿と、FILE-04で撮影された異世界の入口のような影が映っていた。また、このシーンに出演していた女優が音信不通だという。「四谷怪談」に関わる映画を撮る際にはお祓いをするのが通例なのだが、1シーンでお岩さんに言及する程度だからと、お祓いをしなかったことが原因ではとされていた。
工藤Dらは音信不通の女優の家を訪ねるが、彼女は片目が腫れ、意味不明な言動をくり返し、果ては包丁で襲いかかってくる始末。さらに取材中のカメラにもお岩さんのような人影が映り出し、とうとうその影響は市川ADにまで及び始める。

口裂け女も花子さんも、実は異世界からの斥候にすぎなかった。ってことは今回のお岩さんも……と思ったら本当に「傀儡にすぎない」(霊能者・宇龍院談)。真の敵は異世界にあり! それに挑むは我らが工藤D!!! 
……あの、よく映画で世界の命運を握って戦うべき人が「コイツに世界を委ねるのか!?」みたいに言われるじゃないですか。コレは……普通に考えておそらく一番世界を委ねちゃいかん奴じゃないですかね。だってあの工藤Dですよ。

前回比較的おとなしかった反動か、工藤Dの暴走は再び加速。その被害を今回ほぼすべて市川ADが受ける羽目になった。取材始めに引っぱたかれたのを皮切りに、よりによってお岩さんの呪いと思しき何かに憑かれてしまい、再び「向こう側の世界」へ。
しかも、市川の除霊のために訪ねた霊能者の宇龍院道玄は、工藤Dとタメを張れるほど態度が悪い。除霊でトランス状態の市川&ときどき映り込むお岩さんの影にビビる田代をよそに、「オレは命かけてんだよ!」「こっちだって命かけてんだよ!」と醜い(?)争いを繰り広げる工藤Dと宇龍院。これほど「似た者同士」を的確に映し出した光景にはめったにお目にかかれない。あと、「こんなときのためにピッキングを習った」なんて人にもめったにお目にかかれない。工藤さんあなたですよ。

そんな無茶苦茶を観ているにもかかわらず、呪いの編み飾り片手に異世界へ(田代を道連れに)飛び込み、うねうねした有象無象を呪具で殴りちらす工藤Dの何とヒロイックなことか。「工藤さーーん!!!」「市川ーーー!!!」と手を伸ばし合う瞬間なんぞ、『クリフハンガー』的な感動すら漂っていたし。迷いなくああいう行動に出ることができる工藤Dには、ヘタすると羨望すら覚える……いや待て待て待て。これは私の背後に金属バット持ったおっさんの生霊が憑いているのかもしれんぞ。


さて、ここへきてFILE-01とも新たなつながりを見せ始めたシリーズはやっと劇場版へ。
映画化企画を「よし決めた!」「ザ・ムービーだよ!」と二次会行こうぜぐらいの軽いノリで進めてしまう工藤Dと愉快ではなさそうな仲間たちの行く末は?
FILE-02でバラまくだけバラまかれて回収されていない謎は収拾をつけられるのか?
FILE-03の河童はこれ以上絡みようがあるのか?
そして、ある意味オバケよりコワい工藤Dはどこまで突っ走るのか……?

2015年5月5日火曜日

ハリウッド・コレクターズ・コンベンション No.6

(超絶アガリ症の)人間にしてはやったと思いたい。

ハリウッド・コレクターズ・コンベンション No.6
2015.5.4. ホテルグランドパレス2F

緊張すると胃がキリキリしたりスピンしたりする人間ですが(『ザ・ロック』のニコラス・ケイジも「胃がフラフープのように回ってる」って言ってましたよね)、今回は胃のぐるぐると心臓のばくばくが相まって、チェストバスターが出てくる心地でしたよ。

今年のハリコンはシュワが出迎えてくれました。

ランスとなじみの深い(?)こんな方もいらっしゃいます。


ハリコン参加は2回目。2013年5月のハリコンNo.2(ゲスト:ロバート・イングランド&ショーン・アスティン)以来だ。そのときに比べると、今年はディーラーブースがずいぶんこじんまりしているし、来場者数も少なめのように思える。
ちょっとお祭り気分には乏しいのが残念だが、ゲストがその辺をふらっと歩いていくという奇跡のような現場を拝めることもありましたよ。

今年のゲストはビショップことランス・ヘンリクセンと、T-1000ことロバート・パトリック。ロバートは娘さん(すごく可愛い)同伴だった。
ロバートは以前の来日時に覚えた日本語が「モウカリマッカ」だったらしく、第一声が「コニチワ、モウカリマッカ!」。その後サインor撮影に来たお客さんへの挨拶が「ヘイ、What's up? モウカリマッカ!」。T-1000も陽気で豪快なおじさんになったなぁ。
ロバートのサイン・撮影会には参加できなかったんだけど、陽性エネルギーがブースを飛び出してくるようなお方だったよ。

先に始まったのはツーショット写真撮影会。出演作をご覧になれば分かる通り、ランスは小柄なので、並んだ時の目線の近さが半端じゃない。
私、何かと頭蓋骨に着目するクセのある人間なので、ランスのチャームポイントにも「デコ骨の左右のでっぱり」を挙げていたりするのだが、振り返ってみればおでこに着目することもド忘れする始末。覚えているのは色素が薄くサイズの大きい眼球だった。日ごろ人の目を見て話すのが苦手なだけに、フェイスハガーでも被りたい心境ではあったけど、さすがに失礼すぎるものなぁ。

そしてもう一つ覚えているのが、肩を組んで撮影に臨んでくださったランスの身体が、めちゃくちゃソフトだったように思えたこと。お年のせいなのか、こっちの脳ミソが舞い上がってふわっふわになってたせいなのかは分からないが。
あまりのことにカメラに表情を作ることを忘れてしまい、出来上がった写真を見てみたら、案の定ぶっ倒れる10秒前みたいな笑顔になってたのだった。

ランスは素敵なショットでしたよ。ランスは。


サイン待ちの最中、撮影待ちのランスのワンショットを偶然収められました。

当初はツーショット写真とトークショーのチケットしか購入していなかったのだが、やはりここまで来たのならと、急遽サインチケットも購入。サインしてもらう用に『ニア・ダーク 月夜の出来事』のポートレートも購入した。ビショップもいいけど、魅力的なならず者(吸血鬼)たるジェシーもカッコいいし、映画自体も好きなのである。本当は『ハード・ターゲット』のエミール・フーションがあれば良かったのだけれども。(いやそれ以前に、自宅から『パンプキンヘッド』の輸入BDを持っていくのが真のベストだったはず。何やっているんだか)

サイン中は机の反対側に行かなければゲストの写真を撮ってもOKだったのだが、何たることかサインをいただいている間ただただランスの手元を凝視してしまい、スマートフォンのカメラを起動させることすら忘れていたのだった。本当にこの日の自分は何から何まで抜け落ちているよ。
ひとつ言い訳させてもらうと、嬉しかったんです。写真の色合いに応じてペンの色を変えてくださったランスの御心遣いが。

左端にご注目いただきたい。背景とペンの色合いが被っちゃってるところは、
ペンを黒から銀に変えて書き直してくださっているのだ!!
ちなみに私の名前のところも修正していただいてます。

ところで、今回のハリコンでもう一つ目玉になっていたのが、スター・ウォーズのバトルポッド。エンドアやホスやデス・スターなどステージを選び、反乱軍パイロットとして帝国軍と戦いミッションを遂行する。しかも、バトルの際の揺れや風や衝撃まで体感できるのだ。
私、自宅にゲームの類を置いたこともなければゲーセンにも数えるほどしか行ってないド級の素人だが、こんなチャンスはあるまいと意を決してポッドに搭乗。
通常ミッション所要時間4分ほどのところを、見当違いの方向に飛び回った挙句2分で撃墜されたのだった。

ポンコツパイロットでも乗れるだけありがたかったバトルポッド。

「あーあ」と思いながら出ようとしたら、
↓のストームトルーパーさんが出入口に張り付いていた。
つまりあのひっどい飛行状態が帝国軍にバレていたわけで。
二重に残念なパイロットになってしまったよイウォーク君。

そんな軽いガッカリがありつつ、気を取り直してランス・ヘンリクセントークショーへ。Facebookで事前に集めた質問のQ&Aと、その場でのファンからのQ&A。覚えている限りで、どんなやり取りがあったのか簡単にまとめると……

『ターミネーター』についての話を聞きたいです:
制作会社へのプロモーション時にターミネーターを演じていたのだけど、そのとき凄味を見せようとしてドアを蹴飛ばしたので、会社からの印象が悪くなってターミネーター役から脱落してしまった。それでシュワルツェネッガーに……彼はブルドーザーみたいだからね。(シュワがブルドーザーみたいという例えは、このあとも何度か出ました)

自身のキャリアで一番印象に残っているキャラクターは?:
一番最近撮った映画が一番印象に残っている。昔のことはどこかに行ってしまうから。映画の仕事は暗闇でキスするようなもの。どこで、いつ、誰とキスしたのかも分からない。気が付いたら「あ、仕事がきた」というような。

『殺人魚フライングキラー』の現場で、キャメロン監督と殺人ピラニアの模型を作ったという話は本当?:
本当だよ。(ここでファン一同喜びのざわつき)キャリアの最初の映画は重要だ。キャメロンにとってはまぁ……(やはり黒歴史なんでしょうね)

『ストレイン 沈黙のエクリプス』の声の出演について:
ギレルモ・デル・トロは詩的でもあり暴力的でもある。そこが好きなんだ。

『エイリアン』の新作では3がなかったことにされているらしいが、3に出演した身としてはどう思うか? また新作への出演は?:
今度の南アフリカ出身の監督(ニール・ブロムカンプ)はクリエイティブだから楽しみにしている。まだ脚本はできていないから出演については分からないけど、脚本家が午前4時ぐらいに「どうしようかな……そうだ、ビショップ呼び戻そう」って思いつくかもしれないよ。

『ミレニアム』について:
新作企画はできているけどね。フランクが子どもに対する虐待疑惑をかけられるエピソードのときに、ちょうど自分の子どもが生まれたから、余計自分の子に対する思い入れが強くなったよ。

『エイリアン』と『ターミネーター』どちらが好き?:
『エイリアン』。(回答はわりと早めでした)

もし自身がT-800を演じていたら、"I'll be back"の代わりに何と言ったと思う?:
当時『エイリアン2』はまだ公開されていなかったからアーノルドのほうが有名だったけど、もしエイリアンが先だったら状況はだいぶ違っていたかもしれない。自分だったら爬虫類や蜘蛛みたいな動きを取り入れていたと思う。「目玉に毛がどうこう(うろ覚え)」というカリフォルニア特有のスラングで話すか、もしくは何も言わないかな。

アンドロイドを演じた人間として、アンドロイドは人間にとっていいものと考えるか、悪いと考えるか?:
ビショップには人間を傷つけたい気持ちもどこかにあって、またそうすることを恐れてもいた。キャメロン監督がそういう危うさを出したがっていたんだ。(もとの質問内容を忘れていたらしく)あ、アンドロイドはいいものだと思うよ。

日本に来てからおいしいものは食べましたか?昨日の夜とか……:
新幹線の中で食べたけど、あれが何なのか知らないな。(両指で四角を描いて)お米があったのは覚えてるけど、何ていうものかは分からない。おいしかったけど。(お弁当じゃないでしょうかね? 最初に間があったから、前のQ&Aの内容と相まって「ビショップがバグった!?」とか思ってしまってすみません)

惜しむらくはハリコン主催さんと通訳さんが、あまりランスの映画に明るくないようだったことか。映画のタイトルやキャラクターについての理解が不明瞭だったために、質問と回答に齟齬が生じること多々あり。
せっかく『ハード・ターゲット』の話題になったときも、ピク(・ヴァン・クリーフ。フーションの相棒の名前。アーノルド・ヴォスルー演)のことを通訳さんが動詞のpickと間違えたあたりから話が迷走してしまったもんなぁ。
『Savage Dawn』と『ストーン・コールド』とハカイダーの話もごっちゃになってしまったし(そしてランスが "Fly Me To The Moon"を歌いだし、空気を和ませたのだった)。

ただそれでも、すべてを帳消しにする総員感動の瞬間があったことは間違いない。ファンのリクエストで、ビショップの名ゼリフ「人間にしてはやるね(Not bad for a human)」を言ってくださったときだ。
しかも、「じゃあ言うよ」とペットボトルを開けたので、喉を潤してコンディションを整えるのかと思いきや、口に含んだ水をコポコポ吐きながら「Not bad for a human」と!!! これはまさしく、白い体液を吐きながら喋るビショップというシチュエーションに忠実な再現。まさかそこまでやってくださるとは思わなかった。
今までそうだとは考えてなかったけど、本当にユーモアとサービス精神が図抜けた方なんだなぁとようやく実感したのだった。

なお、このときの最大のラッキーは、自分の座っているところ(通路側)がランスの通り道になってたおかげで、行きと帰りに握手&タッチをしてもらえたことです。

トークショー後、スタッフさんと密談中(に見えた)。

到着早々、ランスもちょっと食いついていたエイリアンクイーンのヘッド。
そこにトークショー終了後……

「Lance Henriksen  Bishop」のサインが入ることに!!
ビショップの30年越しの仕返しに見えなくもない。

個人的今年のハリコンの締めくくりは、『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロが原作・監督・脚本・製作を手掛けたドラマ『ストレイン 沈黙のエクリプス』1・2話観賞会だった。
今回のデル・トロワールドは、パンデミックサスペンス×『ブレイド2』。
こんな感じのストーリーはスティーヴン・キングもので読んだり観たりしたことがあるはずなのだが、次にどう転ぶか楽しみで楽しみで、引き込まれて仕方ない。登場人物がいちいち魅力的で、リーパーズ以来のエグい解剖シーンを拝めるのもデル・トロ流。

ホラー寄りなのでエグいシーンもあるが、この手の映画にありがちなびっくらかし演出を嫌うデル・トロだけあって、ときにじわじわときにカラリと恐怖を魅せてくれるところが一番好感が持てる。ラミン・ジャワディの適度に不穏さを煽るスコアもいいが、既出曲の使い方も絶妙。「Sweet Caroline」をあんなシーンで流すセンス、個人的に大好物です。

ちなみに、ランスもこの映画に声の出演中。さっきまでの怒涛のランス祭りの直後に、このドラマであの声を聴くと、『ドラキュラ』のレンフィールドよろしく「マスタァァァァァァ」と見えないランスに頭を下げてしまいそうです。ドラマを観た方には「そのままじゃん」と言われそうですが。


それにしても今回は、ちゃんとしたズームができるデジカメを忘れ、気兼ねなくサインしてもらえるアイテムだった『パンプキンヘッド』BDを忘れ、もっともランスのクロースアップを撮れるはずだったサイン中の撮影を忘れ……
トークショー中に「ビショップがバグった?」なんて思ってる場合じゃないよ。一番修正不能なほどバグってるのは私の脳ミソじゃないか!!!

おまけ:今回の戦利品、『SAW』のトーキング栓抜き。
ボトル開けようとするたびに
「ゲームをしよう」「おめでとう、君は生還した」「ゲームオーバー」
等、ジグソウ先生のありがたいお言葉を聞かせてくれる。
ただし持ち主は聞きながらまったりビール飲んじゃってるので何となくアウト。