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2017年10月24日火曜日

ラウドパーク2017(10月14日編)

帝王と皇帝と魔王と。

LOUD PARK '17
2017.10.14. さいたまスーパーアリーナ



7年ぶりである。
当日会場で過去ポスターを目にしてやっと思い出したが、最後に来た2010年のラウドパークも、2日間参戦だったのだ。あのときは1日目ストーン・サワー ⇒ ハルフォード ⇒ KORN、2日目モーターヘッド ⇒ アヴェンジド・セブンフォールド ⇒ オジーとラストの3ステージを生き延びるの大変だったなぁ……。

と懐かしい気分になりつつ、そういえばさいたまスーパーアリーナという会場は、幕張メッセのオズフェストジャパンやノットフェストより過ごしやすいことにも気づいた。
アリーナの涼しさと上のフードエリアの暖かさのバランスがいいし、必要とあらばホットドリンク(コーヒーのみだが)が買える売店もある。トイレも清潔だし、数が多いからあまり並ばずに済む(もちろんこれはオズフェストやノットフェス自体ではなく、会場たる幕張メッセにお願いしたい課題だ)。

そして何より、アリーナの後方にオフィシャルバーがあり、バッグに入れてさえいればライブエリアに水のボトルは持ち込めるという環境でありながら、床にプラカップやボトルがほとんど散乱していないこと。昔のラウドパークと比べてもかなり床がきれいだ。
エリア出入り口警備はやりながら水規制はしなかったことが良かったのか、それとも開催歴史の差なのか……この辺は他のフェスと比較検討できればなぁ。

あと10年前の07年も1日だけ行きました。
目当てはもちろんマリリン・マンソンで。
  


10年前に観たとき以上にパワフルになっているように思えたANTHEMの途中からライブエリアに入り、ブルヘリアから参戦スタート。
メキシコ産、メンバーは覆面着用で素性がよく分からず(有名メタルバンドのメンバーも所属していたりする)、インディペンデント時代には死体の写真をアルバムジャケットにしていたことがある。治安の悪さと良い感じの胡散臭さがプンプン漂うグラインドコアだ。

「Brujeria! Brujeria!」「Viva Mexico!!」と開演前からコールに包まれてスタート(少し予定時間フライング気味に出てきたように思えたのだが、気のせいだろうか?)。前方エリアとはいえかなり後ろのほうに立っていたのに、あまりの音圧に死ぬ心地。10年前のラウドパークで買った耳栓を持ってこなかったことを早くも後悔した。
歌詞と大半のMCはスペイン語であったため、果たして今言ったことに「イェーーー!!」と叫び返していいものかと逡巡したのか「お、おぉー……!?」とレスポンスが微妙になってしまう瞬間も。数少ない英語MCで聞き取れたのが「世界には災害が溢れているが、最大の災害はアメリカ、ホワイトハウスにいる! ファック、ドナルド・トランプ!!」で、これには割と喝采上がってしまったよ。
もっとも、日本人オーディエンスのスペイン語理解力を考慮してか、コール&レスポンス用に「SI」&「ハイ」「NO」&「イイエ」というカンペを用意してくれる一幕も。

死体と麻薬と政治ステイトメントが満ち満ちているステージだが、時折ふとアタマの悪さ(褒めてます)を覗かせるのがマリファナ肯定系ソング。上記の「ハイ」「イイエ」のレスポンス用カンペも、マリファナに対してイエスというためである。
中にはマッシュルームソングもあったが、「半分人間、半分マッシュルームのモンスターの曲だ!!」と英語MCで言っていたし、プレイ中しばしば謎のポーズ(ちょっと可愛い)を取っていたっけ。

そのマリファナバカ一代の最たるものが、最後の最後にカラオケで流れた、タイトルそのまま "Marijuana" 。しかもコレ「マカレナ」の替え歌なので、それまでブルータルに疾走する音楽だったのが突然能天気なチャカポコ調で、観客も交えて「エーーーーマリワナ!!」と合唱する。この少しの愛嬌で、結構彼らを好きになってしまったよ。

全体的にぽっちゃり系なところもちょっと愛嬌。

昼飯休憩を挟んでオーペス。メキシコのブルータルから一転スウェーデンのプログレへ。
もちろんブルータルなパートはあるが、哀愁と美しさに満ちた静のパートも交えて巧みに世界を構築していく。初っ端から昨年の新譜より "Sorceress" でオーディエンスは妖しい渦に巻き込まれ、"Ghost Of Perdition" の荒々しい導入で熱狂していく。派手にモッシュやジャンプが起きるわけではないものの、みんな心地よさそうにグラグラと揺れていた。

フェスにおけるプログレ系の難点は、曲の長さゆえに数が少なくステージの体感時間が短いこと。ミカエル・オーカーフェルド(Vo)は「時間が少ないからお喋りは控えめにするよ」と言っていたが、ゆったりと話し観客の歓声もまめに拾ってくれるミカエルのMCももう少し聞きたいものだ。やはりフルスケールの単独ライブが一番なのかな。
それでも、静のアルバム『Damnation』(雨の日に聴くと最強だ)から "In My Time Of Need"、それと対を成す動のアルバム『Deliverance』から "Deliverance" という黄金の流れを聴けたことには大感激である。

昔イギリスでメタルTを買ったとき、
オーペスのロゴTを買わなかったことを今頃後悔した。

ちなみに、アリス・クーパーまでの間にちゃちゃっとキューバンステーキサンドで夕飯を済ませている間に、フードエリアをスコットランド民族衣装のバグパイプ奏者おじさんが闊歩していった。ありゃ何者なんだろうとツイートしていたら、後にそのつぶやきをリツイートしていた加藤健二郎さんという方で、しかももはやラウドパーク名物というぐらい何年も演奏している方だそうな。
こりゃそのうちKORNのステージでジョナサンと一緒にバグパイプやるっきゃないっすよ。

「一生のうち1度はステージを見てみたい……でもあまり来日しないみたいだし、そろそろ70だし……」と思っていた魔王が、とうとう君臨する。
前方ブロックにぎゅうぎゅうになったオーディエンスが思いのほか若いのは、そういうショック・ロック界のレジェンドを生で目にしてみたいという後続のファンを多く集めたからなのかもしれない。

そんな我々に、アリスは開演前から睨みを効かせていた……

「引き返そうと思ってももう遅い……奴が来る……!!」
仰々しい口上を経ていよいよこの幕が落ちた瞬間、ただでさえアリス・クーパーのステージが始まるという高揚感が頂点に達しているというのに、私にとってはさらに高揚感が頂点をぶっちぎる瞬間が待っていた。幕開けの曲が "Brutal Planet" だったのだ!!

マリリン・マンソンを軸にロックの系譜を紐解き始めた25年前、一番最初に聴いたアリスのアルバムが『Brutal Planet』であり、冒頭のこのタイトル曲だった。
聴いた途端「コレは本当にヤバいやつだ! この人本当にぶっ飛んでるとしか考えられない!」とさえ思っていた。しかし後になって、当時頻繁に出入りしていたメタルコミュニティで、このアルバムは「モダン・ヘヴィネスに寄ったものの相性は良くない」(もともとアリスの曲は凶悪な演出とミスマッチなほどポップでキャッチーなのだ)とオールドスクールのハードロックファンからの評価が芳しくないことを知り、ちとヘコんだのだった。ということは、今ライブで聴ける可能性はまず無いのかもな……とさえ考えていた。

その矢先にこの幕開けである!! ……まぁ、確かにちょっと最近のセットリストでも調べればすぐ分かることだったが、『Blutal Planet』収録曲に期待を持たせすぎたくないからと調べもしなかった自分にとっては、嬉しすぎる大誤算だったことは分かっていただきたい。
音楽と、ステージ上でステッキを振るうアリスの姿に感激し通しの一時から、続けざまに "No More Mr. Nice Guy" を打ち込まれたときには、ブルヘリアの音圧とはまた違った意味で死にそうになった。
逆にこの曲からの "Under My Wheels" ~ "Poison" とフロアからの大合唱は生きるエネルギーになった。

何が "No More Mr. Nice Guy" だよ!
私みたいなファンにとっちゃ、この流れを作ってくれた時点でナイスガイだよ!


このクラスのベテランアーティスト勢が衰え知らずである理由の1つには、バンドメンバーをちょくちょく若返らせていることがある。アリスのメンバーも私が所有するライブDVDとはだいぶ替わっていて、中でも一番目を引いたのがニタ・ストラウス(g)
ギタープレイもさることながら、佇まいだけで彼女はカッコいい。たまにアリスが背後から髪の毛を持ち上げてイタズラしに来るが、ニタのソロになると彼女を前にぐいぐい押し出したりもする。アリスとしても推したいミュージシャンなのかも。

もう1つ最高に嬉しかったことに、アリスのライブ定番のシアトリカルな演出が思いのほかたくさん観られた。
短いステージだしそんなにギミックはないかもとハードル低めに考えていたが、中盤 "Feed My Frankenstein" で一変。アリスが血のついた白衣姿でB級SFチックなポッドを引きつれてきて、やがてそこから電気と煙とともに大きなフランケンシュタインの怪物(操り人形)が生まれる
"Cold Ethyl" になると本当に「冷たいエセル人形」が出てきて、アリスがそれを引きずったり引っ叩いたり。
"Only Women Bleed" ではとうとう生きたダンサー人形(本物の女優さん演)が周囲を踊って回るが、アリスは彼女をも絞め殺し、謎のガスマスクコンビに連行される。そして用意されたのが……アリスのショーの定番にして一部では悪名高いギロチンである‼︎ 
ドラムロールに合わせて勿体つけながら、遂にガシャンと落ちる刃!
掲げられるアリスの生首(ハリボテ)!
ライアン・ロキシー(g)&トミー・ヘンリクセン(g)リードのもと観客が歌う "I Love The Dead"
そして間もなく "I'm Eighteen" でアリス復活! 首を落とされたのに松葉杖で現れるのはご愛敬! ……いや、DVDでしかお目にかかれなかった演出の数々を生でこの目で拝めるなんて、一体この日だけで何回「死にそう」と思っているんだろう。

最後の "School's Out" では巨大バルーンが頭上に投げ込まれ、お約束のトス合戦が始まる。アリスがステッキで刺すと、割れたバルーンからは紙吹雪が舞い散る。ピンク・フロイド "Another Brick In The Wall" のコーラスも交え、見事オーディエンスを悪ガキに退化させたアリス、最後は紙テープ砲でショーを締めくくったのだった。
確かにアリスもそろそろ70ではあるが、ひょっとするとまた会えるんじゃないかと思うよ。というかまた会いたい!!

さて、魔王は去っていったが、気を抜くのはまだ早い。次にステージに君臨するは、ノルウェーより来たりしブラックメタルの闇の皇帝エンペラーである。
現在のライブは彼らの名盤『Anthems To The Welkin At Dusk』20周年のためらしい。というわけで、アルバムの冒頭を飾る "Alsvartr (The Oath)" ~ "Ye Entrancemperium" という鬼のような轟音疾走ナンバーで暗黒の宴は始まった。
暗黒と言っても、もはやブラックメタル隆盛期当時のコープスペイントを施しているメンバーはいないし、長髪で黒ずくめではあっても比較的主張の少ない外見。イーサーン(Vo/g)に至ってはバンド活動と並行して音楽の先生(授業受けたいです)もやっているので、一見ただの眼鏡をかけた物腰穏やかな紳士である。

しかしこのステージからだだ漏れる「魔」は何だ
イーサーンとサモス(g/殺人罪や暴行罪で服役・逮捕歴あったり、それがもとでライブ入国ができなかったり……よくぞここまで復活した)のトレモロは時に暴力的になったり時に冷ややかになったり、常に空気を黒く塗りつぶし続ける。
タリム(Ds)のブラストビートは、今立っているまさに足元からビキビキと地割れが起きんばかりの威力。
そして、相変わらず禍々しいデスボイスとテノールが響く荘厳なクリーンボイスとで魅了してくるイーサーンのボーカル。
これが皇帝の威厳か……!! と、平伏す代わりにメロイックサインで敬意を表する。

"Thus Spake The Nightspirit" "With Strength I Burn" など『Anthems』収録曲はすべて披露してくれたが、アルバム収録ではないがエンペラー代表曲といえる "Curse You All Men!" "Inno A Satana" も燃えに燃えた。"Inno A Satana" に至ってはまさに悪魔崇拝の賛美歌である。ライブが終わった……というより、黒ミサが終わった気分だった。
分かりやすいバフォメットみたいな悪魔は降臨しなくとも、皇帝の編み出す「魔」はアリーナのあちこちに降りていたさ。

オール・ヘイル・エンペラー。

魔王が来た……皇帝が来た……それでもまだまだ気は抜けない!! 
何故なら最後には帝王がやって来るからだ!! 
そう、スラッシュ四天王の一翼を担う帝王、スレイヤーが!! 
まったく今年は何回ステージに(気持ちだけ)平伏せばいいんだ!!

アリス・クーパーと同様開演直前までステージは幕で隠されていた。その表面に赤い十字架が4つ浮かび上がり、ゆっくりと回転して逆十字になっていく。
さらに逆十字は逆ペンタグラムに変化し、幕の上を漂う。
そしてバーーーンと浮かぶSLAYERのロゴ……からの幕が落ちて "Repentless" で始まる疾走! 完璧なオープニングである。
続けて "The Antichrist" からの "Disciple" でオーディエンスの「God Hates Us All!!!」絶叫も、完璧な流れだった。

年々トム・アラヤ(Vo/b)とケリー・キング(g)の体躯が重量を増していることに少し心配にもなるが(余計なお世話か)、それより何よりそもそも音が重量級。ブルヘリアの音圧に押されるのとはまた異なり、反対側のステージエリアの端からという離れた位置にいても、ドラム/ベース/ギターそれぞれの音が全身ボコボコにぶん殴りにきているようだ。もはや、このライブ自体が巨大な暴力装置なのだ。
……と、物騒なことを言いつつ、トムが話し出すと一気に空気が穏やかになり、オーディエンスに真摯に感謝を示すときにはむしろ仏の顔だったことは明記しておきたい。

前方ブロックに巨大サークルピットができる一方、離れた位置ではデイヴ・ロンバルド(Ds)のブラストビートに合わせるように小刻みにヘッドバンギングしている人を多く見受けられる。確か自分もやっていた気がする。
その様相はヘドバンというよりもはや痙攣に近い。これに似たものをどこかで観たことがあるような気がしたら、『俺たちに明日はない』のマシンガンで撃たれていくときの「死の舞踊」だ。それも、ステージが終わるまでひたすら音の砲弾を浴び続けなければならない。つまり、メタルヘッズには幸せなことこの上ない死に様だ。生きてるけど。
ちなみに私、"Raining Blood" の最中、疲れが溜まったせいか小刻みヘドバンしながら数秒間意識がブラックアウトしておりました。これはスレイヤーにより「数秒だけ死んだ」ということにしといてもよろしいでしょうか……? ラストの "Angel Of Death" で強制的に復活したけどね。

「今年は何回ステージに(気持ちだけ)平伏せばいいんだ!!」と先述したが、それ以上に「今年は何回死にそうになればいいんだ!!」なラウドパーク初日だった。


帝王が帝王すぎてエライことになった。

2015年9月14日月曜日

マリリン・マンソン@サマーソニック2015

大人な師匠の大人げないステージ。

SUMMER SONIC 2015
2015.8.15.QVCマリンフィールド&幕張メッセ

セットリスト
1. Deep Six
2. Disposable Teens
3. mOBSCENE
4. No Reflection
5. Third Day Of A Seven Day Binge
6. Sweet Dreams
7. Angel With The Scabbed Wings
8. Personal Jesus
9. The Dope Show
10. Rock Is Dead
11. Antichrist Superstar
12. The Beautiful People

一つ言い訳すると、サマーソニック中心で書くかマンソン中心で書くか迷って、結果手をつけるまで1ヵ月かかりました。とはいえ、レポート1ヵ月遅れ癖はマッドマックスコンベンションも同じなので、通用しない言い訳ですが。

4年ぶりに帰ってきたぞ!

昼から参戦組ではあったが、夕方くらいまでほとんどの時間は会場めぐりと写真撮影と飯に費やした。フジだろうとサマソニだろうと、夏フェス会場は毎年何がしか変わっていく。そりゃ絶好のフォトスポットはフジには負けるが、いかんせん4年ぶりだし、会場御礼参りの意味もあるんですよ。こっちが勝手に御礼と思ってるだけだとしても。

ちなみに、今回のフェス飯カオマンガイ(タイ料理。蒸し鶏とスープで炊いたお米)ソーキソバ、いずれも美味しくいただきました。とりわけフェス屋台のタイ料理は、なかなかハズレを引かないので嬉しいところです。

↓マリンステージはステージ準備中。日中は完全にフライパンの底だ。
夜になっても蒸し器の底になる程度の差だったけどね。

観覧車まで! マリンフィールド周辺はいつの間にこんなにお祭りになってたんだ……

ちなみに、今年のアイランドステージはアジアンロックフェスである。

屋内も屋内で、知らないうちに豪華になってるような気が……


ウォームアップを兼ねてのステージ観戦は夕方になってからだった。
9㎜ Pallabelum Bulletは2011年のアタリ・ティーンエイジ・ライオットのゲストアクト以来だが、相変わらずパワフル。あのときは「ウォームアップじゃ生ぬるいからバーニングアップで」とテンション高いステージを披露し、それにうっかり燃えすぎるほど全力でついて行ってしまったものだが、すみませんこの日は体力セーブに努めました。
その結果、さほど飛ぶでもなく叫ぶでもなく、グラグラと謎の踊りを踊っていました。

続いて観たジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョンは、ブルースとプログレロックの融合。グルーヴがありつつ変則的なリズムが心地よかったので、PAの後ろのあたりで寝そべって背中全体でリズムを受け止めるという贅沢をしてしまった。BGVがハマーホラー風味なのも好感高い。

ソニックステージも知らないうちにきらびやかになってる気が……


そしていよいよマウンテン・ステージのトリたるマリリン・マンソン師匠である。マンソンといえば、フェスといえども開演予定時刻を10分くらい過ぎるのは当たり前……だったはずなのだがその師匠が! 時間通りに! セットを! 始めた!!! それも久しぶりに荘厳かつ不吉なクラシック音楽で登場して!! 手には『Eat Me, Drink Me』ツアー以来おなじみになりつつあるナイフ型マイク!! 
……『The Pale Emperor』を聴いたときも「師匠大人になったなぁ」なんて思っていたが、時間を守るという意味でも大人になったのだなぁ。何か感慨の方向性が間違ってるような気もするけど、いつものことだから。

そんな感慨も早々に、「Deep Six」「Disposable Teens」という最初の2曲で急激にボルテージを上げたオーディエンス(前方)は、もうバケツの水被ったように汗だく。続く「mOBSCENE」にハットをかぶって戻ってくるマンソンにもまた狂喜し、「Be! Obscene!」のコーラスを叫んだ。

それにしても、マンソンのボーカルに張りが戻ってシャウトも絶好調ということの感動たるや。何でそんな普通のボーカリストなら当たり前のことで感動しなければならないのかというと、2012年の来日のときのダラけた歌唱法である。不調なわけではなくワザとやっていた疑惑が高いし、一体アレは何だったのか。
ともあれ、ミュージシャンとしての評価は、前回来日時よりはマシになったにちがいない。

開演10分前ぐらいの緊張感が一番心臓に悪いです師匠。

しかし、時間厳守やボーカル手抜きしないといった点で大人になったからといって、ステージ上のアティチュードまでが大人になったわけではないのがマンソンのマンソンたる所以。
マイクスタンドを蹴倒す。その場でスタッフさんが出てきて直したと思ってもまた倒す。また直しに来たら、今度はアンプを蹴倒す。「Third Day Of A Seven Day Binge」では、トゥイギー・ラミレズ(g)のアタマをタンバリンでリズミカルに叩いている。「Sweet Dreams」では懐かしの竹馬でステージをのし歩く。

もはや『Dead To The World』(汚物を含む問題映像と問題エピソードだらけの『Antichrist Superstar』期のライブ映像。VHSのみ)でしか聴けないと思っていた「Angel With The Scabbed Wings」を聴かせ、オールドファンを感極まらせた……かと思いきや、「Personal Jesus」直前にサングラスをかけて登場するも歌うより前にポイしたり、「The Dope Show」でトゥイギーに白い粉をぶっかけたり(2012年にはオーディエンスにぶっかけていたけど)。
ステージにおいてクソガキであることこそ、オーディエンスが求めるマリリン・マンソン像。トゥイギー以外のメンバーのキャラクター立ちもなくなり、ますますライブはマンソンのワンマンという印象が強まった。

ただ、バンドのコンディションとは別に、マンソンのステージは常にもう一つの懸念が付きまとう。「本人がご機嫌麗しいか否か」である。
結論から言うと、こちらの懸念は現実のものとなってしまっていた。いわく「昨日(ソニックマニア)の奴らよりおとなしいぞ!!」。マンソンのことだからうっかりすると「もうやめた」と帰りかねないのではと考えているだけに、演奏中のボルテージ高さとは裏腹に曲間は肝を冷やす思いが。
我々(少なくとも前方ブロック組)できる限り騒ぎ散らしてたのですが……ダメでしたか、師匠?

ウィリアム・ブレイクのレッド・ドラゴンを引用しつつ聖書を燃やした「Antichrist Superstar」、黒人ホーン・セクションとパーカッションを導入した「The Beautiful People」はさすがに最骨頂……だったはずだが、バンドの皆様相手に「こいつらは英語分からないから」とオーディエンスをイジっていたので、まだご不満だった模様。

そんな師匠は最後にステージから飛び降り、最前列の皆様に突進……したはいいが、いざステージに戻ろうとしたら上がれない事件が発生していた。慌てて押し上げるセキュリティさんに「頑張れよ、オレそんなに重くないだろ?」と言うが、「最近は健康に気を使ってジムに通っているらしい」という雑誌記事を疑う程度にはそういう体型ではあった……。
ごめん師匠。師匠はご機嫌よろしくないまま(おそらくやってもいいかなと思っていたアンコールもすっ飛ばして)帰っちゃったけど、こっちはちょっとオモシロイ気分で帰っちゃったんだ。

ところで、「The Beautiful People」でステージに来たパーカッションの人、マンソンにドラムを蹴倒されて「あ゛ーーーっ!!??」って顔になってましたね。頑張ってください。それが師匠です。
ちなみに前任ドラマーは師匠にドラムセットごとマイクスタンド攻撃をくらって骨折しました。

師匠ぉぉぉぉぉーーー!!!


そういえば、今回『The Pale Emperor』からの選曲は2つだけで、映画スコアに入った「Killing Strangers」「Cupid Carries A Gun」もPVまで作られた「Mephistopheles Of Los Angels」もなし。
どうかどうか、師匠が単独来日して下さらないものか。どうかどうか、この辺の曲もやって下さらないものか。そしたら今回のステージの倍はしゃぎ立てますから!!!

↓是非とも生で聴きたい「Mephistopheles Of Los Angels」MV。

2014年12月15日月曜日

KNOTFEST JAPAN 2014

デビルズ・カーニバル、日本上陸。

KNOTFEST JAPAN 2014
2014.11.16 幕張メッセ

スリップノットの#6クラウンことショーン・クラハンの初出演作『The Devil's Carnival』('13、日本未公開)。今回のポップで毒々しいスリップノットのステージは、この映画を思い出させるものだった。もっと言えば、この入口からして悪魔のカーニバルを想起させるものだったなぁ。


↓オズフェスト来年開催ってマジっすか!?




会場到着からほどなくして、肩慣らしというには贅沢にしてヘヴィすぎるアモン・アマース。ヨハン(Vo.)の首にはミョルニル(=ムジョルニア)のシンボルが下げられ、水分補給にはペットボトルの代わりに角笛が使われ、北欧神話のバックドロップが背景を飾る。個人的に久しく遠ざかっていたヴァイキングメタルの世界に戻ってきたことを実感させるステージである。
さらに、フォークソングルーツのメロディと北欧神話ベースの詩から成る勇壮なメタルに、約10ヵ月ぶりのヘッドバンギングで全身を任せれば、ますますメタルの世界に帰ってきた感が増す。特に「Guardians Of Asgard」には幸せな気分になれた。それだけに、もっと聴いていたくもあったのだが。
かくして、アモン・アマースという海賊船で、上々の船出で自分のKNOTFESTは始まったのだった。

さて、KNOTFESTというからには、主催はスリップノット。その記念すべきフェス日本上陸を記念、さらに主催者の歴史を振り返るイベントとして、場内(メッセ2階)にスリップノット・ミュージアムが設営された。こちらも毒々しいカーニバルをモチーフにしたデザインながら、紅白テントに運動会とか地域のバザーとか福引会場を連想しちゃったのはここだけの話だ。


歴代ツナギ。洗濯物に非ず。↓



『アイオワ』期のセットリストだ!↓

 連れがいたらここに乗っかって写真撮ってもらいたかったよ。↓




ミュージアムと飯(牛肉フォー)のあとにイン・フレイムス。先のアモン・アマース同様スウェーデン出身だが、こちらは2000年代隆盛のヘヴィ・ロック/メタルコア系サウンドなので、実は当初北欧じゃなくてアメリカと思ってたことも。
比較的メロディック系の曲が多かったものの、やはり北欧メタルに多いヴァイキング/フォークメタルとも、メロパワとも一線を画す音だった。思い切りのタテノリではないものの、オーディエンスもフェス中盤にしてなかなか激しい盛り上がりだったように映った。

一時休憩をはさんでトリヴィアム。ここが本日一番正統メタル色の濃いステージだったんじゃなかろうか。オーディエンスのジャンプ率も上昇してきていた。硬質なギターサウンドからも、マット・キイチ・ヒーフィー(ルーツは山口県だったんですね)の誠実なMCからも、真っ直ぐさの感じられる実に気持ちのいいメタルだった。

オムライスをかき込んで、最後の水分補給をしてから、MAN WITH A MISSION途中観戦。オオカミたちのステージは、ダークカーニバルのヘヴィな見世物小屋といったところか。ちょっと他に比べてヨコノリ感の高い音ながら、オーディエンスがぴょんぴょん跳ねてノッてきているステージの光景は壮観。スリップノットのシドのDJ飛び入り参戦もありました。

それにしても、体力と水分の消費が半端じゃないメタルフェスにおいて、ライヴエリア内に水すら持ち込めない状況は本当にどうかと思いますよ。
来場者の体調管理に関わる問題だし、来年のオズフェストこそどうにかしてもらえませんかね?

ここから本気出しました。↓

自分にとってはいよいよここから本番。2011年のサマソニ以来のKORNである。
やっぱり新譜(実はまだ買ってなかった)の曲からスタートかなと思っていたら、何も知らなければ意味不明なガナリでしかないであろう「Twist」でジョナサンが登場。まさかのセレクトにオーディエンスの熱さもひとしおとなった。ボルテージの高さと、湯気がたちはじめるほどの温度と両方の意味で。そしてその熱気は「Right Now」のシャウトで一気に起爆剤となるのだった。

おどろおどろしく重苦しく、それでいて時に「Falling Away From Me」「Good God」のように哀しさも滲ませるトラウマサウンドは当たり前のごとく健在で、それどころか風格を増しているように感じられる。
そんなKORNの始まりにして頂点たる「Blind」でステージは締めくくられたのだが、ジョナサンとともにオーディエンスが発した "Are you ready?" の雄叫びは、「これからの新しいステップについて来れるか!?」「すべて受け止めるぞ! 準備はいいか!?」という互いの覚悟のぶつけ合いにも見えていたよ。

危うくKORNのステージで燃え尽きてしまうところだったが、真打ちはこれからである。去年のオズフェスト・ジャパン同様、直前までステージを覆っていた幕が落ちると、今まで観てきたどのスリップノットのセットよりも、最も毒々しく大仰な装飾が目に飛び込んできた。巨大な悪魔の顔、その下に広がる出入り口、出入り口に続く階段、そのすべてをきらびやか且つ禍々しく飾るネオン。「ダークカーニバル」と銘打たれたKNOTFESTの真骨頂たるステージである。
#2ポールを亡くし、#1ジョーイもバンドを去ってしまった中、前進を決めたスリップノット。「XIX」で響いた "So walk with me" のオーディエンス大合唱は、そんなバンドについていくと決めたファンの思いとシンクロするものが。そんな思いに浸っている暇もなく、「Sarcastrophe」以降は本フェス最大級の熱気爆発。ステージ両脇のクリスとショーンのドラムセットも、いつになく回転と上下運動が激しく、バンドの気合いの表れのようだった。

しかし、「The Devil In I」のおどろおどろしさや「Custer」の "Cut/cut/cut me up and fuck/fuck/fuck me up" のように新しいアンセムを手に入れたときをさておいて、バンドが新しいフェーズに突入したことを最も実感した瞬間は「Dead Memories」だった。オズフェストのときはポールの喪失を強く感じさせる曲だったのに、今回そのときに#6ショーンのドラムセットに#0シドがよじ登り、ドラムの上に寝そべったり2人でロリポップを交互に食べていたりと、ステージ端で思わぬお遊びが繰り広げられていた。
でも決して余韻をぶち壊すものではなく、バンドの状態が良好だと伝えられているようで、暴れながらも和める様相であった。

パーカッションが高く上がってるの、お分かりいただけるでしょうか。



「Spit It Out」のスワレ→トベ(今回は普通にJump Da Fuck Up!! って言ってましたが)などもはや勝手知ったるイベント状態で、コリィが何か言い出す前から一部エリアではオーディエンスがしゃがみ始める。アンコール後の「(sic)」「People=Shit」「Surfacing」は前回と同じ流れながら、もう皆暴発せずにはいられず、サークルピットも出現する勢い。
KORNにしてもスリップノットにしても、本来なら「ベテランの域に達した」と言ってもいいキャリアだし、実際風格が備わっている。しかし、両者ともそんな落ち着きのある表現では到底測れないほど、勢いが止まらない。このエネルギッシュさと、登場した瞬間空気がそれまでと変わる威厳とを表すとしたら、もう「神がかっている」としか言いようがない。

#8コリィはステージの最初から最後まで、オーディエンスに深々と頭を下げ続け、「アリガトウ」と言い続けていた。日本初のKNOTFEST成功の感謝/誠意のお辞儀ではあったが、我々こそコリィの誠意に、スリップノットに、そしてすべてのKNOTFEST出演バンドにどこまでも感謝しなければならない。ダークカーニバルの日本席巻、楽しみに待っておりますよ。


2014年1月20日月曜日

メイヘム@代官山UNIT

(代官)山の魔王の宮殿(ライヴハウス)にて。

MAYHEM Special 30th Anniversary Japan Tour
2014.01.16. 代官山UNIT

セットリスト:
1.  Silvester Unfang
2.  Pagan Fears
3.  Buried By Time And Dust
4.  Deathcrush
5.  Ancient Skin
6.  My Death
7.  A Time To Die
8.  Illuminate Eliminate
9.  Symbols Of Bloodsword
10.  Freezing Moon
11.  Carnage
12.  De Mysteriis Dom Sathanas
13.  Pure Fucking Armageddon


ファンならだいたい知ってる、「ユーロニモス殺害事件」だの「デッド自殺事件」だのメイヘムの過去の事件や、90年代初期のノルウェー・ブラックメタルにまつわるサタニズムや事件のあれこれ。
2010年に彼らが来日する際、「こういうバンドなんですよー」と相手をビビらせたい半分でその話をしてまわってたところ、「もう次に誰が死んでるか分からないんだから、観にいってきなよ!」と逆にヘンな形でレコメンドされました。
そんなアホ歴史を振り返ると、とりあえずノルウェーの方角に頭下げといたほうがいいのかな、自分。

2010年のクラブクアトロに比べると狭めの会場になり、そこそこ前方を陣取ったので、幸運にも結構な近距離でメイヘムを見られることとなった。
まずはゲストのDefiled。メイヘムとは親交があるらしい。自然と首の縦揺れが増してくる心地いいデスメタル(……矛盾?)だったが、みんな本番にそなえて動きをセーブしているので、フロアではそこまで激しいアクションは見受けられず。そんな中、真ん中で5人ぐらいがモッシュピットつくったりダイブ&キャッチをくりかえしているのが微笑ましかった。Twitterを読んだ限りでは、「気になっていたバンドなので生で聴けてよかった」「カッコよかった」等、好意的でしたよ。

きちっと定刻通りに始まったDefiledのステージ終了から、オーディエンスを待たせること47分。そういえば前回来日時も、ゲストのステージが終わってから相当待った覚えが。ともあれ、ロウソクに火ともす演出なんかも入りながら、もったいつけにつけまくってメイヘム登場!!

ちなみにこちら↓のロウソクは和ロウソクらしいぞ!


1stの中ではもっともスラッシュなノリの「Pagan Fears」のイントロが轟くやいなや、一斉に前方へ猛攻するオーディエンス。
突進した先には、白塗り血糊塗りメイクでイッちゃってるアッティラ(Vo.)大魔王の顔面が待ってるのだが、それすらファンには嬉しい限り。頭蓋骨模型を片時も手放さず、両手を怪しく動かす仕草は相変わらずだ。2010年の来日時に比べると、若干ふっくらしてて、テンポアップした際のノリノリ度が上がっているように見えた。
逆にネクロブッチャー(B)は、2010年に見たときに比べて少しマッチョになっていたような。だから一人だけ上半身裸になってたのだろうか……?

前回遠すぎてまったく姿が見えなかったヘルハマー(Ds.)は、ぐっと近くにきたからよく見えるかと思ったが、座る位置が低いうえ要塞のようなドラムセットに隠れがちで、結局あまり姿が見えなかった。ステージの間、ずっとアッティラとネクロブッチャーに気を取られすぎていたせいもあるのだが。それでも、伝説の豪速ブラストビートを腹に響く距離&音響で体感できた嬉しさが勝るというもの。
最後に前に出てきたときには、涼しい顔してドラムスティックをプレゼントしていたし、超人健在である。

「Deathcrush」のリフが鳴り響くと、オーディエンスの跳びはねる率が上昇。まだスラッシュメタル影響下の色濃い『Deathcrush』EP収録曲は、自然とオーディエンスが暴れる度合いが高まってくる。
このとき、小規模ながらもモッシュピットができたりクラウドサーフィンがあったことに、後に「ブラックメタルにモッシュやダイブなんて……」と苦言を呈するツイートが多々見受けられた。いわく、ブラックメタルはライヴでモッシュやダイブをするものではないとのこと。
実際モッシュを禁止するブラックメタルバンドもあり、メイヘムもごく初期に「No Mosh」を掲げていたことがあるが、現在メイヘムからモッシュ禁止令が出ているという話は聞いていない。
個々のファンの間で価値観の齟齬が発生するのは、問題とはいえ致し方ないのだろうか。(ちなみに私は、モッシュやダイブをする人ではないけど、モッシュやダイブの発生自体は構わない派です)

ただ、クラウドサーフィンしてステージに辿りついたファンが、アッティラに押されてみんなの頭上へ送り出され、それをネクロブッチャーが笑いながら見ていたことを思うと、本気の笑いであれ呆れ笑いであれ、バンドにしてみればモッシュもダイブもまだ「笑って済まされる話」なのではないかと。

疾走曲もイイが、「My Death」や「Illuminate Eliminate」の静かな狂気もやはり浸り心地がいい。特に、「My Death」終盤ギターソロの妖しさは絶品。1stの名曲「Freezing Moon」に至っては、ボルテージアップとリフの妖しさの相乗効果に加え、ボーカルの邪悪さも加わって、凍りつくと同時に燃え上がってました。
ラストのブラストが始まるポイントで、アッティラが「イチ、ニ、サン、シ!!」って煽ってきたのはちょっと意外な気もしたが、この日のノリの良さを思うと何となく納得。4年前の大阪公演でも、「オオキニ!!」って言ってたらしいし。

それにしても、アッティラのドスの効いた(?)デスボイスの迫力は相変わらず。その気になれば人間の1人や2人呪い殺せそうなぐらい。クリーンボイスで歌うパートも、良い具合に気色悪い。私が勝手に「大魔王」という肩書をつける所以です。
欲をいえば、終盤の唸り声があまりにも人外魔境な「Anti」がまた聞きたかった。せっかくアッティラが正式ボーカルとして迎えられて制作したアルバムだというのに、『Ordo Ad Chao』からの選曲が「Illuminate…」しかなかったのはなぜだろう。

「Carnage」で再び熱い空気を呼び起こしたのち、「De Mystriis Dom Sathanas」で再び冷ややかな空気を吹き込み、最後は鉄板の「Pure Fucking Armageddon」。この曲がくるとライヴも終わりなのだということは、近年のセットリストを見ていれば分かる。
それでもなお「メイヘム! メイヘム!」とコールは続き、オーディエンスはなかなかフロアをあとにしなかった。そりゃもっと見ていたかったさ。

結成から30年、バンド史に積み重なった痛ましい事件を経て、今もなおブラックメタルの重鎮であることを、すでによくよく知ってはいるけどさらに上書きする形で実感させてくれたメイヘム。そろそろ、ライヴだけじゃなくて、スタジオアルバムのほうでもカリスマ健在をガシガシアピールしていただきたいところなのですが……どうなんでしょうか、アッティラ大魔王?

大魔王の威厳と呪詛オーラは、手ブレに阻まれましたが……


 またここに戻ってきてくれよ。出来ればアルバム引っ下げて。


2013年5月26日日曜日

オズフェスト・ジャパン2013(5月12日編)

伝説、降臨。

OZZFEST JAPAN 2013
2013. 05. 12. 幕張メッセ

今回3万円近いチケット代を出したモチベーションの大半は、この日のヘッドライナーにあるといっても過言ではない。
5月5日のハリコンまで、まさか生きているうちに生でフレディことロバート・イングランドに会えるとは思ってなかったのだが……まさか生きているうちにヘヴィ・メタルの始祖、ブラック・サバスを拝めるとも、この日まで思っていなかった。

ところで、この日は昨日に比べて会場にゆとりがあるような気がしたのだが、まさか昨日の来場者の多くはももクロファンだった……ってこと?

昨日のマキシマム ザ ホルモンをフェスにいてくれると嬉しいバンドといったが、ホルモンとはまたちがうタイプでフェスにいてくれると嬉しいバンドがスティール・パンサー
一時期のモトリー・クルーを彷彿させる出で立ちで、「明日の夜にはパーティーに行くんだ!」(Tomorrow Night)「オレの心はお前のものだけど、オレの○○○は公共財産なんだぜ」(Community Property)みたいなきらびやかで良い感じに下品なメタルで沸かせてくれる。

音楽と同じくらい気合が入っているのがMC(別名スティール・パンサー劇場といいたい)。いちいち下ネタを交える、というか下ネタに曲紹介が混ざるといったほうが正しい。しかも「カノジョヲガクヤニヨコセ!」「デブ・リー・ロス、ガチデブ!」「オッパイミセロ!!」と、誰が教えたんだとスタッフさんを問い詰めたいような日本語MCまで。ここまで日本語下ネタMCに詳しいバンドは、あとゼブラヘッドぐらいかもしれない。
ちなみに、「オッパイミセロ!!」といわれて、本当にどなたかがおっぱいを出したらしい……。

↓スティール・パンサー絶好調(下ネタ込み)。

スティール・パンサーに続いて人間椅子がステージに立つと、下品なほどに明るいLAメタル風の世界から一転、ヘヴィで妖しい空間が。袴にたすき掛けや坊さんの袈裟みたいな格好の彼らが、江戸川乱歩や横溝正史、あるいは日本の怪談話風の世界観を鳴らす様相を見ると、「オズフェストよ、これが日本のメタルだ!!」と、お前何様かというほど誇りたくなる。オーディエンスからも「人間椅子!」コールが沸いていた。
和嶋さん(Vo./G)が「平成とともに歩んできた人間椅子、これからも気持ちの悪い曲を作っていきます!!」と高らかに宣言し、まさしくその気持ち悪い曲代表格の「人面瘡」になだれ込む瞬間がベストだった。

昨日のスリップノットからコリィ・テイラー(Vo.)とジェームズ・ルート(G)が続投のストーン・サワー。2日連続しかも異バンドで出るぐらいこの人たちなら余裕でこなすに決まってる……と知っていながらも、コリィの笑顔と、「コンニチワ、トーキョー!! コンバンワ、トーキョー!!」という相変わらずの挨拶に安心する。
「Gone Sovereign」で早速ヘッドバンギングが始まり、「Absolute Zero」の「♪イェエエエエエエ」コーラスをシンガロングするオーディエンスのノリ、コリィにも満足していただけた模様。昨日のスリップノットに続いて「歌を手伝ってくれ」と呼びかけられた「Say You'll Haunt Me」のコーラスと雄叫びにも、一同めいっぱいのボルテージで応える。

「Bother」~「Through Glass」の哀愁漂うアコースティックナンバーも想像以上にキマり、最後は「30/30-150」で再びの大暴れ。スリップノットにしろストーン・サワーにしろ、「また戻ってくる、約束するよ」というコリィの宣言が嬉しいところだ。

ここで休憩タイムを挟みつつディル・アン・グレイ。'10年のラウドパークで観たときも、音楽性がずっとヘヴィになったし京(Vo.)もグロウルが凄まじくなったなぁと思っていたら、今回はグロウルだけじゃなく、ヒステリックな甲高い叫びや気持ち悪さ寸前(褒めてます)のファルセットボイスまで網羅。奇妙なステージデザインといい複雑さを増した音楽性といい、うっすらプログレ寄りになってきたような。

それよりももっともっとプログレどっぷりなのが、次のTOOL。タイムテーブルから5分だけフライングして、18時に始まった。
メンバーは相変わらずさほど前に出ず、シルエットぐらいしか分からない。とはいえ、2m近くあるでっかいダニー・ケアリー(Ds.)と、小柄で何かと奇抜な格好の多いメイナード・ジェームズ・キーナン(Vo.)はすぐにわかる。まぁ、今回のメイナードさんは6年前と同じ付けモヒカンながら、ちゃんとTシャツなど服は着ているので、今までのパンツ一枚とかブラ着用とか顔面ペイントとかに比べれば普通といえるだろう。
しかし、'07年の単独来日のときにも目撃した、謎のカクカクした横揺れダンスは健在。狂気じみた民族舞踊というかペンギンダンスというか、あの動きだけで「コイツはヤバい」感を溢れさせるのだから不思議。
ちなみに、メイナードさんの第一声は、無愛想な「オハヨウゴザイマス」だった。

TOOLはその特異で複雑な音楽性からいって、メタル系のフェスでよく見るヘッドバンギングやモッシュやジャンプなどとは縁が薄い。しかし、その音ひとつで、あるいはメイナードの美声ひとつで、オーディエンスを聴き入らせる力があることは疑いようがない。
特にダニーのドラムは、横隔膜をビリビリさせるほどの迫力。オーディエンスが派手に暴れる光景こそなかったが、どれほど人を惹きつけていたかは曲間の歓声が物語っている。

音楽に次いでTOOLの世界観を構築しているのが、スクリーンに映し出される映像(MVの映像も込み)。むき出しの人体(またはそのパーツ)やスパイラルや幾何学模様は、やはり万人受けからは遠く、コアなファンは喜ぶ。実際、私の少し手前の女子勢が「うっ……」となっていた。フロア後方にもドン引きした方々が少しでもいればいいなぁと、妙な意地悪精神が持ち上がる。

しかし、レーザーとスモークを多用し、ラストを飾った「Stinkfist」のエンディングを引っ張り、紙吹雪爆弾で幕を下ろすのは、TOOLにしては珍しく分かりやすい派手な演出。いつもはずっとステージ後方にいるメイナードさんが、ステージ最前に出てきてピースサインしてお辞儀するのは、もっと珍しい。
オズフェスト仕様の対応だったのだろうか。何にしても、あまりに貴重な光景に、観ているこちらは感動すら覚えてしまったのだが。

↓妖しさまでは撮れない。

始祖が。神が。伝説が。遂に日本の地に降臨する。
オジー・オズボーン(Vo.)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)という限りなくオリジナルに近い布陣のブラック・サバス。ビル・ワード不在は残念だが、このメンバーがそろって来日、しかもオズフェストのヘッドライナーをつとめるなど、メタル史上の事件。
私自身はオジー単独のステージは'10年のラウドパークで体験済みだったし、そのときの「ロック・レジェンドを目撃した!」という感動も半端じゃなかったのだが、そこにアイオミのギターとギーザーのベースが加わると、オジー単独以上に別格の感動がある。周辺からも、開演直前には「いよいよか」「ついに来たよ!」と期待のつぶやきがあちこちから聞こえていた。

「War Pigs」で幕を開けるやいなや、シンプルにしてズシンと重い、CDの世界で何度となく聴いてきたサバスの音がそこにあった。そしてオジーの独特なボーカルが入れば、もうまぎれもない伝説のブラック・サバス。それでいて、ディスプレイに映る近年の戦争/テロ事件の映像に、この曲の普遍性を再認識させられる。
このときのオーディエンスのシンガロングの響きは、当日最大レベルだったんじゃないかという気さえする。

ちなみに、オジーは3年前と変わらず動きがヨタヨタしていて、手拍子のリズムもなんか遅かったりしたが、もはやヨタってもズレてもカッコいいという特権があるので問題なし。オジーが天然なぶん、アイオミとギーザーがしっかりしてるしな。

サバスのステージ中は常に「今、伝説が目の前に!!」という興奮と感動が溢れ返っていたのだが、とりわけそれが強まった瞬間は、やはりすべての始まりたる「Black Sabbath」(黒い安息日)が演奏されたときだろう。一番単純でキャッチーにして暗黒・陰鬱・不吉なリフと、サタニズムほぼ直結のリリック。後のヘヴィ・メタルに脈々と受け継がれる要素の多くは、ここに詰まっているのだ。
「Black Sabbath」も素晴らしかったが、ギーザーのベースソロに始まり、"My name is Lucifer, please take my hand" が好きなフレーズでもある「N.I.B.」も個人的ベストモーメントだった。
↓伝説の瞬間最高峰「Black Sabbath」!!!

 「Iron Man」(トニー・スタークに先駆けた元祖アイアンマンはこちらですよ!!)に続いて、最新アルバムに収録される「God Is Dead?」がプレイされる。1stアルバムを想起させるドゥーム色が強い曲で、アルバム『13』への期待値を高めずにはいられない。
本編を「Children Of The Grave」で締めくくったあと、アンコールでアイオミが「Sabbath Bloody Sabbath」(血まみれの安息日)のリフをつま弾いたので、まさかそこにいくのかと思いきやそうではなく、やはり最後は「Paranoid」だった(今じゃ「血まみれの安息日」のキーにオジーの声が追いつかないもんな)。合間合間に一斉にジャンプが起きるものだから、フロアに一気に波が立っていた。
偏執狂の男の独白がこんなにも人を沸かせるのは、やはりサバスの力かもしれない。

↓アイオミが!!!
↓オジーが!!!!

メタル的猛暑が到来した2日間のあと、オフィシャルのオズフェストアカウントが「また日本で開催してもいいかな?」とツイートしていた。
またも何も、やるならいっそ毎年の春のメタル風物詩にしてくださいよ。そしてその暁には、1日目のレポートに挙げたようなポイント含め、運営側にいろいろと改善していただきたいです。

2013年5月18日土曜日

オズフェスト・ジャパン2013(5月11日編) 

伝説よ起きてくれ。

OZZFEST JAPAN 2013
2013. 05. 11. 幕張メッセ

ロックファン、特にメタルファンにとっての伝説。メタル、ハードロックの最高峰の一つたるロックフェス、オズフェスト。
それが日本で開催されると聞いて、心が躍るどころかモッシュピットにならないわけがなかった。
しかし、ヘッドライナークラスの出演アナウンス以降は、「それもオズフェストに出すの?」という疑問の残るアーティスト発表で、一転暗雲が立ち込めた。
実際のところ、オズフェスト・ジャパンにまつわる嫌な予感は、出演アーティストとは関係のないところで現実になったのだった。

土曜日当日は雨だというのに、傘はメッセ内持ち込み禁止。(つまりクロークにすら預けられない)
相場500~700円のクロークが1000円。その割に、受け取りに行くために屋外へまわらなくてはならない。(日曜なら大した問題ではなかったかもしれないが、この日は雨で冷え込んでいた。来場者の多くはヘッドライナーのステージ直後で汗だくのままだ)
たいていのフェスでは水のペットボトルのみ持ち込み可のライヴエリアに、飲み物が一切持ち込めない。(メタル系フェスともなれば水分補給は必須だ)

思うに、オズフェスト・ジャパンの主催側は、フェス運営の経験に乏しかったのかもしれない。
しかし、フェス黎明期ならともかく、以前同じ場所でラウドパークが開催されていたとあっては、前例があるのになぜこのようなことになったのかと指摘されてもいたしかたない。Twitter上でもこの手の苦情つぶやきを入れたのだが、メールフォームなど直接主催者に訴える手が目下見当たらない。どうすればダイレクトに伝えられるのだろうか……。
ただ、運営には難が多々あったものの、ステージは常に最高の状態だったのは本当に幸い。

↓ぎゅうぎゅうのフードコート。 
↓デスボイスカラオケは正直楽しかったです。
巨乳まんだら帝国の教祖様の「Enter Sandman」良かったです。

マキシマム ザ ホルモン待ちの間、今回出演が最大の物議を醸したももいろクローバーZも自動的に聞くことになった。
メタル系フェスにあえてアイドルを呼ぶことは、主催者側の気合や冒険心が感じられれば面白い試みに思えたのだろうが、正直そのへんが伝わってこなかったので、営利目的のほうが強いのではとマイナスイメージのほうが強まってしまった。
とはいえ、ステージの全力投球ぶりとフロアの盛り上がりぶりは、どう見てもアウェーな空間でよくぞやったとは思う。この手のアイドルの好き嫌いはあるものの。

ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)いわく、「オズフェスにスリップノットとMAN WITH A MISSIONとホルモンの名前が挙がったとき、『被り物が3組かよ!』ってつぶやきがあった」らしい。つぶやき主は何をもってホルモンを被り物ジャンルに入れたのだろうか。ギラギラ感だったら、オーディエンス込みでみんな被ってたけどね。
マキシマム ザ ホルモンは厳密にいうと純正メタル/ハードロックではなく、様々な音楽性のミクスチャー。しかし、オーディエンスがそろって激しくヘッドバンギングし、モッシュもいたるところで発生する様子はメタル系フェスに組み込んでも違和感なし。というより、ホルモンはフェスにいてくれると嬉しいバンドなのだ。

激しく重い音と激しいオーディエンスだけでなく、「三度の飯より!!」「飯が好き!!!」コールや、恋のおまじない「麺カタ……こってり!!!」もキマっていた。ダイスケはんのMCで「君たちは人間じゃありません! 今日この記念すべきフェスの初日に来た、ロックモンスターです!!」って、人間じゃないと言われてこんなに嬉しいこともない。
ところで、私ヘッドバンギングの最中、どなたかの背中に頭突きをかましてしまったことをおぼろげながら記憶しております。申し訳ありません。

ホルモンで思いのほかぐしゃぐしゃになってしまったので、ブラック・ステージヘッドライナーのスラッシュは休憩しながら鑑賞。しかし、ときどきガンズ・アンド・ローゼスのナンバーをやってくれると、つい反応してしまう。個人的には、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーの「Slither」までやってくれたのが嬉しい。ラスト「Paradise City」には大合唱が巻き起こった。


そしていよいよ、5年ぶりの来日公演となるスリップノット。#2ことポール・グレイ(B)が亡くなってから、初めての来日公演でもある。
白い幕に覆われたステージに響く、場違いな50~60年代ポップソング。その曲がレコードの針が飛んだように「Left Behind」というフレーズしか繰り返さなくなり、スリップノットらしい不気味さを醸し出す。
「Disasterpieces」のイントロとともに幕が落ちると、白地に血の飛び散ったツナギでそろえたメンバー9人の姿が現れた。ポールの穴を埋めるベーシストはいるが、それでもポールの不在という喪失感は強く残っている。しかし、喪失感も含めたすべてをかけて燃え上がる気迫のほうが強かった。その気迫に、「病んでいるとき人々は騒音を生み出す」(Disasterpieces)に始まり、「オレの狂気を解放しろ」(Liberate)へと続く流れは完璧だった。

#8コリィは例によって、「トーキョー、サワゲ!!!」「テヲアゲロ!!」「トベー!!」とオーディエンスを煽りまくっていたが、コリィに言われなくともフロアは後ろのほうまで飛び跳ねていた。レスポンスや叫びだけじゃなく、「Wait and Bleed」などのシンガロングも強力。ステージから上がったスモークやパイロは、オーディエンスの興奮を代弁するかのようだった。

そんな中でも、「Dead Memories」のイントロではなぜか突然ポールのことを思い出して泣けてきてしまった。紙吹雪が舞う中での「Gently」にも、その美しさがスリップノットらしからぬような、ふさわしいような、不思議な感動があった。
「Duality」ではコリィがポールへの言葉を述べ、「君たちに歌を手伝ってほしいんだ」と呼びかけた。エリアに響き渡ったコーラスは、スリップノットにしっかり届いてくれただろうか。

↓ステージに掲げられた②。それだけで様々な思いが。



本編ラスト「Spit It Out」のしゃがんでからのジャンプもキマり(今回「スワレー」はなかったな)、アンコールは「(sic)」→「People=Shit」→「Surfacing」と、どこがクライマックスでもおかしくない怒涛のセットリスト。バンド、オーディエンスともに、最後の力を出し切っていた。
「Fuck it all! Fuck this world! Fuck everything that you stand for!!」(Surfacing)の雄叫びは、間違いなくこの日のベスト・モーメントでした。


素晴らしいステージと、運営にあたって多くの課題をもってスタートしたオズフェスト・ジャパン。
やがて春のメタルフェスとして定着し、「第一回の初日は会場ゴタゴタだったなぁ」と笑い話になるときはくるのだろうか。
「え、お前あの伝説の第一回行ったの!?」なんて、いつかは言われてみたいという野望も密かにあったりしますよ。