2011年12月31日土曜日

ペイン/You Only Live Twice

偏屈(?)男、大いに遊ぶ。

PAIN
You Only Live Twice('11年)



ペインを実質ワンマンで動かしているのは、ピーター・テクレンというスウェーデンのアーティスト。
ピーターの写真を初めて見たのは、ペインの5thアルバム『Psalms Of Extinction』のジャケット写真だった。

問題のお写真はこちら↓

目つきの鋭い三白眼、きっちりとオールバックにした髪型、不機嫌そうに結ばれた口……
この写真から受けたピーターの印象は、「偏屈な賢人」だった。
しかし、ひとたびペインの曲を聴けば、偏屈どころか誰よりも柔軟な感覚の持ち主であることが分かる。

ピーター・テクレンは、もともとヒポクリシーでデスメタルをやっている。ペインではそれとは打って変わって、シンセサイザーを多用したキャッチーなロックンロールだ。ヒポクリシーの範囲ではできないことを思う存分やるプロジェクトとも考えられる。
近年は、シンセよりもギターが前に出たフィジカルなサウンドという印象だったが、このアルバムは久々に冷やかなシンセの音に覆われ、全体的にサイバー色が強くなっている。
それと同時に、スラッシュメタル、ロックンロール、ダンスビートなど、さまざまな音楽のテイストが取り込まれている。この引き出しの多さが、ピーターの柔軟性の表れといえる。
特に異色なのがM5「Dirty Woman」。リフはヘヴィな北欧ロックといった雰囲気だが、ボーカルがAC/DCのブライアン・ジョンソンを彷彿させる、渋い酒焼け風の声になっている。デスボイスもクリーンボイスもカッコ良く操るピーターだが、この手のボーカルには、ヒポクリシーでもペインでも今までお目にかかったことがない。
こうした音楽性の自由さがペインの魅力であり、ピーターがペインを続ける醍醐味なのかもしれない。

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