2012年10月12日金曜日

ウェンズデイ13/トランシルヴァニア90210

B級ホラーの友。

WEDNESDAY 13
Transylvania 90210  Songs Of Death, Dying, And The Dead('05)



ハロウィンシーズン、毎年「無いんだろうけどなぁ」と思いつつ、つい探してしまうお菓子がある。棺桶ケース入りの人骨型キャンディである。
なんでも、頭蓋骨、肋骨、大腿骨など頭から足先まで骨格がそろっているらしい。「らしい」というからには、私自身はそんなキャンディにお目にかかったことがないわけであって。特に思い出もないわけであって。
そんなものを何で探しちゃうのかというと、「キャンディの骸骨を組み立てたら、そいつが生き返って、引き出しからナイフ持ってきて『何を待ってんだよ、オレのために殺しちゃえよ』と言った」なんて素敵にホラーでチープな空想を歌にしちゃった男がいるからですよ。

お名前はウェンズデイ13。スリップノットのジョーイと組んだプロジェクト、マーダードールズが有名。昔は、フランケンシュタイン・ドラッグ・クイーンズ・フロム・プラネット13という長ーーい名前のバンドをやっていた……と、ご本人のステージネームやバンド名からして、むせ返りそうなほどB級ホラー臭が漂うお方。
もちろん曲名や歌詞もB級ホラー色豊か。M5「House By The Cemetary」とかM13「The Ghost Of Vincent Price」とか、いちいちネタが分かる人がいたら友達になりたい感じの。
中でもM7「Haunt Me」が一番直球のハロウィンソング。「ハロウィンにはホラー映画(もしくは『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』)だ! それに付き合ってくれる友達はいないけど!」な同志に発信しているように思えるのは自分だけだろうか。

B級ホラーと同じくらいウェンズデイが影響を受けたのが、元祖ショック・ロッカーことアリス・クーパー。音楽自体はキャッチーながら、クセのあるボーカルとビジュアルがポップかつ毒々しいというアリスの特色は、ウェンズデイにも当てはまる。
キャッチーなロックンロールに乗っかったB級ホラーな歌詞は、チープな血糊みたいに毒々しくも鮮やか。それを歌い上げるウェンズデイのボーカルがまた、しわがれてはいるがデス声ってほどのドスや獰猛さもなく、何とも親しみやすいモンスターのよう。「親しみやすいモンスター」って一見矛盾してるようだけど、ある程度のホラー好きって、ゾンビや殺人鬼キャラのファンだったり「可愛い」なんて形容詞を使えたりするんですよ。ホントに。

そんなノリなので、「お前なんか大っ嫌いだ、死んじまえ!」「神様なんてウソだ!」「大統領に死を!」なんて少々物騒な歌詞も、可愛げのほうが勝るうえに一緒に歌いたくなるほど。実際、'05年の来日公演ではみんな一緒に歌っていた。
でも、本国アメリカで毎年のようにやってるハロウィンライヴは、もっとハイボルテージなんだろうなぁ。羨ましい限り。

ちなみに、「I Walked With A Zombie」に使われているのは、ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』('68)の映像。ついでに、曲タイトルも『私はゾンビと歩いた!』というRKOホラーから。ロメロ以前のゾンビなので、ブードゥーとの繋がりが深く、半死人だけど腐ってもいなければ人間を喰ったりもしない。むしろ美女。だからゾンビは大して怖くないんだけど、ブードゥーの案内人の異常なギョロ目&無表情の黒人には、暗がりで遭遇したくない人No.1に急浮上するほどギョッとしましたよ。


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