2012年1月13日金曜日

モンティ・パイソンズ・スパマロット(サウンドトラック)

相変わらず、聖杯はどこへ消えた

JOHN DU PREZ & ERIC IDLE
Monty Python's SPAMALOT Original Broadway Cast Recording



ただでさえやりたい放題で、人々をナメくさった『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を再構築してミュージカル化。
普通の人ならあまりやりたい仕事じゃなさそうだし、たとえやる気があったとしてもパイソニア(=モンティ・パイソンのファン)からボロクソに怒られる覚悟が必要。
ただ、仕掛けた張本人が、ほかならぬパイソンズのエリック・アイドルだとしたら話は別だよ。

お話の基本は、さすがに元ネタの『ホーリー・グレイル』と大差ない。
イギリスのアーサー王が、神の命を受けて、円卓の騎士たちとともに聖杯探しの旅にでるも、聖杯とあまり関係ない出来事がいろいろ降りかかってそのうち収束。

とはいえ、映画そのままのエンディングじゃあまりにもアレなので、それなりのハッピーエンドになっている。
ただし、そのハッピーエンドと聖杯の関係性は……何かお話が都合よくすげ変わっちゃってない!? とツッコミたいところだけど、あいにくそれもネタのうちです。

すべての作詞担当はエリック。パイソンズでは言葉遊びと音楽面で才能を発揮してきただけあって、軽妙にして小ネタ満載。作曲はジョン・ドゥ・プレと共同で、明るさも切なさもゴージャス感もひっくるめた、「いかにもミュージカルっぽい音楽」という贅沢なネタ扱い。
そんな中に、エリックの代表作「Always Look On The Bright Side Of Life」がちゃっかり紛れていたりして。テリー・ギリアムが「エリックは商売上手だからね(笑)」とコメントするのも分かる。

そして、エリックは1人でもパイソンズ。ミュージカルをつくるからには、ミュージカル(特にブロードウェイ)もきっちりコケにしている。

「ミュージカルといえばこんな感じの劇的な曲あるよね」という「The Song Goes Like This」。
「ピンチのときにはインターミッション(途中休憩)挟んどけば、第二幕でだいたい収まってるよ」で終わる「Run Away!」
「ブロードウェイじゃユダヤ人がいなけりゃ成功できないのさ」という演劇界内輪ネタの「You Won't Succeed On Broadway」。
第二幕に入ってから出番がない湖の女神が「私の役はどうなってんの? プロデューサーに騙された!」と文句つける「Whatever Happened To My Part?」……などなど。

これだけミュージカルをバカにしておいて、なぜトニー賞3部門を受賞できたのかは、演劇界永遠の謎……かもしれない。

ちなみに、このサウンドトラックはオリジナルのブロードウェイ・キャストで収録。
ファンには嬉しいことに、アーサー王役は『ロッキー・ホラー・ショー』のフランクことティム・カリー!!! 
だいぶお歳を召されたとはいえ、カッコいいボーカルはご健在だ。

また、ランスロット卿役のハンク・アザリア。アメリカ版『GODZILLA』で、ゴジラ(仮)に踏まれても運よく生きてるカメラマンの人……と言って果たして分かるだろうか。濃い目の顔面だけでなく、ボーカルも脇に置いておくとおいしい俳優である。

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