2018年10月5日金曜日

未体験ゾーンの映画たち2018

暴力! オバケ! サスペンス! トレホ!

未体験ゾーンの映画たち2018
ヒューマントラストシネマ渋谷 2018.1.6~2018.4.6

こっちも今頃アップに至ったという遅刻も遅刻で。もう来年のラインナップどうなるのかと考えなきゃならない時期だというのに。

『チアーズ!』という変化球がやってきた去年に対し、今年はいつものド直球に立ち返った気がします。


屍に会える映画館、ヒュートラ渋谷。
(ラドクリフ出演作つながりで出張中だったそうです)

未体験ゾーンの映画たち2018極私的ベスト10


1位 68キル

主人公の置かれた(そしてこれから置かれる)状況を端的かつ的確に表したオープニングショットから、この映画はスゲェ! と思わせてくれる。
6万8千ドルという、大金と呼ぶには微妙な大金のために血が流れまくるド底辺社会バイオレンス! しかも出てくる女がみんなコワくてぶっ飛んでて可愛い!! アホな男とヤバい女しか出てこないという点では『スガラムルディの魔女』を思い出すけど、舞台がアメリカのトレーラーハウス貧乏になると圧倒的に泥臭いです。


2位 Z Inc. ゼット・インク

Zと銘打ってはいるがゾンビに非ず。むしろゾンビは嫌でもこのウィルスになら感染したい! って人は多いんじゃないでしょうか!? 
主人公が非感染者のサバイバーではなくバリバリの感染者で、「よーーし感染と隔離が続いている間にオレをクビにした上司どもを血祭りにあげてやるぜゴラァァァ!!」という倫理的には間違っているがボンクラ的には大変正しいやる気に溢れているのが新しい。オフィス用品や工具を駆使したファイトといい、ヒロインの音楽趣味といい、不謹慎な爽快感を味わえます。


3位 ザ・ヴォイド

外にはカルト教団、中からはグジョグジョウネウネしたモンスター、挙句の果てには『ヘル・レイザー』か『ヘルケバブ』かというような地獄がオープン。洗練とグシャドロのイイとこどりをした(観てるぶんには)楽しい悪夢です。なんならもっとゴアやモンスターを暗がりじゃないところで見せてほしいくらい。
ところで、エンドクレジットに流れる「バイバイ、オレたち王様に会いに行くよ」で、彼らがあちらの世界で対面したアレは、『ヘルレイザー2』の地獄の果てに出てくるアレではないのだろうかと思ったのですが……


4位 トラジディ・ガールズ

自分たちで人死にに至る事件を起こしておきながら「この悲劇を忘れないために……」とSNSにその事件を投稿する女子高生コンビ。さすがアメコミ界ではネガソニックちゃん(ブリアナ・ヒルデブランド)とストームちゃん(アレクサンドラ・シップ)なだけにキャラの強さが。
SNSの病巣にしっぺ返しを食らわせたいのだろうかと思いきや、実際は彼女らに寄り添いまくった作品。随所に散りばめられたホラー映画ネタ(たまにチープだけど)に爆笑。「高校時代なぞくそくらえ」「でも友情は最強」なラストも、不謹慎なクセに爽快。


5位 アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー! な大騒動になった件

監督・脚本・製作・出演勢は一緒だけど実際はヒャッハー! シリーズではない。しかしバカの規模は負けず劣らず。何故このタイミングで、この人に、このネタをやらせた!? な超絶くだらない最低な(褒めてます)映画パロディも満載。
ちなみにコレ、観たら分かるけどヴァン・ダム映画でもありますよ。特に、ヘリコプターキックを真似して物理的または社会的に失敗したことある人のためのヴァン・ダム映画。
逆に、愛犬家と愛猫家には激怒必至のところも……


6位 アンデッド刑事 野獣捜査線

初っ端からコリィ・テイラーが悪ふざけ感満載で現れ、監督を務めるショーン・クラハンもマスクで顔を隠しつつ悪ノリし、さらに実はクリスシドも出ていて……というスリップノット的贅沢映画。カンフー使いの禅マスターとかマシンガンシスターとかオモシロ悪役キャラが多いのはいいが、ダウン巡査不死身の秘密のくだりでシリアスドラマが長引きテンポが悪くなるのが課題点。
たぶん今回のショーンのベストワークは、「オ・フィ・サーダウーーン♪ ダ・ダ・ダ・ダウーーン♪ ダ・ダ・ダ・ダウーーーーン♪♪」っていうバカっぽくて妙に覚えちゃうエンディングテーマの作曲です。


7位 ミッシング・チャイルド 呪いの十字架

幽霊ものではあるのだが、恐怖よりも喪失感が常につきまとう。主人公の精神科医は息子が3年前に失踪したきりだし、同時並行で語られる民宿設備中の夫婦と友人のエピソードでは妻が死産と、親が子供を失う哀しみが共通している。アイスランドの地の荒涼として寒々しい空気と呼応したホラーだ。
まぁもちろん幽霊は出てくるし、その流れで死ぬのって結構ヤだなとも思わせてくれます。


8位 ドント・イット

話題作に便乗しすぎた結果「よーーーしお前ら中学校の英文法からやり直せ!!」と暴言赤ペン先生が爆誕する邦題になってしまった(原題『A Dark Song』)。しかし中身は、呪術儀式の手間ヒマと面倒くささをていねいに積み重ね、さらにびっくらかしに一切頼らず怪現象を描くとってもマジメなホラーだった。
主人公とともに儀式を進める呪術師が、とても呪術を使えるとは思えない坊主・小太り・モサモサ髭と三拍子そろった下町訛りのおっさんというのもスリリング。このおっさんとの共同生活に、徐々に人ならざる何かが侵入してくる様が地味ながら良い。ただ、遂に開かれた地獄の門戸の果てに現れるアイツは、笑っちゃいかんのだけど笑える一歩手前なのよ……。


9位 (r)adius ラディウス

半径15m以内に入った生命体が皆死んでしまう男と、男の15m以内に入っても死なないし彼と一緒にいる限り死の影響が他に及ばない女。何故こうなったのか知りたくとも、2人とも自分が何者なのかさえ覚えていない! もちろんこの状況には理由があるのだが、重要なのは「何故こうなった?」ではなく「2人は何者で、一体何をしていたのか?」……という不思議なSF。最後の彼の決断は、ちょっと『トータル・リコール』っぽくも感じる。


10位 ザ・ボルト

謎の地下金庫を巡って銀行強盗立て篭もりスリラー……と思いきや。こういう裏切りは大歓迎です。でも考えてみればこの銀行、強盗にとっては災厄を招くし、そこで働いてる人も件の地下に行かなければセーフだし、ある意味万全のセキュリティを誇ると言っていいのでは?
ちなみに、『エイリアン コヴェナント』での扱いがアレだったジェームズ・フランコの巻き返し映画でもあります。




未体験ゾーンの映画たち2018極私的裏ベスト(ワーストに非ず)


1位 ゾンビ・レックス ~殺人ゾンビ恐竜 誕生~

私事ですが、以前「ゾンビ化した恐竜の映画ってないのかね?」という与太話をしてたことがあります。それがホントに存在していたからビックリです。
しかし恐竜がそんなにゾンビゾンビしてねぇ! というか、さぞかしCG丸出しなのだろうと思っていたら、たまーーに着ぐるみやパペットになっている! ゾンビレックスに追われる軍人&学生チームは素人目にも分かるほど素人演技! そして黒幕はぬるま湯で薄めに薄めたイモータン・ジョー風マッド・サイエンティスト!
いや、想像以上にグラインドハウスでした。


2位 アイアン・スクワッド/鋼鉄戦線

こちらもまた想像以上にガチなグラインドハウス映画。クオリティはいろいろアレだけど、フアレスの麻薬王たるトレホさんがロボットに乗って「フアレスもメキシコもオレが制覇したるわ!!」と(自分ちの敷地内で)大暴れしてくれるから憎めない。最後までテンション高く付き合ってくださってありがとうございます、親爺さん。


3位 ダブル/フェイス

「ニコラス・ケイジ、二人の女の罠に嵌る」との惹句だったが、本当は「ニコラス・ケイジ、ほぼほぼ蚊帳の外」。だいたいジーナ・ガーション(『フェイス/オフ』以来のニコさんとのカップル設定)が1人で頑張ってます。
しかし、メンタルに問題ありとはいえ、犯人の動機となる「あんなことするの良い母親じゃない!」の発想力は、全世界の働くお母さんを敵に回すと思うよ。



未体験ゾーンの映画たち2018極私的ベストガイ

1位 ライザ&ヴァイオレット&モニカ(68キル)
2位 トラジディ・ガールズ(トラジディ・ガールズ)
3位 頬に傷のあるバーン・ゴーマン(ウォーキング・ウィズ・エネミー)
4位 デレク・チョー&メラニー・クロス(Z Inc.)
5位 トレホさん(アイアン・スクワッド 鋼鉄戦線)
6位 スリップノットの皆さん(アンデッド刑事 野獣捜査線)
7位 呪術師のおっさん(ドント・イット)
8位 ジョン・バーンサル(スウィート・ヘル)
9位 マ・ドンソクさん(アンダードッグ 二人の男)
10位 ジェームズ・フランコ(ザ・ボルト)


なお、今年の未体験ゾーンにはゆるキャラが誕生してました。
MTV的なMTKパーカを着ているのがミチルダちゃん
縫い目があるのがミタイケンシュタインだそうです。
果たして彼女らは来年も存在しているのか(失礼)……

未体験ゾーンの映画たち2017

「未体験」の概念はそれだけじゃないぞ。

未体験ゾーンの映画たち2017
2017.01.04.~2017.04.01. ヒューマントラストシネマ渋谷

まさか1年越しで投稿することになろうとはなー……自分がサボっただけのこととはいえ。



「もしも来年以降、配給会社さんが思い切ってファンタジー/ファミリー作品を送り込んだとしたら、未体験ゾーンの客層にも変化があるのだろうか? うーん、どう転ぶか分からないけど、そんな試みがあったらまた面白いだろうなぁ。」
……なんて2015年の未体験ゾーン記事で書いていたら、まさかの試みがやってきてたのですよ!!



未体験ゾーンの映画たち2017極私的ベスト10



1位 ダークレイン

正直に言って詐欺案件だ! ポスタービジュアルが詐欺ってのはよくあることだが、惹句も詐欺だし「ラスト何分の衝撃」ってのも詐欺! だがこんなに引っかかって嬉しい詐欺はなかなかないぞ!!
いや、さすが去年の未体験ゾーンの『パラドクス』の監督作。ウィルス感染でもなくゾンビ化でもなく○○○○○と化していく恐怖って……というか恐怖のはずなんだけどコレは笑うわ。ぶっちゃけ劇場で笑い起きたし。世にも奇妙な物語というか、未体験ゾーン改めトワイライトゾーンな映画でした。


2位 グースバンプス モンスターと秘密の書

逃げ出したモンスターを捕まえるというネタが『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』と被ってしまったのがイタいが、主人公サイドが魔法使いでも何でもないし特技もない、むしろダメ人間寄りなのがイイ。
何より本作に愛しさを覚えるのは、モンスターがもとはといえばボンクラの恨み言であり、その恨み言に対するしっぺ返しが脱走騒動であり、恨み言ばかりで引きこもっている場合じゃないぞ! という発破でもある点だ。


3位 チアーズ!

今回の「まさか」がコレ。「ソフトスルー予定だった映画を劇場で観られるチャンス」ではなく、「いつも未体験ゾーンに来ている君たちが未体験であろう映画のリバイバル」という新しい試み。旧作上映といえば2015年の『ネクロマンティック』もあるけど、そういう激ヤバカルト作なら知ってる/興味ある/観たことある人多そうだし。
チアリーダーといえば、未体験ゾーン常連的には「ホラー映画じゃ早めに死ぬヤな女筆頭」だが、ホントにマジメにチアリーディングをやっている女子たちは高い身体能力でもって怪我と隣り合わせで真摯に向き合っているし、ライバルチーム同士認め合っているのだ。ましてやそこに前向きさや明るさを備えていたら最強だ。うーーむちょっと心臓が痛くもなってくるが、我々とは(おそらく)最も程遠い青春観をぐっと引き寄せて見せてくれた『アントマン』のペイトン・リード監督、ありがとう


4位 エンド・オブ・トンネル

「もしも『暗くなるまで待って』のヘップバーンが座頭市だったら」が『ドント・ブリーズ』なら、「もしも『裏窓』のジェームズ・スチュアートがジョニー・ノックスヴィルだったら」ぐらいの無茶と冒険をやってくれるのが本作。というか主人公のホアキンさん
「立てば腕力(脚は不自由だから)、座ればエンジニア、喋る姿はクリストフ・ヴァルツ」な活躍は、少々話の先が読めても応援したくなってしまうし、計画に破綻が生じた際のどエラい辻褄あわせすら痛快ですよ。


5位 フリークス・シティ

この映画が作られたの2015年!? とびっくりするぐらい、2016年11月~2017年2月現在のアメリカの状況、ひいては世界の状況にぴったりな作品。いや、むしろここで描かれているような状況は前々から存在していて、ここ3ヶ月で急速に浮き彫りになったのかも。でもそれにしたって、アイツにキャラクターがそっくりなアイツがいるってのが恐ろしいわ。
ヴァンパイアと人間とゾンビのカースト社会というバカ映画の皮を被っているけど、世界中に見てほしい映画だよ。複線回収だって「えっ、それ複線だったの!? そんでわざわざ今回収すんの!? バカなの!? 天才なの!?」ってぐらい痛快だよ。


6位 FOUND.ファウンド

兄弟の奇妙な絆がかつてないほど残虐なスラッシャーホラーを生んだ。ラストカットの絶望感からは立ち直れない人も出たほど。
しかし何が一番キツいって、クローゼットに生首を隠し持つお兄ちゃんが、部屋に『ニンジャリアン』や『吐きだめの悪魔』やアイアン・メイデンやヴェノムのポスター貼ってて、『ヘル・レイザー』のビデオ持ってて……つまり、本作のようなスラッシャーホラーを好んでみる客層のメンタリティと地続きなこと。
「ホラー好きは猟奇犯罪を誘発する」は短絡的な発想だ。だが、もし一人のホラー好きが人種差別思想に影響を受けていたら? 理解ある友として誰かを溺愛していたら? 誰が/どのように/何がきっかけで怪物になるのかは不明瞭だ。それも余計に後味を悪くしている。


7位 真夜中のパリでヒャッハー!

昨年公開の『世界の果てまでヒャッハー!』の前日譚……というか本当はこっちが先に作られたファウンド・フッテージ・バカ
パリの一区画とブラジルリゾート地という舞台規模の差こそあれど、主人公フランクがあの規格外バカすぎる友達2人と一緒にいる限り十分にドタバタ下ネタコメディ達成。周囲への破壊行為と迷惑行為を省みず、このまま舞台を変えつつヒャッハーシリーズを続けていただきたい。
なお、極私的ベストネタは、リアルマリオカートをやりたいがためだけに張られた伏線です。


8位 GAME WARRIORS エバーモアの戦い

LARP、TRPG好きのみならず、メタル愛好家にも嬉しい映画。あとピーター・ディンクレイジの兄貴ファンにも嬉しい。
「いつまでも中世ファンタジーだのゲームだのに逃げてんじゃない! 大人になれ! 本気で戦え!」と言ってくるのかと思いきや、最終的にはそれでもオレはボンクラで頑張る! ボンクラパワーで戦う! ボンクラパワー最強!! ……という夢溢れる着地点でしたよ。


9位 ホーンテッド・サイト

事故物件の中から事故部屋をもぎとっては繋げもぎとっては繋げ、究極のハイパーお化け屋敷作るぜヒャッハーー!! なノリのつもりで観たら、思いのほかマジメな作りだった。肝心のお化けがモヤって出現してるだけなのはちと地味に映るが、屋敷に囚われている限りひたすら同じ悲劇の瞬間を繰り返さなければならないというのは物悲しいし、その場にいたら気がおかしくなりそう。(ほら、特にアメリカンお化けって、殴ったり突き飛ばしたりするバイオレント物理攻撃型多いじゃないですか)
ちなみに、主演のジェシカ・ロウンズはここでも可愛いけど、同じバウズマン監督作で残念ながら日本未公開&国内盤ソフト未発売の『The Devil's Carnival』のほうがもっと可愛いと思うんですよ……!


10位 PET 檻の中の乙女

一緒に食事やお喋りをするごく普通のお付き合いに憧れる内気な男が、誘拐・監禁という普通じゃない方法で女と距離を縮めたがる……という筋書きは『コレクター』を彷彿させるが、その上誰も彼もが普通じゃなかったら? 
さらに「自分のすべてを与えるのが愛」「愛とは犠牲」といった陳腐なはずの言葉が極限状況で突き詰められた結果、物語は恋愛版『マーターズ』と化す……! 
はい、この映画を引き合いに出すからにはそれなりに激痛な描写も多く、本編開始直前までガサガサガヤガヤしていた後方の大学生ぐらいの青年たちが、次第に「ひー……」と悲鳴を漏らすようになりました。



ついでに。

2017年未体験ゾーンの映画たち裏ベスト(ワーストに非ず)


1位 シーボーグ


凶悪な半機械エイリアン・シーボーグ(あまり動かない。あるいは動けない)が地球に飛来! 彼女に機械化された人間(鉄板をちょっとくっつけました)が人々を襲う! その前に立ち塞がったのは、カンフーができる(どう観てもプロレスっぽいけど)というガチムチ系女子高生たちだった……
驚くべきことに、2017年1月27という日に『ドクター・ストレンジ』でも『マグニフィセント・セブン』でもなく、色々とアレなコレを観てしまったことを、思ったほど後悔していません。


2位 PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星


『猿の惑星』と『ウォーターワールド』と幾多のZ級サメ映画を足しっぱなしにして、格安居酒屋のサワーと同じくらい薄めに薄めたこの映画を楽しめる人が未体験ゾーンには多い。それが証拠に、作品掲示板に貼り出されたお客さんの感想は「安定のアサイラム」「いつものアサイラム」「安心のアサイラムクオリティ」で埋まっていた……


3位 キックボクサー リジェネレーション


ヴァン・ダムさんが乗った自転車なら必死のランニングで追いかけられるかもしれないし、ヴァン・ダムさんがドカンと座り込んだ台車なら引っ張れるかもしれない! ような気がする。気がするだけ。でもヴァン・ダムさんにおどけてお見送りはされたい。
しかし何に一番驚いたかって、エンドクレジットで流れたあのダンスだよ。オリジナルの『キックボクサー』でヴァン・ダムさんがやったケツアピールダンスと、それを完コピした本作の弟子(アラン・ムウシー)のダンスが一緒に映されるんだよ。
そして今年の未体験ゾーン最大の迷言「ココナツ!」

なお次点は、人間狩りと感染症と物体Xと悪魔崇拝もろもろを盛れるだけ盛って、具体的な材料・調味料を明らかにしないまま「まぁ食え!」と豪快にお盆にのせてきたようなチリ産映画『ダウンヘル』です。


未体験ゾーンの映画たち2017ベストガイ


1位 大家さん(アブノーマル・ウォッチャー)
2位 ホアキンさん(エンド・オブ・トンネル)
3位 ダグレイ・スコット(ゾンビ・サファリパーク)
4位 デヴィッド・プラウズ(I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザー)
5位 R.L.スタイン(ジャック・ブラック)(グースバンプス モンスターと秘密の書)
6位 デロリアンでタイムマシンを作った夫婦(バック・イン・タイム)
7位 ヴァン・ダムさん(キックボクサー リジェネレーション)
8位 ピーター・ディンクレイジ兄貴(GAME WARRIORS エバーモアの戦い)
9位 プール更衣室で豪快なステイサムジャンプをキメた女の子の幽霊(屍憶 SHIOKU)
10位 ジェベダイア・クローンさん(ホーンテッド・サイト)

役名と役者名が混在しております。


最後に自慢させてください。
未体験ゾーンに通いつめて4年目、ようやく達成しちまいました。
観賞30本で海外版チラシ30枚。

2018年6月15日金曜日

2017年映画極私的もろもろベスト

題して「バカなほうのベスト」。

……2017年が終わってから半年経過しちゃってまで書くような記事なのかって?
もちろん書くまでの記事なんかじゃないさ!!! 超本人が言うのも難だけどな!!

参考記事:
2013年極私的映画もろもろベスト
2014年極私的映画もろもろベスト
2015年極私的映画もろもろベスト
2016年極私的映画もろもろベスト


2017年映画ベストガール


  1. ルビー・ローズ(トリプルX:再起動/ジョン・ウィック チャプター2)
  2. シウハーちゃん(リン・ミンチェン)(霊幻道士 こちらキョンシー退治局)
  3. ジェーン・ドウ(オルウェン・ケリー)(ジェーン・ドウの解剖)
  4. ラヴ(シルヴィア・フークス)(ブレードランナー2049)
  5. アマネット王女(ソフィア・ブテラ)(ザ・マミー 呪われた砂漠の王女)
  6. ロレーン(シャーリーズ・セロン)(アトミック・ブロンド)
  7. ワンダーウーマン(ガル・ガドット)(ワンダーウーマン/ジャスティス・リーグ)
  8. サーちゃん(Unda Kunteera Yhordchanng)(ドラゴン×マッハ!)
  9. ミシェル(イザベル・ユペール)(ELLE)
  10. コリーンズ(リリー・ローズ・デップ&ハーレイ・クイン・スミス)(コンビニ・ウォーズ バイトJK vs ミニナチ軍団)

どうしてもこのところベストガールの1位は「ガール」を超越した存在になるな。いやそれより問題は2位と3位が(厳密には5位も)実質死体ってとこか。でもシウハーちゃんは付きまとわれたいキョンシー第1位じゃないかと思うの。



2017年映画ベストガイ


  1. ゲイリー・フォークナー(ニコラス・ケイジ)(オレの獲物はビンラディン)
  2. サラザール船長(ハビエル・バルデム)(パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊)
  3. 大家さん(ネヴィル・アーカムボールト)(アブノーマル・ウォッチャー)
  4. ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)(IT イット/”それ”が見えたら、終わり。)
  5. 獄長(マックス・チャン)(ドラゴン×マッハ!)
  6. 新耳袋Gメンの皆さん(怪談新耳袋Gメン復活編)
  7. ホアキン(レオナルド・スバラーリャ)(エンド・オブ・トンネル)
  8. ジミー(シャールト・コプリー)(ハードコア)
  9. デヴィッド/ウォルター(マイケル・ファスベンダー)(エイリアン コヴェナント)
  10. デヴィッド・プラウズ(I AM YOUR FATHER)

何だかんだで今年はベストガールもベストガイも10人ずつになってしまった豊作の年(?)。濃い奴ほど上位に行きやすい本ベストだが、今年しつこく言っているように2位のハビエル・バルデムは「バルデムさん史上No.1の美人」だから上位なんだよ本気だよ。



2017年映画ベストカップル


  1. グロリア&ミシェル(地獄愛)
  2. スッキ&秀子(お嬢さん)
  3. エンツォ&アレッシア(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  4. ロレーン&デルフィーヌ(アトミック・ブロンド)
  5. ダイアナ&スティーブ・トレバー(ワンダーウーマン)
  6. イップ・マン&チュン・ウィンシン(イップ・マン 継承)
  7. ゲイリー・フォークナー&マーシ・ミッチェル(オレの獲物はビンラディン)
  8. サンファ&ソンギョン(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  9. K&ジョイ(ブレードランナー2049)
  10. バットマン&ジョーカー(レゴバットマン ザ・ムービー)
10位はカップルに入れていいものか考えものだったけど、今回はジョーカーの「めんどくさい彼女」度が上がっていたのでランクインを決めてしまったよ。



2017年映画ベストド外道

  1. ヨンソク常務(キム・ユンソク)(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  2. パク・ソンベ市長(ファン・ジョンミン)(アシュラ)
  3. 首塚サトシ(毎熊克哉)(全員死刑)
  4. チョウ・シウロン(ルイス・クー)(コール・オブ・ヒーローズ)
  5. ジンガロ(ルカ・マリネッリ)(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  6. 登場人物の8割(我は神なり)
  7. ヘスンの父親(リュ・スンリョン)(ソウル・ステーション パンデミック)
  8. マッド・ドッグ(ウィレム・デフォー)(ドッグ・イート・ドッグ)
  9. 神藤一郎(大森南朋)(ビジランテ)
  10. ホン・マンコン(ルイス・クー)(ドラゴン×マッハ!)
4位と10位でタイプの異なる外道を演じたルイス・クー、1位/6位/7位の外道を生み出したヨン・サンホ監督と、香港&韓国がランキングを制する中、年末に毎熊克哉さんと大森南朋さんが日本代表ド外道として滑り込んできてくれました。ありがとうございます。


2017年映画ベスト名言

  1. 「NASAでは小便の色は皆同じだ」(ドリーム)
  2. 「お前ら全員クソだ!!! ……と言っています」(トンネル 闇に鎖された男)
  3. 「グー、チョキ、パーよりグレネードランチャーだぜ」(トリプルX:再起動)
  4. 「それでも負けることはできる。何度も何度も何度も……永遠に負け続けてやる」(ドクター・ストレンジ)
  5. 「神は自分に似せて人を作ったと言うが、本当は逆だ。君たちが私を作った。だから困っている」(オレの獲物はビンラディン)
  6. 「確かにお前の最大の敵はオレじゃない。お前自身だ」(レゴバットマン ザ・ムービー)
  7. 「死んだらそれで終わりだ。死後の世界なんて信じない。また一からやり直すなんて嫌だ」(DARK STAR H.R.ギーガーの世界)
  8. 「物語は野生動物だ」(怪物はささやく)
  9. 「オカマって?」「ゲイの人々を傷つける言葉だ」(ムーンライト)
  10. 「孫悟空、どこへ行くの?」「妖怪退治だ」(コール・オブ・ヒーローズ)
今書き起こして気づいたが……上位3位が「小便」と「クソ」と「グレネードランチャー」という偏差値の低さ……いや1位はめちゃくちゃ偏差値と人間力の高いことを一番下品に言いまわしてるだけなんだけど。


2017年映画迷言ベスト

  1. 「ナマステ!!!!(ブチギレて電話を切りながら)」(コンビニ・ウォーズ)
  2. 「ココナツ!!(特訓したパンチを思い出させながら)」(キックボクサー リジェネレーション)
  3. 「お前ウィキペディアか!?」(スキップ・トレース)
1位と2位は注釈がないと何でオモシロいのか分からないもんなぁ。


2017年映画ベストサントラ

  1. アトミック・ブロンド
  2. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス
  3. ネオン・デーモン
2017年のサントラを制したのはタイラー・ベイツと言っても過言ではない(注:この場に限る)。でも『アトミック・ブロンド』を1位に押し上げた決定打は、マリリン・マンソンの "Stigmata" (ミニストリー)カバーなのだよ……!!


2017年映画ベストソング

  1. Open Up Your Heart(ジェーン・ドウの解剖)
  2. Satan, Your Kingdom Must Come Down(アシュラ)
  3. Sois Prudent(地獄愛)
  4. 移民の歌(マイティ・ソー バトルロイヤル)
  5. Rolling In The Deep(スキップ・トレース)
  6. Brighton Rock(ベイビー・ドライバー)
  7. Jeeg Robot, L'Uomo D'Acciaio(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  8. Reggie Rap(ファンタズムⅤ ザ・ファイナル)
  9. Speakerbox(ワイルド・スピード アイスブレイク)
  10. カナダ国歌(by コリーンズ)(コンビニ・ウォーズ)
なぜかサントラトータルよりも1つの曲がツボなケースが多かった2017年だった。


2017年映画ベストめし

  1. 葬式ケータリングのユッケジャン(アシュラ)
  2. キューバ風アレンジプレート(ムーンライト)
  3. 黄色カップのヨーグルト(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  4. ローラの手作りカップケーキ(パターソン)
  5. (お嬢さん)
  6. ロブスター(レゴバットマン ザ・ムービー)
  7. 牛の横隔膜(犯人は生首に訊け)
  8. 牛肉麺(コール・オブ・ヒーローズ)
  9. 紅茶とイチゴジャムトースト(ダンケルク)
  10. コグマン流スシ(トランスフォーマー 最後の騎士王)
1位のユッケジャンは市長が来る予定はないが作ってしまったぐらい。ちなみに10位の「スシ」はどう見てもカルパッチョだったけど、映画全体に比べたら些細な綻びにすぎない。


2017年映画ワーストめし

  1. ローラのオリジナル創作パイ(パターソン)
ベスト入りのカップケーキを作ったローラだが、ワーストめしをも制している。いくら愛するパターソンの好物を入れたパイでも、芽キャベツは加熱しすぎたらヘドロになっちまうわ。
生地の中でチェダーチーズと混ざってヘドロパイになっちまうわ。
自家栽培生バジルをトッピングしてもヘドロのフォローはできねぇわ。
そりゃ一口ごとに水で流し込まねば食えねぇわ。
そんなわけで、芽キャベツは1分ぐらい茹でたあとベーコンと一緒に軽く炒めて塩コショウするぐらいがベターだと思うよ。


2017年映画ベストここはオレに任せて先に行け

  1. アレス(ルビー・ローズ)(ジョン・ウィック チャプター2)
  2. サンファ(マ・ドンソク)(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  3. ドク(ケヴィン・スペイシー)(ベイビー・ドライバー)
このあとまもなく、ケヴィン・スペイシーは「ここはオレに任せて云々」などと言ってる場合じゃなくなってしまうのでありました……(哀)


2017年映画に学ぶ間違った教訓

  1. 魚雷が氷上を滑ってきたら手で押し返せ(ワイルド・スピード アイスブレイク)
  2. サバイバル生活に必要なのはダニエル・ラドクリフの死体(スイス・アーミー・マン)
  3. 追い詰められたらコップを噛み砕け(アシュラ)
  4. ラスト5分ですべてを丸く収める方法がある(カンフー・ヨガ)
  5. ソシオパスの気がある強い執事は「ヤバいニンジャ執事」と形容する(トランスフォーマー 最後の騎士王)
  6. ヌンチャクはドラムスティック(グレートウォール)
  7. 鶏モモ肉の骨も殺傷兵器(コール・オブ・ヒーローズ)
  8. ヨガのポーズで戦える(コンビニ・ウォーズ)
  9. 気まずいときの飯はとりあえずフォンデュ(まともな男)
  10. 一度死ぬとスキルアップできます(フラットライナーズ)
そもそも『ワイスピ8』を観なければと思ったのは、滑ってきた魚雷を「オレに任せろ!!」と押し返すドウェイン・ジョンソンを予告編で見てから。「んなバカな」「ロック様ならさもありなん」のバランスが絶妙すぎるんだもんよ。


2017年映画に学ぶ正しい教訓

  1. アメリカ国防の中枢はドニー・イェンなら潰せる(トリプルX:再起動)
……いや、割と正しいと思ってますが何か?


2017年映画に学ぶ役に立つけど使いどころのない教訓

  1. 宇宙探索するなら滑り止めの効いた靴を履け&ノーヘル厳禁(エイリアン コヴェナント)
  2. カーペットを素足でスリスリすると気持ちいい(ドッグ・イート・ドッグ)
  3. 鈍器と鋭利なものはとにかく使え(アトミック・ブロンド)
これ以来、雨の日などに濡れたフロアでツルっと足が滑ると「ヤベェ、これがコヴェナント号だったら死んでるヤツだ……」と注意するようになりました。


2017年映画に学ぶやってみたいけどやっちゃいけないし第一出来ない技

  1. 通路と座席を使ってゾンビに飛び蹴り(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  2. 立ち塞がる相手を片腕片脚でシメながら上司をお迎えに上がる(コール・オブ・ヒーローズ)
  3. 両膝からバスに乗る(ドラゴン×マッハ!)
  4. 膝スライディング忠誠(バーフバリ 伝説誕生)
  5. 体重をかけて敵の骨を折る(おじいちゃんはデブゴン)
やってみたいけどやっちゃいけないことはすべてツインさん(配給会社)に学びました。


2017年映画グッドデザイン賞

  1. サイレント・メアリー号とクルーの皆様(パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊)
  2. ネオモーフ(エイリアン コヴェナント)
  3. カルヴィン君(ライフ)
ネオモーフ型の涼感抱き枕の商品化は今でも待ってます。カルヴィン君風イカ刺し定食商品化も待ってます。


2017年映画夢のガジェット

  1. サイレント・メアリー号(パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊)
  2. メニー君(スイス・アーミー・マン)
  3. 首刈り馬車/改め牛車(バーフバリ 伝説誕生/バーフバリ 王の凱旋)
前方皆殺しバラーラデーヴァ戦車も、漂流ゼロ円生活に欠かせない万能死体もロマン(仮)がある。
けど、船本体がサメっぽく大口を開くだけじゃなく、熱感知魚雷とほぼ同じように扱えるゾンビザメを内臓しているという点で、Z級サメ映画スピリットに触れたもん勝ちなんだ……!!!

2018年1月3日水曜日

2017年映画極私的ベスト10

2017年=墨・韓・伊・白の伏兵にぶっ飛ばされる。

ランキングの現状におそらく作った本人が一番びっくりしてますよ。
「今年もマーベルは豊作だしなーーしかも前作が面白かった『GotG』の続編と一番お気に入りシリーズの『マイティ・ソー』3作目来るしなーー怪獣映画に振り切った『キングコング』も来るしなーーー何より去年から楽しみにしてた『釜山行き』が来るじゃないか!! うーーんどれがベストに来るかなーーーー」ってわくわくしていたのにいざ年末きたら結果コレですよ。
いや、そりゃ確かに去年だって未体験ゾーンからLet Us Prey(デス・ノート/デッド・ノート)がランクインしましたよ。
それにしたって……ここまで来るとはなーー……。

参照記事一覧
2012年極私的ベスト
2013年極私的ベスト
2014年極私的ベスト
2015年極私的ベスト
2016年極私的ベスト

1位 ダークレイン

ポスタービジュアルが詐欺! 惹句が詐欺! 「ラスト○○分の衝撃」もたぶん詐欺! しかしダマされた結果超幸せな気分に! 
この映画のせいで私は2017年隙あらば『ダークレイン』勧めるマンに変貌してしまった。勧めた相手がコレを好きになるか嫌いになるかは全く分からないが、「はあぁ!!??」と言いたくなるであろうことは確実! 何なら観た人のポカン顔で白飯が食えるかもしれない! 
前作『パラドクス』然り、イサーク・エスバン監督は良くも悪くも「とにかくコレがオレの世界なの! オレのルールで行くの!!」のゴリ押し型なのだが、やはり色々映画観ていると、こういう監督の存在が案外ありがたかったりするんだよなぁ。


2位 新感染 ファイナル・エクスプレス

韓国のゾンビってやっぱりしつこいんだろうなぁ、しぶといんだろうなぁ、やっつけるほうも牛骨とまではいかなくても鈍器使うんだろうなぁ……と、ずっと楽しみにしていた列車ゾンビパンデミック。結果、ゾンビ映画としてはもとより、人間関係の描き方、イライラ、愛情、爽快感、感動、すべてが基準値軽々オーバーの濃厚&超高密度ドラマだった。ただでさえ高い好感度をさらにガン上げた漢気のマ・ドンソクはもとより、徹底した憎まれ役をやり遂げたキム・ウィソンにも拍手ですよ。


3位 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

スーパーパワーを手に入れたらまずATM強盗してヨーグルトとAV買いまくるヒーローvsユーチューバーになりたいヴィランという極狭町内バトル。「これを観ているお前だって、ヒーロー願望があろうとパワーがあろうとこんなもんだぞ」と痛いところを指摘されているようでもあるし、ヒーローではなくヴィランのほうが音楽大好き歌うの大好きという点が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と対になっていて、よりヒーローもののダークホース色が強まっている。


4位 地獄愛

2017年極私的No.1ラブストーリー。ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督のラブストーリーは『変態村』や短編『ワンダフル・ラブ』からブレることなく、どう見ても病んでいる世界の芯にこの上なくピュアな愛が見えてくる。解体する死体を前にしてグロリアが歌い上げるラブソング "Sois Prudent" には、今年のどのミュージカルよりも感動してしまいましたとも。


5位 レゴバットマン ザ・ムービー

イロモノのフリして「バットマンとはどういう奴なのか」の核心を突いてきた、これまたヒーロー映画のダークホース。TV時代から新作映画からあらゆるバットマンを踏まえ、さらにバットマンもヴィランも大好きなファンにとってこの上なくハッピーな結末を用意してくれた。もうバットマンもジョーカーもこのままみんな幸せになってしまえ!!


6位 IT イット/“それ”が見えたら、終わり

主人公たちの子供時代(回想)と大人時代(現在)が交錯する原作を、バッサリ子供時代(前編)と大人時代(後編)に分ける大胆な決定。おかげで暗黒の『グーニーズ』とでもいうべき子供たちの冒険譚にして、ファンタジックな怪物と怪物のように恐ろしい現実を乗り越えていく成長譚となった。そのぶん後編への期待値(と不安値)もガン上がりしたがそれでも楽しみだ! そして頑張れペニーワイズ=ビル・スカルスガルド! ニューラインシネマから出てきた以上、君も立派なフレディ・クルーガーの後輩だ!! 君の強みは動き方や顔の歪み方に滲み出る「厭さ」だ!!


7位 ブレードランナー2049

かつて『ブレードランナー』が提示した「レプリカントと人間にどれほどの違いがあるというのか」という問いに対し、「両者の間に大差はない。それどころか、明確な実体を持たずスイッチひとつで消えてしまうようなAIですら、限りなく人間になり得るのだ」と30年越しの回答を出した続編。「スケールの壮大な“ピノキオ”」と言ってしまえばそれまでだが、ブルーフェアリーのいないピノキオが人間になる道を選んでいく過程はあまりにも切ない。
しかし、「夢のあるディストピア」として描かれていた2019年の世界、30年経っていっそう夢がなくなっていたのはちと残酷だし、しかも現実味があるってね……。


8位 アシュラ

韓流特濃バイオレンスの1つの高み……というより、暴力とゲスのインフレが過ぎて終いには清々しい気分になってくる。主要人物が「全員悪人」ならぬ「全員外道」(しかも全員タイプの異なる外道)なのだが、中でもその頂点に君臨するスーパーサイコパス市長パク・ソンベの存在感たるや。ノーパンで一人立食パーティーを敢行する姿は今年のファン・ジョンミンの極私的ベストアクトです。『哭声 コクソン』のズンドコ祈祷師も信用していいのかよくないのか分からなくて良かったけど。


9位 DARK STAR H.R.ギーガーの世界

木々を鬱蒼と茂らせ、おぞましくも艶かしいアートワークに囲まれて暮らすギーガー。しかし彼はその中で家族やマネージャーたちと和やかな時間を過ごし、愛猫ムギに翻弄され、庭で自作の幽霊列車に乗ってご満悦。現パートナーはもちろんのこと、元パートナーたちも別れたあともアシスタントとして共に働いている。セルティック・フロスト/トリプティコンのトム・G・ウォリアーも秘書としてギーガー宅で働いていたこと(しかも自転車通勤していること)、ギーガーに対する恩義と尊敬の念の強さも本作で初めて知った。
ギーガーとは「黒い星」でありつつ、感受性豊かで穏やかな「太陽」だったのかもしれない。


10位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス

無名のヒーローチームにしろトロマ出身の監督にしろ’60~’70年代選曲なサントラにしろ「まさかコイツが……?」な大活躍を見せてくれた前作。たった1作で映画も音楽ももはや安定の域に達してしまうのだから分からないもんである。
それでも、鮮やかさと毒々しさは紙一重なエゴの惑星や、電流攻撃くらって骨格が透けて見えるなんてベタなマンガ表現を全力でやってしまうところにトロマ魂を感じるよ。
一番ツボだったのは、ソヴリン=自称高貴な人々が、傍から見てどれほど滑稽なもんかという見せ方にモンティ・パイソン魂を感じたこと。

次点(と言いつつ大量):

『ゲット・アウト』(そういう形の「差別」と「侵害」もあるのか……)
『キングコング 髑髏島の巨神』(レジェンダリー怪獣まつり!)
『お嬢さん』(これも変態の皮を被った素晴らしいラブストーリー)
『ネオン・デーモン』(ハリウッド・ナイトメア的『不思議の国のアリス』)
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(神話の世界を80年代エレクトロでぶち壊す英断)
『エイリアン コヴェナント』(聖書やシェリーを引用した深遠な世界の表層でドジっ子クルーの血みどろドタバタ劇場! そしてファスベンダー祭り!)
『ディストピア パンドラの少女』(今年最も美しいゾンビ映画)
『怪談新耳袋Gメン 復活編』(ブリーフマンとスーパーXの不在に懸念はあったが、それを覆いつくさんばかりの佐藤周監督の気合&ふんどし修験者と化した西村喜廣の存在感)
『哭声 コクソン』(恐怖の國村準)

あとこちらも。

2017年リバイバル映画ベスト10

1位 イン・ザ・スープ(in 早稲田松竹)
2位 戦争のはらわた(in シネマカリテ)
3位 ロスト・ハイウェイ(in 角川シネマ新宿/デヴィッド・リンチの映画)
4位 サニー 永遠の仲間たち(in キネカ大森/さよならCJEJ)
5位 バウンド(in シネマート新宿)
6位 マルホランド・ドライブ(in 角川シネマ新宿/デヴィッド・リンチの映画)
7位 スモーク(in 恵比寿ガーデンシネマ&早稲田松竹)
8位 乱(in 恵比寿ガーデンシネマ)
9位 マングラー(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)
10位 ベテラン(in キネカ大森/さよならCJEJ)

2017年未公開映画ベスト10

(レンタル・配信期間の都合上昨年の作品が混ざっています)
1位 デスレース2050
2位 ザ・ベビーシッター
3位 ホテル・インフェルノ2 カテドラル・オブ・ペイン
4位 グッド・ネイバー
5位 KIANU キアヌ
6位 ソムニア 悪夢の少年
7位 Let Me Make You A Martyr
8位 テイキング・オブ・デボラ・ローガン
9位 ヘイヴンハースト
10位 デスノート(Netflix版)

昨年の反省を踏まえて今年はもっと未公開作を追うようにしよう(そしてNetflixの月額をムダにしないようにしよう)と努力……してはみたものの、振り返ればアレやコレの取りこぼしが多々あり。追いつけないよNetflixさん。ましてやドラマはもう追尾不能だよ! 唯一追えてるの『ゴッサム』だけだよ!