2016年3月28日月曜日

ヘイトフル・エイト

ヘイトフル・アメリカ、ホープフル・アメリカ。

ヘイトフル・エイト('15)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル



「愛憎半ばする関係だね」
マリリン・マンソン師匠は自身とアメリカの関係性をこう語った。
本作観賞後、もしかすると同じ問いかけをしたら、タランティーノも同じような答えを返すかもしれないと思った。ただし、師匠の倍以上に喋りながら。

雪山で足止めをくらった賞金稼ぎマーキス・ウォーレンは、レッドロックの町へ向かうために通りかかった1台の駅馬車に同乗させてもらう。馬車に乗っていたのは同じく賞金稼ぎのジョン・ルースと、彼と鎖で繋がれた賞金首の女デイジー・ドメルグ。ルースはデイジーをレッドロックへ護送し絞首台へ送る予定だ。道中、レッドロックの新任保安官だという、元黒人殺しの略奪団員クリス・マニックスも同乗してきた。
猛吹雪が迫ってきたため、駅馬車はレッドロックまでの中継地点である「ミニーの服飾店」に停車。店には同じく吹雪で足止めされた3人の男たちがいた。レッドロックの絞首刑執行人でイギリス人のオズワルド・モブレー、カウボーイのジョー・ゲージ、南軍の元将軍サンディ・スミザーズ。そして、ミニーに留守の間店を任されたというメキシコ人のボブ
それぞれの素性は果たして本当なのか? 実はつながりのある者たちもいるらしい? 疑惑と緊張感が高まる中、遂に事態は殺人へと発展する……。

日本では「密室ミステリー」と宣伝された本作ではあるが、ミステリーならキモになるはずの「誰が/どうやって殺した?」問題は、まったくと言っていいほど関係がない。むしろキモとなる謎は「こいつら、実際のところどういう奴なんだ?」「どう決着をつけるんだ?」である。そこがタランティーノ自身言及していたように、『遊星からの物体X』を彷彿とさせる。

ただし、『物体X』のようにクリーチャーが潜んでいるわけではないので、疑心暗鬼サスペンスはグロテスクな何かが現れることもなく中盤までずっと会話劇中心に展開される。映画自体およそ3時間続くのだから、タランティーノ最大級の長丁場である。

従来のタランティーノなら、『レザボア・ドッグス』のマドンナ話なり『パルプ・フィクション』のオランダのマクドナルド話なりに該当する、本筋に一切関係ないムダ話を入れているのではないかと思われるが、困ったことに本作の会話劇にはキャラクターの人となりや主義や思想が織り込まれているため、ムダなところがない。『イングロリアス・バスターズ』のランダ大佐の長喋りに削れるところがないのと同じだ。
ただし、ある事件を転機に、一気に山小屋の中は血しぶきと脳髄まみれになっていく。『物体X』転じてもはや『死霊のはらわた』。そりゃ3時間で満腹にもなりますよ。


以下、ネタバレ記述あり





もともと主要登場人物の大半がロクな輩じゃない傾向にあるタラ映画だが、今回の主要メンバー8人はロクなもんじゃないなんてもんじゃない。
賞金稼ぎマーキスは元北軍少佐で、南部の白人を殺しまくっていた黒人。しかも白人憎悪が高じたあまり、聞いてるほうがドン引きするほどの暴挙もやらかしたことがある。
一方マニックスやスミザーズ将軍は黒人を大量虐殺してきた元南軍。必然的に南北戦争時の憎悪がたちこめる(そして、サラリと屋内を南北や中立地帯に分けていくのがイギリス人だ)。
その南北対立には積極的に関わろうとしないいわばリベラルのルースとて、何かにつけてデイジーを鎖で引っ張り、全力でぶん殴る。
同じく対立に関わらずとも、一番「コイツ怪しい」感を振りまいているのは、口数の少ないカウボーイ(典型アメリカン)と、突然店番になっているメキシコ人(典型移民)

密室の中は、人種と歴史にまつわる暴力と憎悪が渦巻くアメリカだ。
ただそうなるとデイジーの立ち位置が微妙になる。
一見一方的な被虐対象である彼女だが、ルースは決して女だから平気で殴っているのではないし、殴られ続けるデイジーも懲りた様子もなくルースをバカにし、ゲラゲラ笑う。
賞金首の大罪人と言われてはいるが、デイジーが具体的にどのような罪を犯したのかは分からない。

だが少なくとも、彼女はリンカーンがマーキスに宛てた手紙(実はマーキスが作った偽物だが)にツバを吐き、まじめに働く気のいい人々が彼女のせいで命を落とし、実は偽リンカーンの手紙に涙する純粋さを持ち合わせていたルースも死んだ。
彼女には「アメリカの良心」をことごとく潰す純粋悪の役割がある。そう思うと、彼女が『エクソシスト』の悪魔に憑かれたリーガンのごとき鬼の形相になっていくのも分かる気がするのだが。

『イングロリアス・バスターズ』ではナチスに、『ジャンゴ 繋がれざる者』では奴隷制度に対し、フィクションの世界ならではの代理復讐を遂げてきた近年のタラ。当初は本作もその流れを汲んでいるように思えたが、これは復讐ではなく希望だった。
オズワルドいわく「執行人が悪人の首を吊れば正義、犠牲者の遺族が殺人犯を殺せば西部の正義。一般に西部の正義のほうが好まれるが、それは正義ではない」(要約)
白人嫌悪の元北軍黒人マーキスと、黒人嫌悪の元南軍白人マニックスは、「悪人は捕えて正式に絞首刑にすべき」というルースの意思=西部劇以降のアメリカの正義を継ぎ、2人がかりでデイジー=アメリカの善を殺す悪を吊し上げる。
そこに至るまでに血と死体の山が築かれているものの、「対立を超えて手を結び正義を成す」という字面を拾えば、アメコミヒーローにも通ずるアメリカの正義に対する希望の姿が見えてくる。

タランティーノはフィクションの力を、悪を倒してスカッとさせることだけでなく、その先に現実世界に希望を見出すためにも駆使した。偽リンカーンの手紙が、いち黒人の身を守る護符から、対立の壁に空いた最後の風穴になったように。
この映画が、いまだアメリカのどこかでくすぶっている憎悪に対する偽リンカーンの手紙になったとしたら……そんな希望ぐらい託してみてもいいんじゃないだろうか。

2016年3月22日火曜日

未体験ゾーンの映画たち2016

パーティーで……いや劇場で会おうぜ!!

未体験ゾーンの映画たち2016
2016.1.2.~2016.3.11. ヒューマントラストシネマ渋谷

未体験ゾーンの映画たち2014の記事はこちら
未体験ゾーンの映画たち2015の記事はこちら


「この冬はヒュートラ渋谷があったかいんだから~!」にダマされるな!
ヒュートラ渋谷は熱湯風呂だ!!
35回ドボンしたけどな!!

本数が増えると、その分玉石混交(石多め)になっていくんじゃないか……とか思ってたけどそんなことはなかったぜ! というか今年は50本もありながら、玉のほうが多いんじゃないのか? ああ、こんなにイイ映画たちがDVDスルーの憂き目に遭いかけていたのか!! なんてキビしいんだろうな映画配給の世界って……。
そういう意味では、2014年から何度も言っている通りつくづくこの企画に感謝だが、各配給会社が未体験ゾーン参加作品を選ぶ際、ファンタジーやファミリー向けは社内で落選しているらしいとのこと(未体験ゾーンパンフレット収録・配給会社座談会より)。そういえば、劇場ロビーで未体験ゾーンのポスターを見た女子高生たちが「怖そうな映画ばっかりなんでしょ?」と喋っていた。度胸があれば「そんなことねぇよ!」って言いたいけど、実際「各国から集結したあらゆるジャンルの映画」といっても、大半を占めるのはホラーとかサスペンスとか血みどろアクションだから、彼女らもそんなに間違っちゃいなかったんだよなぁ。
もしも来年以降、配給会社さんが思い切ってファンタジー/ファミリー作品を送り込んだとしたら、未体験ゾーンの客層にも変化があるのだろうか? うーん、どう転ぶか分からないけど、そんな試みがあったらまた面白いだろうなぁ。


未体験ゾーンの映画たち2016ベスト


1位 デス・ノート(原題:Let Us Prey/ソフト化後題:デッド・ノート)

「どうせ便乗タイトルだしなぁ」と邦題で軽くみられがちなのだが、邦題のことはいったん忘れて観てみてくれ! 作品自体は小粒でも、オカルトベースでありながら怒涛のゴアゴア祭りへと突入する傑作ホラーなんだ! そして、リーアム・カニンガム演じる謎の男の最後のセリフは、2016年最高クラスの殺し文句にして口説き文句なんだ!!


2位 アメリカン・バーガー

2016年の劇場観賞映画第1号の栄誉を持って行ってしまったバカ。徹頭徹尾バカ。タイトルを『アメリカン・バーカー』と書き間違えても間違いじゃないくらいバカ。正体はアメリカ人バカの皮を被ったスウェーデンのバカバカなアメリカ人&バカなアメリカ映画の概念は国境を越えてほぼ共通なのだ。


3位 バンド・コールド・デス

時代を先取りしすぎた音楽ゆえに、35年も寝かされてきた黒人パンクバンド・デスのドキュメンタリー。あまりにも映画的な現実の物語は、ときに残酷だがときに劇的。初めて聴いた人間誰もが涙ぐんだり鳥肌立ったりしたというデスの音楽は、本当に衝撃的なカッコよさだった。


4位 私はゴースト

古典的でもあり斬新でもあるホラー。実験的映像かと思っていたら、ラスト15分に心底ゾッとさせられ、エンドクレジットの頃には切なささえ覚える。


5位 グッドナイト・マミー

今年の未体験ゾーンの厭な映画No.1。ママが今までのママじゃないという不安、彼女は本物のママなのかと疑う双子が取る最悪の手段、そしてサイズがでかい大量のG……と厭な描写がこれでもかと続く。しかし何より厭なのは、思いの違いから生まれた深い断絶。これがまた厭な結末を招くのである……。よくアカデミー外国語映画賞にノミネートされたなぁ。


6位 ブレイキング・ゴッド

『ブレイキング・バッド』に引っかけたいがあまり血迷った邦題で、共同監督/脚本/主演が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のオーガニック・メカニックことアンガス・サンプソンとあっては一体どんな珍作かと思われるが、これが実にしっかりした構成。素人が麻薬ビジネスに手をだして窮地に追い込まれる映画は多々あれど、本作は飲み込んだ密輸ヘロインが出てきたら逮捕されるからひたすらウ○コを我慢するというド底辺のピンチ。警察も容疑者がウ○コするのをひたすら待つという文字通りヨゴレ仕事。しかもこれがおおむね実話に基づいてるんだからある意味ヤな話。その中でももっともヤな描写をやってくれたのはもちろんアンガス。さすがオーストラリア代表変態怪優


7位 ライアー・ハウス

ほぼトレーラーハウス内だけで、大金の行方を巡って腹の探り合い&騙し合い&殺し合いがくり広げられ、金を巡る争いだけでこんなに血肉が……というほどの死体処理ゴアゴア祭りへ。といっても、ディスポーザーが詰まってブツブツ言ったり、ミキサーが壊れてアワアワしたり、煙が立ち込めすぎてゲホゲホしたりと、状況のグロさに反してカラリと能天気な笑いあり。数少ないキャラクターたちが皆ド田舎のヤな奴オーラを醸し出しているのがイイが、特にジーナ・ガーションは齢を経てまたイイ顔になっていた。目元のくすみもほうれい線も、もともと低かったのがさらにしわがれた声も、一般的に女優にはマイナス評価になるところがすべて彼女の強みだったよ。


8位 SPY TIME

冴えない男と思っていた父親は実はベテランスパイで、冴えない息子も実は父親にスーパー殺人技を仕込まれたスパイ予備軍だった!? スペイン産・コミック原作の007パロディ系スパイ映画。スパイの世代交代であり、親子の物語であり、若者の成長劇でもあり……だからある意味『キングスマン』でもある。確かに007やキングスマンに比べたら遥かに低予算だけど、敵は切手に投資失敗して資金難&味方も予算削減で部門縮小という背景アイディアの妙でカバー。コメディではあるけれど、バイオレンスには意外と容赦がないし、決して甘くはない結果も突き付けてくるし、エロはなくても大人の映画だ。


9位 クリミナル・ミッション

『ウォッチメン』のロールシャッハあるいは2代目フレディことジャッキー・アール・ヘイリーの監督デビュー作。「大物から小物まで裏社会の野郎どもが右往左往(ブロマンス要素は皆無で単にムサいだけ)」という初期ガイ・リッチーテイストが個人的に大変好み。ついでに、大どんでん返しというほどではないにしろ、話のツイストも仕込んであったのでお得感も味わえた。もっと言えば、ジャッキーさんの最大チャームポイントたる頭蓋骨後ろの出っ張りを長々と拝めたのもお得だった(たぶん私だけだろうが)。


10位 死の恋人ニーナ

セックスするたびにマットレスやシーツを血みどろにしながら現れる、彼氏の死んだ元カノ・ニーナ。これといって深い恨みも未練もないので、どうすれば成仏できるものなのかニーナ本人にも分からず、ただ現れては人のセックスを邪魔してグダグダ喋るだけ。そしてニーナが現れるたびに血みどろ寝具の後始末をしなければならない恋人たち。おかしさと哀しさと迷惑を振りまく、乾いた笑いのゴーストストーリーだった。



11位 ゾンビマックス! 怒りのデス・ゾンビ

2回も「ゾンビ」が入る「頭痛が痛い」系の邦題になってしまい、また低予算ゾンビ映画にありがちな「ダレやすい人間ドラマパート」という難点も継承してしまっているが、ゾンビが燃料になったり主人公の妹がゾンビ操作能力を手に入れたりという新しいヒャッハー感がテンションを上げてくれる。そして、「世紀末の世界を肩パット武装と改造車でひた走りたい」という願望は普遍なのだな……。


12位 グランド・ジョー

近年のニコラス・ケイジ出演作の中ではトップクラスの傑作が、危うくDVDスルーになりかけていたとは。本作のニコさんは、ド田舎で地味な重労働する人生どんづまり男だが、やさぐれ感の中からどうしても人の好さが滲み出るところがイイ味を出している。その人の好さが悲劇にもなり希望にもなる。ただ、車で流してる音楽がEyes Of Noctum=息子さんウェス・ケイジのブラックメタルバンドであるあたり、ぬかりないなと思ったよ。


13位 タイム・トゥ・ラン

すみません。デ・ニーロの名前が2番手に出ていたあたりで、去年の『コードネーム:プリンス』(ブルース・ウィリスの名前が2番手に出ていた)に該当する午後ロー系アクションだと思ってました。でも実際はイイ話でもある骨太なサスペンスでした(ちょっと出来すぎな展開もあるけど)。デ・ニーロもここ最近のB級映画に見られる省エネ演技じゃなかったし(失礼)。


14位 ラバランチュラ 全員出勤!

映画が始まって早々に火山が噴火して巨大タランチュラが現れ、サクサクとパニックが起きていくという実にテンポのいい展開。この脅威にポンコツたちが一丸となって、しかも自分たちの得意分野で立ち向かうのもベタながら気持ちがいい。これで『ポリス・アカデミー』のネタを知っていたらもっと笑えたのかもなぁとも思うが、今B級(というかZ級)モンスターパニックで有名人となったあの人がまさかのカメオ出演という特化すぎるサービスにありつけたからまぁいいか。


15位 スタング

主人公カップルの人間ドラマがわりとどうでもいいのが難点だが、そこは口が悪くて酒好きだけど若者に優しいランス・ヘンリクセン市長、挙動不審のマザコン男クリフトン・コリンズ・Jr.、そして人体を食い破って出てくる巨大殺人バチがいろいろとやってくれましたよ! ランキングからは漏れたけど『シャークトパスvs狼鯨』もあったし、今年の未体験ゾーンはモンスターパニックがアツかった。


16位 ビッグマッチ

『新しき世界』『観相師』と権謀術数を巡らす世界に生きるところばかり観てきたイ・ジョンジェが、人質にとられた兄貴を助けるため、仕掛けられたデスゲームにひたすら拳の直球勝負で挑む総合格闘家に。ゲーム首謀者に指示されて、やけっぱちでパラパラ踊りながらクリスマスソングをがなり立てるジョンジェは見どころ。なお、ゲーム首謀者を演じるシン・ハギュンのハイテンション演技は、だんだん長谷川博己に見えてくるよ。


17位 血まみれスケバンチェーンソー

今年初めて未体験ゾーンに邦画が殴り込みをかけた。そんな記念すべき年の記念すべき作品は、意外と人望の厚いスケバン女子高生が改造チェーンソーで改造死体と化した同級生たちと戦うという実に潔いバカだった! 技術部さんにマシンガンや伸縮機能までつけてもらったチェーンソーは、デザインにリアリティはないがぶん回してみたくなること請け合い。


18位 ザ・ラスト・ウォーリアー

チラシでは『300』や『ヘラクレス』と並べられていたが、どちらかというと『アポカリプト』の系統な土着性と血を感じさせる映画。とにかく、呪われた土地に一人棲む伝説の戦士がスゴい!! たった1人で、巨大しゃもじのような武器を駆使して敵を何人も倒す最強ぶりもさることながら、一目見ただけで「こいつには勝てねぇ……!」と思わせてくれる顔面力の凄まじさたるや!! しかも食人族でもあるなんて……なんてハイスペックなんだぁぁぁぁぁ!!!


19位 ザ・ハロウ

アイルランドの神聖な森に潜むクリーチャー=ハロウが、赤ん坊を狙って夫婦を襲撃する。「夜の森は怖い」という根源的恐怖を思い出させてくれる一本である。ほとんど暗闇で、何かがいてもこれだけ木々が生い茂っていては分からないものな。暗闇だからといって、ハロウを出し惜しみしすぎず襲撃するところはきっちり見せるのがエラい。


20位 口裂け女 in L.A.

口裂け女、こっくりさんなど、日本の都市伝説にまつわる事件がロサンゼルスで勃発。一体なぜ……という謎は置いといて、カフェのメイドが廃墟でこっくりさんしてたり、陰陽師と悪魔神父が路地裏ストリートファイターしたり、真昼間にヤシの木に藁人形打ち込んだりと、トンデモジャパン炸裂! タイトルでインパクトを与えたロサンゼルスの口裂け女の影が薄くなろうとは……。
ちなみに、ヒュートラ渋谷で本作を観てシアターから出てきたとき、カンシチ・ヒロさん(作中で妹ウメコを溺愛する藁人形使いのケンさんを演じた人)ご本人がいらっしゃったことが、一番のホラー体験でした。


…で、申し訳ないけどこちらのランキングも。


未体験ゾーンの映画たち2016ワースト


1位 カリキュレーター


管理社会の惑星で、死の沼地に追放された囚人たちが生存のために進み続けるディストピアSF。だからといって監督を『ベクマンベトフの再来』なんて言うのはまだまだ早いぞ! 真の中2魂を持っているなら、もっとキャラクターの面白さやキメ画に力を入れなさい! しかも各キャラクターともスタンスがブレブレだし。せっかくヴィニー・ジョーンズがいても、悪役としての面白さも活かしきれていないし、セリフもすべてロシア語に吹替えられていていつもの声&訛りじゃないのも残念。褒められた点といえば……メインの女優さんがキレイなのと、シガー・ロスの曲が入ってることくらい?


2位 処刑女

みんなが戸締りしまくっている間に地下室に潜り込んだり、いつの間にか屋根に上ったり、一撃で手や首を切断できる技術&パワーがあり、さらに狭いところを移動する柔軟性にも長けているという、大変高いポテンシャルを持つ処刑女=ブラッド・ウィドウちゃん。しかし彼女をジェイソンやマイケルと並べるには、まだまだ個性と変態性と一貫性が足りなさすぎる。特に、風紀の乱れの温床だったパーティーのバカ者(若者)たちをほぼスルーしてしまったのはイタいぞ。


3位 フルリベンジ

オリジナルの南米映画『Hidden In The Woods』は、近親相姦、売春、殺人……とあらゆるタブーを描いた、救いの余地のない映画だった。それに惚れ込んだマイケル・ビーンがリメイク権を獲得したのだが……なぜタブーのうち「奇形の子ども」と「カニバリズム」を省いた。それだけが原因ではないのだけれども、ヤバさと救いのなさがマイルドになってしまった感がある。たぶん、マイケルは自らが演じるしぶとい鬼畜親父に力を注いだんじゃなかろうか……?


4位 INFINI

逃げ場のない辺境の惑星で謎の寄生生命体に脅かされるクルーたち。生命体は少量の血液からでも媒介・増殖し、寄生された人間は凶暴化する。『遊星からの物体X』×『28日後……』なSFホラーにもなり得たのに、閉塞感も恐怖もサスペンスも中途半端になってしまった。


5位 マーターズ(リメイク版)

難しいところなのだが、リメイクにあたっての改変は完全に否定できるもんじゃないし、むしろ面白いと思っている。むしろオリジナルでやったことをそのままなぞるだけでは意味がないと思うし、オリジナル版で感じた閉塞感とイライラは昇華(消化?)できるだろう。ただ、その発想が「ああアメリカだなぁ」とも思えてしまうし、やはりあの胸糞悪さを経てからの昇天こそ『マーターズ』だろう……という思いも強いのである。


そしておまけ。


ベスト名言賞


1位 「人々は私のせいにしたがるが、私はただの目撃者だ。私が見たものには天使も涙する。私を否定してもいいが、君の目に宿る炎は私だ。君にこの地上の腐った、邪悪な魂をすべて与えよう。君は復讐し、私は彼らの魂を燃やす。正直に言えば、君なしでは凍えそうだ」(デス・ノート)

2位 「まるで映画だ。俺たちは偶然の主人公。監督はデイヴィッド。天国から演出中だ」(バンド・コールド・デス)



ベスト音楽賞


『バンド・コールド・デス』
2013年に本作のプレミア上映会場で行われた"Keep On Knocking"ライブを貼っておきます。
CD『For The Whole World To See』はホントにカッコいいぞ。





ベストビジュアル賞


1位 伝説の戦士(ローレンス・マコアレ)(ザ・ラスト・ウォーリアー)
百聞は一見に如かずということで、お顔を貼っておきます。勝てる気しますか?


2位 鋸村ギーコ(内田理央)
下駄履き&ふんどし着用の女子高生が改造チェーンソーをぶん回した時点で、勝利は約束されているのだ。

3位 最強のタクシー運転手(ジェス・リアウディン)
中の人は元総合格闘家。料金踏み倒す奴は地獄の果てまで追い詰めるぜ!! 的なセガール系かと思ったら、実はセカイ系だったという……。

次点 裸エプロンのおっさん(bella ベラ)
動いて喋ってタバコ吸ってコカインキメる人形のベラ(=主人公)ではない。映画自身が「どっかのクマのパクリ」と言っちゃってる通り、可愛さと毒舌とのギャップはクマの二番煎じだが、変態性において勝るのはさすがラムシュタイン輩出国ドイツ。その代表が、どこに需要があるのか分からないおっさんの裸エプロンショットだった……


ベストタイトルバック賞

ライアー・ハウス
真っ赤なマニキュアを塗るところに始まり、ベーコンを切ったり焼いたり、ミキサーでジュースを作ったりと朝食を作る過程をグロテスクなほどのどアップで撮る。これらのショットがその後起きることを示唆しているのが、ベタながら上手い。


ベスト映画ドリンク

オーストラリアンビール(ブレイキング・ゴッド)
警察も一般人もみんながグビグビ飲んでるから、観賞後思わずビクトリアビター買っちゃったよ。



ベストびっくり映画

スナッチャーズ・フィーバー 喰われた町
あの一番最初の車の「バン!!!」な。1回あれやったら、何度も連発しなくとも、後ろ向いて立ってる人がいるだけで怖くなるから上手い。それから「人の顔をデフォルメすると怖い」っていう怖さの原点に立ち返ってるところもエラい。ただ、短編ホラーを長編に引き伸ばしたとき特有の、始まりと終わりのダラダラ展開はどうしても出ちゃってたね。


秀作から午後ロー的なものまで、今年もいろいろ出会えて楽しかったよ。また来年も会いたいよ。
そしていつもありがとう、チェアマン西澤さん&配給会社さんたち&ヒュートラ渋谷さん!!!

2016年3月21日月曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第2シーズン第10話



フランス映画『フロマージュ・グロン』
訳して『巨大なチーズ』。ゴミ集積所でキャベツを抱える女と自称革命家の男の物語。イギリス人のフランス嫌いネタから生まれた、ヌーヴェルヴァーグ系映画モドキである。
ちなみに個人的には、昔『気狂いピエロ』を観たけど理解できず、ラストの爆発しか覚えていなかったことを思い出させられるスケッチでした。

南極のスコット
フランス映画をバカにした直後、今度はアメリカ映画をターゲットにする。スコット隊長の南極到達(と全滅)の実録をビーチで撮影するという無茶振り。しかし、「無理やりにでも大作映画を撮ろうとして迷走する」ってのは、今やアメリカに限った話じゃなくむしろ日本にも顕著なんじゃないですかね?

サハラのスコット
そして迷走の挙句、スコット隊長の冒険譚は、サハラ砂漠でライオンや電気仕掛けのペンギンと戦うというどこのアサイラム映画だよという話に。正直そっちのほうが観たいんだけど。
ちなみに、第7のパイソンことキャロル・クリーブランドいわく、「パイソンの番組に出演している私にだいたい裸というイメージがついているけど、実際にトップレスになったのはこのとき1回だけ」とのこと。しかも後ろ姿だけ。とはいえ、人喰い机に追われて服が脱げるなんてバカなネタに文字通りひと肌脱いでくれたキャロル、貴女は最高だ。

オープニング
……と、実はここまでの長々と続く映画批評&メイキング話がオープニングだったのですよ。

アンヨと入れ歯のダンス
入れ歯が鍵盤替わりに動いて音楽を奏でるというコンラッド・プー氏のパフォーマンスがギリアニメーションで。コンラッド氏の顔のモデルはテリーGじゃないかと思うのだけれど。

観賞魚の免許
役所の窓口に「観賞魚を飼うことを証明する免許をくれ!」と謎の要求をするこの男(ジョン)、実は第1シーズン第8話「死んだオウム」スケッチで死んだオウムを買わされた男エリック・プラライン氏。犬から猫からいろいろ飼っていて、みんな名前が「エリック」ということが判明する。よほどの動物好きなのか、よほどの自分好きなのか。
無茶なことを言ってるようなプラライン氏だが、いっそ免許制にしたほうがペットの幸せを保障できるのでは……と思うこともあるのが哀しい現実だよ。

ラグビー ~古典的ダービー市議会vsオールブラックス~
言わずと知れたラグビーニュージーランド代表チームと、サッカーの「ダービーマッチ」の名の由来となったダービー市議会がなぜか試合。市議会に至ってはカツラやら装飾をあしらった正装やらで着飾ったまま(しかも市長は高下駄で)フィールドに立ち、まさかの勝利を収めてしまう。
「ニュージーランドなぞ所詮労働者階級の移民で伝統も何もあったもんじゃないわバーカ」という英国上流意識の反映だそうだが、「ハカ」を見ればお分かりの通り、ニュージーランドチームには戦士マオリ族の血が受け継がれているからね。

サッカー ~ボーンマス海水浴場の婦人科医チームvsワトフォードのシルバー船長扮装チーム~
しかしそんなムチャクチャなラグビーゲームも、このサッカーに比べればまだマシに見えてしまうのである。『宝島』に登場するシルバー船長は、肩にオウムを乗せていて、片目は眼帯、片脚は義足で杖をついているのだ。つまりサッカーでは……

空飛ぶモンティ・パイソン 第2シリーズ第9話



オープニング
吹替版ではたびたび「責任持てんよ、ワシは」になっている司会者(ジョン・クリーズ)の始まりの一言。水着の女性が挑発的なポーズをとるのを順番に映していくと、最後にいるのはビキニ姿でデスクに寝そべるジョンおよび同じくビキニのイッツマン(マイケル)……確かに今回のオープニングは責任持てんな。

身体のパーツを見分ける方法
「足」とか「手」とか言ってるうちは当たり前じゃんで終わるけど、「肘のちょっと上」って厳密には何か名称あるのかね? このネタは今回のスケッチを通して続くが、最も多く紹介されるパーツは「猥褻物(原語:Naughty bits、字幕:いたずらっ子)」である。

ブルース
なぜか名前が全員ブルースであるオーストラリアの哲学科。全員がブルースになってる理由は不明だが、オーストラリアがかつてイギリスの流刑地だった歴史からか、オーストラリア人=ガラが悪くて教養なさそうという偏見ネタがあり、だからこそそんな面々が哲学科の教授になっている。
なおこのスケッチでは、人生で一度は言ってみたくなるほどの最高にざっくりした祈り文句が聞ける。「神様、いろいろ頼むわ。アーメン」

オチョクリの達人インタビュー
他人と常に対立するにはどうすればいいのか。簡単なこと、相手が言うことをいちいち否定したり、反対のことを主張したりすればいいのだ! オチョクリというか、ただのイヤガラセともいうぞ。

おかしな二人
第2シリーズ第6話に登場した、巨大鼻のレイモンド・ラグジュアリー・ヤッチト氏(本当はスロート・S・マングローブと発音するらしい)再登場。原語では整形外科医(ジョン)のほうが「どうしてもというなら私と一緒にキャンプに行ってください」と誘いをかけているが、吹替ではなぜか逆にヤッチト氏(グレアム)のほうが「ダメ?」とモーションをかけている(吹替における山田さんの鼻声が楽しい)。
いずれにしても、身長190㎝越えの男二人が、満面の笑顔で手をつないで森の中をスキップしてくる絵面のインパクトたるや。

進軍体操
「怒ったぞ表明体操」および「ゲイのお誘いお断り体操」……のようなもの。軍人・警官など男らしさのアイコンは、同時にゲイのアイコンでもある。ヴィレッジ・ピープルのステージを観ればよく分かる。

将軍たちのバレエ・チーム
上記スケッチのネタをギリアニメーションで。ただし、下半身チュチュで踊る将軍たちより、「やめないと自殺するぞ」という抗議のほうがもはやアブナイネタに。片方の目玉の青いところだけ落下するというオチだけど。

キラー・カーズ
上記に続くギリアニメーション。ロンドンをおびやかす殺人車と、それに対抗する脅威としてなぜか現れた巨大二足歩行ネコちゃん。いずれも人類には脅威でしかないのだが。キラー・カーズと聞いて、レディオヘッドの同名曲か、ピーター・ウィアーの『キラー・カーズ パリを食べた車』を思い出す人は挙手。

カミカゼ航空会社
エラい格安航空に乗ることになったなーと思ったら、機長がバリバリの特攻隊長でした。その名も「カミカゼさん」……ってそのまますぎるだろ! おまけに、空港の免税品店のおばちゃんがテリーJじゃ、カミカゼ機長も霞むわ。

波間のマリン・シアター
第1シリーズ第11話にて、「真珠湾総攻撃の再現劇」という名のただのおばちゃん同士の泥試合を見せてくれたバトリー婦人会再登場。戦争というものが、おばさんたちによるハンドバッグ殴り合いだったらどんなにマシか……と案外深い考えを示してくれたバトリー婦人会だが、今回「世界初の心臓移植手術再現劇」をやったところ、結局ハンドバッグ殴り合いだったのでもうそれしかネタがないらしい。
それでも彼女らは、陸地で演劇(仮)をやろうとしている分まだ効率的だった。世の中には、ダイビングや息継ぎのリスクを背負いながら、どこにいるか(そもそもいるのか)分からない観客を前に、海の中でシェイクスピアやミュージカルを実演する人々もいるのだ……! 

ラジオ・ドラマ「スコットランド女王メアリーの死」
「ドカンバキッベシッ」「ぎゃーーーー」でしか伝えられない女王の死。さすがのジョンとグレアムのペッパー・ポッツも笑いをこらえているのが分かる。

マーガレット・サッチャーの脳ミソ
さすが嫌われ者のゴリゴリ保守というか……そうですか、サッチャー首相の脳ミソはそこにあるんですか。2016年3月現在だったら、ドナルド・トランプ候補の脳ミソが思わぬところにあるんだろうなぁ。

ヨーロッパ警察対抗歌合戦
テリーJといえば脱ぎ芸だが、実はパイソンズきっての美声の主でもある。今歌うんかいというタイミングだけど。歌合戦出場者ではないけど、言うことが思い出せず無邪気な笑顔でごまかすマイケルが可愛い。吹替版では青野さんのズレズレな説明が可愛い。

2016年3月4日金曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第2シリーズ第8話

再び2年近く放置してしまっていたパイソンズシリーズ。ということは、ここでまた更新が止まったら、次の更新はさらに2年後になるはずだ! 本来なっちゃいけないのだけれど。



番組案内
BBC番組案内にて、なぜかスポーツ番組がしつこく推される。ドラマやコメディがあっても、出演者がスポーツ選手ばかりだったりする。BBCにスポーツ番組が多く見受けられたことが元ネタらしいが、当時はともかく今はそんなにスポーツ多い気はしないんだけどな。でも、イギリスのイトコとSkypeしてると、BGMによくスポーツニュース流れてるんだよな。やっぱりスポーツ番組多いのかね?

親指の鼻を持つマンモス
キャバレー跡地の工事現場から、なぜか発掘された巨大な親指。こいつが何なのか調べるため博物館に持って行ったところ、その後親指はマンモスの鼻として標本に移植されていた……。そんなバカなと思われるギリアニメーションだが、実際昔には恐竜の爪の化石が長年ツノの化石と思われていたことがあるのだから、あながちやりすぎでもない?

今日の考古学
……というタイトルのもと、教授たちの壮絶な背の高さバトル。身長コンプレックスは国を超える問題なのだろうか。終盤はミュージカルから肩車合戦から騎馬戦という怒涛の展開。で、結局考古学は……とりあえず上流階級ほど背が高い傾向にあるのは、アーリア人の血を濃く引いているからじゃないだろうか的なところでかすってるってことでいいですかね? 何となく。

ベリング牧師の説教
カメラが引くにつれ、実は頭に斧が刺さっていることが判明する牧師の説教。最後によくよくアナウンスを聞いてみれば、実は精神病院所属の牧師。……なるほど、「所属」の意味から考えなくてはな。

英国“脱腸”協会を代表して……
なぜ脱腸協会なのかというと、本来「英国名所旧跡(National Trust)保存協会」という名称を「National Truss(=脱腸)」に文字っているため。
エリック・アイドル扮する女性リーピー・リー(仮)が何やらスピーチをするはずだったのだろうが、「私本当にリーピー・リーだっけ?」等基本的なところからつまずきまくっているため進展はゼロ。吹替版では「私エリック・アイドルですの。あらこれ私の本名だわやーねー」との広川節。さすが、『Mr.BOO!』で神頼みついでに「太一郎!!」と自分に頼んじゃう男。

欠陥花嫁の交換
「この前の結婚あんま良くなかったからさ、こっちがホントの花嫁なんで取り替えてくんない?」結婚・離婚の手軽化を皮肉ったスケッチではあるが、もしも前嫁が勝手にサラリと交換されていた場合、手軽とはほど遠い泥沼の争いが勃発しそうな気がする。その場合の前嫁役は是非ジョン・クリーズで。

医者と患者
「ミスター・ワトソン?」「いえ、ドクターです」「ではミスター・ドクター」「いやそうじゃなくて」……実際にあったら忍耐力が早めに限界に到達する状況です。

恐怖のチキン・ギャング
ニワトリと卵がギャングっていうギリアニメーション・コントになってるけど、やってることは割とガチなマフィア抗争ですよ。

パーティーの下品カップル(その1)
下品というよりは、名前がヒドくて命名センスもヒドくて家がド汚くて、しかも奥さんが巨大でゴツいジョン・クリーズなカップル……つまりただの下品よりタチが悪い。苗字が「Git(アホ)」なのは一族の悲劇だとしても、名前のほうのネーミングセンスが「鼻たれネズミ顔」「デブで退屈なババア」「汚い嘘つき二枚舌」ではもはや苗字を改名したところでムダですよ。
このコントは終わり際、怒涛の汚物ネタ話になるのでお食事中の方は注意。……と、観ながらチャーハンを食ってた人が警告しますよ。

パーティーの下品カップル(その2)
上記コントの上品バージョン(最初の数十秒だけ)だが、「あっ下品バージョンのほうがまだ面白いかも」と思わされてしまう気も。もしそんな気がしてたら、オチに出てきたボクサー姿のテリーGにぶん殴られるだろうけど。

モスキート・ハンター
蚊など小さな虫をやっつけるためだけに、バズーカ、マシンガン、爆薬など重火器を駆使するハンター兄弟。それはやりすぎだとしても、夏場に的確に蚊をやっつけるスキルは欲しいもんだよ。でないと刺されやすいんだもんよ。

ゲイの裁判官
厳格なイメージの裁判官2人(エリックとマイケル)が、閉廷後オネエ言葉で裁判のグチを言い合う。しかもマントの下にはキラキラのコルセット着用。でも裁判はわりとマトモに進めてくれてるみたいだから文句はないよ。
吹替版では広川さんと青野さんのオネエ語掛け合いが拝聴できます。ちなみに、テリーJが裁判官の場合、オネエ設定がなくても吹替の飯塚さんがオバさん口調になってることが多々あります。

ベートーベン秘話
芸術家たちはハンデや苦難を乗り越えて傑作を生みだしたものだ……ただしここで語られるハンデや苦難とは、ベートーベンの場合うるさい奥さんと九官鳥とネズミ、シェイクスピアの場合皿洗いをやらされること、ミケランジェロの場合子だくさん……と、労働者階級あるある話。
モーツァルトの息子に至っては、「作曲家なんてやるもんじゃないよ」とのお父さんのグチにならい、ネズミ取り業者になっています。いずれにしてもマイケル・ペイリンなので、人当りのよさそうな駆除業者です。

2016年2月18日木曜日

私はゴースト

幽霊だって恐怖する。

私はゴースト('14)
監督:H.P.メンドーサ
出演:アンナ・イシダ、ジニー・バロガ



「幽霊=時間が止まった人」(映画秘宝2013年6月号『クロユリ団地』評より)。
なら自分が幽霊になったら、毎日のようにやってることを怪現象として起こしちゃうんだろうな。夜中にDVDプレーヤーをオンにしたり、マリリン・マンソンを勝手に流したり……いやそれ怪現象っていうかただの迷惑行為じゃん! と一人ボケツッコミをやってて気づきました。
そもそも、そんな幼児向けプールよりも浅い業ごときじゃ、幽霊にならないって。

ある屋敷で、いつも同じように目を覚まし、同じように朝食を作り……と、常にまったく同じパターンの生活をくり返している女性エミリー。あるとき母の寝室に入ると、どこからか女性の声がする。
「エミリー、私のあとに続けて言って。“私はゴースト”、“私はゴースト”、“私はゴースト”……」
声の主はシルヴィアという霊媒師。エミリーは何年も前に死んでいて、幽霊となっていたのだった。そしてシルヴィアはエミリーの除霊を何度も試みているのだが、なぜかうまくいかないのだと言う。
なぜエミリーは死んでしまったのか。なぜ成仏できずにいるのか。シルヴィアの声に導かれながら、エミリーは自身が死に至るまでのことを思い起こしていく……。

タイトルの通り、幽霊の視点から描かれた物語。それ自体は映画史において珍しいものでもないのだが、上記の「幽霊=時間が止まった人」の定義に沿うように、エミリーの同じ生活パターンを執拗なほど繰り返し映し出す点は新しい。
屋敷そのものがどこか古風であり、白いドレスに長い黒髪というエミリーの古典的な出で立ちがありながら、何とも新しいものを観ているように思える。

物語が動き出すのは、エミリーが霊媒師シルヴィアと出会ったとき。といっても、シルヴィアは声だけの存在でエミリーには姿が見えない。普通は姿が見えないのは幽霊のほうだが、逆に幽霊に生者の姿が見えないという点もまた斬新に思える。
エミリーが次第に自らの死を自覚し、記憶を手繰っていくと、状況に次なる変化が生じていく。幽霊が除霊されていく過程がこんなにもシュールでユニークとは……と感心すると同時に、自分がこんなシュールなものを体験するのはゴメンだなとも思わせてくれる。

ここまでは、物語はひたすら淡々と進められていき、ほとんど大事が起こらない。これはホラーじゃなくて実験映画じゃないか? ……と思ったところで、ラストの15~20分、突如本作は身の毛もよだつホラー映画と化す。
幽霊が主人公ということは、生きている人間のほうが怖いという結論になるのか? というのが大方の予想になりそうだが、実は本当に怖いのは「自分の意識していない自分」なのだ。本作では、それがよりによって最も恐ろしい形で現れる。
そして最後に、「私はゴースト」の言葉がまた別の意味を持ったとき、恐怖は切なさで上塗りされていくのだった。

2016年1月18日月曜日

Let Us Prey(デス・ノート/デッド・ノート)

ノートでは死なない。殺し文句で死んだ。

Let Us Prey(デス・ノート/デッド・ノート)('14)
監督:ブライアン・オマリー
出演:リーアム・カニンガム、ポリアンナ・マッキントッシュ

 

↑下段が欧米版。個人的には左のデザインが好きです。

OK、話をまとめよう。
まず、本作の原題は『Let Us Prey』(我らを苦しめ給え、みたいな造語?)だった。
が、日本で「未体験ゾーンの映画たち2016」経由で公開するころには『デス・ノート』になっていた。
当然、某コミック原作の死神のノートを操る天才の話に便乗したんだよな? 折しもアダム・ウィンガード監督でハリウッドリメイクの話もあったので、ネット上には「紛らわしい!」「別モノじゃん!」との声もあった。ちなみに本作はアイルランド作品だ。
で、そういった意見を受けて、DVD発売の際に『デッド・ノート』に改題したのな。
……あのさ。
こんな面倒なことするぐらいだったら、最初から紛らわしいタイトルなんか付けるなよ!!!


さらに、ネット上における邦題に対する意見の中でも、唯一そいつは聞き捨てならんという一言が。
「本家に便乗したC級映画」
……あのさ。
お前は映画本編を観たのか!? 便乗タイトルだからって、アサイラム映画と同じにしてないか!? (※アサイラムはタイトルやストーリーのパチモン臭さと志の低さがチャームポイントです)

とりあえず、ホラー映画に耐性さえあれば最後までご覧ください。面白いかつまらないはともかく、小粒ながらにオカルトもゴアもきちんと詰めこみ、マジメに取り組んだ映画であることだけは分かるでしょうから。
それに、この映画に出てくる問題のノートに名前書かれてるぐらいなら、コミック本家のデスノートに名前書かれて死んだほうがまだマシだって思うかもしれませんね。

↓この本編画像は、上記騒動に対する私の心境とお思いください。

夜中、田舎町の警察署に初出勤する新任警官のレイチェル。署に向かう途中、猛スピードで走ってきた車が、道の真ん中で男にぶつかるのを目撃する。運転手の少年を捕まえたものの、はねられたはずの男の姿はなぜかどこにもなかった。
その後、同僚の警官たちが問題の男を発見してくるも、彼は一言も発さないし身元も分からない。事故のショックを疑って呼ばれてきた医者は、男に何かを囁かれると「なぜ知っているんだ……」と顔色を変え、ハサミで男に殴りかかる。
深夜0時が近づくにつれ、署内は不穏な空気に満ちる。男と言葉を交わしたり、物越しにでも接触したりすると、自身が隠してきた罪や暗い過去の記憶が呼び起こされるのだ。かくして、ある者は暴力に走り、ある者は自ら死に向かい、小さな警察署内は血みどろの地獄絵図と化していく……。

「我々は救済のゲームをしているのではない。ただの報いだ」
謎の男が語る通り、ストーリーの中心にあるのは、それぞれの罪に対する報い。
この夜、警察署に集められた人々は、一見単なるダメな人間だが、その裏にはとんでもない罪を抱えている。そのうえ良心の呵責すらない(もしくは押し込めてしまった)奴らばかり。ダメさの見えないレイチェルとて、とんでもないトラウマを抱えているのだ。
新人以外全員後ろ暗すぎるなんて、どんだけダメな警察だよとも思うけれども。

そんな罪を隠した人間だからこそ、謎の男のノートにリストアップされるのである。男とわずかにでも接触さえあれば、彼らは嫌でも自分の闇を覗かされ、男が手を下さずとも破滅へと向かっていく。
つまり、ノートそれ自体に死の力はないんですよ皆さん!!!

罪、救済、報いといったキーワードから分かるように、本作には宗教色がうっすら漂っている。そこから謎の男の正体も分かるようになっている。明言はされないが、確実に分かるヒントはちりばめられている。
特に魅せ方が良いのは、男が収監される部屋が6番ということ。いや、もうキマりすぎててニクい。

そうなると、もっとオカルト路線で押し進めてもいいように思えるが、終盤に向かうにしたがってこの映画は怒涛の血しぶきゴアゴア祭りへ向かう。しかも火の海まで出現。ショットガンで人体は肉片と化し、『サスペリアpart2』を彷彿させる死に様もあり、机の脚や靴磨き機の思いがけない使い方まで拝めてしまう。血が見えなくとも、首吊りの描写はゴギンと骨が折れる感じが伝わってくる生々しさ。

この血祭りの中心にいるのが、上記写真のショットガンおじさん。当初見せていたノーマルな顔と、後に分かってくる裏の顔を比べるに、業の深さの衝撃度はかなり高い。
そして、頭や胴に有刺鉄線を巻きつけて現れるこの姿。どう見ても堕ちたキリストであり、だからこそ留置所でクールに構える静かな男との対比が浮き彫りになるのだった。

これだけでも自分にとってはたぎる展開だったのだが、本作を支持する決め手となったのは、最後に男が語ったことだ。
「人々は私のせいにしたがるが、私はただの目撃者だ。私が見たものには天使も涙する。私を否定してもいいが、君の目に宿る炎は私だ。君にこの地上の腐った、邪悪な魂をすべて与えよう。君は復讐し、私は彼らの魂を燃やす。正直に言えば、君なしでは凍えそうだ」(訳が不正確なところがあるとは思いますが)

2016年が始まって2週間足らずのうちに、こんな殺し文句(口説き文句ともいえる)が聴けるとは!! しかもリーアム・カニンガムの渋声で! 
私の身体本体はきちんと座席に座ったままだったが、私の魂は奇声を発しながらのたうちまわっていたぞ!! 謎の男の側に転ぶ人類、地上に結構たくさんいるはずだぞーーーー!!!

ちなみに、少人数で展開し、かつ皆が皆濃い存在感を放っているぶん、リーアム・カニンガムをはじめキャストの皆さんにも注目が行きわたった。
警官の一人を演じていたブライアン・ラーキン、どこかで聞いたことあると思ったら、『ヒトラー最終兵器』のバイオ・ソルジャーより強い無双オヤジ、ドロコフさんだったのな。そして上司の巡査部長役のダグラス・ラッセルも『ヒトラー最終兵器』出演していたのな。
ヒューム医師を演じていたナイアル・グレイグ・フルトンも気づかなかったけど、実は「未体験ゾーンの映画たち2015」の『アノマリー』でもお目にかかってたんですね。それ以前に「フラーケ(ラムシュタインのキーボーディスト)に似てるなぁ」とか思っちゃったりしてましたが。

何より驚愕のフィルモグラフィをお持ちなのは、レイチェル役ポリアンナ・マッキントッシュ。
実は、ジャック・ケッチャム原作の『オフスプリング』『ザ・ウーマン』で、野生の食人族女を演じていたのはこの方だったのだ。
自分になじみのあるところでいえば、『フィルス』でアレの拡大コピーにダマされる婦人警官。ずいぶんと体を張って挑んでくれる人だと思っていたら、ジャンル映画の星のようなキャリアをお持ちだったんですね。

設定からゴアからセリフからこんな小ネタまで、オマリー監督は、私の脳天に風穴開けるためにこの映画作ってくれたにちがいない……という勘違いすら覚えさせてくれるのだった。

アメリカン・バーガー

アメリカン(本当はスウェディッシュ)・バーカ。

アメリカン・バーガー('14)
監督:ヨハン・ブルマンダー、ボニータ・ドレイク
出演:ガブリエル・フレイリッシュ、フリードリク・ヒラー



2015年のクリスマスには『グリーン・インフェルノ』を観て、12月29日(ヒフとニクの日)には新文芸坐で『悪魔のいけにえ』と『食人族』の二本立てを観る。
で、2016年映画初めが「未体験ゾーンの映画たち2016」のコレ。人生でもっとも人肉食づくしの年末年始となったのだった。

ヨーロッパをバス旅行中のアメリカ人高校生一行。本日のプログラムは、とある小さな村の主産業である「アメリカン・バーガー」の工場見学。商品のウリは「使用しているお肉は100%アメリカ産」……それもそのはず、この工場では見学にやってくるアメリカ人たちをバッサバッサと殺し、その肉をハンバーガーの材料にしていたからだ! 
到着早々大半の生徒や先生があっさり血祭りにあげられる中、逃げ足の早さ、トイレ中、覗き見中などのおかげで生き延びた一部のチアリーダー、ジョックス、オタクたちは、森の中を逃げ惑う。果たして彼らは、情緒不安定な工場長や仕事熱心な解体職員の手から逃れられるのか……。

今現在食人映画推しモードの自分ではあるが、はっきり言ってこの映画における人肉バーガーや食肉解体は、「どうでもいい」程度の扱いである。
血しぶき描写だって、あからさまに手のひらに血糊パックを仕込んでいるのがバレバレで、ゴア度ゼロのチープ度マックス。
この場合重要なのは、「アメリカン」と「バーガー」……ではなく「バカ」なのだ。

本作はスウェーデン映画で、実はアメリカ人一行を演じる役者さんもみんなスウェーデン人。つまり、いかにもモテ男な金髪ジョックスも、セクシーでアタマの悪そうなチアリーダーも、知恵が回りそうで回らない童貞丸出しオタクも、スウェーデン人の思うバカなアメリカン像なのだ。
とはいえ、映画好きなら国籍問わず、こういうアメリカ人ステレオタイプを思いつきそう。当のアメリカ人がこの映画を観たらどう思うんだろうね。ときどき映画で見かけるトンデモ系日本人よりはマシな気がしちゃうんだけどね。

なお、ここに出てくるキャラクターたち、実は名前がない。オープニングとエンディングのクレジットで確認できるが、「デブのオタク」「金持ちのお坊っちゃん風オタク」「イケてるチアリーダー」「クォーターバック」「先生その1」等、ヒドい記号である。
唯一名前のある人間ですら、「目つきがキモいオタク、通称マイク」だもんな。

アメリカ人像のみならず、「スウェーデン人の思うバカなアメリカ映画像」もふんだんに取り入れられている。バスが停止するたび引率の先生が顔面からフロントガラスにぶち当たる繰り返しギャグに始まり、何としてでもこの休みの間に童貞卒業したいオタクたちの空回りが続いたり、ダースベーダーモノマネ始まったり、逃げるアクションシーンで突然スローモーションになったり。
一番セクシーなチアリーダーが逃げる間に服が破れ続け、しまいにはキャミソール1枚&ノーパンになってしまうギャグは、ムダにダラダラとしたショットすら愛着が湧くほど。
小便&大便ネタとか、ムダにゲ○吐くシーンが入るといったド底辺の笑いもあるけど、どちらかといえばわざとこの手の下品ネタやるのはアメリカよりヨーロッパのほうが多い気が。

ただ、最後の最後にこの映画は、もっともアメリカ的でない解決法を選ぶ。それは、「やられたらやり返せ」とばかりに武器を手に取り敵を血祭りに上げにいくのではなく、ある意味で秀逸な発想にして、とんでもなく穏便なやり方なのである。
まぁ、結局のところ大バカであることに変わりはないのだけれども。

2015年12月31日木曜日

2015年極私的アルバムベスト5

2015年=M。

奇しくも今年、私が好きなアーティストの中で「M」のつく方々が続々新譜をリリースしたおかげで、ランキングをMのイニシャルが埋めることとなりました。ついでに言えば今年の映画ベストだって、1位は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でMADのMだもんな。あ、あと3位が『ムカデ人間3』だからムカデのMってことに……はならないか。

1位 MARILYN MANSON/The Pale Emperor




どうしても師匠びいきなもので、師匠の新譜が出た年にはだいたい1位にしてしまいます。ヘヴィ度合はだいぶおとなしめになったけど、洗練と渋みを増した曲群からは「マンソンも大人になったなぁ」と思わされる。もっとも、サマソニのステージでただちに大人げなさを発揮していたのだけれど。師匠、思ったほど盛り上げられなくてすみませんでした。今度単独で来日して下さったらもっとヒャッハーします。

本作の中で一番の極私的お気に入り、「The Mephistopheles Of Los Angels」
ライブで聴いてみたい……

2位 MOONSPELL/Extinct




最近後退気味だったゴシックロマンス度と、フェルナンドのベルベット・ボイスの割合を大幅に増やしてくれ、なおかつシスターズ・オブ・マーシーっぽさも醸し出してくれるという、私にとっては大変にありがたいアルバム。それにしても知名度のせいかまっっっっったく来日しないというのが本当に残念だよ。M1「Breathe」とかシャウトしたいしM4「Domina」で穏やかになったりしてみたいよ。

デスボイス配分が大目だが、ライブで聴いたら絶対カッコいいしノレるから聴いてみたいですよ
お願いしますからライブ観させてくださいよ……という「Extinct」。

3位 MUSE/Drones




何ともタイムリーなタイトルで、比較的社会的要素が強い。アルバムごとに世界感が膨張していき、前作『The 2nd Law』では遂に新しい次元へ行ってしまったミューズが、本作でもともとの世界の内側へと戻ってきたようにも。

リズム感が『The 2nd Law』に近いリードシングル。

4位 CRADLE OF FILTH/Hammer Of The Witches




ダニ・フィルスが喉の手術の影響で高音ボイスが出なくなって以降、濁声を活かした暴虐シンフォニック路線のクレイドル。正直、前作(Terrorizer誌のワーストに選ばれてしまった……)は曲の個性が埋没していたが、今回は難なくクリア。禍々しい中にも艶っぽさがある、私の大好きなクレイドルですよ。

「Blackest Magick In Practice」のほうがリフが好みなのだが、
MVがカッコいいのでこちらを選んだ「Right Wing Of The Garden Triptych」

5位 STRATOVARIUS/Eternal




よりシンフォニック路線を強め、トルキ脱退以降のストラトヴァリウスのカラーがだんだん決定づいてきた新作。2014年のラウドパークの映像収録のDVDがついているので、俄然限定盤おすすめです。

MVにそこはかとなく漂うダサさもストラトヴァリウスの魅力だと思ってます。
リードトラック「My Eternal Dream」。

次点 LINDEMANN/Skills In Pills




ラムシュタインのティル・リンデマンとヒポクリシー/ペインのピーター・テクレンが組んだ、実質ティルのソロアルバム。いつもはドイツ語で歌っているティルが英語で歌っている。ラムシュタインで英語歌詞やったときには違和感があってあまり好きではなかったが、こちらは独立した作品だからかピーターのプロデュースが上手いのか、違和感なくむしろ好みに。

ただし、言語が変わっても歌詞とMVは相変わらず変態だから心配するな。
悪趣味全開の「Praise Abort」。





ちなみにベストには入れなかったけど、今年は良いライブ盤にも出会えたのが嬉しい。

ROB ZOMBIE/Spookshow International Live




会場のノリがビシビシ伝わりすぎて、聴きながら外歩いてて「うぉーーー」ってレスポンスしたくなってしまうほど。ヨコノリのロックだから踊ったりジャンプしたりもしたくなるから困る。かつてマンソンのバンドで活動していたジョン5(g)とジンジャー・フィッシュ(ds)が、のびのびとソロを披露しているのも微笑ましい。

本作の音源じゃないけど、2014年のテキサスライブより「Superbeast」。
このシアトリカルなショーが『マーダー・ライド・ショー』に通ずるんじゃないだろうか。


SATYRICON/Live At The Opera




オペラハウスで、オペラのコーラスをバックにしたライブ。DVD付属盤なら映像も拝める。サテリコンには斬新な「荘厳さ」が追加されたことで、曲の新しい側面が見えてくる。特に、ロックンロール要素の強かった「The Pentagram Burns」や「K.I.N.G.」には、思いがけない美しさが浮かび上がってくるよ。

オフィシャルに公開されている「Die By My Hand」のステージ。
わずかに男声バックコーラスが聞こえるだけだった原曲以上に荘厳かつ不穏になった。



何だか今回の記事はコレばっかり言っている気がするが……どのアーティストもライブが観たくて仕方ないんですよ!!! 来日してくださいよ!! (注:ストラトヴァリウスは来日するけど、金曜スケジュールでは正直キツイものがあって……追加公演が壮絶に欲しい!!)

2015年映画極私的ベスト10

2015年=マッド。

……まぁ、ランキングの1位を観れば分かる通りそういうことですよ。マッドな映画が上位って意味にもしたいんだけどね。
今年もまた1位は早々に決まり、2位以下をマーベル映画やスパイ映画やスターウォーズが席巻するかなと思ったら……下半期になってミニシアター系ホラーが大健闘してくるという不測の事態となりました。

ちなみに参考にならない参考までに。
2014年の極私的ベストはこちら
2013年の極私的ベストはこちら
2012年の極私的ベストはこちら


1位 マッドマックス 怒りのデス・ロード

数年の1度のとんでもない映画に出会ってしまった。カーチェイスとアクションと爆発のシンプルな話にいくつもの物語を織り交ぜ、昔からスタンスがブレないどころかパワーアップしている。恐るべし、ジョージ・ミラー。V8! V8! (2015年映画ファン流行語大賞)


2位 グリーン・インフェルノ

奇しくも公開直前に起きた「食人族BD発売中止未遂事件」のイライラを軽減してくれる喰いっぷり(喰われっぷり)。SJW(ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー)がなんだ! 意識の高さがなんだ! 不謹慎万歳! 食人族万歳!! イーライ、続編作るんだったら楽しみにしてるよ!


3位 ムカデ人間3

あからさまに笑いを取りに行ってるところは賛否が割れそうだが(自分が見た限りでは否が多かった気がする)、ディーター&ローレンスが可愛いので私はOK。500人ムカデ人間という、ムカデ史上最高の出オチすらOK。最後、アメリカ(と世界)の不条理の縮図が見えた瞬間には感動すら覚えてしまったよ。ムカデ万歳!!


4位 セッション

今までもっとも恐ろしい「キャラバン」は、狂気と狂気の衝突で生まれた奇跡。最後、一瞬の静寂のときに、客席中から息をのむ音が聞こえてきて、ああこの瞬間にこの場にいて良かったと思えた。


5位 毛皮のヴィーナス

終演後、身体本体は一応普通に立ち上がって歩いて帰ってましたが、メンタルは腰が砕けてガクガクになりながら歩いている心地でした。無知かと思えば知性を溢れさせ、相手を称賛したかと思えば貶め、振り子のように両極端を渡り歩く女性がここまで魅力的で、ここまで恐ろしいとは。


6位 ババドック 暗闇の魔物

特筆すべきはババドックがどのように母子を追い詰め、どのような結末を迎えるか。恐ろしくリアルであり、これでしか決着のつけようがないように/進歩のしようがないように思えてくる。


7位 キングスマン

今007にできないことは我々がやる! とばかりに、オモチャのようなガジェットや設定を武器に暴れまわる紳士たち。不謹慎と悪趣味をポップできれいに包む、マシュー・ヴォーンの笑いのセンスも最高に活きている。その真骨頂が「威風堂々」ですよ。


8位 ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション

4作目で確率した「超人スパイイーサン・ハント率いるIMF精鋭のチームワーク」設定で引き続き走り出すシリーズ最新作。今回のトム・クルーズスタント劇場は「飛行機にしがみついて離陸」だったので、そのうち宇宙に行くんじゃないかと思う。今回の悪役で初めてショーン・ハリスを認識できたのも収穫。
それからおめでとうサイモン・ペッグ。君は「スーパースパイチームに引き抜かれたオタクの星」から「髭の生えたロイス・レイン」に昇格した。


9位 ナイトクローラー

すべては「イイ仕事」をして、それに見合った対価をもらいたいがため。身の丈にあった野望のために、良心や倫理観をいとも簡単に切り捨てていくジェイク・ギレンホールの不気味なこと、そのくせ面白くてしかたないこと。


10位 プリデスティネーション

原作小説のタイトルになっている「輪廻の蛇」が完成したラストシーンに鳥肌。多少結果が読めても、そこにつなげていく演出が見事。ストーリーを実質2人でまわしたイーサン・ホーク&サラ・スヌークに乾杯。



次点に『群盗』『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!』シリーズ、『ジュラシック・ワールド』『スター・ウォーズ フォースの覚醒』などがきます。マーベル映画だって相変わらずの高品質なんだけど、今年は事前期待値を大いにフライングしてくる映画たちが多くって。
あと、「未体験ゾーンの映画たち」から、ホラー・シネマ・パラダイスは掘り出し物枠としてオススメしたい。

あとは、新作劇場公開作ベスト以外で……


2015年リバイバル映画ベスト10


1位 悪魔のいけにえ(in 渋谷HUMAXシネマ&新文芸坐)
2位 マッドマックス2(in ワーナーブラザーズ試写室)
3位 ヘルレイザー(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)
4位 ヘルレイザー3(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)
5位 トゥルー・ロマンス(in シネマート新宿)
6位 スペースバンパイア(in シネマート新宿/メナハム・ゴーラン映画祭)
7位 フィッツカラルド(in アップリンク/ヘルツォーク傑作選2015)
8位 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(in シネマカリテ/カリコレ2015)
9位 ダイナマイトどんどん(in 新文芸坐/菅原文太追悼特集)
10位 アギーレ/神の怒り(in アップリンク/ヘルツォーク傑作選2015)



2015年未公開映画ベスト5


1位 ファイナル・ガールズ 戦慄のシナリオ
2位 シャークネード エクストリーム・ミッション
3位 Infidus(BAD MAX 怒りのリベンジ・ロード)
4位 地下に潜む怪人
5位 シャークネード カテゴリー2


2位と5位に言いたい。「いや、さすがアサイラム最高傑作だなぁ!!!!」



なお、今年はイベント上映が豊富でもありましたね。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の池袋絶叫上映大森V8上映、『キングスマン』のレディース&ジェントルメン上映など、叫んでよしクラッカー鳴らしてよしの賑やかな映画館で、『ロッキー・ホラー・ショー』ファンとして嬉しい限りの年でした。

5月のハリコンでランス・ヘンリクセンに、6月のマッドマックス・コンベンションでウェズ&ジョニー・ザ・ボーイにサインと写真をもらったのも嬉しい思い出だなぁ。

2015年映画極私的もろもろベスト

映画を観よう。ズレた目線ででも。


……こういうことやってると、ベストから漏れた映画でもその面白さを紹介するポイントが見えてきた……ような気がしたり、イマイチかもしれない映画も楽しくなってきたりするからやめられなくなりました。

ちなみに、2014年の極私的もろもろベストはこちら

2013年のはこちらです。


2015年映画ベストガール

  1. フュリオサ(シャーリーズ・セロン)マッドマックス 怒りのデス・ロード
  2. アビー・ラッセル(パス・デ・ラ・ウェルタ)マッド・ナース
  3. ワンダ(エマニュエル・セニエ)毛皮のヴィーナス
  4. イルサ(レベッカ・ファーガソン)(ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション)
  5. アップル(ロランス・ルブーフ)(ターボキッド)
  6. エヴァ・ロード(エヴァ・グリーン)(シン・シティ 復讐の女神)
  7. ガゼル(ソフィア・ブテラ)キングスマン
  8. ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)(コードネームU.N.C.L.E.)
  9. ヨーランディ(ヨーランディ)(チャッピー)
  10. サラ・スヌーク(プリデスティネーション/ジェサベル)
今年は好みにハマった女性キャラが多かったので、つい10位まで伸ばしてしまった。フュリオサも「ガール」に入れつつ、実はメイ・デイやマザー・ロシアと同じく性別超越型。どうでもいいけど「煩わされたい度No.1」は5位のアップルちゃん。一人だけ役名でなく俳優名の10位サラ・スヌークは、絶叫ヒロインよし男装よしで、今年のジャンル映画の華でした。



2015年映画ベストガイ

  1. イモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン)マッドマックス 怒りのデス・ロード
  2. 工藤仁(大迫茂生)(戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01&02)
  3. ニンジャ(ニンジャ)(チャッピー)
  4. ビル・ボス(ディーター・ラーザー)ムカデ人間3
  5. クリストフ・ヴァルツ(ビッグ・アイズ/ゼロの未来/007 スペクター)



何で主役のマックスじゃないのかといえば、ジョー様はロックスターだから。で、ロックスターに続くのが、バチアタリ暴力ディレクターに、最高の人工知能を持つロボットにド底辺の教育を叩き込むギャングに、お笑い暴走特急所長(でも可愛い)……そんな中、詐欺師に数学者に犯罪組織のボスと、今年3回も輝いていたクリストフ・ヴァルツが俳優名でランクイン。


2015年映画ベストフレンド

  1. スティーブ(ジェームズ・コーデン)(はじまりのうた) 
  2. スチュー(スチュアート・ラザフォード)(シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア) 
  3. ファット・エイミー(レベル・ウィルソン)(ピッチ・パーフェクト1&2) 
観ていて「いいなぁこんな親友!」と思った方々。というかもう役柄を通り越して役者さんが大好きになる。ジェームズ・コーデンはそのまま人のいいキャラで『レイト×2ショー』が楽しみになっちゃったし、レベル・ウィルソンはアドリブ多くて楽しそうだし。それにしても、映画の感想をツイートしてたら、スチュアート・ラザフォードご本人に「いいね!」してもらえたのには驚いたなぁ。

なお、ドラマ部門からは『デアデビル』のフォギーを推します。あんなに良い親友がいることもマットの強みですよ。



2015年映画ベストソング

  1. Wonderwall(Mommy) 
  2. 威風堂々キングスマン) 
  3. O Mio Babbino Caro(エレファント・ソング) 
  4. ゾンビーバーの歌(ゾンビーバー) 
  5. 血まみれブラッディマンデー(インド・オブ・ザ・デッド) 


自分が好きな曲が映画の最高の瞬間で使われるって本当に幸せ。「威風堂々」は好きな曲ってわけではないけど、アレはまず間違いなく最高の瞬間。"O Mio Babbino Caro" はああいう意味の曲だって初めて知ったし、映画とのシンクロも素晴らしい。
その上位3枠とは違う意味で素晴らしかったのが、シナトラ風の曲でただ本編のダイジェストを歌うだけのゾンビーバーと、「きっと、うまくいかねぇぇぇぇ!!」の雄叫びで劇場を「???」状態にした日本オリジナル曲ですよ。





2015年映画ベストサントラ

  1. マッドマックス 怒りのデス・ロード 
  2. キングスマン 
  3. はじまりのうた 
  4. ピッチ・パーフェクト 
  5. セッション 

今年は『ラン・オールナイト』といいJUNKIE XLが良い仕事をした年。ちなみに次点で、イランロック/ポップが世界観といい形でとけこんでいた『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』が。






2015年映画ベスト名言

  1. 「私はカトリックの売春男で、中絶医のユダヤ系黒人と婚外セックスを楽しんでいます。ヘイルサタン、ごきげんよう」キングスマン) 
  2. 「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも素晴らしい」(イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密) 
  3. 「英語で最も危険な言葉はこの2語だ。"Good Job"」(セッション) 
  4. 「おい、コックリ、出てきやがれ!!」(戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖爆誕! コックリさん) 
  5. 「恐怖が懐かしい」(ドローン・オブ・ウォー) 

今年の1位は断トツで、保守派プロテスタント大激怒の要素を全部乗せしたこの一言。他の順位の言葉が深い意味を持つ中、4位だけただの暴言ですが、コックリさんに敬称をつけずしかも呼び出し方がヤクザという点が斬新だったもので……。






2015年映画ベスト迷言

  1. 「他に病気の家族は? ローンは? 金銭問題は?」(ジュピター) 
  2. 「グローバル化だ」(インド・オブ・ザ・デッド) 
  3. 「オキシジェン・デストロイヤー発射!」(メガ・シャークvsグレート・タイタン) 
  4. 「ココハ、秋葉原デスカ? ココハ、秋葉原デス…クワァァァァァァッ!!!!」(極道大戦争) 
  5. 「ニューヨーカーの誇りを見せてやれ!」(シャークネード カテゴリー2) 

地球人よ、これが宇宙の会話だ(1位)。
ちなみに、3位は日本のアニメと特撮大好きな脚本家(兼役者)さんによる「日本人なら分かってくれる!」と思って入れた渾身のギャグであると、本人のTwitterで明らかになりました。




2015年映画ベストごはん

  1. グリーン・インフェルノ) 
  2. (進撃の巨人 前篇) 
  3. ジャージャー麺(その怪物) 

1位は焼肉やローストビーフ、2位は鶏手羽感覚。3位はただでさえ麺類好きなのに、空腹状態で1人前の食事を2人でがっつくというシチュエーションがなおさら食欲を刺激する。食ってる場所が便所だけど。






2015年映画夢のガジェットベスト

  1. 出てくる車全部マッドマックス 怒りのデス・ロード) 
  2. 秘密道具全部キングスマン) 
  3. BB-8(スター・ウォーズ フォースの覚醒) 
  4. キツネの尻尾(戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖爆誕! コックリさん) 
  5. ホバーシューズ(ジュピター) 

「全部」とざっくり表記が目立つ今年。「ライトセーバー」ってのも考えたけど、それはもう2015年に限らずスター・ウォーズ観始めたころからの憧れなので……。






2015年映画に学ぶ間違った教訓ベスト

  1. グローバル化するとゾンビハザードが起きる(インド・オブ・ザ・デッド) 
  2. クレジットカードを使え(物理的に)(ワイルドカード) 
  3. 一家に一人ポール・ベタニー(チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密/アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン) 
  4. スペースシャトルに乗るのは自転車に乗るようなもの(シャークネード3) 
  5. コックリさんに金属バットで応戦しても多少は効く(戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖爆誕! コックリさん) 

一番実践してみたいのは2番目ですが、ギャングのとこに殴り込みに行く予定はなし。





2015年映画ベスト宣伝さん

  1. インド・オブ・ザ・デッド 
  2. ゾンビーバー 
  3. グリーン・インフェルノ 

「ポスターが本国版に比べてダサい」「キャッチコピーがサムい」「宣伝イベントに芸人を呼ぶな」等メジャー映画の宣伝が悪戦苦闘してる中、今年はミニシアター系が大変頑張りを見せた。
映画配給未経験の会社ながら、個性的なツイートや映画館との連携により、この手の映画にしてはロングラン上映にこぎつけた1位
武蔵野館の上映最終日に配給さん自らやってきて前口上を担当した2位
食人族メイク&ヤリ持って都内イベント会場をうろうろしまくった3位。
大手配給にお見せしたいですよ。