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2012年11月20日火曜日

川崎ハロウィン2012

異形スピリット開放デー。

Kawasaki Halloween
2012.10.28. 川崎チッタデッラ


いつもの商店街にこんなのがやってくる!↓

宗教的意味合いはもとより、トリック・オア・トリートも根付かない日本のハロウィン。(根付いたらむしろタカリに来られそうな気がして困るんだけど)
ただ、「今なら普段できないようなカッコして堂々と練り歩いてよーーーし!!!」なノリはそこそこ伝わってるようで。
今年も川崎ハロウィンには、オバケとホラーアイコンとヴィランズとその他もろもろが集いましたよ。

そこ退けそこ退けカボチャが通る。↓

今年のパレードにはアベンジャーズが多いんじゃないかなと踏んでいたのだが、蓋を開けてみれば『ダークナイト・ライジング』効果でバットマンやキャットウーマンが多かった。前作キャラだけどジョーカーもいたし、なかなかサマになっていたのが嬉しい。ただ、『ライジング』のメインキャラたるベインはあまり見なかったような……。あと、昨年も見かけたゴーストライダーや、スパイダーマン、密かに『X-Men』のマグニートーがいましたね。
まぁ、アベンジャーズはコスチュームが大変そうだもんなぁ。1組だけ見かけたけど、なかなかクオリティの高いスーツでした。特にアイアンマン。ハルクの無理やり感も好きですが。

そうそう、クオリティが高いといえば、口裂け女。特殊メイクが本格的で。あれは見て泣いたお子様もいらっしゃるんじゃないでしょうか。だとしたら大成功ですよ。

ホラーアイコン勢では、今年はジェイソンを結構見かけた。やろうと思えば百均のマスクででも手軽にできるからだろうか(もちろん、ホッケーマスクの汚れ具合も本格的ジェイソンのほうが多かったけど)。さすがに間違えてチェーンソー持ってきちゃった人はいなかったから安心。

そのほかのホラーアイコンでは、『ヘルレイザー』のピンヘッド&フィメール、『スクリーム』シリーズのゴーストフェイス(ただし衣装に独自のアレンジあり)が記憶に。『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズがいないのは地味だからだろうか。まさか、知名度が低いからなんて悲しい理由では……。

しかし! マイケル以上に納得いかないのは、エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーの不在!! やっぱりアレですか、火傷メイクがめんどくさいからですか!? 赤緑ボーダーセーターの入手がめんどくさいからですか!? まさか、性格の悪さで嫌われてるんですか!!??

とはいえ、ここに集ってるからには、何も本格的なメイクやコスチュームでなくともいいんです。チープでもいいんです。なんなら、もう何がやりたいのか分からないような出で立ちでもいいんです。
この日は異形が主役、異形で当たり前の日なんだから。


川崎ハロウィンの夜といえば、クラブチッタで開催される『ロッキー・ホラー・ショー』上映会(昨年の模様はこちらから)。
毎年ステージ前での有志パフォーマンスを盛り上げてくれるロッキー・ホラーファンクラブ「LIP'S」の皆様は、今年は『ゴーストバスターズ』のダンスで登場。おまけに、昨年日本版ロッキー・ホラー・ショーミュージカルで演った「Eddie's Teddy」(邦題:どあほのエディ)もパフォーム。
もちろん、上映前にはヴァージン(ロッキー・ホラー・ショー初心者)イジり「誰が一番バナナをヤらしく食べるか」競技も開催。去年も見たけど、バナナパフォーマンスのレベルの高さといい、強いキャラクターといい、ここに上がってくる皆さんはホントにヴァージンなんでしょうか? 

昨年のレポにも書いた通り、『ロッキー・ホラー・ショー』の上映中は、ノリで歓声あげてもよし。映画の内容やキャラクターにツッコミを叫んでもよし。一緒に歌ってもよし。ほとんど暗記したセリフで延々一人芝居しててもよし。「タイムワープ」は一緒に踊ることをお勧めしますが。
とりあえず、ブラッドが出てきたら「asshole(バーカ)!」、ジャネットだったら「slut(アバズレ)!」と言うのが、海外でもおなじみのお約束。

日本語の場合だと、ブラッドがスコット博士を見かけて「スコッティ!」と言うシーンの直前に「ティッシュは何使ってるの?」と叫ぶとか、フランクがスピーチ中に「イエス」という直前に「ズバリ、あんたはオカマでしょう!!」と叫ぶのが定番化しつつある。
また、犯罪学者を演じるチャールズ・グレイの顔の大きさがアンタッチャブル山崎を彷彿とさせるせいか、この人が登場するたびに「ザキヤマーー!!」「おじゃマップ!!」「あざーーっす!!!」と山崎関連のボケが殺到。ディナーのシーンで入った、リフラフとマジェンタが雑にワインを注いでまわるところで「ワイルドだぜぇ?」ってネタは、まぁ貴重な今年限定ものでしょうね。

そういえば、最前列にいたアメリカ人が、逐一お約束のセリフとツッコミを叫んでいたなぁ。あれが全部分かったら、また違う面白さも発見できるんだろうなぁ。
あ、上映終わったらまた「タイムワープ」踊ることもお勧めしますよ。というか、勧めるまでもなく踊る気満々になっていたら嬉しい限りです。
今年一番力入ってたカボチャ。

貞子! ビルの壁は慣れないだろうけど頑張れ!!

2012年1月27日金曜日

モンティ・パイソンのスパマロット@赤坂ACTシアター

聖杯は、みんなの心の中にある! 的な何か。

モンティ・パイソンのスパマロット featuring SPAM
2012.01.15. 赤坂ACTシアター
出演:ユースケ・サンタマリア、池田成志、彩吹真央

英国のバカミュージカルは、いかにして日本のバカミュージカルに変化したか。

実際に舞台を観て気づいたんですが、聖杯探しという一応の本筋は意外とちゃんと残っていたんですね。ブロードウェイ版のサウンドトラック聴いただけじゃ気づかなかったけど。
脱線はしすぎずに、それでいてオリジナルの『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』好きには嬉しい、映画のあのシーンやこのシーンを盛り込んである。TVシリーズ『空飛ぶモンティ・パイソン』ネタも盛り込んである。さらには、オリジナルでパイソンズがやっていた「1人複数役」制度もあり。
元ネタに詳しいパイソニアンも、特に何も知らない方々も楽しめるように作ってあるあたりに、エリック・アイドルの商売上手がうかがえる。モンティ・パイソンにおけるエリックの持ちキャラの名言を借りて言うならば、「このぉ、ちょんちょん!!」である。

大筋は当然本家『スパマロット』と同じだが、ギャグなどの小ネタに関しては、ミュージカルを制作する国のスタイルに委ねられているらしい。
一番分かりやすいところでは、「ブロードウェイじゃユダヤ人がいないと成功できない」と歌う「You Won't Succeed On Broadway」という曲が、「日本じゃ韓流アイドルじゃないと成功できない」がテーマの「コリアンスター」になり、筋肉アピール系の男性アイドルが出てきたり、女性アイドルが少女時代やKARAもどきのダンスを踊っていたりする。
また、第二幕に入ってから出番がない湖の貴婦人の歌「私の出番は?」(原曲『Whatever Happened To My Part?』)の歌詞には、演じる彩吹真央のバックグラウンドを取り入れて「この中で一番歌うまいのに」「宝塚をナメないで」のフレーズが。
しかし、一番「日本のバカ」に貢献していたのは、時事ネタ・劇場を提供してるTBSおちょくりネタ・最底辺レベルのダジャレを含む、役者さんのしゃべくり(アドリブもあったのだろうか?)だろう。

シェイクスピア劇風のグレアム・チャップマンや、ティム"フランク"・カリーに比べると、ユースケさんのアーサー王は威厳もないしカリスマもないし軽いし、史上トップクラスにユルい。トップって確証は全然ないけど。
この人のユルさは結構日本版『スパマロット』にハマると思っていたが、振り返ってみると、ハマるどころかこのミュージカルの中核だった。ヘタレアーサー王の周りを、全編ツッコミ担当の従者パッツィやら、やたらアクの強い円卓の騎士やら、もっとアクの強いサブキャラやらが歌い踊ることで、妙なお笑い化学反応が成立していた。

アクの強さで例に挙げると、グループ魂ファンとしてはつい「港カヲルさん」といいたくなる皆川猿時さん。ベディヴィア卿ほか3役を演じている。「ほか3役のほうが大変そう」とパンフレットのインタビューで語っていたが、実際あるシーンで、付けヒゲが落ちカツラがズレるほどの激しいツッコミ(半ばボケ?)応酬を魅せてくれた。
が、そんな皆川さんをも上回ったのが、ランスロット卿ほか3役の池田成志さん。「ニッの騎士」の延々続く一人芝居といい、宙に浮く「吉田さん」といい、比喩が微妙すぎて伝わりにくい悪口で罵倒するフランス人衛兵といい、ひとたびキャラにスポットがあたると、もうこの人の独壇場。観客ばかりか、うっかりすると同じステージに立っている演者さんたちも笑ってしまうほど。それまでノーマークの役者さんだっただけに、大いなる不意打ちをくらいましたよ。

ここまでくるとすっかり英国色が薄れてしまった気がするけど、この平たい顔で(しかもそれをカバーするほどのメイクもなく)ブリテン人で居続けるのもちょっと無理があるので、これぐらいジャパンナイズされててもいいですよね、エリック?


2011年12月29日木曜日

ロッキー・ホラー・ショー@神奈川芸術劇場

フランク・N・古田新太。

リチャード・オブライエンズ・ロッキー・ホラー・ショー
2011.12.23. 神奈川芸術劇場
出演:古田新太、岡本健一、ROLLY

個人的に軽犯罪とみなしている駄洒落がサブタイトルになってしまったが……
出演者もファンも「フランクン・フルター」と「古田新太」の名前の相似を指摘しているが……
本当にそういう表現が、今回の舞台にはぴったりだったと思う。古田さんは、フランクのキャラクターを完全に自分のものにしていた。映画版『ロッキー・ホラー・ショー』のティム・カリー=フランクそのものとはちがうようでいて、とてもフランクらしかった。

10月末の川崎ハロウィンのロッキー・ホラー上映会では仮装参加者が多数だったが、この日は受付近くでマジェンタを1人見かけただけで、思いのほか仮装がいなかった。当日の寒さを思えば仕方ないのかも。
場内では、メイド服風の衣装を纏ったお姉さんたちが、ポップコーンを売っている。買った人にはもれなく、お姉さんによる「こちらのお客様お買い上げでーす!! ありがとうございまーす!!」という大々的アピールと、周りの人の拍手がついてくる。
上映会のときよりはおとなしめの会場だが、やっぱりロッキー・ホラー特有のどこかぶっ飛んだ雰囲気は保たれているのだ。

ちなみに、神奈川芸術劇場の3階席は、ステージを見下ろすと武道館よりも急に感じる。
高所恐怖症の人はちょっと注意が必要かもしれません。

ロッキー・ホラーの上映会では、スクリーン前で有志のファンたちがキャラクターを演じるのがお約束。小道具があったりなかったり(あってもパイプ椅子で代用だったり)のチープ&ラフ感と、溢れかえるキャラクター愛が魅力だった。

今回は本格的な舞台なので、セットも小道具ももちろんきっちり作られている。舞台背をスクリーン映像で演出するところもある。特に、後半の「物体転送装置」のくだりは、装置のセットが大々的に作られていたため、映画本編よりも筋の通った場面になっていた。

しかし、これだけ大がかりになっても、映画にあったチープ&ラフ感が保たれているのが良い。スクリーン映像のCGはどこか安っぽく描かれているし、ブラッドとジャネットが乗った車も2人がぎゅうぎゅうに詰まるほどの小さい(おそらく1人乗りの電気自動車)。大々的セットと上述した物体転送装置だって、昔のB級SF臭漂うローテク感丸出しデザイン。
B級エンターテインメントに関しては、安っぽさも魅力のうちである。

ところどころカットされたシーンがあったり(冒頭の結婚式シーンや、ロッキーをいじめるリフラフのシーンなど)、新しく付け加えられたシーンがあったりはしたものの、流れの妨げにはなっていないし、新しい演出を楽しめる余裕すらある。
当然、最大の魅力である音楽はカットされることなく順番通り。Rollyさん(エディ役で出演。エルヴィス風の出で立ちがアホかつ愛らしい)による和訳歌詞が、ぶっ飛んでいたり空耳っぽかったり、ロックファンがニヤリとする小ネタを挟んでいたりとこれまた楽しい。

最大の焦点はキャスト。全員キャラクター像を新しく築き上げつつ、オリジナルの「らしさ」はきっちりと踏まえているのだが、このクオリティが想像以上だった。
例えばロッキー。映画と違って喋るキャラクターだが、筋肉アピールと性欲中心に生きているあたりがロッキーたる所以。
個人的お気に入りであるリフラフも、映画より内股でカクカクした動きながら、本来のカッコよさはしっかり魅せてくれる(元祖リフラフ、リチャード・オブライエンはもともとカッコいいのだとこの場を借りて主張したい)。特に、「タイムワープ」でギターをかき鳴らす姿には感動すら覚える。映画版以上にフランクにボコられる姿も、かわいそうなような可笑しいような。
そして、古田新太さんのフランク! リフラフだけじゃなく、コロンビアやジャネットにも容赦なく全力パンチをお見舞いするほどバイオレントだが、そんな横暴ぶりすら素敵に見えてしまうフランクならではの魅力全開。しかも、ときどき可愛らしく見える。冷静に考えたらボンデージに網タイツのおっさんだというのに。(それはティム・カリーも同じか)
キャラクター1人1人に愛着を持ってしまうというロッキー・ホラーの楽しみが、ここでも完璧に再現されたのは、やはり嬉しい限りだ。

お楽しみは舞台本編が終わったあとも続く。
キャスト全員登場のあと、「時間と財力があったらまた観に来て」とフランク古田。しかし、客席を見渡して「時間はあっても財力はなさそうね」と、毒と笑いの一蹴。(でも確かにその通り)
「だったら今日めいっぱい楽しみなさい!」との声に、客席全員が立ちあがる。ロッキー・ホラー・ショーで立ちあがったとしたら、やることは1つ。「タイムワープ」のダンスである! もちろん、川崎ハロウィンで覚えたばかりの私も、座席範囲の許す限り踊りましたとも。
そのあとも、ハンドクラップや雄叫びが飛び交い、ステージ上のダンスは続き、Rollyさんはサックス型ギターで「ジングルベル」を爪弾き……神奈川芸術劇場は、もはやライヴハウスの様相だった。
ようやく現実世界に帰って来たのは、3度のカーテンコールののち、フランク古田がロックスターよろしく口に含んだ水をぷーっと吹き散らしてから退場し、場内アナウンスが流れはじめたときだった。

キャストもスタッフも、ロッキー・ホラー・ショーファンが集って制作したといわれる今回の舞台。
その文句に違わず、キャストの全身から、舞台の隅々から、そして音楽から、ロッキー・ホラー愛がビシバシと伝わってきたのだった。