2019年3月4日月曜日

トム・ヨーク/サスペリア

Don't Burn The Witch.













トム・ヨークが映画音楽を担当する? ジョニー・グリーンウッドじゃなくて?
……という驚きはあった。


ついこの間まで "Burn The Witch" って歌ってた人が、超有名な魔女映画のリメイクの音楽をやるの!?(Radiohead『A Moon Shaped Pool』M1参照)
……という、全くもってどうでもいい驚きもあった。


だが何より嬉しい驚きがあった。
劇中のダンスのイメージから、『Kid A』や『The King Of Limbs』のようなポスト・ロック~アヴァンギャルド路線でもやるのではないかという、漠然とした予想とはだいぶ違っていたのだ。むしろ『Kid A』を経たあとの、シンプルで静かでオーガニックな路線だった。
とりわけメインテーマは『In Rainbows』の "Videotape" のように優しくも物哀しい。
個人的には『キャンディマン』のメインテーマを思い出したものである。


暗黒舞踊曲 "Volk" や、"Belongings Thrown In A River" "The Inevitable Pull" に使われるもう1つのメインテーマは、やはり『サスペリア』の旋律であるからして不吉さをはらむ。その不吉の最骨頂が "Sabbath Incantation" だろう。 
それでも、極力装飾を削ぎ落としたサウンドにしているのは、実験精神に富んだオリジナルのゴブリンのサントラから距離を置こうとしているからにもどことなく思える。


そして最後の嬉しい驚きが、トム自身がボーカルを入れている曲が重要な局面で流れていることである。
こうなると、歌詞内容が少なからず映画とリンクしているのではないかと勘ぐりたくなってしまうのが、ルカ版『サスペリア』にハマった人間のサガというものでして。



以下、本編のネタバレに関する記述あり。
また、私が持っているサントラが輸入盤であるため、以下に記述のある歌詞は自力調べ&対訳なので、正確ではありません。








1.Suspirium


まず、メインテーマたる "Suspirium" がボーカル入りという点でも予想外だったが、歌詞を見ると思い切り本作のマザー・サスピリオルムのことである。


「これは我が身(体)を考えるワルツ」
「私たちの救済に何の意味があるのだろうか」

「全ては上手くいく。今ここで、壁の背後で(他を)見捨てて踊り続けていれば」


ベルリンの壁と対峙しながら、ダンススクールの中でマルコスを中心とし舞踊に生き続ける魔女たち。ここまでは彼女らの生き様だが、最後になると急に視点が変わる。


「私がここに着いたら、あなたが見つけてくれる」
「それとも一員として集団に紛れているの」
「彼女の傍らで孤独を感じてる? 平穏な明日なんて来ない」


まるで、現状を憂いながらもマルコスと肩を並べて留まっているマダム・ブランに宛てた言葉のようだ。この時点で、マルコス体制の現状を良しとしないマザーはブランにシンパシーを抱いていたのかもしれない。



2.Has Ended"


ここで繰り返されている「もう同じ失敗はしない」は、そこだけ聞く限り「マルコスの転移の儀式をパトリシアのときのように失敗はしない」ことのように思えた。だが、他の部分を読んでみると、第二次大戦とファシズムの終焉が描かれているようだ。


「兵士たちが帰ってきた」
「エゴは終わり、大口叩きも消えた」

「踊るパペットの王様のもと、ファシスト達は恥じた」


その一方で、劇中で描かれているように時代はバーダー/マインホフ事件のさなかで、「鏡も電話も、炎に包まれる」。「もう同じ失敗はしないと言いながら」が「鏡と電話」に掛かる語句ならば、この言葉はRAFのステイトメントにも転じる。

だが、その前には「魔女たちは笑い、水は灰色に変わる」ともある。ファシズムが終わりながらも新たな混沌に包まれる世界の中、ただ笑い、水を濁らせていくだけ。
ここで思い出したのが、「なぜ人々は、最悪のときは終わったと思うの?」というスージーの言葉だ。最悪のファシズム時代が終わった後も、バーダー/マインホフはナチス政権の失敗を蘇らせるまいと過激な行動に走った。それと同じように、マザー・サスピリオルムは、世の中と同様魔女の世界も「マルコス体制の失敗を繰り返してはならない」と考えてこの地に降りたのだ。



3.Open Again


この曲はマダム・ブランの歌に思える。マザーの思うところにも通ずるものがあるが、もともと "Open Again" のタイトルでダンスの課題を持ってきたのはブランだ。


「新たな岸辺で私たちは再び息づく」
「洗い流され、私たちは再び生きる」


今のように外界と断絶せず、またリーダーのために犠牲を強いない新たな生き方もあると、ブランは考えていたのではないだろうか。結果、彼女は理想の世界をその目で見ることはなく、現在の魔女たちの世界はマザー・サスピリオルムが大量の血でもって洗い流すことになるのだが。



4.Unmade


これまた劇中屈指の美しいナンバーが、よりによってこの血の浄化のシーンで流れるという最高の使われ方。そしてこれもまたマザーの歌だ。


「小鳥たちよ、私の庇護のもとにおいで」
「不完全な者たちよ、私は誓って何も企んでいない」
「回帰していくものなどない」


遂に姿を現し、旧体制を維持せんとする者たちを粛清し、人柱にされていた少女たちを死をもって解放する。禍々しくも最高に美しいシーンだが、本当に魔女たちはマザーの庇護のもとに行けば幸せなのだろうか。
マルコス支持者は本当に抹殺されなければならなかったのだろうか。
死ぬことすら許されなかった少女たちを解放するには、(彼女らが自ら口にした望みとはいえ)死しかなかったのだろうか。
クレンペラーの愛した人の記憶は消してはならなかったのではなかろうか。
ナチスの残り火を爆弾で消そうとしたマザー・マインホフのように、マザー・サスピリオルムも今後の世界にとって危険性をはらんだままなのだ。


ただ、それでもマザー・サスピリオルムのしていることに希望を見出してしまうのは、あのベルリンの壁に触れたと思しき謎のラストカットのおかげかもしれない。
何せ2019年の今だって、壁によって世界が分断されかねない時代なのだから。

2019年2月14日木曜日

2018年映画極私的もろもろベスト

バカなことほど書いてて楽しいものさ。


いつもこのもろもろベスト記事の前書きにいろいろエクスキューズを書き込んできたけど、それすら面倒くさくなっちゃったなぁ。末期かなぁ。



2018年ベストガール

  1. ライザ&ヴァイオレット&モニカ(アナイリン・マッコード&アリーシャ・ボー&シェイラ・バンド)(68キル)
  2. アネリス(アウラ・ガリド)(コールド・スキン)
  3. 画家ルース(エレナ・レーヴェンソン)(デス・バレット)
  4. マンディ(アンドレア・ライズボロー)(マンディ 地獄のロード・ウォリアー)
  5. ジェン(マチルダ・ルッツ)(REVENGE リベンジ)
  6. ドーン(アンジェリス・ウー)(マンハント)
  7. ジュスティーヌ(ギャランス・マリエ)(RAW 少女のめざめ)
  8. ゴールデン&シルバー(ミハリナ・オルシャンスカ&マルタ・マズレク)(ゆれる人魚)
  9. トラジディ・ガールズ(ブリアナ・ヒルデブランド&アレクサンドラ・シップ)(トラジディ・ガールズ)
  10. オーシャンズ8の皆様
今年は2位の半魚人と8位の人魚以外わりと普通の人間が多いなー……と思ってしまうので、いろいろ麻痺しているのかもしれない。




2018年ベストガイ

  1. ハリー・ディーン・スタントン(LUCKY ラッキー/ツイン・ピークス ザ・リターン)
  2. レッド・ミラー(ニコラス・ケイジ)(マンディ 地獄のロード・ウォリアー)
  3. ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)(イコライザー2)
  4. 新耳袋Gメンの皆様(怪談新耳袋Gメン冒険編 前編・後編)
  5. アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)(ボーダーライン ソルジャーズ・デイ)
  6. ハーマン・ゴットリーブ(バーン・ゴーマン)(パシフィック・リム アップライジング)
  7. 半魚人(ダグ・ジョーンズ)(シェイプ・オブ・ウォーター)
  8. ローランド&ウォルター(イドリス・エルバ&マシュー・マコノヒー)(ダークタワー)
  9. キム・ビョンス(ソル・ギョング)(殺人者の記憶法)
  10. ドウェイン・ジョンソン(ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル/ランペイジ 巨獣大乱闘/スカイスクレイパー)
俳優としてもミュージシャンとしても最高のラストアクトを魅せてくれたハリー・ディーン・スタントンには、やはり例年スペシャルえこひいきのニコさんといえども勝てませんでした。
……と言ってるそばから映画秘宝ではニコさんがベストガイ1位だったけどな!




2018年ベストガール兼ベストガイ

  1. ジャック・ブラック(ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル)
  2. ミシェル・ロドリゲス(レディ・ガイ)
  3. ポール・ラッド(アントマン)
あのときのジャック・ブラックは、見た目いつものままなのに本当に可愛い女子高生にしか見えませんでした。
本来ならルビー・ローズもランクインさせるべきなのかもしれないけど、あの御方はもう役柄がなんであれ殿堂入りの域だし。




2018年ベストカップル

  1. ネガソニック&ユキオ(デッドプール2)
  2. マンディ&レッド(マンディ 地獄のロード・ウォリアー)
  3. レイノルズ&アルマ(ファントム・スレッド)
  4. デレク・チョー&メラニー・クロス(Z Inc. ゼット・インク)
  5. ウィル&サラ・ソーヤー(スカイスクレイパー)
物理的に強いカップルが大半だけど、愛の形が強すぎるor変化球すぎる2位と3位も忘れずに!……っていうか自分がいつもベストカップルに選出する基準としては、むしろこっちのほうが多いんだよ。




2018年ベストド外道

  1. 牧師(ガイ・ピアース)(ブリムストーン)
  2. リチャード&スタン&ディミトリ(ケヴィン・ヤンセンス&ヴァンサン・コロンブ&ギョーム・ブシェド)(REVENGE リベンジ)
  3. グルナー(レイ・スティーブンソン)(コールド・スキン)
  4. 登場人物の大半(ローライフ)
  5. ジェレマイア(ライナス・ローチ)(マンディ 地獄のロード・ウォリアー)
「唾を吐きかけられるのは外道、吐きかけられた唾を進んで舐めるのは訓練された外道だ!」と『SAVAGES 野蛮なやつら』以来考えてるのですが、これにバッチリ当てはまったのが2018年のガイ・ピアースでしたよ。




2018年ベスト名言

  1. 「将来について話し合おう」(ボーダーライン ソルジャーズ・デイ)


2018年ベスト迷言

  1. 「シャークネードと戦うときにはあれこれ考えるな。実行あるのみだ」(シャークネード ラスト・チェーンソー)
  2. 「ポンッ!!」(カメラを止めるな!)
  3. 「カンパイ(メロイックサインしながら)」(ザ・アウトロー)
  4. 「孫文パワーだ!」(怪怪怪怪物!)
  5. 「ダクトテープは何でも直せる」(スカイスクレイパー)
今年は名言が少ない……というより、あったような気もするんだけどあとでメモできるほど記憶していなかったんだよな。そんな中、デル・トロ的進路指導の恐怖が……
そして迷言は「ポンッ!!」の一人勝ちかと思ったら、やはりサメ台風はいろんな意味で強かった。



2018年ベストソング

  1. This Is Me(グレイテスト・ショーマン)
  2. Volver, Volver(LUCKY ラッキー)
  3. PBNJ(パティ・ケイク$)
  4. ダー・スメルチーーー!!(霊的ボリシェヴィキ)
  5. Burn(聖なる鹿殺し キリング・オブ・ザ・セイクリッド・ディア)
  6. I Get Overwhelmed(A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー)
  7. 末日鬧鐘(怪怪怪怪物!)
  8. Venom(ヴェノム)
  9. Bye And Bye We're Going To See The King(ザ・ヴォイド)
  10. Monster Mash(ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談)
1位、映画自体はバーナムの人生そのものを紙芝居仕立てのハッタリ劇場にしてたけど、その中心に据えられたこの歌はまぎれもない本物だったよ。





2018年ベストサントラ

  1. ボヘミアン・ラプソディ
  2. パティ・ケイク$
  3. ヘレディタリー 継承
  4. 北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ
  5. グレイテスト・ショーマン
  6. ゆれる人魚
  7. デス・バレット
  8. マンディ 地獄のロード・ウォリアー
  9. キングスマン ゴールデン・サークル
  10. デッドプール2
1位は何と言うかね、もうしょうがないよね。伝説としても極私的好みとしても。と同時に、ライバッハベスト盤みたいな4位も忘れないで欲しいけどな!




2018年ベストオープニングショット

  1. 68キル
  2. RAW 少女のめざめ
  3. デッドプール2
2位の衝撃も3位のウルヴァリンいじりも最高だけど、あの1ショットに主人公の置かれる状況をまとめた1位が最高すぎた。あのオープニングが2018年映画生活の幕開けになった自分も幸せだ。



2018年ベストドレッサー

  1. シガニー・ウィーバー(レディ・ガイ)
  2. ルビー・ローズ(ピッチ・パーフェクト ラストステージ)
  3. 第六天魔王ジョーカー(ニンジャバットマン)
  4. レッド&マンディ(マンディ 地獄のロード・ウォリアー)
  5. オーシャンズ8の皆様
シガニー・ウィーバーのスーツ&タイ姿は、ほぼ同時期公開の『キングスマン』メンバーすらひよっ子に映るレベルの強さでしたよ。あと4位の『マンディ』は映画終わると同時に44ラグランTを買ってしまったもので。



2018年ベストここはオレに任せて先に行け

  1. ファン・テスル(ユ・ヘジン)(タクシー運転手 約束は海を越えて)
  2. ジェイク・ローソン(ジェラルド・バトラー)(ジオストーム)
  3. ネブラスカ・ウィリアムズ(トレヴァンテ・ローズ)(ザ・プレデター)
  4. アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)(ボーダーライン ソルジャーズ・デイ)
  5. トシ(マシ・オカ)(MEG ザ・モンスター)
タクシーマッドマックスで、韓国曲者バイプレイヤーで、ここまでグッとくるとはなぁ。
そしてこの面子の中、2位のジェラルド・バトラーだけ「任せといても余裕で大丈夫」度合いが半端ない。



2018年映画に学ぶ間違った教訓

  1. シラットが使えれば宇宙人が攻めてきても勝てる(スカイライン 奪還)
  2. クライマックスにおけるステイサムの有言実行(MEG ザ・モンスター)
  3. 五城は合体する(ニンジャバットマン)
  4. 肋骨は1本折れてもまだ○本ある(ピーター・ラビット)
  5. ピンチのときにこそヴァンダミング開脚はできる(パディントン2)
シラットに関しては、「敵に囲まれまくっても大丈夫」(『ザ・レイド』シリーズ)と、「記憶喪失になってもシラットさえあれば大丈夫」(ヘッドショット)という教訓も得てきました。



2018年映画に学ぶ正しいけど使いどころのない教訓

  1. 坐骨神経に傷をつけてガソリン液をかけると死ぬほど痛い(デス・ウィッシュ)
  2. 頭部に確実にダメージを与えるには硬いものを口に噛ませること(レザーフェイス 悪魔のいけにえ&孤狼の血)
  3. スイカ以外を対象にスイカ割りするとヤバい(SPL 狼たちの処刑台)
  4. ダクトテープ万能説の証明(スカイスクレイパー)
  5. 腹ふり党≒夏フェス(パンク侍、斬られて候)
使いどころのない教訓は痛い話が多いな……




2018年映画夢のガジェット

  1. オルゴール指輪(デス・バレット)
  2. クリーパーさんの魔改造車(リターン・オブ・ジーパーズ・クリーパーズ ジーパーズ・クリーパーズ3)
  3. メモリ11まであるマーシャル・アンプ(スパイナル・タップ)
  4. トレホさん操縦のロボ(アイアン・スクワッド 鋼鉄戦線)
  5. ロボオ(ハード・コア)
カッテ&フォルツァーニは、『The Strange Colours Of Your Body's Tears』の「不協和音の流れる透明なガラス盤のレコード」みたいに絶妙に美しく退廃的なアイテムをよく作り出しますよね。
2位の魔改造車は対盗難・車上荒らしのセキュリティが抜群だけど、運転してる本人が引っかかるリスクもあります。





2018年映画に学ぶ「物理」学

  1. 異常気象を止める(物理)(ジオストーム)
  2. キューピッドの恋矢(物理)(マガディーラ 勇者転生)
  3. アクマカンコウサッポウ(死霊館のシスター)
ちなみに、実際の物理の勉強は、高校で常に赤点ギリギリのレベルでした。

2019年1月13日日曜日

2018年映画極私的ベスト10

2018年=スクリーンが現実を侵食する。

3DやIMAXとはまた違った意味で、スクリーンの中の世界が客席へあふれてくる作品に恵まれた1年でしたよ。もっとも、あふれてくる世界が「恐怖」っていうのが多いんだけど。


1位 霊的ボリシェヴィキ
あの『リング』でさえまだ親切だったと思える。「向こう側」と「こちら側」がブラウン管TVという敷居で区切られていて、さらに向こう側からくる何かが「貞子」という具体的な形を取っていたのだから。「向こう側」「こちら側」の境界が曖昧向こうから何がやってくるのかも曖昧というよく分からない不安感は、瞬く間に客席をも呑み込んでいったのでした。ダーー・スメルチーーーー!!


2位 恐怖の報酬 完全版(ウィリアム・フリードキン)
果たして日本初公開だからって新作扱いでいいのだろうかと迷ったが、上半期の時点で同じく日本劇場初公開の『スパイナル・タップ』をベスト10に入れていたから今更だよな……と新作ベスト扱いに。
映画が終わって退席するころには「疲れた……」の声が客席のあちこちから聞こえてきたものだが、悪路でニトログリセリンを運搬するプレッシャーを観客がスクリーン内と共有するのだから無理もない。それだけでもいっぱいいっぱいなのに、爆弾テロの生々しさ、突然の自殺、幸せじゃない結婚式など「厭」が所かまわず敷き詰められている。フリードキンの鬼スピリットを浴び続ける2時間だよ。


3位 カメラを止めるな!
数多あるポンコツゾンビ映画をキライになれない理由はこういうことかもしれない……と思わされる。当事者には災厄と混乱のオンパレードだが、その中で生まれた映画作りの理想的ともいえる姿には爽やかさと感動すら残るのである。しかしまさかここまで世界を席巻する「ポンデミック」になろうとは……。


4位 怪談新耳袋Gメン冒険編 前編・後編
今回のミッションは本当に体力ゲージの上でもハードモードで、日ごろ運動不足マンには心底しんどい。走り屋の車がビュンビュン通る山道を歩き、岬で心霊リレートンネル1kmウォーキングガチ登山……そのストイックさが笑いと紙一重という新Gメンのスタイルが今回で確立されたように思える。
そんな中、崖下から這い上がってきた田野辺さん「ぶるんぶるん」に続く名調子を生み出した今宮さんの帰還など名シーンには事欠かないが、恐怖より缶チューハイを優先し霊安室で爆睡した西村監督がやはりMVP。


5位 ブリグズビー・ベア
『カメラを止めるな!』とは違った形の映画作りの理想形であり、『ヘイトフル・エイト』とは異なる魅せ方のフィクションの力を信じたくなる作品。何より作品づくりの楽しさの一番純粋なところを抽出しているから幸せだ。たとえ歪んだ形で作られた映画であっても、それが心に響き血肉に染み込んでいる人間のことまでも否定することはできない。そしてマーク・ハミルの貢献を称える映画


6位 ヘレディタリー 継承
完璧にして甘美な地獄。今までこうだと思っていた家族の姿や自分の世界にヒビが入っていく様子や、最悪な出来事が降りかかる瞬間は、考えうる限り一番厭な形で描かれる。着地点は実はさほど目新しいものではないのだけれど、そこまでに積み重ねた「厭」の勝利です。あと、崩壊していくトニ・コレットや、そこに佇むだけで不思議な空気を醸し出すミリー・シャピロなど、顔の力の勝利でもある。


7位 RAW 少女のめざめ
人肉食という異様で病んだ形で描かれてはいるが、実は真髄はピュアで普遍的な思春期もの。また、カニバリズムを介して姉妹愛や性愛が結びつく様子が、「愛する人に生きたまま食べられることは究極の愛の形態」というマンソン師匠の言葉を体現しているよう。そして、『変態村』『地獄愛』で暴投すぎる愛を受け止め続けてきたローラン・リュカが父親役であることにも大きな意味がありました。


8位 ゆれる人魚
こちらも体の変化を迎えた少女=人間になりたい人魚とした、思春期をファンタジーホラーとして描いたもの。王子ってアホな上にヒドいよな、人魚姫は優しすぎるよな、何かこう溜飲を下げる道が欲しいよな……と思った大人のための『人魚姫』でもある。それらを監督自身が経験したポーランドのナイトクラブ・カルチャーやミュージカルでくるんだ不思議テイスト。


9位 スパイナル・タップ
本当は88年の映画だけど、日本初劇場公開なので新作扱いにしてしまった。その昔DVDで観たときには、日本語字幕がポンコツすぎるあまり内容が全くアタマに入ってこなかった。その悲劇を乗り越え、どっかで観た覚えありすぎるロックバンドあるあるに数年ぶりに笑うことができた! ストーンヘンジ! マーシャルアンプ! ありがとうキングレコードさん!


10位 マンディ 地獄のロード・ウォリアー
パノス・コスマトス監督のスローで「静」の狂気を放つ極彩色トリップ空間に、一人血まみれでブチ切れる「動」の狂気ニコラス・ケイジという組み合わせが何故か異様に相性良し! マンディのためのレッドの復讐譚でありつつ、監督の前作『Beyond The Black Rainbow』のぶんの復讐も成し遂げられたように思える




次点(たくさん):
『68キル』(ヤバい女とアホまたはサイコな男しか出てこないド底辺バイオレンス!)

『Z Inc. ゼット・インク』(今なら最低な上司をぶっ殺しても正当防衛! こんなウィルスなら感染したいかもしれない爽快な不謹慎!)

『ボヘミアン・ラプソディ』(フレディ・マーキュリーの "伝記" ではなく "伝説" なのです)

『殺人者の記憶法』(アルツハイマーの元殺人鬼vs現役殺人鬼! 安定の韓国特濃暴力)

『ニンジャバットマン』(無茶苦茶をやるなら徹底的にやれという見本です)

『デス・バレット』(青い海と陽光が美しいのに荒涼としている、ネオ・ジャーロとウエスタンの合体)

『怪怪怪怪物!』(監禁されるのがいたいけな少女ではなく人食いの怪物でも人間は怪物と化してしまうという、スクールカースト交えの『隣の家の少女』)

『パディントン2』(可愛いクマさんの絵本物語を難民の物語に置き換えて描くなど、誰が想像できただろうか……)

『北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ』(北朝鮮でライバッハという何が生まれるか分からない劇薬化学反応かと思いきや、社会主義を生き延びたライバッハの柔軟さを見せられました。あと北朝鮮の通訳さんが苦労性)

『ファミリー☆ウォーズ』(口やかましい家族至上主義を筆頭に登場人物全員クズ! クズ同士のぶつかり合いつぶし合いがアブない&痛快!)



2018年裏ベスト

1位 シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2018予告編

直接動画を貼れなかったのでリンクはこちら
千葉繁さんのハイテンションナレーションにすごく元気もらえるので、ヒューマントラスト渋谷のロビーで流れてたらメンタル充電のために観にいったぐらい。




2018年リバイバル映画ベスト10


1位 エルム街の悪夢(in TOHOシネマズ六本木ヒルズ/東京国際映画祭オールナイト 金曜洋画劇場)
2位 ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(in 立川シネマシティ)
3位 爆裂都市 BURST CITY(in Zepp Divercity&キネカ大森)
4位 ロボコップ(in TOHOシネマズ六本木ヒルズ/東京国際映画祭オールナイト 金曜洋画劇場)
5位 ブルース・ブラザーズ2000(in 立川シネマシティ)
6位 リターン・オブ・ザ・キラートマト(in シネマカリテ/カリコレ2018)
7位 バタリアン(in 国立映画アーカイブ/現代アメリカ映画選集)
8位 ラスト・アクション・ヒーロー(in 新文芸座)
9位 キャプテン・スーパーマーケット 死霊のはらわたⅢ(in 国立映画アーカイブ/現代アメリカ映画選集)
10位 ミッドナイトクロス(in シネマート新宿/のむコレ)

私、その昔『エルム街の悪夢』を劇場で観賞するを見たことがあるのですが、そこで上映されてた素材はなぜかあちこちカットされまくっていて、フレディの見せ場まで減っているという最悪なシロモノでした。今回はまぎれもない現実に、完全な状態&オールナイトの一番眠くなるはずの時間帯という完璧なシチュエーションでホンモノを観る事ができて、まさに夢のような体験ですよ。


2018年未公開映画ベスト5
1位 ミッドナイト・スペシャル
2位 マザー!
3位 ヒットマンズ・ボディガード
4位 軽い男じゃないのよ
5位 XX

もしかすると一昨年配信の作品も含まれているかもしれませんが。『ミッドナイト・スペシャル』は『テイク・シェルター』と二本立てで上映してもいいんじゃないかと思うよ。



2018年ドラマベスト3
1位 ツイン・ピークス ザ・リターン
2位 ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス
3位 マインドハンター
4位 ストレンジャー・シングス
5位 SICK NOTE

せっかく加入しているし(値上げもしたし)Netflix料金をムダにしたくないので色々観るようにしました。と言いつつ1位は(今のところ)配信でないドラマなんだけど……コレはもう仕方ないよ! リンチが本気出したんだもの!!

2018年10月5日金曜日

未体験ゾーンの映画たち2018

暴力! オバケ! サスペンス! トレホ!

未体験ゾーンの映画たち2018
ヒューマントラストシネマ渋谷 2018.1.6~2018.4.6

こっちも今頃アップに至ったという遅刻も遅刻で。もう来年のラインナップどうなるのかと考えなきゃならない時期だというのに。

『チアーズ!』という変化球がやってきた去年に対し、今年はいつものド直球に立ち返った気がします。


屍に会える映画館、ヒュートラ渋谷。
(ラドクリフ出演作つながりで出張中だったそうです)

未体験ゾーンの映画たち2018極私的ベスト10


1位 68キル

主人公の置かれた(そしてこれから置かれる)状況を端的かつ的確に表したオープニングショットから、この映画はスゲェ! と思わせてくれる。
6万8千ドルという、大金と呼ぶには微妙な大金のために血が流れまくるド底辺社会バイオレンス! しかも出てくる女がみんなコワくてぶっ飛んでて可愛い!! アホな男とヤバい女しか出てこないという点では『スガラムルディの魔女』を思い出すけど、舞台がアメリカのトレーラーハウス貧乏になると圧倒的に泥臭いです。


2位 Z Inc. ゼット・インク

Zと銘打ってはいるがゾンビに非ず。むしろゾンビは嫌でもこのウィルスになら感染したい! って人は多いんじゃないでしょうか!? 
主人公が非感染者のサバイバーではなくバリバリの感染者で、「よーーし感染と隔離が続いている間にオレをクビにした上司どもを血祭りにあげてやるぜゴラァァァ!!」という倫理的には間違っているがボンクラ的には大変正しいやる気に溢れているのが新しい。オフィス用品や工具を駆使したファイトといい、ヒロインの音楽趣味といい、不謹慎な爽快感を味わえます。


3位 ザ・ヴォイド

外にはカルト教団、中からはグジョグジョウネウネしたモンスター、挙句の果てには『ヘル・レイザー』か『ヘルケバブ』かというような地獄がオープン。洗練とグシャドロのイイとこどりをした(観てるぶんには)楽しい悪夢です。なんならもっとゴアやモンスターを暗がりじゃないところで見せてほしいくらい。
ところで、エンドクレジットに流れる「バイバイ、オレたち王様に会いに行くよ」で、彼らがあちらの世界で対面したアレは、『ヘルレイザー2』の地獄の果てに出てくるアレではないのだろうかと思ったのですが……


4位 トラジディ・ガールズ

自分たちで人死にに至る事件を起こしておきながら「この悲劇を忘れないために……」とSNSにその事件を投稿する女子高生コンビ。さすがアメコミ界ではネガソニックちゃん(ブリアナ・ヒルデブランド)とストームちゃん(アレクサンドラ・シップ)なだけにキャラの強さが。
SNSの病巣にしっぺ返しを食らわせたいのだろうかと思いきや、実際は彼女らに寄り添いまくった作品。随所に散りばめられたホラー映画ネタ(たまにチープだけど)に爆笑。「高校時代なぞくそくらえ」「でも友情は最強」なラストも、不謹慎なクセに爽快。


5位 アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー! な大騒動になった件

監督・脚本・製作・出演勢は一緒だけど実際はヒャッハー! シリーズではない。しかしバカの規模は負けず劣らず。何故このタイミングで、この人に、このネタをやらせた!? な超絶くだらない最低な(褒めてます)映画パロディも満載。
ちなみにコレ、観たら分かるけどヴァン・ダム映画でもありますよ。特に、ヘリコプターキックを真似して物理的または社会的に失敗したことある人のためのヴァン・ダム映画。
逆に、愛犬家と愛猫家には激怒必至のところも……


6位 アンデッド刑事 野獣捜査線

初っ端からコリィ・テイラーが悪ふざけ感満載で現れ、監督を務めるショーン・クラハンもマスクで顔を隠しつつ悪ノリし、さらに実はクリスシドも出ていて……というスリップノット的贅沢映画。カンフー使いの禅マスターとかマシンガンシスターとかオモシロ悪役キャラが多いのはいいが、ダウン巡査不死身の秘密のくだりでシリアスドラマが長引きテンポが悪くなるのが課題点。
たぶん今回のショーンのベストワークは、「オ・フィ・サーダウーーン♪ ダ・ダ・ダ・ダウーーン♪ ダ・ダ・ダ・ダウーーーーン♪♪」っていうバカっぽくて妙に覚えちゃうエンディングテーマの作曲です。


7位 ミッシング・チャイルド 呪いの十字架

幽霊ものではあるのだが、恐怖よりも喪失感が常につきまとう。主人公の精神科医は息子が3年前に失踪したきりだし、同時並行で語られる民宿設備中の夫婦と友人のエピソードでは妻が死産と、親が子供を失う哀しみが共通している。アイスランドの地の荒涼として寒々しい空気と呼応したホラーだ。
まぁもちろん幽霊は出てくるし、その流れで死ぬのって結構ヤだなとも思わせてくれます。


8位 ドント・イット

話題作に便乗しすぎた結果「よーーーしお前ら中学校の英文法からやり直せ!!」と暴言赤ペン先生が爆誕する邦題になってしまった(原題『A Dark Song』)。しかし中身は、呪術儀式の手間ヒマと面倒くささをていねいに積み重ね、さらにびっくらかしに一切頼らず怪現象を描くとってもマジメなホラーだった。
主人公とともに儀式を進める呪術師が、とても呪術を使えるとは思えない坊主・小太り・モサモサ髭と三拍子そろった下町訛りのおっさんというのもスリリング。このおっさんとの共同生活に、徐々に人ならざる何かが侵入してくる様が地味ながら良い。ただ、遂に開かれた地獄の門戸の果てに現れるアイツは、笑っちゃいかんのだけど笑える一歩手前なのよ……。


9位 (r)adius ラディウス

半径15m以内に入った生命体が皆死んでしまう男と、男の15m以内に入っても死なないし彼と一緒にいる限り死の影響が他に及ばない女。何故こうなったのか知りたくとも、2人とも自分が何者なのかさえ覚えていない! もちろんこの状況には理由があるのだが、重要なのは「何故こうなった?」ではなく「2人は何者で、一体何をしていたのか?」……という不思議なSF。最後の彼の決断は、ちょっと『トータル・リコール』っぽくも感じる。


10位 ザ・ボルト

謎の地下金庫を巡って銀行強盗立て篭もりスリラー……と思いきや。こういう裏切りは大歓迎です。でも考えてみればこの銀行、強盗にとっては災厄を招くし、そこで働いてる人も件の地下に行かなければセーフだし、ある意味万全のセキュリティを誇ると言っていいのでは?
ちなみに、『エイリアン コヴェナント』での扱いがアレだったジェームズ・フランコの巻き返し映画でもあります。




未体験ゾーンの映画たち2018極私的裏ベスト(ワーストに非ず)


1位 ゾンビ・レックス ~殺人ゾンビ恐竜 誕生~

私事ですが、以前「ゾンビ化した恐竜の映画ってないのかね?」という与太話をしてたことがあります。それがホントに存在していたからビックリです。
しかし恐竜がそんなにゾンビゾンビしてねぇ! というか、さぞかしCG丸出しなのだろうと思っていたら、たまーーに着ぐるみやパペットになっている! ゾンビレックスに追われる軍人&学生チームは素人目にも分かるほど素人演技! そして黒幕はぬるま湯で薄めに薄めたイモータン・ジョー風マッド・サイエンティスト!
いや、想像以上にグラインドハウスでした。


2位 アイアン・スクワッド/鋼鉄戦線

こちらもまた想像以上にガチなグラインドハウス映画。クオリティはいろいろアレだけど、フアレスの麻薬王たるトレホさんがロボットに乗って「フアレスもメキシコもオレが制覇したるわ!!」と(自分ちの敷地内で)大暴れしてくれるから憎めない。最後までテンション高く付き合ってくださってありがとうございます、親爺さん。


3位 ダブル/フェイス

「ニコラス・ケイジ、二人の女の罠に嵌る」との惹句だったが、本当は「ニコラス・ケイジ、ほぼほぼ蚊帳の外」。だいたいジーナ・ガーション(『フェイス/オフ』以来のニコさんとのカップル設定)が1人で頑張ってます。
しかし、メンタルに問題ありとはいえ、犯人の動機となる「あんなことするの良い母親じゃない!」の発想力は、全世界の働くお母さんを敵に回すと思うよ。



未体験ゾーンの映画たち2018極私的ベストガイ

1位 ライザ&ヴァイオレット&モニカ(68キル)
2位 トラジディ・ガールズ(トラジディ・ガールズ)
3位 頬に傷のあるバーン・ゴーマン(ウォーキング・ウィズ・エネミー)
4位 デレク・チョー&メラニー・クロス(Z Inc.)
5位 トレホさん(アイアン・スクワッド 鋼鉄戦線)
6位 スリップノットの皆さん(アンデッド刑事 野獣捜査線)
7位 呪術師のおっさん(ドント・イット)
8位 ジョン・バーンサル(スウィート・ヘル)
9位 マ・ドンソクさん(アンダードッグ 二人の男)
10位 ジェームズ・フランコ(ザ・ボルト)


なお、今年の未体験ゾーンにはゆるキャラが誕生してました。
MTV的なMTKパーカを着ているのがミチルダちゃん
縫い目があるのがミタイケンシュタインだそうです。
果たして彼女らは来年も存在しているのか(失礼)……

未体験ゾーンの映画たち2017

「未体験」の概念はそれだけじゃないぞ。

未体験ゾーンの映画たち2017
2017.01.04.~2017.04.01. ヒューマントラストシネマ渋谷

まさか1年越しで投稿することになろうとはなー……自分がサボっただけのこととはいえ。



「もしも来年以降、配給会社さんが思い切ってファンタジー/ファミリー作品を送り込んだとしたら、未体験ゾーンの客層にも変化があるのだろうか? うーん、どう転ぶか分からないけど、そんな試みがあったらまた面白いだろうなぁ。」
……なんて2015年の未体験ゾーン記事で書いていたら、まさかの試みがやってきてたのですよ!!



未体験ゾーンの映画たち2017極私的ベスト10



1位 ダークレイン

正直に言って詐欺案件だ! ポスタービジュアルが詐欺ってのはよくあることだが、惹句も詐欺だし「ラスト何分の衝撃」ってのも詐欺! だがこんなに引っかかって嬉しい詐欺はなかなかないぞ!!
いや、さすが去年の未体験ゾーンの『パラドクス』の監督作。ウィルス感染でもなくゾンビ化でもなく○○○○○と化していく恐怖って……というか恐怖のはずなんだけどコレは笑うわ。ぶっちゃけ劇場で笑い起きたし。世にも奇妙な物語というか、未体験ゾーン改めトワイライトゾーンな映画でした。


2位 グースバンプス モンスターと秘密の書

逃げ出したモンスターを捕まえるというネタが『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』と被ってしまったのがイタいが、主人公サイドが魔法使いでも何でもないし特技もない、むしろダメ人間寄りなのがイイ。
何より本作に愛しさを覚えるのは、モンスターがもとはといえばボンクラの恨み言であり、その恨み言に対するしっぺ返しが脱走騒動であり、恨み言ばかりで引きこもっている場合じゃないぞ! という発破でもある点だ。


3位 チアーズ!

今回の「まさか」がコレ。「ソフトスルー予定だった映画を劇場で観られるチャンス」ではなく、「いつも未体験ゾーンに来ている君たちが未体験であろう映画のリバイバル」という新しい試み。旧作上映といえば2015年の『ネクロマンティック』もあるけど、そういう激ヤバカルト作なら知ってる/興味ある/観たことある人多そうだし。
チアリーダーといえば、未体験ゾーン常連的には「ホラー映画じゃ早めに死ぬヤな女筆頭」だが、ホントにマジメにチアリーディングをやっている女子たちは高い身体能力でもって怪我と隣り合わせで真摯に向き合っているし、ライバルチーム同士認め合っているのだ。ましてやそこに前向きさや明るさを備えていたら最強だ。うーーむちょっと心臓が痛くもなってくるが、我々とは(おそらく)最も程遠い青春観をぐっと引き寄せて見せてくれた『アントマン』のペイトン・リード監督、ありがとう


4位 エンド・オブ・トンネル

「もしも『暗くなるまで待って』のヘップバーンが座頭市だったら」が『ドント・ブリーズ』なら、「もしも『裏窓』のジェームズ・スチュアートがジョニー・ノックスヴィルだったら」ぐらいの無茶と冒険をやってくれるのが本作。というか主人公のホアキンさん
「立てば腕力(脚は不自由だから)、座ればエンジニア、喋る姿はクリストフ・ヴァルツ」な活躍は、少々話の先が読めても応援したくなってしまうし、計画に破綻が生じた際のどエラい辻褄あわせすら痛快ですよ。


5位 フリークス・シティ

この映画が作られたの2015年!? とびっくりするぐらい、2016年11月~2017年2月現在のアメリカの状況、ひいては世界の状況にぴったりな作品。いや、むしろここで描かれているような状況は前々から存在していて、ここ3ヶ月で急速に浮き彫りになったのかも。でもそれにしたって、アイツにキャラクターがそっくりなアイツがいるってのが恐ろしいわ。
ヴァンパイアと人間とゾンビのカースト社会というバカ映画の皮を被っているけど、世界中に見てほしい映画だよ。複線回収だって「えっ、それ複線だったの!? そんでわざわざ今回収すんの!? バカなの!? 天才なの!?」ってぐらい痛快だよ。


6位 FOUND.ファウンド

兄弟の奇妙な絆がかつてないほど残虐なスラッシャーホラーを生んだ。ラストカットの絶望感からは立ち直れない人も出たほど。
しかし何が一番キツいって、クローゼットに生首を隠し持つお兄ちゃんが、部屋に『ニンジャリアン』や『吐きだめの悪魔』やアイアン・メイデンやヴェノムのポスター貼ってて、『ヘル・レイザー』のビデオ持ってて……つまり、本作のようなスラッシャーホラーを好んでみる客層のメンタリティと地続きなこと。
「ホラー好きは猟奇犯罪を誘発する」は短絡的な発想だ。だが、もし一人のホラー好きが人種差別思想に影響を受けていたら? 理解ある友として誰かを溺愛していたら? 誰が/どのように/何がきっかけで怪物になるのかは不明瞭だ。それも余計に後味を悪くしている。


7位 真夜中のパリでヒャッハー!

昨年公開の『世界の果てまでヒャッハー!』の前日譚……というか本当はこっちが先に作られたファウンド・フッテージ・バカ
パリの一区画とブラジルリゾート地という舞台規模の差こそあれど、主人公フランクがあの規格外バカすぎる友達2人と一緒にいる限り十分にドタバタ下ネタコメディ達成。周囲への破壊行為と迷惑行為を省みず、このまま舞台を変えつつヒャッハーシリーズを続けていただきたい。
なお、極私的ベストネタは、リアルマリオカートをやりたいがためだけに張られた伏線です。


8位 GAME WARRIORS エバーモアの戦い

LARP、TRPG好きのみならず、メタル愛好家にも嬉しい映画。あとピーター・ディンクレイジの兄貴ファンにも嬉しい。
「いつまでも中世ファンタジーだのゲームだのに逃げてんじゃない! 大人になれ! 本気で戦え!」と言ってくるのかと思いきや、最終的にはそれでもオレはボンクラで頑張る! ボンクラパワーで戦う! ボンクラパワー最強!! ……という夢溢れる着地点でしたよ。


9位 ホーンテッド・サイト

事故物件の中から事故部屋をもぎとっては繋げもぎとっては繋げ、究極のハイパーお化け屋敷作るぜヒャッハーー!! なノリのつもりで観たら、思いのほかマジメな作りだった。肝心のお化けがモヤって出現してるだけなのはちと地味に映るが、屋敷に囚われている限りひたすら同じ悲劇の瞬間を繰り返さなければならないというのは物悲しいし、その場にいたら気がおかしくなりそう。(ほら、特にアメリカンお化けって、殴ったり突き飛ばしたりするバイオレント物理攻撃型多いじゃないですか)
ちなみに、主演のジェシカ・ロウンズはここでも可愛いけど、同じバウズマン監督作で残念ながら日本未公開&国内盤ソフト未発売の『The Devil's Carnival』のほうがもっと可愛いと思うんですよ……!


10位 PET 檻の中の乙女

一緒に食事やお喋りをするごく普通のお付き合いに憧れる内気な男が、誘拐・監禁という普通じゃない方法で女と距離を縮めたがる……という筋書きは『コレクター』を彷彿させるが、その上誰も彼もが普通じゃなかったら? 
さらに「自分のすべてを与えるのが愛」「愛とは犠牲」といった陳腐なはずの言葉が極限状況で突き詰められた結果、物語は恋愛版『マーターズ』と化す……! 
はい、この映画を引き合いに出すからにはそれなりに激痛な描写も多く、本編開始直前までガサガサガヤガヤしていた後方の大学生ぐらいの青年たちが、次第に「ひー……」と悲鳴を漏らすようになりました。



ついでに。

2017年未体験ゾーンの映画たち裏ベスト(ワーストに非ず)


1位 シーボーグ


凶悪な半機械エイリアン・シーボーグ(あまり動かない。あるいは動けない)が地球に飛来! 彼女に機械化された人間(鉄板をちょっとくっつけました)が人々を襲う! その前に立ち塞がったのは、カンフーができる(どう観てもプロレスっぽいけど)というガチムチ系女子高生たちだった……
驚くべきことに、2017年1月27という日に『ドクター・ストレンジ』でも『マグニフィセント・セブン』でもなく、色々とアレなコレを観てしまったことを、思ったほど後悔していません。


2位 PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星


『猿の惑星』と『ウォーターワールド』と幾多のZ級サメ映画を足しっぱなしにして、格安居酒屋のサワーと同じくらい薄めに薄めたこの映画を楽しめる人が未体験ゾーンには多い。それが証拠に、作品掲示板に貼り出されたお客さんの感想は「安定のアサイラム」「いつものアサイラム」「安心のアサイラムクオリティ」で埋まっていた……


3位 キックボクサー リジェネレーション


ヴァン・ダムさんが乗った自転車なら必死のランニングで追いかけられるかもしれないし、ヴァン・ダムさんがドカンと座り込んだ台車なら引っ張れるかもしれない! ような気がする。気がするだけ。でもヴァン・ダムさんにおどけてお見送りはされたい。
しかし何に一番驚いたかって、エンドクレジットで流れたあのダンスだよ。オリジナルの『キックボクサー』でヴァン・ダムさんがやったケツアピールダンスと、それを完コピした本作の弟子(アラン・ムウシー)のダンスが一緒に映されるんだよ。
そして今年の未体験ゾーン最大の迷言「ココナツ!」

なお次点は、人間狩りと感染症と物体Xと悪魔崇拝もろもろを盛れるだけ盛って、具体的な材料・調味料を明らかにしないまま「まぁ食え!」と豪快にお盆にのせてきたようなチリ産映画『ダウンヘル』です。


未体験ゾーンの映画たち2017ベストガイ


1位 大家さん(アブノーマル・ウォッチャー)
2位 ホアキンさん(エンド・オブ・トンネル)
3位 ダグレイ・スコット(ゾンビ・サファリパーク)
4位 デヴィッド・プラウズ(I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザー)
5位 R.L.スタイン(ジャック・ブラック)(グースバンプス モンスターと秘密の書)
6位 デロリアンでタイムマシンを作った夫婦(バック・イン・タイム)
7位 ヴァン・ダムさん(キックボクサー リジェネレーション)
8位 ピーター・ディンクレイジ兄貴(GAME WARRIORS エバーモアの戦い)
9位 プール更衣室で豪快なステイサムジャンプをキメた女の子の幽霊(屍憶 SHIOKU)
10位 ジェベダイア・クローンさん(ホーンテッド・サイト)

役名と役者名が混在しております。


最後に自慢させてください。
未体験ゾーンに通いつめて4年目、ようやく達成しちまいました。
観賞30本で海外版チラシ30枚。

2018年6月15日金曜日

2017年映画極私的もろもろベスト

題して「バカなほうのベスト」。

……2017年が終わってから半年経過しちゃってまで書くような記事なのかって?
もちろん書くまでの記事なんかじゃないさ!!! 超本人が言うのも難だけどな!!

参考記事:
2013年極私的映画もろもろベスト
2014年極私的映画もろもろベスト
2015年極私的映画もろもろベスト
2016年極私的映画もろもろベスト


2017年映画ベストガール


  1. ルビー・ローズ(トリプルX:再起動/ジョン・ウィック チャプター2)
  2. シウハーちゃん(リン・ミンチェン)(霊幻道士 こちらキョンシー退治局)
  3. ジェーン・ドウ(オルウェン・ケリー)(ジェーン・ドウの解剖)
  4. ラヴ(シルヴィア・フークス)(ブレードランナー2049)
  5. アマネット王女(ソフィア・ブテラ)(ザ・マミー 呪われた砂漠の王女)
  6. ロレーン(シャーリーズ・セロン)(アトミック・ブロンド)
  7. ワンダーウーマン(ガル・ガドット)(ワンダーウーマン/ジャスティス・リーグ)
  8. サーちゃん(Unda Kunteera Yhordchanng)(ドラゴン×マッハ!)
  9. ミシェル(イザベル・ユペール)(ELLE)
  10. コリーンズ(リリー・ローズ・デップ&ハーレイ・クイン・スミス)(コンビニ・ウォーズ バイトJK vs ミニナチ軍団)

どうしてもこのところベストガールの1位は「ガール」を超越した存在になるな。いやそれより問題は2位と3位が(厳密には5位も)実質死体ってとこか。でもシウハーちゃんは付きまとわれたいキョンシー第1位じゃないかと思うの。



2017年映画ベストガイ


  1. ゲイリー・フォークナー(ニコラス・ケイジ)(オレの獲物はビンラディン)
  2. サラザール船長(ハビエル・バルデム)(パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊)
  3. 大家さん(ネヴィル・アーカムボールト)(アブノーマル・ウォッチャー)
  4. ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)(IT イット/”それ”が見えたら、終わり。)
  5. 獄長(マックス・チャン)(ドラゴン×マッハ!)
  6. 新耳袋Gメンの皆さん(怪談新耳袋Gメン復活編)
  7. ホアキン(レオナルド・スバラーリャ)(エンド・オブ・トンネル)
  8. ジミー(シャールト・コプリー)(ハードコア)
  9. デヴィッド/ウォルター(マイケル・ファスベンダー)(エイリアン コヴェナント)
  10. デヴィッド・プラウズ(I AM YOUR FATHER)

何だかんだで今年はベストガールもベストガイも10人ずつになってしまった豊作の年(?)。濃い奴ほど上位に行きやすい本ベストだが、今年しつこく言っているように2位のハビエル・バルデムは「バルデムさん史上No.1の美人」だから上位なんだよ本気だよ。



2017年映画ベストカップル


  1. グロリア&ミシェル(地獄愛)
  2. スッキ&秀子(お嬢さん)
  3. エンツォ&アレッシア(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  4. ロレーン&デルフィーヌ(アトミック・ブロンド)
  5. ダイアナ&スティーブ・トレバー(ワンダーウーマン)
  6. イップ・マン&チュン・ウィンシン(イップ・マン 継承)
  7. ゲイリー・フォークナー&マーシ・ミッチェル(オレの獲物はビンラディン)
  8. サンファ&ソンギョン(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  9. K&ジョイ(ブレードランナー2049)
  10. バットマン&ジョーカー(レゴバットマン ザ・ムービー)
10位はカップルに入れていいものか考えものだったけど、今回はジョーカーの「めんどくさい彼女」度が上がっていたのでランクインを決めてしまったよ。



2017年映画ベストド外道

  1. ヨンソク常務(キム・ユンソク)(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  2. パク・ソンベ市長(ファン・ジョンミン)(アシュラ)
  3. 首塚サトシ(毎熊克哉)(全員死刑)
  4. チョウ・シウロン(ルイス・クー)(コール・オブ・ヒーローズ)
  5. ジンガロ(ルカ・マリネッリ)(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  6. 登場人物の8割(我は神なり)
  7. ヘスンの父親(リュ・スンリョン)(ソウル・ステーション パンデミック)
  8. マッド・ドッグ(ウィレム・デフォー)(ドッグ・イート・ドッグ)
  9. 神藤一郎(大森南朋)(ビジランテ)
  10. ホン・マンコン(ルイス・クー)(ドラゴン×マッハ!)
4位と10位でタイプの異なる外道を演じたルイス・クー、1位/6位/7位の外道を生み出したヨン・サンホ監督と、香港&韓国がランキングを制する中、年末に毎熊克哉さんと大森南朋さんが日本代表ド外道として滑り込んできてくれました。ありがとうございます。


2017年映画ベスト名言

  1. 「NASAでは小便の色は皆同じだ」(ドリーム)
  2. 「お前ら全員クソだ!!! ……と言っています」(トンネル 闇に鎖された男)
  3. 「グー、チョキ、パーよりグレネードランチャーだぜ」(トリプルX:再起動)
  4. 「それでも負けることはできる。何度も何度も何度も……永遠に負け続けてやる」(ドクター・ストレンジ)
  5. 「神は自分に似せて人を作ったと言うが、本当は逆だ。君たちが私を作った。だから困っている」(オレの獲物はビンラディン)
  6. 「確かにお前の最大の敵はオレじゃない。お前自身だ」(レゴバットマン ザ・ムービー)
  7. 「死んだらそれで終わりだ。死後の世界なんて信じない。また一からやり直すなんて嫌だ」(DARK STAR H.R.ギーガーの世界)
  8. 「物語は野生動物だ」(怪物はささやく)
  9. 「オカマって?」「ゲイの人々を傷つける言葉だ」(ムーンライト)
  10. 「孫悟空、どこへ行くの?」「妖怪退治だ」(コール・オブ・ヒーローズ)
今書き起こして気づいたが……上位3位が「小便」と「クソ」と「グレネードランチャー」という偏差値の低さ……いや1位はめちゃくちゃ偏差値と人間力の高いことを一番下品に言いまわしてるだけなんだけど。


2017年映画迷言ベスト

  1. 「ナマステ!!!!(ブチギレて電話を切りながら)」(コンビニ・ウォーズ)
  2. 「ココナツ!!(特訓したパンチを思い出させながら)」(キックボクサー リジェネレーション)
  3. 「お前ウィキペディアか!?」(スキップ・トレース)
1位と2位は注釈がないと何でオモシロいのか分からないもんなぁ。


2017年映画ベストサントラ

  1. アトミック・ブロンド
  2. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス
  3. ネオン・デーモン
2017年のサントラを制したのはタイラー・ベイツと言っても過言ではない(注:この場に限る)。でも『アトミック・ブロンド』を1位に押し上げた決定打は、マリリン・マンソンの "Stigmata" (ミニストリー)カバーなのだよ……!!


2017年映画ベストソング

  1. Open Up Your Heart(ジェーン・ドウの解剖)
  2. Satan, Your Kingdom Must Come Down(アシュラ)
  3. Sois Prudent(地獄愛)
  4. 移民の歌(マイティ・ソー バトルロイヤル)
  5. Rolling In The Deep(スキップ・トレース)
  6. Brighton Rock(ベイビー・ドライバー)
  7. Jeeg Robot, L'Uomo D'Acciaio(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  8. Reggie Rap(ファンタズムⅤ ザ・ファイナル)
  9. Speakerbox(ワイルド・スピード アイスブレイク)
  10. カナダ国歌(by コリーンズ)(コンビニ・ウォーズ)
なぜかサントラトータルよりも1つの曲がツボなケースが多かった2017年だった。


2017年映画ベストめし

  1. 葬式ケータリングのユッケジャン(アシュラ)
  2. キューバ風アレンジプレート(ムーンライト)
  3. 黄色カップのヨーグルト(皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ)
  4. ローラの手作りカップケーキ(パターソン)
  5. (お嬢さん)
  6. ロブスター(レゴバットマン ザ・ムービー)
  7. 牛の横隔膜(犯人は生首に訊け)
  8. 牛肉麺(コール・オブ・ヒーローズ)
  9. 紅茶とイチゴジャムトースト(ダンケルク)
  10. コグマン流スシ(トランスフォーマー 最後の騎士王)
1位のユッケジャンは市長が来る予定はないが作ってしまったぐらい。ちなみに10位の「スシ」はどう見てもカルパッチョだったけど、映画全体に比べたら些細な綻びにすぎない。


2017年映画ワーストめし

  1. ローラのオリジナル創作パイ(パターソン)
ベスト入りのカップケーキを作ったローラだが、ワーストめしをも制している。いくら愛するパターソンの好物を入れたパイでも、芽キャベツは加熱しすぎたらヘドロになっちまうわ。
生地の中でチェダーチーズと混ざってヘドロパイになっちまうわ。
自家栽培生バジルをトッピングしてもヘドロのフォローはできねぇわ。
そりゃ一口ごとに水で流し込まねば食えねぇわ。
そんなわけで、芽キャベツは1分ぐらい茹でたあとベーコンと一緒に軽く炒めて塩コショウするぐらいがベターだと思うよ。


2017年映画ベストここはオレに任せて先に行け

  1. アレス(ルビー・ローズ)(ジョン・ウィック チャプター2)
  2. サンファ(マ・ドンソク)(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  3. ドク(ケヴィン・スペイシー)(ベイビー・ドライバー)
このあとまもなく、ケヴィン・スペイシーは「ここはオレに任せて云々」などと言ってる場合じゃなくなってしまうのでありました……(哀)


2017年映画に学ぶ間違った教訓

  1. 魚雷が氷上を滑ってきたら手で押し返せ(ワイルド・スピード アイスブレイク)
  2. サバイバル生活に必要なのはダニエル・ラドクリフの死体(スイス・アーミー・マン)
  3. 追い詰められたらコップを噛み砕け(アシュラ)
  4. ラスト5分ですべてを丸く収める方法がある(カンフー・ヨガ)
  5. ソシオパスの気がある強い執事は「ヤバいニンジャ執事」と形容する(トランスフォーマー 最後の騎士王)
  6. ヌンチャクはドラムスティック(グレートウォール)
  7. 鶏モモ肉の骨も殺傷兵器(コール・オブ・ヒーローズ)
  8. ヨガのポーズで戦える(コンビニ・ウォーズ)
  9. 気まずいときの飯はとりあえずフォンデュ(まともな男)
  10. 一度死ぬとスキルアップできます(フラットライナーズ)
そもそも『ワイスピ8』を観なければと思ったのは、滑ってきた魚雷を「オレに任せろ!!」と押し返すドウェイン・ジョンソンを予告編で見てから。「んなバカな」「ロック様ならさもありなん」のバランスが絶妙すぎるんだもんよ。


2017年映画に学ぶ正しい教訓

  1. アメリカ国防の中枢はドニー・イェンなら潰せる(トリプルX:再起動)
……いや、割と正しいと思ってますが何か?


2017年映画に学ぶ役に立つけど使いどころのない教訓

  1. 宇宙探索するなら滑り止めの効いた靴を履け&ノーヘル厳禁(エイリアン コヴェナント)
  2. カーペットを素足でスリスリすると気持ちいい(ドッグ・イート・ドッグ)
  3. 鈍器と鋭利なものはとにかく使え(アトミック・ブロンド)
これ以来、雨の日などに濡れたフロアでツルっと足が滑ると「ヤベェ、これがコヴェナント号だったら死んでるヤツだ……」と注意するようになりました。


2017年映画に学ぶやってみたいけどやっちゃいけないし第一出来ない技

  1. 通路と座席を使ってゾンビに飛び蹴り(新 感染 ファイナル・エクスプレス)
  2. 立ち塞がる相手を片腕片脚でシメながら上司をお迎えに上がる(コール・オブ・ヒーローズ)
  3. 両膝からバスに乗る(ドラゴン×マッハ!)
  4. 膝スライディング忠誠(バーフバリ 伝説誕生)
  5. 体重をかけて敵の骨を折る(おじいちゃんはデブゴン)
やってみたいけどやっちゃいけないことはすべてツインさん(配給会社)に学びました。


2017年映画グッドデザイン賞

  1. サイレント・メアリー号とクルーの皆様(パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊)
  2. ネオモーフ(エイリアン コヴェナント)
  3. カルヴィン君(ライフ)
ネオモーフ型の涼感抱き枕の商品化は今でも待ってます。カルヴィン君風イカ刺し定食商品化も待ってます。


2017年映画夢のガジェット

  1. サイレント・メアリー号(パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊)
  2. メニー君(スイス・アーミー・マン)
  3. 首刈り馬車/改め牛車(バーフバリ 伝説誕生/バーフバリ 王の凱旋)
前方皆殺しバラーラデーヴァ戦車も、漂流ゼロ円生活に欠かせない万能死体もロマン(仮)がある。
けど、船本体がサメっぽく大口を開くだけじゃなく、熱感知魚雷とほぼ同じように扱えるゾンビザメを内臓しているという点で、Z級サメ映画スピリットに触れたもん勝ちなんだ……!!!

2018年1月3日水曜日

2017年映画極私的ベスト10

2017年=墨・韓・伊・白の伏兵にぶっ飛ばされる。

ランキングの現状におそらく作った本人が一番びっくりしてますよ。
「今年もマーベルは豊作だしなーーしかも前作が面白かった『GotG』の続編と一番お気に入りシリーズの『マイティ・ソー』3作目来るしなーー怪獣映画に振り切った『キングコング』も来るしなーーー何より去年から楽しみにしてた『釜山行き』が来るじゃないか!! うーーんどれがベストに来るかなーーーー」ってわくわくしていたのにいざ年末きたら結果コレですよ。
いや、そりゃ確かに去年だって未体験ゾーンからLet Us Prey(デス・ノート/デッド・ノート)がランクインしましたよ。
それにしたって……ここまで来るとはなーー……。

参照記事一覧
2012年極私的ベスト
2013年極私的ベスト
2014年極私的ベスト
2015年極私的ベスト
2016年極私的ベスト

1位 ダークレイン

ポスタービジュアルが詐欺! 惹句が詐欺! 「ラスト○○分の衝撃」もたぶん詐欺! しかしダマされた結果超幸せな気分に! 
この映画のせいで私は2017年隙あらば『ダークレイン』勧めるマンに変貌してしまった。勧めた相手がコレを好きになるか嫌いになるかは全く分からないが、「はあぁ!!??」と言いたくなるであろうことは確実! 何なら観た人のポカン顔で白飯が食えるかもしれない! 
前作『パラドクス』然り、イサーク・エスバン監督は良くも悪くも「とにかくコレがオレの世界なの! オレのルールで行くの!!」のゴリ押し型なのだが、やはり色々映画観ていると、こういう監督の存在が案外ありがたかったりするんだよなぁ。


2位 新感染 ファイナル・エクスプレス

韓国のゾンビってやっぱりしつこいんだろうなぁ、しぶといんだろうなぁ、やっつけるほうも牛骨とまではいかなくても鈍器使うんだろうなぁ……と、ずっと楽しみにしていた列車ゾンビパンデミック。結果、ゾンビ映画としてはもとより、人間関係の描き方、イライラ、愛情、爽快感、感動、すべてが基準値軽々オーバーの濃厚&超高密度ドラマだった。ただでさえ高い好感度をさらにガン上げた漢気のマ・ドンソクはもとより、徹底した憎まれ役をやり遂げたキム・ウィソンにも拍手ですよ。


3位 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

スーパーパワーを手に入れたらまずATM強盗してヨーグルトとAV買いまくるヒーローvsユーチューバーになりたいヴィランという極狭町内バトル。「これを観ているお前だって、ヒーロー願望があろうとパワーがあろうとこんなもんだぞ」と痛いところを指摘されているようでもあるし、ヒーローではなくヴィランのほうが音楽大好き歌うの大好きという点が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と対になっていて、よりヒーローもののダークホース色が強まっている。


4位 地獄愛

2017年極私的No.1ラブストーリー。ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督のラブストーリーは『変態村』や短編『ワンダフル・ラブ』からブレることなく、どう見ても病んでいる世界の芯にこの上なくピュアな愛が見えてくる。解体する死体を前にしてグロリアが歌い上げるラブソング "Sois Prudent" には、今年のどのミュージカルよりも感動してしまいましたとも。


5位 レゴバットマン ザ・ムービー

イロモノのフリして「バットマンとはどういう奴なのか」の核心を突いてきた、これまたヒーロー映画のダークホース。TV時代から新作映画からあらゆるバットマンを踏まえ、さらにバットマンもヴィランも大好きなファンにとってこの上なくハッピーな結末を用意してくれた。もうバットマンもジョーカーもこのままみんな幸せになってしまえ!!


6位 IT イット/“それ”が見えたら、終わり

主人公たちの子供時代(回想)と大人時代(現在)が交錯する原作を、バッサリ子供時代(前編)と大人時代(後編)に分ける大胆な決定。おかげで暗黒の『グーニーズ』とでもいうべき子供たちの冒険譚にして、ファンタジックな怪物と怪物のように恐ろしい現実を乗り越えていく成長譚となった。そのぶん後編への期待値(と不安値)もガン上がりしたがそれでも楽しみだ! そして頑張れペニーワイズ=ビル・スカルスガルド! ニューラインシネマから出てきた以上、君も立派なフレディ・クルーガーの後輩だ!! 君の強みは動き方や顔の歪み方に滲み出る「厭さ」だ!!


7位 ブレードランナー2049

かつて『ブレードランナー』が提示した「レプリカントと人間にどれほどの違いがあるというのか」という問いに対し、「両者の間に大差はない。それどころか、明確な実体を持たずスイッチひとつで消えてしまうようなAIですら、限りなく人間になり得るのだ」と30年越しの回答を出した続編。「スケールの壮大な“ピノキオ”」と言ってしまえばそれまでだが、ブルーフェアリーのいないピノキオが人間になる道を選んでいく過程はあまりにも切ない。
しかし、「夢のあるディストピア」として描かれていた2019年の世界、30年経っていっそう夢がなくなっていたのはちと残酷だし、しかも現実味があるってね……。


8位 アシュラ

韓流特濃バイオレンスの1つの高み……というより、暴力とゲスのインフレが過ぎて終いには清々しい気分になってくる。主要人物が「全員悪人」ならぬ「全員外道」(しかも全員タイプの異なる外道)なのだが、中でもその頂点に君臨するスーパーサイコパス市長パク・ソンベの存在感たるや。ノーパンで一人立食パーティーを敢行する姿は今年のファン・ジョンミンの極私的ベストアクトです。『哭声 コクソン』のズンドコ祈祷師も信用していいのかよくないのか分からなくて良かったけど。


9位 DARK STAR H.R.ギーガーの世界

木々を鬱蒼と茂らせ、おぞましくも艶かしいアートワークに囲まれて暮らすギーガー。しかし彼はその中で家族やマネージャーたちと和やかな時間を過ごし、愛猫ムギに翻弄され、庭で自作の幽霊列車に乗ってご満悦。現パートナーはもちろんのこと、元パートナーたちも別れたあともアシスタントとして共に働いている。セルティック・フロスト/トリプティコンのトム・G・ウォリアーも秘書としてギーガー宅で働いていたこと(しかも自転車通勤していること)、ギーガーに対する恩義と尊敬の念の強さも本作で初めて知った。
ギーガーとは「黒い星」でありつつ、感受性豊かで穏やかな「太陽」だったのかもしれない。


10位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス

無名のヒーローチームにしろトロマ出身の監督にしろ’60~’70年代選曲なサントラにしろ「まさかコイツが……?」な大活躍を見せてくれた前作。たった1作で映画も音楽ももはや安定の域に達してしまうのだから分からないもんである。
それでも、鮮やかさと毒々しさは紙一重なエゴの惑星や、電流攻撃くらって骨格が透けて見えるなんてベタなマンガ表現を全力でやってしまうところにトロマ魂を感じるよ。
一番ツボだったのは、ソヴリン=自称高貴な人々が、傍から見てどれほど滑稽なもんかという見せ方にモンティ・パイソン魂を感じたこと。

次点(と言いつつ大量):

『ゲット・アウト』(そういう形の「差別」と「侵害」もあるのか……)
『キングコング 髑髏島の巨神』(レジェンダリー怪獣まつり!)
『お嬢さん』(これも変態の皮を被った素晴らしいラブストーリー)
『ネオン・デーモン』(ハリウッド・ナイトメア的『不思議の国のアリス』)
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(神話の世界を80年代エレクトロでぶち壊す英断)
『エイリアン コヴェナント』(聖書やシェリーを引用した深遠な世界の表層でドジっ子クルーの血みどろドタバタ劇場! そしてファスベンダー祭り!)
『ディストピア パンドラの少女』(今年最も美しいゾンビ映画)
『怪談新耳袋Gメン 復活編』(ブリーフマンとスーパーXの不在に懸念はあったが、それを覆いつくさんばかりの佐藤周監督の気合&ふんどし修験者と化した西村喜廣の存在感)
『哭声 コクソン』(恐怖の國村準)

あとこちらも。

2017年リバイバル映画ベスト10

1位 イン・ザ・スープ(in 早稲田松竹)
2位 戦争のはらわた(in シネマカリテ)
3位 ロスト・ハイウェイ(in 角川シネマ新宿/デヴィッド・リンチの映画)
4位 サニー 永遠の仲間たち(in キネカ大森/さよならCJEJ)
5位 バウンド(in シネマート新宿)
6位 マルホランド・ドライブ(in 角川シネマ新宿/デヴィッド・リンチの映画)
7位 スモーク(in 恵比寿ガーデンシネマ&早稲田松竹)
8位 乱(in 恵比寿ガーデンシネマ)
9位 マングラー(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)
10位 ベテラン(in キネカ大森/さよならCJEJ)

2017年未公開映画ベスト10

(レンタル・配信期間の都合上昨年の作品が混ざっています)
1位 デスレース2050
2位 ザ・ベビーシッター
3位 ホテル・インフェルノ2 カテドラル・オブ・ペイン
4位 グッド・ネイバー
5位 KIANU キアヌ
6位 ソムニア 悪夢の少年
7位 Let Me Make You A Martyr
8位 テイキング・オブ・デボラ・ローガン
9位 ヘイヴンハースト
10位 デスノート(Netflix版)

昨年の反省を踏まえて今年はもっと未公開作を追うようにしよう(そしてNetflixの月額をムダにしないようにしよう)と努力……してはみたものの、振り返ればアレやコレの取りこぼしが多々あり。追いつけないよNetflixさん。ましてやドラマはもう追尾不能だよ! 唯一追えてるの『ゴッサム』だけだよ!

2017年10月24日火曜日

ラウドパーク2017(10月14日編)

帝王と皇帝と魔王と。

LOUD PARK '17
2017.10.14. さいたまスーパーアリーナ



7年ぶりである。
当日会場で過去ポスターを目にしてやっと思い出したが、最後に来た2010年のラウドパークも、2日間参戦だったのだ。あのときは1日目ストーン・サワー ⇒ ハルフォード ⇒ KORN、2日目モーターヘッド ⇒ アヴェンジド・セブンフォールド ⇒ オジーとラストの3ステージを生き延びるの大変だったなぁ……。

と懐かしい気分になりつつ、そういえばさいたまスーパーアリーナという会場は、幕張メッセのオズフェストジャパンやノットフェストより過ごしやすいことにも気づいた。
アリーナの涼しさと上のフードエリアの暖かさのバランスがいいし、必要とあらばホットドリンク(コーヒーのみだが)が買える売店もある。トイレも清潔だし、数が多いからあまり並ばずに済む(もちろんこれはオズフェストやノットフェス自体ではなく、会場たる幕張メッセにお願いしたい課題だ)。

そして何より、アリーナの後方にオフィシャルバーがあり、バッグに入れてさえいればライブエリアに水のボトルは持ち込めるという環境でありながら、床にプラカップやボトルがほとんど散乱していないこと。昔のラウドパークと比べてもかなり床がきれいだ。
エリア出入り口警備はやりながら水規制はしなかったことが良かったのか、それとも開催歴史の差なのか……この辺は他のフェスと比較検討できればなぁ。

あと10年前の07年も1日だけ行きました。
目当てはもちろんマリリン・マンソンで。
  


10年前に観たとき以上にパワフルになっているように思えたANTHEMの途中からライブエリアに入り、ブルヘリアから参戦スタート。
メキシコ産、メンバーは覆面着用で素性がよく分からず(有名メタルバンドのメンバーも所属していたりする)、インディペンデント時代には死体の写真をアルバムジャケットにしていたことがある。治安の悪さと良い感じの胡散臭さがプンプン漂うグラインドコアだ。

「Brujeria! Brujeria!」「Viva Mexico!!」と開演前からコールに包まれてスタート(少し予定時間フライング気味に出てきたように思えたのだが、気のせいだろうか?)。前方エリアとはいえかなり後ろのほうに立っていたのに、あまりの音圧に死ぬ心地。10年前のラウドパークで買った耳栓を持ってこなかったことを早くも後悔した。
歌詞と大半のMCはスペイン語であったため、果たして今言ったことに「イェーーー!!」と叫び返していいものかと逡巡したのか「お、おぉー……!?」とレスポンスが微妙になってしまう瞬間も。数少ない英語MCで聞き取れたのが「世界には災害が溢れているが、最大の災害はアメリカ、ホワイトハウスにいる! ファック、ドナルド・トランプ!!」で、これには割と喝采上がってしまったよ。
もっとも、日本人オーディエンスのスペイン語理解力を考慮してか、コール&レスポンス用に「SI」&「ハイ」「NO」&「イイエ」というカンペを用意してくれる一幕も。

死体と麻薬と政治ステイトメントが満ち満ちているステージだが、時折ふとアタマの悪さ(褒めてます)を覗かせるのがマリファナ肯定系ソング。上記の「ハイ」「イイエ」のレスポンス用カンペも、マリファナに対してイエスというためである。
中にはマッシュルームソングもあったが、「半分人間、半分マッシュルームのモンスターの曲だ!!」と英語MCで言っていたし、プレイ中しばしば謎のポーズ(ちょっと可愛い)を取っていたっけ。

そのマリファナバカ一代の最たるものが、最後の最後にカラオケで流れた、タイトルそのまま "Marijuana" 。しかもコレ「マカレナ」の替え歌なので、それまでブルータルに疾走する音楽だったのが突然能天気なチャカポコ調で、観客も交えて「エーーーーマリワナ!!」と合唱する。この少しの愛嬌で、結構彼らを好きになってしまったよ。

全体的にぽっちゃり系なところもちょっと愛嬌。

昼飯休憩を挟んでオーペス。メキシコのブルータルから一転スウェーデンのプログレへ。
もちろんブルータルなパートはあるが、哀愁と美しさに満ちた静のパートも交えて巧みに世界を構築していく。初っ端から昨年の新譜より "Sorceress" でオーディエンスは妖しい渦に巻き込まれ、"Ghost Of Perdition" の荒々しい導入で熱狂していく。派手にモッシュやジャンプが起きるわけではないものの、みんな心地よさそうにグラグラと揺れていた。

フェスにおけるプログレ系の難点は、曲の長さゆえに数が少なくステージの体感時間が短いこと。ミカエル・オーカーフェルド(Vo)は「時間が少ないからお喋りは控えめにするよ」と言っていたが、ゆったりと話し観客の歓声もまめに拾ってくれるミカエルのMCももう少し聞きたいものだ。やはりフルスケールの単独ライブが一番なのかな。
それでも、静のアルバム『Damnation』(雨の日に聴くと最強だ)から "In My Time Of Need"、それと対を成す動のアルバム『Deliverance』から "Deliverance" という黄金の流れを聴けたことには大感激である。

昔イギリスでメタルTを買ったとき、
オーペスのロゴTを買わなかったことを今頃後悔した。

ちなみに、アリス・クーパーまでの間にちゃちゃっとキューバンステーキサンドで夕飯を済ませている間に、フードエリアをスコットランド民族衣装のバグパイプ奏者おじさんが闊歩していった。ありゃ何者なんだろうとツイートしていたら、後にそのつぶやきをリツイートしていた加藤健二郎さんという方で、しかももはやラウドパーク名物というぐらい何年も演奏している方だそうな。
こりゃそのうちKORNのステージでジョナサンと一緒にバグパイプやるっきゃないっすよ。

「一生のうち1度はステージを見てみたい……でもあまり来日しないみたいだし、そろそろ70だし……」と思っていた魔王が、とうとう君臨する。
前方ブロックにぎゅうぎゅうになったオーディエンスが思いのほか若いのは、そういうショック・ロック界のレジェンドを生で目にしてみたいという後続のファンを多く集めたからなのかもしれない。

そんな我々に、アリスは開演前から睨みを効かせていた……

「引き返そうと思ってももう遅い……奴が来る……!!」
仰々しい口上を経ていよいよこの幕が落ちた瞬間、ただでさえアリス・クーパーのステージが始まるという高揚感が頂点に達しているというのに、私にとってはさらに高揚感が頂点をぶっちぎる瞬間が待っていた。幕開けの曲が "Brutal Planet" だったのだ!!

マリリン・マンソンを軸にロックの系譜を紐解き始めた25年前、一番最初に聴いたアリスのアルバムが『Brutal Planet』であり、冒頭のこのタイトル曲だった。
聴いた途端「コレは本当にヤバいやつだ! この人本当にぶっ飛んでるとしか考えられない!」とさえ思っていた。しかし後になって、当時頻繁に出入りしていたメタルコミュニティで、このアルバムは「モダン・ヘヴィネスに寄ったものの相性は良くない」(もともとアリスの曲は凶悪な演出とミスマッチなほどポップでキャッチーなのだ)とオールドスクールのハードロックファンからの評価が芳しくないことを知り、ちとヘコんだのだった。ということは、今ライブで聴ける可能性はまず無いのかもな……とさえ考えていた。

その矢先にこの幕開けである!! ……まぁ、確かにちょっと最近のセットリストでも調べればすぐ分かることだったが、『Blutal Planet』収録曲に期待を持たせすぎたくないからと調べもしなかった自分にとっては、嬉しすぎる大誤算だったことは分かっていただきたい。
音楽と、ステージ上でステッキを振るうアリスの姿に感激し通しの一時から、続けざまに "No More Mr. Nice Guy" を打ち込まれたときには、ブルヘリアの音圧とはまた違った意味で死にそうになった。
逆にこの曲からの "Under My Wheels" ~ "Poison" とフロアからの大合唱は生きるエネルギーになった。

何が "No More Mr. Nice Guy" だよ!
私みたいなファンにとっちゃ、この流れを作ってくれた時点でナイスガイだよ!


このクラスのベテランアーティスト勢が衰え知らずである理由の1つには、バンドメンバーをちょくちょく若返らせていることがある。アリスのメンバーも私が所有するライブDVDとはだいぶ替わっていて、中でも一番目を引いたのがニタ・ストラウス(g)
ギタープレイもさることながら、佇まいだけで彼女はカッコいい。たまにアリスが背後から髪の毛を持ち上げてイタズラしに来るが、ニタのソロになると彼女を前にぐいぐい押し出したりもする。アリスとしても推したいミュージシャンなのかも。

もう1つ最高に嬉しかったことに、アリスのライブ定番のシアトリカルな演出が思いのほかたくさん観られた。
短いステージだしそんなにギミックはないかもとハードル低めに考えていたが、中盤 "Feed My Frankenstein" で一変。アリスが血のついた白衣姿でB級SFチックなポッドを引きつれてきて、やがてそこから電気と煙とともに大きなフランケンシュタインの怪物(操り人形)が生まれる
"Cold Ethyl" になると本当に「冷たいエセル人形」が出てきて、アリスがそれを引きずったり引っ叩いたり。
"Only Women Bleed" ではとうとう生きたダンサー人形(本物の女優さん演)が周囲を踊って回るが、アリスは彼女をも絞め殺し、謎のガスマスクコンビに連行される。そして用意されたのが……アリスのショーの定番にして一部では悪名高いギロチンである‼︎ 
ドラムロールに合わせて勿体つけながら、遂にガシャンと落ちる刃!
掲げられるアリスの生首(ハリボテ)!
ライアン・ロキシー(g)&トミー・ヘンリクセン(g)リードのもと観客が歌う "I Love The Dead"
そして間もなく "I'm Eighteen" でアリス復活! 首を落とされたのに松葉杖で現れるのはご愛敬! ……いや、DVDでしかお目にかかれなかった演出の数々を生でこの目で拝めるなんて、一体この日だけで何回「死にそう」と思っているんだろう。

最後の "School's Out" では巨大バルーンが頭上に投げ込まれ、お約束のトス合戦が始まる。アリスがステッキで刺すと、割れたバルーンからは紙吹雪が舞い散る。ピンク・フロイド "Another Brick In The Wall" のコーラスも交え、見事オーディエンスを悪ガキに退化させたアリス、最後は紙テープ砲でショーを締めくくったのだった。
確かにアリスもそろそろ70ではあるが、ひょっとするとまた会えるんじゃないかと思うよ。というかまた会いたい!!

さて、魔王は去っていったが、気を抜くのはまだ早い。次にステージに君臨するは、ノルウェーより来たりしブラックメタルの闇の皇帝エンペラーである。
現在のライブは彼らの名盤『Anthems To The Welkin At Dusk』20周年のためらしい。というわけで、アルバムの冒頭を飾る "Alsvartr (The Oath)" ~ "Ye Entrancemperium" という鬼のような轟音疾走ナンバーで暗黒の宴は始まった。
暗黒と言っても、もはやブラックメタル隆盛期当時のコープスペイントを施しているメンバーはいないし、長髪で黒ずくめではあっても比較的主張の少ない外見。イーサーン(Vo/g)に至ってはバンド活動と並行して音楽の先生(授業受けたいです)もやっているので、一見ただの眼鏡をかけた物腰穏やかな紳士である。

しかしこのステージからだだ漏れる「魔」は何だ
イーサーンとサモス(g/殺人罪や暴行罪で服役・逮捕歴あったり、それがもとでライブ入国ができなかったり……よくぞここまで復活した)のトレモロは時に暴力的になったり時に冷ややかになったり、常に空気を黒く塗りつぶし続ける。
タリム(Ds)のブラストビートは、今立っているまさに足元からビキビキと地割れが起きんばかりの威力。
そして、相変わらず禍々しいデスボイスとテノールが響く荘厳なクリーンボイスとで魅了してくるイーサーンのボーカル。
これが皇帝の威厳か……!! と、平伏す代わりにメロイックサインで敬意を表する。

"Thus Spake The Nightspirit" "With Strength I Burn" など『Anthems』収録曲はすべて披露してくれたが、アルバム収録ではないがエンペラー代表曲といえる "Curse You All Men!" "Inno A Satana" も燃えに燃えた。"Inno A Satana" に至ってはまさに悪魔崇拝の賛美歌である。ライブが終わった……というより、黒ミサが終わった気分だった。
分かりやすいバフォメットみたいな悪魔は降臨しなくとも、皇帝の編み出す「魔」はアリーナのあちこちに降りていたさ。

オール・ヘイル・エンペラー。

魔王が来た……皇帝が来た……それでもまだまだ気は抜けない!! 
何故なら最後には帝王がやって来るからだ!! 
そう、スラッシュ四天王の一翼を担う帝王、スレイヤーが!! 
まったく今年は何回ステージに(気持ちだけ)平伏せばいいんだ!!

アリス・クーパーと同様開演直前までステージは幕で隠されていた。その表面に赤い十字架が4つ浮かび上がり、ゆっくりと回転して逆十字になっていく。
さらに逆十字は逆ペンタグラムに変化し、幕の上を漂う。
そしてバーーーンと浮かぶSLAYERのロゴ……からの幕が落ちて "Repentless" で始まる疾走! 完璧なオープニングである。
続けて "The Antichrist" からの "Disciple" でオーディエンスの「God Hates Us All!!!」絶叫も、完璧な流れだった。

年々トム・アラヤ(Vo/b)とケリー・キング(g)の体躯が重量を増していることに少し心配にもなるが(余計なお世話か)、それより何よりそもそも音が重量級。ブルヘリアの音圧に押されるのとはまた異なり、反対側のステージエリアの端からという離れた位置にいても、ドラム/ベース/ギターそれぞれの音が全身ボコボコにぶん殴りにきているようだ。もはや、このライブ自体が巨大な暴力装置なのだ。
……と、物騒なことを言いつつ、トムが話し出すと一気に空気が穏やかになり、オーディエンスに真摯に感謝を示すときにはむしろ仏の顔だったことは明記しておきたい。

前方ブロックに巨大サークルピットができる一方、離れた位置ではデイヴ・ロンバルド(Ds)のブラストビートに合わせるように小刻みにヘッドバンギングしている人を多く見受けられる。確か自分もやっていた気がする。
その様相はヘドバンというよりもはや痙攣に近い。これに似たものをどこかで観たことがあるような気がしたら、『俺たちに明日はない』のマシンガンで撃たれていくときの「死の舞踊」だ。それも、ステージが終わるまでひたすら音の砲弾を浴び続けなければならない。つまり、メタルヘッズには幸せなことこの上ない死に様だ。生きてるけど。
ちなみに私、"Raining Blood" の最中、疲れが溜まったせいか小刻みヘドバンしながら数秒間意識がブラックアウトしておりました。これはスレイヤーにより「数秒だけ死んだ」ということにしといてもよろしいでしょうか……? ラストの "Angel Of Death" で強制的に復活したけどね。

「今年は何回ステージに(気持ちだけ)平伏せばいいんだ!!」と先述したが、それ以上に「今年は何回死にそうになればいいんだ!!」なラウドパーク初日だった。


帝王が帝王すぎてエライことになった。

2017年2月20日月曜日

The Haunted World Of El Superbeasto

ゾンビ店長特製全部乗せ闇鍋。

The Haunted World Of El Superbeasto ('09)
監督:ロブ・ゾンビ
出演(声):トム・パパ、シェリ・ムーン・ゾンビ




自分には一からキャラクターや世界観を作りこみストーリーを作る能力が乏しいのだと気付いたとき、「どうせオフィシャルに出すもんじゃないんだから著作権とか歴史とか現実にはどうとか知るか!」と、とにかく合理性ガン無視で、好きなジャンルネタばかり詰めた話を書いたことがある。

とっくに死んでるロックスターもホラー映画のキャラクターも混在する世界で、ロック好きの小学生4人組(好きなジャンルはメタルやグランジなどバラつきがあるが、なぜかみんなブラック・サバスを尊敬している)が、サバス主催のロックフェスに行くため車を飛ばす。
途中フェスのオープニングアクトを務めるバンドのゴッドヘッドと道中を共にしたり、ホラーのクリーチャーや悪魔のシスターらに妨害されたり、ピンチになるとなぜかリッチー・エドワーズ(失踪してしまったマニック・ストリート・プリーチャーズのギタリスト)が現れて助けてくれたり、壊し屋キース・ムーンの生霊に取り憑かれているゴスの小学生がチェーンソー抱えて殺人鬼もドン引きの暴走を始めたりしながら会場に着く……というようなものだった。
結果、言うまでもなく、ただの味のない闇鍋と化したこの話は永久に封じられたのだった。

エル・スーパービーストは覆面レスラーであり、映画監督であり、(ポルノ)俳優でもあり、そして実生活でもヒーロー。世界の誰からも好かれ、同じくらい嫌われてもいる。撮影を終え、いつものようにバーに繰り出したビーストは、No.1ストリッパーのベルベット・フォン・ブラックにベタ惚れするが、その直後彼女は頭にネジの生えた改造ゴリラに誘拐されてしまう。
下心満載のビーストは、ヒトラーの首をめぐってナチスゾンビと追っかけっこを繰り広げていた、腹違いの妹にしてスーパースパイのスージーXと共に事件を捜査する。するとその背後には、運命の花嫁を娶ることで世界征服に乗り出さんとするドクター・サタン(本名スティーヴ・ワショウスキー)の影が……。

ホラー映画、おっぱい、セックス、モンスター、尻、ロボット、おっぱい、サント映画、尻、ナチスプロイテーション、おっぱい、オレの嫁(の尻)、キャットファイト、おっぱい……と、すべてがロブ・ゾンビの好きなものだけでできている世界。おおむね同じものが好きなゾンビ監督のファンにもたまらない世界となっている……それだけに日本のゾンビファンのために国内盤が出ていないことが無念。

車を飛ばしついでにマイケル・マイヤーズ(たぶんロブ・ゾンビリメイク版『ハロウィン』)を轢き逃げしたり、ナチスの古城にゾンビと狼男とセクシー女将校がいたり。
バーに行けばフランケンシュタインの花嫁やら大アマゾンの半魚人やらエイリアンやら『シャイニング』のジャック・ニコルソンやら、果ては『デビルズ・リジェクツ』のファイアフライ一家や『ファスター・プッシーキャット キル! キル!』のヴァーラまでいるなんて、どんな理想郷だよ!!!
しかも何がスゴいかって、そんなカメオ出演的キャラクターのために、ビル・モーズリィ、シド・ヘイグ、ケン・フォリー、ダニー・トレホ、ディー・ウォーレス、そしてトゥラ・サターナらが直々に声を当ててくれているのだ!
 
そしてそして音楽はゾンビ映画の常連にして『ザ・ペイル・エンペラー』ではマンソンと共同作業もしていたタイラー・ベイツ! 
さらにHard'n Phirmなるユニットが素晴らしくバカな曲をサントラに提供!
(オススメは、ただただ画面上で起きていることをそのまま歌うだけの『Zombie Nazis』、あるホラー映画の有名シーンを丸パクリしたくだりの『The Old Bloodbath Routine』、日本人が毎日アダルトアニメでヌいてますとバラされる『Catfight!』です)好きなものを寄せ集めるなら徹底しないと、美味い闇鍋はできないのである。

あ、もちろん一番セクシーで一番強くて一番頼もしいスージーXの声は、大好きな嫁=シェリ・ムーン・ゾンビ。思えば『マーダー・ライド・ショー』のベイビーでもその傾向は表れていたとはいえ、こんなにもナチュラルボーンアニメ声だったとはな……。

しかし、そんな豪華な声の出演陣でも特筆すべきは、メインとなるキャラクターを担当するロザリオ・ドーソンポール・ジアマッティであろう。
ロザリオ=ベルベット・フォン・ブラックは、脅威のおっぱいと尻を誇るNo.1ストリッパーではあるが、口汚さと下品さもNo.1。かなりダミ声寄りになりつつ、モンスターもドン引きするほど明け透けな悪口雑言の嵐をまくし立てる。
ここからNetflixの『ディフェンダーズ』シリーズの強くて優しい医師クレアの姿など到底浮かばないし、『シン・シティ』のゲイルにすら気品を感じてくる始末だ。

ドクター・サタンの声を充てるポール・ジアマッティも凄まじい。バカみたいな高笑いや情けない泣き声、勝手にドアを開けられた際の思春期みたいな絶叫、デビー・レイノルズの「タミー」をBGMに○○○○するウホウホハァハァ声まで! 余計なお世話でしかないのに俳優としてのキャリアを心配したくなるほどの暴走っぷりだ。
プロの声優(日本ならではの職業観かもしれないが)ではない芸能人が声の仕事をすることに苦言を呈されることが多々ある国内エンタメ、これぐらいの吹っ切れと技術力が必要とされているんじゃないだろうか。

無理やりな分類だがヒーローものと言えなくもない本作。しかし、実はそのヒーローたるエル・スーパービーストは、よくよく見れば結構ヤな奴だ。
自分がカッコよく見えているかどうかが最大の関心事だし、その次に関心が高いのはおっぱいと尻だし、回想シーンに出てくる高校時代などはいじめっ子ジョックスの典型。普通のホラー映画なら、比較的早いうちに死んでいるはずのキャラクターだ。むしろ、かつてイケてないオタクでいじめられっ子だったドクター・サタンのほうにシンパシーが湧くだろう。

それでもいじめられっ子の逆襲が世界を滅ぼすことを潔しとしなかったのは、はみ出し者魂が創造に向かったゾンビ監督ならではの視点なのか、問答無用のセレブリティでモテモテで物理的に強いヒーローというものに対する憧れなのか。
まぁ、最愛の嫁の化身たるスージーがこんなにも輝ける世界なら、ぶち壊したくはないもんだよ。

2017年1月10日火曜日

2016年映画極私的もろもろベスト

ベストから漏れたなら、こっちで拾っちゃえばいいじゃない。

メインのベスト10作るよりこっちのほうが楽しくなってきたら、ちょっとは危機感持つことを検討してみようかと思いますよ。

参考記事:
2013年極私的映画もろもろベスト
2014年極私的映画もろもろベスト
2015年極私的映画もろもろベスト


2016年映画ベストガール

  1. ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)(スーサイド・スクワッド)
  2. 鋸村ギーコ(内田理央)(血まみれスケバンチェーンソー)
  3. ワンダーウーマン(ガル・ガドット)(バットマンvsスーパーマン)
  4. 貞子&伽椰子(七海エリー&遠藤留奈)(貞子vs伽椰子)
  5. ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)(デッドプール)

なぜかまとめてみると、洋画はアメコミ映画、邦画はホラー&スプラッターという結果に。好みの傾向である「強くて毒気のある女性」を突き詰めるとアメコミヒーロー/ヴィランになるのは分かるが、日本だとオバケに行き着くのか……2位のギーコちゃんは違うけど、チェーンソー装備&下駄履き&ふんどし着用で、最大の武器は人望の厚さというハイスペックスケバンなので。ちなみに1位のハーレイちゃん、この路線でいくなら、ジョーカーとはチャッキー&ティファニー(チャイルド・プレイ)のような殺人バカップル街道を歩んでほしいです。



2016年映画ベストガイ

  1. 伝説の戦士(ローレンス・マコアレ)(ザ・ラスト・ウォーリアー)
  2. アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)(ボーダーライン)
  3. ケヴィン・ベーコン(コップ・カー)
  4. マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)(エンド・オブ・キングダム)
  5. ビーバップ&ロックステディ(ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ&スティーヴン・ファレリー)(ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影)

ベストガイ選出傾向=アクの強さで考えていたら、伝説の戦士ことローレンスさんの顔面力という殿堂入りクラスのビジュアルに出会ってしまった2016年。3位のケヴィン・ベーコンは、もう作品内でのキャラクターがどうこうというより「ベーコン力(りょく)」押しだったので本人名で。あと、アクの強さも突き詰めると、イノシシとサイの改造人間(超ポジティブ)に行き着くのな。

未体験ゾーンのページにも貼りましたが、
ここで改めてローレンスさんの顔面力↓を再確認しましょう。



2016年映画ベストバディ

  1. チアルート&ベイズ(ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー)
  2. ビーバップ&ロックステディ(ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影)
  3. マイク・バニング&ベンジャミン・アッシャー(エンド・オブ・キングダム)
こんな相棒同士になれたらいいなぁ……と思っても、1位と3位は両者または一方の殺傷スペックが高すぎるので、偏差値低いモン同士「うぇーーい」ってやってられる2位ならまだ望みが……と思ったけど、アイツらでさえ実は戦車運転できるし、その前に改造人間だし。



2016年映画ベストソング

  1. EVIL IDOL SONG(EVIL IDOL SONG)
  2. 呪いのシャ・ナ・ナ・ナ(貞子vs伽椰子)
  3. I Can't Help Falling In Love With You(死霊館 エンフィールド事件)
  4. デッドプール・ラップ(デッドプール)
  5. SOS(クリント・マンセル編曲版)(ハイ・ライズ)

上位3位をホラーが占めることになったけど、1位&2位は高揚感、3位はしみじみ感の曲。不気味なのはむしろABBAの曲を静かにアレンジした5位。4位はまぁ……「セクシーマザーファッカー♪」なので。



2016年映画ベストサントラ

  1. スーサイド・スクワッド
  2. イット・フォローズ
  3. ヘイトフル・エイト
  4. デッドプール
  5. オデッセイ

正直1位の映画本編での曲の使い方はそんなにベストではないんだけど、なぜか図ったように自分の好きな曲ばかりがぶっこまれているというひいき目で。2
位と3位はオリジナルスコア(3位は一部既成曲)だが、ほぼ既成曲の4位と5位については、そんなに好きな音楽でもないワム! やディスコミュージックが作中で最高の使われ方をしていた点で評価高。ただ、それでも単体でワム! や「ホット・スタッフ」を聴くのはちとキツいのだけど。


2016年ベスト(ワースト)イヤミス映画

  1. 無垢の祈り
  2. グッドナイト・マミー
  3. ザ・ギフト
  4. ヒメアノ~ル
  5. ドント・ブリーズ

メインのベストに入れるのが難しかった『無垢の祈り』、どうにか1位に入れる枠がないものかと考えてみた結果。「イヤミス」といいつつ「これは果たしてミステリなのか」という疑問は残るけど……。



2016年映画ベスト名言

  1. 「人々は私のせいにしたがるが、私はただの目撃者だ。私が見たものには天使も涙する。私を否定してもいいが、君の目に宿る炎は私だ。君にこの地上の腐った、邪悪な魂をすべて与えよう。君は復讐し、私は彼らの魂を燃やす。正直に言えば、君なしでは凍えそうだ」Let Us Prey)
  2. 「まるで映画だ。オレたちは偶然の主人公。監督はデヴィッド。天国から演出中だ」(バンド・コールド・デス)
  3. 「オレたちは必要ないってさ。あの子は世間をケツの穴まで知ってる。たぶんお前より大人だよ」(無垢の祈り)
  4. 「ママもへやにさよならして」(ルーム)
  5. 「侵略しに行かなくても、落とし物保管所に行けばよかったんだ」(マイケル・ムーアの世界侵略のススメ)

次点は、最後の最後に岡田くんと観客の心をグッサリ刺していく「お母さーーん、麦茶2つ持ってきてーー!」(ヒメアノ~ル)です。



2016年映画ベスト迷言

  1. 「メタルをくらえ‼︎ (ケツにチェーンソーをぶっこみながら)」(デビルズ・メタル)
  2. オザキ8(X-ミッション)
  3. 「俺は超合神だ‼︎」(キング・オブ・エジプト)
  4. 「くそ、あいつは死なないのか⁉︎」(エンド・オブ・キングダム)
  5. 「オレはヤクザだぁぁぁぁ‼︎」(テラフォーマーズ)


3位と4位にランクインしたということで、2016年総合迷言賞はジェラルド・バトラーです。
2位だけはセリフじゃないんだけど、「オザキ8」という造語それ自体のパワーがあったので。



2016年ワースト映画危険めし

  1. ヘドロ的な何か(エヴォリューション)
  2. ボブが淹れたコーヒー(ヘイトフル・エイト)
  3. 男子が作ったカレー(ドロメ)
  4. ヴィジョンが作ったパプリカーシュ(シビル・ウォー キャプテン・アメリカ)
  5. レモンにタバスコ(ダーティー・コップス)

今年は食欲をそそられる飯より、ヤバいだろとしか思えない飯のほうが印象に残った。
1位、あれは本当に人間の食べるモノではない。
2位のコーヒー、どんな淹れ方をすれば靴下でも入れたような味になるのか!? 
3位、どんな作り方をすれば水っぽいおでんのようなカレーができるのか!? 
4位はそもそも人造人間の味覚が謎だから、どの程度ヒドいかも謎だが……。
5位、なぜそれをやろうと思ったんだニコラス・ケイジ!? そしてなぜイライジャ・ウッドに食わせた!? 

ちなみに、ベストめしはミニーが作ったシチューと、同じくミニーの服飾店で売ってたミント(ヘイトフル・エイト)。あと竹内結子が作ってたご飯(クリーピー 偽りの隣人)も全部美味しそう。
ただ、『ハンニバル』シーズン2があったぶん、飯のグレードはドラマのほうが比重高かったかな……もちろん肉の調達元は考えない方向性で。



2016年映画夢のガジェット

  1. 無人在来線爆弾(シン・ゴジラ)
  2. ターンテーブル(ノック・ノック)
  3. コップ・カー(コップ・カー)
  4. 改造チェーンソー(血まみれスケバンチェーンソー)
  5. 対ゴースト兵器の数々(ゴーストバスターズ)

「無人在来線爆弾」って、言葉の響きが既に勝ちだよね! 2位と3位は現実味あるけど、ターンテーブルなんてスペース、予算、使いこなす技術において夢のまた夢。まして警察車両なんぞ、フランスのおまわりさんがタクシー感覚で乗せてくれたとき(実話)以来乗ってないよ。



2016年映画に学ぶ間違った教訓

  1. 必要なくても殺せ(エンド・オブ・キングダム)
  2. バケモンにはバケモンをぶつけんだよ(貞子vs伽椰子)
  3. 太陽は燃えるジェフリー・ラッシュのパワーで地球の上を動いている(キング・オブ・エジプト)
  4. 靴磨き機の使い方(Let Us Prey)
  5. 事故に見せかけて殺せ=事故っぽかったら別に目立っててもOK(メカニック:ワールドミッション)

何というか、だいぶバイオレントなことばかり学んできた年でした。



2016年映画に学ぶ正しい教訓


  1. 悲惨なときこそユーモアの力が問われる(オデッセイ/デッドプール)
  2. まずは君が落ち着け(シン・ゴジラ)
  3. 水没したスマホはお米に入れておくと復活するかもしれない(ノック・ノック)

毎年毎年ヘンな教訓しか学んでないので、たまにはちゃんとした教訓も……と思ったけど、1位以外はそんなにイイ話またはまっとうな情報でもなかったよ。



2016年映画言ってみたいけど一生言えないセリフ

  1. (「幸運を」と言われて)「必要ない。お前がいる」(ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー)
  2. 「数えきれないほど人を殺してきたオレだ。君1人くらい守れる」(メカニック:ワールドミッション)
  3. 「地獄でもポップコーンは大人気だぜ」(31)


その代わりといってはなんですが、今年一番実生活で使ったセリフは「え? 蒲田に?」(シン・ゴジラ)でした。話の文脈上、特に蒲田が関係なくても言ってました。

2017年1月8日日曜日

2016年映画極私的ベスト10

2016年=まだまだこの国はやれる、そう感じるよ。

今年は映画ファンにとって邦画の当たり年だったなぁと思って。ベスト10内にも4作入ったし。
……まぁ、それだけの良作が生まれるために、それなりの事故映画も生まれているんだけどな。何せワーストランキング作ってみたら1位と2位が邦画だったからな……!

参照記事一覧
2012年極私的ベスト
2013年極私的ベスト
2014年極私的ベスト
2015年極私的ベスト

1位 ヘイトフル・エイト

『デス・プルーフ』までの映画オタクと足フェチ期、歴史上で虐げられてきた人々の代理復讐を遂げた『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ』ときて、「アメリカはこのままでいいのか? 憎しみを乗り越える希望があってもいいんじゃないのか?」と新たな道を示し始めたタラ。50を過ぎてから大人になったものだなぁ。そんな今年に、白人警官による安易な黒人射殺事件およびその報復事件が相次いだことは実に哀しい。この世界のどこかに、「リンカーンの手紙」は存在しないものか。

2位 イット・フォローズ

「それ」はどこまでもついてくる……けど、与えられるのは死の恐怖だけではない。まさか、ホラー映画におけるセックスと死の因果応報が、青春物語であり、ここまで壮大な人間愛の物語に押し広げられるとはなぁ……。

3位 シン・ゴジラ

正直、去年ギャレス・エドワーズの『GODZILLA』が公開され、「怪獣王ゴジラのプロレス興行」を呼び起こしてくれていた中、そのわずか翌年の日本のゴジラ復活は負ける確率の高い壮大な後出しジャンケンだった。しかしその分、ギャレス版ゴジラでは描ききれていなかった「災害としてのゴジラ」像があり、しかも3.11を想起させる描き方。何より、ギャレス版で強いて言うなら納得がいかなかった「核の扱い」にどう向き合ったのか。バジェットや技術に勝るハリウッドに、拙さがありつつも日本なりの回答を打ち出せたことが一番嬉しい収穫だった。

4位 Let Us Prey(デス・ノート/デッド・ノート)

『DEATH NOTE Light Up The New World』と同じ年に公開されてしまったことは、本当に不運でしかなかった。ときにデスノートのパチモン扱いされ、あまつさえマイナーだからといってC級映画と言われてしまうなど……。この際言うけどな、デスノート本家よりこっちのほうが小粒でもパワフルでゴアゴアでカッコよかったぞ! 死神は出てこなくても、死神よりもクールな「ある男」がいたぞ!

5位 EVIL IDOL SONG

『へんげ』に続き、小粒ながらもクライマックスはカタルシスに満ちている大畑作品。「いっそみんな死ねばいいのに」という万人が思うであろう呪詛と、「どうせ死ぬなら最高の曲を聴きながら死にたい」という音楽好きにとってある種の夢を具現化してくれました。

6位 この世界の片隅に

今であれ戦時中であれ、世界は日々の生活の積み重ねでできている。ご飯の材料が足りなければ今手に入るもので補い、寝てる場合じゃないときにも眠くなり、楽しいことを見つけようと思えば見つけられる。それができる人は、一見フワフワしているように思えて、実はとても芯が通った生き方のできる人だ。だが、そんな人ですら、積み重ねてきた世界が物理的または精神的に崩れていくときにはあまりにも無力である。それでも世界は続くということは、残酷でもあり、希望でもあるのかもしれない。

7位 ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー

ざっくり言ってしまえばスターウォーズサーガは、強いフォースの使い手にして「選ばれし者」たるスカイウォーカー一家を中心としている。そこへいくと、本作で活躍する人々は何の特殊能力も持たず(ドニーさんは存在するだけで強いけど)、中でも中心人物たちは反乱軍側に属しつつその中でも異分子であり、もっとも選ばれない者たちである。そんな人々が希望をつなげるためだけに死力を尽くす姿は、時に英雄譚よりも心動かされるものがある。

8位 ノック・ノック

浮気に関するニュースにコメンテーターがああだこうだ言ってるのを見かけると、「うん、とりあえずみんな『ノック・ノック』観ようか」と言いたくなった。パートナーもいないし浮気とか関係ないし家に人をあげることもないし……と安全圏にいるつもりの人も、「人生はいとも簡単にぶっ壊れる。しかもぶっ壊すのは他人とは限らないかもしれない」という危機感ぐらいは持ってみてほしい。そして最後の小さじ1杯ほどの悪意に笑おう。

9位 セトウツミ

「ほとんど2人が喋ってるだけの映画をスクリーンで観る意味はあるのか」と基本劇場主義の映画ファンですら思うようだが、個人的にはスクリーンで観る価値大いにありの作品である。理由その1は、同じ日に観たあるワースト入り映画が、演者の笑いセンスに頼ったTVバラエティの域を出なかったのを見ていたこと。理由その2は、いわゆる劇的かつ爽やかさと甘酸っぱさに満ちた青春像とは無縁だった多くの人間から見た、「高校時代にドラマなどない」「短くてくだらない、良いひとときの積み重ねでできていた」という普遍性がスクリーンから広がっていったことだ。それに、菅田将暉と池松壮亮の頭脳戦だったら、デスノートよりこっちのほうがアタマいいぞ。

10位 デビルズ・メタル

そりゃね、音楽と青春の映画として優れているのは『シング・ストリート』ですよ。ジョン・カーニーがとてもピュアに音楽の力を信じていることも伝わってきましたよ。でもね、鬱屈を創造性に結びつけるの下手クソで、自分で撒いちゃった種を自分で回収するのにいっぱいいっぱいで、それがまぁとにかく見苦しくてみっともない(しかも血みどろ)という本作のほうが、私にとっての音楽と青春のリアリティなのですよ。


次点としては、『帰ってきたヒトラー』『貞子vs伽椰子』『クリーピー 偽りの隣人』『ヒメアノ~ル』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』『ドント・ブリーズ』『手紙は覚えている』『残穢 -住んではいけない部屋-』『ズートピア』『死霊館 エンフィールド事件』等々。あと、ランク付けするのは難しいけど今年の忘れられない映画として、特別枠に『無垢の祈り』も挙げておきたい。

そしてもうひとつのランキングが……

2016年リバイバル映画ベスト10


1位 黒い十人の女(in 角川シネマ新宿/西端100年記念映画祭 市川崑 光と影の仕草)
2位 七人の侍(in 楽天地シネマ錦糸町/午前十時の映画祭)
3位 不思議惑星キン・ザ・ザ(in キネカ大森)
4位 丑三つの村(in シネマヴェーラ渋谷/映画作家・田中登)
5位 犬神家の一族(in 角川シネマ新宿/西端100年記念映画祭 市川崑 光と影の仕草)
6位 2000人の狂人(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)
7位 カリガリ博士(in シネマート新宿/活弁シネマート)
8位 獄門島(in 神保町シアター/本格推理作家の世界)
9位 哀しき獣(in シネマート新宿)
10位 ヘル・レイザー(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)


今年の反省としては、未公開作品に触れる機会がガン下がりしていて、去年のようなランキングが作れなかったことか。それだけレンタル店に行く頻度が減ってしまったということかな、配信に頼ってるということかな……とも思ったのだが、Netflixですらそこまで観てなかったという事実が。劇場中心生活は当面続きそうではあるけど、せっかく毎月1000円近く払ってるんだから、もっと活用せねばなぁ。