2011年11月4日金曜日

ロッキー・ホラー・ショー@川崎クラブチッタ

今宵お集まりのユニークな皆様。

映画『ロッキー・ホラー・ショー』にハマった者たちの夢。それは、映画上映と舞台を同時に行い、観客も仮装してツッコミを入れたり小道具を使ったりするイベントに参加すること!
ロッキー・ホラー・ショーの真髄は、「観客参加型エンターテインメント」にあるのだ。

日本でロッキー・ホラーを体感できる数少ないチャンスが、10月末に川崎で行われるハロウィンイベント。ロッキー・ホラー上映会は、イベント開催当時からずっと続いている企画の1つである。
もちろん、観客は仮装の人が大多数。映画のキャラクターの格好の人もいれば、ハロウィンの流れでモンスターやコミックキャラ仮装のままの人もいる。
こんな出で立ちだからみんな玄人参加者なんだろうな……と思いきや、映画上映前に「初めての人ーー?」と訊かれて手を挙げる人が多数だった。

上映会の司会は、ロッキー・ホラー・ショーファンクラブ会長のBettyさん。ピンク・ルームの手術着フランクの仮装だ。上映会以前に、チッタデッラ広場のプレイベントも一度拝見している。(ちなみに、このプレイベントの「タイムワープ」ダンスも楽しかったし、キャスト陣の仮装のハイクオリティぶりに驚いたものです)

まずは、話題の海外ドラマ『glee』にロッキー・ホラー・ショーをテーマにしたエピソードがあるとのことで、gleeシーズン2のDVD告知。
続いて、12月から始まる舞台版ロッキー・ホラー・ショーの告知。フランクを古田新太さんが演じるあたりが興味大。
このときの告知映像に、リフラフ役にしてロッキー・ホラーの生みの親、リチャード・オブライエンの映像&コメントが映っていた。ロッキー・ホラーファンの神様の思わぬ登場に、場内は一気に拍手と歓声に包まれる。しかし、何より驚いたのは、このお方の容姿が70年代にリフラフを演じていたときからほとんど変わっていないことだった。

さて、告知も終わっていよいよ本題。といっても直ちに上映に移るわけではない。
ロッキー・ホラー上映会初参加となる人々(通称ヴァージン)の第一関門がここ。ヴァージン代表5名がステージに上がり、「誰が一番ヤらしくバナナを食べるか」を競うのである。……率直に言って、今回見た代表5名は、本当にロッキー・ホラーヴァージンか? と訊きたくなるほどハイレベルだった。優勝者に至っては「69」である。
初心者辱めイベントのお次は、初心者に優しい「タイムワープ」ダンスレッスン。この上なく妖しい執事&メイド兄妹リフラフ&マジェンタをはじめ、歌声とタップダンスがキュートなコロンビアらトランスセクシュアル星人たちの登場シーンで使われるダンスである。ファンなら覚えておきたいロッキー・ホラー名物だ。

「タイムワープ」のダンスシーンはこちら↓

こうした壮大な前振りを経て、ようやく映画本番。
ロッキー・ホラー・ショーが一般の映画と一線を画すのは、映画の場面に合わせて観客が小道具を使ったり、一緒に歌ったり、ツッコミ(ボケ?)を叫んだりできることだ。
小道具に関していえば、結婚式の場面では紙吹雪(海外ではライスシャワーだがここでは禁止)。雨の場面では頭に新聞紙(海外では水鉄砲使ってるけどここでは禁止)。我らがカリスマ、フランクの登場の場面ではクラッカーなどなど、パーティー感覚の楽しさである。
観客が何か叫ぶときは、「お約束のレスポンス」と「即興のツッコミ(ボケ)」がある。レスポンスでいえば、例えば平凡なカップルのブラッドに「asshole(バカ)」、ジャネットに「slut(アバズレ)」と叫ぶのが定番。
ツッコミ(ボケ)ができるのは、ある程度熟練のロッキー・ホラージャンキーだろう。しかも、他の人が笑って済まされるほどの適度なユーモアと毒気、それに度胸を必要とするのだから、なかなかに高度な技である。

せっかくなので、インパクトの強かった傑作ボケベスト5を挙げてみたい。
  1. 「ザキヤマーー!!」(犯罪学者の登場シーン。確かにチャールズ・グレイはアンタッチャブルの山崎並みに顔がデカイ)
  2. 「ズバリ、あんたはオカマでしょう!」(フランクの台詞『しかし秘密を発見しました』の直後)
  3. 「店長、万引きです!」(リフラフとマジェンタが、モニターでジャネットの部屋を覗き見する場面)
  4. 「惚れてまうやろーーっ!!」(ジャネットがロッキーの手当てをしてあげる場面)
  5. 「ごっつぁんです」(レーザー銃を持ったリフラフにスコット博士が片手を上げてたじろぐ場面)
スクリーン前でキャラクターを演じるのは、Bettyさん率いるロッキー・ホラー・ショーファンクラブ「LIPS」の皆様。1つのキャラクターにつき演者が複数いたり(マジェンタは3人いた)、誰一人演じてないキャラクターがいたり(スコット博士はフロア・ショーの場面まで不在)、小道具をパイプ椅子で代用していたり(ロッキーの鞍馬の代わり)と、手作り感に溢れている。しかしこのラフでチープな雰囲気が、小さな舞台で上演されていたころのロッキー・ホラー・ショーとダブるようで、不思議と味わいがあるのだから面白い。何より、有志の役者さんが嬉々としてキャラクターになりきっている姿は、「観客参加型」の極みといえる。

なお、密かに面白かったのが、スクリーンの真下で小ネタを見せるキャスト陣。カメラの移動に合わせて両腕を動かし、あたかも自分が画面を操作しているかのように見せる。あるいは物が投げ捨てられる位置に立ち、それにぶつかって倒れるかのように見せる。さらには稲妻の落ちる先に立ち、感電したかのように倒れる。
ラフなようでいて小技が効いている、コアな楽しみ方だった。

最後は再びタイムワープ。やはり、ロッキー・ホラーの魅力を全身でかみしめられるダンスだ。
かくして、「来年もまたやりたい!」という欲求は募り、ロッキー・ホラー中毒はさらに深まるのだった。

おまけ:ハロウィンパレードを牽引する巨大ジャック・オ・ランタン君。

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