2012年10月30日火曜日

ハロウィンⅡ(2010)

かぞくがいちばん(死んでるけどね)。

ハロウィンⅡ('10)
監督:ロブ・ゾンビ
出演:マルコム・マクダウエル、ブラッド・ドゥーリフ



家族愛。日本人がやたら好きなテーマ(海外がどうかはよく分かっていません)。映画業界も家族愛を売りにしたがる傾向に。
というわけで家族愛好きの皆様、こちらも立派な家族愛テーマの映画ですよ。観ててもあまりほっこりしないし、血みどろだし、やたら人死ぬけど。

ハロウィンの夜、殺人鬼マイケル・マイヤーズは妹ローリーの手で葬られたはずだった。しかし、遺体を運搬する最中に輸送車が事故に遭い、運転手らは死亡、マイケルは行方不明に。
それから1年後。トラウマを抱えたローリーは、事件のあったハロウィンの日が近づくにつれ、マイケルの悪夢に怯えるようになる。ルーミス医師はマイケルについての著書を出版し、講演で多忙な生活を送る一方で、事件の遺族に売名行為と糾弾されていた。
そして、姿をくらましていたマイケルは、母親の幻に導かれ、再びハロウィンの日のハドンフィールドへと向かっていた……。

前作『ハロウィン』で、後半のスラッシャーパートに「ロブ・ゾンビのオレオレ度が低めでちょっと物足りない」と注文つけた身なので、そのオレオレじゃないパートをいっそう引き延ばした本作のほうが、どうしても前作以上に物足りなくなってしまうもので。
もちろんスラッシャーホラーとしては優等生級なのだが、ロブ・ゾンビの場合、優等生になるよりも、多少ごった煮状態でも我が道を爆進していただいたほうが面白くなりそうに思える。

また、一番オレオレが炸裂していたキャスティングについても、相変わらずホラー好き的に濃い面々がそろっているのだが、だいたいが前作からの続投なので、これまたどうしてもサプライズ感が減ってしまうもので。嫁さんシェリ・ムーン・ゾンビの魅せ方にも気合が入っているが、個人的には彼女はああいう幻想的な存在よりも、生身の人間として存在し、ちょっと下品な魅力を振りまくほうが素敵なように思える。

そんな中、『悪魔のいけにえ2』のDJストレッチことキャロライン・ウィリアムズがいたのは嬉しい限り。
また、ローリーたちのパーティー仮装が、『ロッキー・ホラー・ショー』のフランクとマジェンタとコロンビアというあたりにも、ロッキー・ホラー中毒者としてニヤリ。

前作では、人間としての背景に肉付けはされたものの、心はほとんど空洞のままだったマイケルだが、今回ロブはマイケルの心にもいくぶん肉付けをしたらしい。
それは、マイケルの原動力が「愛する家族の再生」ということ。思えば、前作でマイケルの母が家族のためにストリップクラブで踊るときに流れる曲「Love Hurts」が本作の締めくくりになるのは、「家族愛」が一貫したテーマである印の一つ。マイケルの過去と同様に、評価が割れるポイントだが、そこへ踏み込む冒険心と意欲はやはり買い。
当然だが、一般的な意味での暖かさや涙に溢れた家族の再生物語ではない(涙はあるけどね、違う意味で)。現に、ラストはバッドエンドとハッピーエンドの狭間のよう。スカウト・テイラー=コンプトンは、あのラストショットのためにローリー役に起用されたのではと勘繰りたくなる。

家族愛をテーマに持ってきながら、普通の家族観とはだいぶ違ってひねくれているあたりでは、ティム・バートンのノリに近いものがある。ロブもまた、「こんな素敵な嫁さんいるけど、オレ普通の家庭人にはならないもーん」アピールの人なのだろうか。

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