2015年2月27日金曜日

未体験ゾーンの映画たち2015

いい映画は劇場で観たい。そうでなくても劇場で観たい。

未体験ゾーンの映画の映画たち2015
ヒューマントラストシネマ渋谷 2015.1.3.~2015.2.27.

「この言葉 グッときたなら 劇場へ」と言わんばかりのアツい文言。
ゾーンは昨年末から燃えていた。

壁一面のポスターと感想。絶景だ!


上映経費を抑えながらパッケージ(ソフト)の宣伝にもなる特集上映……という仕組みで成り立っているのが「未体験ゾーンの映画たち」。もちろんその仕組みを後押ししているのは、いい映画は劇場でかけたいという仕掛け人さんの思い。(映画秘宝2015年2月号/西澤彰弘さんインタビュー参照)
付け加えるなら、いい映画……といえるかどうかっていう映画も、できる限り劇場でかけてほしい。そりゃDVDレンタルや映画チャンネルで観たほうが安上がりだが、自宅TVで観ていながら「劇場で観たかったなー……」と思うこと数知れず。B級映画特有のゆるーい空気が劇場に充満する感じ、個人的には大好きなもので。
(この他、未体験ゾーンについての思うところは去年こちらに書きました。映画を劇場で上映するって本当に難しいんだなぁ)

49本中27本制覇! でも24本制覇のDVDプレゼントには間に合わず。

せっかくなので、去年に倣って極私的ベストを作りつつ、今年は観てきた未体験ゾーン作品にちょっとずつ触れていきたい。もはやDVDしか観る媒体がなくとも、発掘してほしい映画もあるんです。

未体験ゾーン2015極私的ベスト10


1位 ホラー・シネマ・パラダイス
私の大好きな極彩色スラッシャーホラーというジャンルで魅せつつ、「ホラー映画を楽しむ人とは? 面白ければ本物の殺人ネタも好きなのか?」という一部の人間にとっては深刻な誤解にも踏み込んできた。登場人物がどいつもこいつもキャラが立ってる中、MVPは「けっこうな変態なぐらいが面白い系イケメン」ノア・セガンで。

2位 絶叫のオペラ座へようこそ
これまた大好物の極彩色スラッシャーホラー。しかもミュージカル! しかも怪人がカブキマスクでギターかき鳴らしながら「イ゛ェェアァァァァァァァ」ってハイトーンシャウトをキメる! 何を言ってるか分からんでしょうがホントにそんな絵面です。『ベイマックス』しかり、怪人を目指すならカブキマスクの時代到来だ!! たぶん!!

3位 マシンガン・ツアー ~リトアニア強奪避航~
イケメンを使いません! 美女も使いません! スクリーンにカッコいいものは何一つ映しません! チンケな強盗に始まりヨーロッパ東西ギャング対決になだれ込むドタバタを、ムサい顔面(しかもバカ)ばかりが牽引する!!

4位 ブルー・リベンジ
去年の『MUD』と同様、極私的好みではベスト3に入らなかったが、映画として優れているのはこちら! 枠。派手な演出も余計な会話/シーンも使わず、話し合いが通じなさそうなヒルビリーの怖さ、終わりが見えない復讐の地獄絵図をなぜかスッキリした後味で描く低予算傑作。主人公に味方してくれるガンマニア&デスメタルファンのベンがイイキャラしてます。真っ当な奴じゃないけど。

5位 余命90分の男
主演のロビン・ウィリアムズの死と重ね合わせずにはいられない。彼の最期が決して幸せではなかったことを思うと、ハッピーエンドがなおさら哀しい。せめてこういう形で去っていったのなら、まだ救いがあったのに。

6位 ブレスト要塞大攻防戦
ソビエト万歳感は拭いきれないが、水もなく武器も限られていく籠城戦の消耗と疲弊はビシビシと伝わってくる。戦争というものについて何よりも多く物語るのは、出口あるいは水を求めた人々の屍の山。

7位 オキュラス/怨霊鏡
鏡の幽霊なんて何か不気味な人が映ってくるだけでしょ……と思いきや、お父さんを操り家族を追い込み、現実を曖昧にし、過去と現在を巧みに入り乱れさせる! さすがアメリカは幽霊もアグレッシブだな! 呪われた鏡に挑むお姉ちゃん(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のネビュラの中の人)の、『ホーム・アローン』と『SAW』を足して2で割ったような仕掛けもスゴい。

8位 オール・チアリーダーズ・ダイ
タイトルそのまま、チアリーダーはみんな死にます。でも何だかんだで蘇ります。でもそれはそれで面倒なことになります。女同士の三角関係がストーリー上どうでもよさそうなところが好きです。

9位 AFFLICTED
どんどん人間じゃなくなっていく友人デレクを撮るPOV(途中からそのデレクがカメラの持ち手になる)。そんなに目新しくもないはずの手法だし、ハッピーエンドは見えそうにない流れなのに、超人的な身体能力を手に入れたデレクの目線で建物からの大ジャンプをキメたり警官をぶっ飛ばしたりと、妙にヒャッハーな気分になれる不思議な映画。

10位 FEAR X
ニコラス・ウィンディング・レフン監督の初期作。赤の使い方がダリオ・アルジェントチックかつ『オンリー・ゴッド』への布石のよう。ジョン・タトゥーロの顔面がイイ味出してる。音楽は実はブライアン・イーノ。もっと認知されてほしい一本。


ザ・B級アクション賞

コードネーム:プリンス(こういうところに年1回は顔出すブルース・ウィリスとジョン・キューザック)
タイムリミット‐72(ルーク・ゴスがもっと仕事に恵まれますようにとお布施)
エージェント:コール(ゲイリー・ダニエルズも仕事に恵まれますようにとお布施)

ザ・B級SF賞

アノマリー(ヘムズワース家の長男見ーつけた)
タイム・チェイサー(お久しぶりですハーレイ君。いいバイプレイヤーになってください)

今年のゾンビ枠賞

ザ・デッド:インディア(もしもこの国でゾンビハザードが起きたらシリーズとしてまた作ってほしい)
人造人間13号(人造人間と謳ってますが生態はゾンビですよね?)

めちゃくちゃ貴重で賞

ネクロマンティック(粗い撮影とチープな音楽、合間に入れたガチの畜殺映像、それに死体愛好というアブない題材が奇跡的に映画の「味」となった一本。劇場で観られる機会はまずなさそう)

このままシリーズ化してほしいで賞

シャークトパスvsプテラクーダ(ゆくゆくは掛け合わせ怪獣三つ巴、四つ巴のバトルを……)

エンドロールがカッコいいで賞

悪魔の存在を証明した男(IMKなるアーティストの "Something Real" という曲が使われてるのは分かったけど、残念ながらオフィシャルな情報があまりない)

着メロを変えたい衝動にかられた賞

13の選択(あのメロディよく聞くけど "Enter Of The Gladiators" って曲名なんだ。初めて知ったよ)

ジャンル間違えてました賞

ロスト・フロア(ごめん、オカルト系だと思ってたらマジメなサスペンスだったよ)

異色の字幕で賞

Facebookで大逆転(字幕で「www」「キタコレ」って初のケースだよ)

ジェイソンかマイケルに来てほしいで賞

ファイナル・デッド・クルーズ(ハメ外したバカな若者が次々死ぬのはスラッシャーホラーと同じだが、本作の場合は仲間割れによる自滅。大型殺人鬼不在だと、人間こうも面倒臭いんだなぁ)


頑張れ! ルーク・ゴス

デス・クルー(傭兵アクションかと思ったらアレ? そっちの話ですか!? な一本。トレホもいるよ)
タイムリミット‐72(72時間の逃走劇と思ったらアレ? 世直し道中ですか!? な一本。RZAもいるよ)

動ける・イケメン・ハゲがカッコいいと三拍子そろっているのに、なぜかジェイソン・ステイサムクラスに届かない不遇の男、ルーク・ゴス。大作出演時には特殊メイクで顔が分からないというネックもあり。いつか素顔で表舞台で活躍してくれることを祈る!

スゴいぜ韓国

ハイヒールの男(長身のムキムキハンサムがヤクザ相手に女装で無双アクション!)
その怪物(頭のネジが外れた殺人鬼vs頭のネジが外れた露天商姉さん。10歳児が一番マトモだ)

この2作品に共通しているのは、バイオレンスの合間に場違いなほどの笑いをぶっこんでくるという思い切りの良さです。


もしかすると出会えなかったかもしれない映画の数々を、スクリーンで体験させてくれた未体験ゾーン。また来年も、そしてその先も、できる限りたくさんの映画に出会える機会をいただけると嬉しいです。仕掛け人の西澤さん、そしてヒューマントラストシネマ渋谷さん、今年もありがとうございました。

2015年2月11日水曜日

死霊のしたたり

変質者頂上決戦、遺体置き場にて開催中。

死霊のしたたり('85)
監督:スチュアート・ゴードン
出演:ジェフリー・コムズ、バーバラ・クランプトン



私個人が『死霊のしたたり』なるタイトルを初めて聞いたのは、実は『アメリカン・ビューティー』を観ていたとき。ケヴィン・スペイシーがお隣さんのウェス・ベントリーからドラッグを買うときの暗号が「『死霊のしたたり』貸して」。当時はそれが実在の映画とは知らず、『死霊のはらわた』をパクった架空タイトルかと思っていた。

それから10数年後、本作は実在し、タイトル……というか邦題がパクりっぽいのは、当時悪魔の何たらとか死霊の何たらという邦題が氾濫していたからなのだと学習。
というわけで、唯一本当にパクりっぽいのは、『サイコ』オマージュってレベルじゃないでしょ! なメインテーマなのでした。

↓でもハマっちゃうとクセになるんだ。
『死霊のしたたり』のテーマ。


スイスの医科大学にて、脳科学の権威であるグルーバー教授が狂ったように暴れて死亡する事件が起きる。博士と同じ部屋にいた助手のハーバート・ウェストは、博士を死なせたのかと問いただされたのに対し「生き返らせたのだ」と答える。
その後、ウェストはミスカトニック大学に医学生として編入する。出席早々、大学の脳研究者ヒル教授の理論に真っ向から食ってかかる傍ら、優秀な学生ダン・ケインの同居人となって地下で自身の研究を進める。その研究とは、ウェスト作の蘇生薬を死体の脳に注射することで、生き返らせることができるというものだった。
かくして、ケイン、ケインの恋人メグ、メグの父で学長のアラン、そしてヒル教授を巻き込んだウェストの一大実験が始まる。

『バタリアン』のタールマンみたいなゾンビがぬーっとやってきそうな邦題だが、実態はドロドロな感じはみじんもなく、人を投げたりシメたりどついたりするタフでアグレッシブなゾンビ。人を噛んだり感染したりもなし。そしてしまいには、ある意味でもっとレベルの高いゾンビも現れる。かつては『ZOMBIO/死霊のしたたり』という邦題だったようだが、「ZOMBIO」のほうが話の内容に近い邦題なんじゃないでしょうかね?

原作はH.P.ラヴクラフトの『死体蘇生人ハーバート・ウェスト』とのことだが、ラヴクラフト読者とはいえない私からしてみても、「ラヴクラフトそんなに下世話じゃないでしょ……」と思うぐらい別モノ。
ハーバート・ウェストというマッドサイエンティストが死体蘇生に情熱注ぐってところぐらいしか共通してない。しかし、下世話エンターテインメントと化した本作は、ラヴクラフト臭の薄さなぞ関係ないぐらいパワフルだった。

ウェストの蘇生薬は死体を蘇らせることはできるが、知性までは蘇らないうえになぜかやたらめったら凶暴化するので、一度蘇生薬を試すと死体が猫だろうと人間だろうと、飛びつかれたりぶっ飛ばされたり、棚は倒れ器具は壊れ、その場が荒れに荒れまくる。ホラーの域を思いっきりはみ出して、もはやドタバタコメディーの域である。こういう物理的にアブない状況に陥ると、さりげなくケインの陰に隠れようとするウェスト君が密かな見どころ。

ラストは遺体置き場で複数の死体と内臓も露わに一大バトルが繰り広げられるし、ブライアン・ユズナ&スチュアート・ゴードン作品のエロ担当と言ってもいいバーバラ・クランプトンは思いっきり脱いでくれるし、エログロの面白さのツボはきっちり押さえてくれている嬉しい一本なのである。

本作……というより3まで続いた本シリーズ最大の魅力は、ハーバート・ウェストのキャラクターと、それにピタリとハマったジェフリー・コムズの怪演。
原作のウェストとは小柄という点以外共通項がないコムズだが、一度目にしてしまうとどう見てもウェストに思えてしまうから不思議。蘇生実験に没頭するときはもとより、常日ごろから真っ直ぐにフロム・ビヨンドを見つめてそうな目つきは、どう見ても関わったらイカン人に他ならない。
真性マッドサイエンティストなんだけど、実験中にうっかり死人が出れば「新鮮な被検体だ!」と死を悼む間もなく蘇生液を注射しちゃうんだけど、衝動的に殺しをやれば死体の始末云々より「首と胴が別々でも生き返るのかな?」と実験開始するぐらいトンじゃってるんだけど、ウェストには実は天性の人たらしの才があるのではないだろうか。観客からの好感度が高いのはもちろんだけど、1~2作目ではケイン、3では新人医師ハワードを、どう考えてもヤバい計画に乗り気にさせてしまうんだから。

そのウェストの天敵にして、彼に並ぶマッド……というよりは変態サイエンティストなのがヒル教授。
物腰穏やかな顔して、ウェストの研究を横取りしようと脅しにかかる腹黒さ……までの段階では、あっさりウェストに返り討ちにされ、首と胴が分かれた状態で死んでしまう程度。
しかし、この状態のヒル教授に、ウェストが興味本位で蘇生薬を投与したのが功を奏し(?)、ウェストを気絶させて研究材料一式を分捕り形勢逆転。
そうして何をするかと思えば、自分を殺したウェストへの復讐でも、自身の研究の発展でもなく、長年ストーカー的に思いを寄せてきたメグへの堂々たるセクハラという、最も矮小にして最もゲスい欲望の充足。人間、モラルや社会の目がどうでもよくなると手近なエロと暴力に走るということは、『インビジブル』でポール・ヴァーホーヴェン先生も提示していましたね。
ウェスト君とはまた異なった、生首ヒル教授の変に生々しい(けど笑える)欲望は、そのド外道性で観る者を魅了した。

さて、この若きマッドサイエンティストvs熟年変態の決戦のゆくえ、そして不幸にも巻き込まれた皆さんの運命やいかに……? と勿体つけたわりには、次回いろいろ辻褄の合わないキャスト続投もあったりするのはご愛嬌ですよ。

2015年2月6日金曜日

ザ・フライ

ハエが二人を分かつまで、愛せると誓いますか?

ザ・フライ('86)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイヴィス



小学校高学年のころ、体育の創作ダンスに担任の先生が「あいつはいつもうーるさいー ハーエーおーとこー♪」ってテーマ曲を持ってきた(このパートしか覚えてないけど)。ハエが前足を擦る動作を真似た振り付けのダンスだった。
しかし、この映画を知ると「ハエ男ってそんなもんじゃないじゃん!! もっと怖いし気持ち悪いじゃん!!」ってなっちゃうよなぁ。

天才科学者セス・ブランドルは、物体転送装置「テレポッド」を開発していた。無機物の転送実験には成功していたが、生物の転送にはまだ苦戦していた。
あるとき、新しくできた恋人でジャーナリストのヴェロニカの協力で、生物の転送に必要な改良が分かり、ついに動物の転送実験に成功。その直後、ヴェロニカの元恋人への嫉妬心と、酔った勢いで、セスは自身の身体で転送実験に踏み切ってしまう。
転送は一見何事もなく成功したように思われた。しかし、翌日からセスの身体に異常が次々と現れ始める。実は、実験時セスのポッドに1匹のハエが紛れ込んでおり、セスは転送完了の際に遺伝子レベルでハエと融合してしまったのだった。
かくして、セスの肉体は日に日に崩れ、人間ではなくなっていく。

『蠅男の恐怖』('58)のリメイクである本作。ちなみに元の作品は未見。
最近はメンタル面の変容やエグさが目立っているクローネンバーグ監督だが、このころはまだ肉体の変容とそのエグさが前面に出ている。
ハエとの融合プロセスは、最初は甘いものの大量摂取や精力増強、身体能力の向上、吹き出物の増加程度だが、背中の傷跡から昆虫の毛が生え始めたころから怪しくなってくる。爪や歯が退化してポロッと抜けるあたりから「うげっ」となり、皮膚がボロボロになり、口から強酸を吐き出すころにはもう身体はグズグズ。しまいにはその身体さえ崩れ落ち、巨大なハエ人間が誕生する。

自分がグロテスクな何かに変貌しつつあったら、普通なら絶望する。確かにセスも絶望的になり、特に恋人ヴェロニカのことを思うと哀しみもいっそう増した。
しかし、ある程度変化が進むと、自分の肉体はどう変わっていくのかと興味を持ち、取れてしまった人体パーツを収集し、楽しんでさえいる。『シーバース』の寄生された人々然り、『ザ・ブルード 怒りのメタファー』のノーラ然り、『コズモポリス』のエリック然り、クローネンバーグ作品のキャラクターには自身の身体の変容を喜んで受け入れる人が多いように思える。
化学を専攻していたクローネンバーグにとって、変容は恐れるべきものというより、進化としてポジティヴに捉えるものなのだろうか。逆に、変容の哀しみを表す『デッド・ゾーン』のジョニー・スミスという例もあるが。

セスがハエ男に変わっていくプロセスと並んで重点的に描かれているのが、セスとヴェロニカとの関係である。2人の愛情は、率直に言って「ハエ男への変貌」を「難病」に置き換えても成立するものがある。
ただし、邦画・テレビ界で目立った「難病モノ」は、キレイな俳優さんがキレイなまま病気になって、その恋人としてこれまたキレイな俳優さんが彼/彼女にずっと寄り添い続けてキレイな顔のまま死んでいくもの。果たして、皮膚がボロボロで歯や爪がなくてあちこちから粘液を垂らす姿になっても、彼らは愛情を貫けるのだろうか……と穿った観方をしてしまう。

グズグズに崩れていくのを目の当たりにしながらもセスを見放さなかったヴェロニカだが、セスの子を身ごもったことを知ると、ハエの遺伝子を持った生き物を体内に宿していることにさすがに恐怖を覚える。一方、当初は肉体が朽ちていく自分からヴェロニカを引き離そうとしたセスだが、突如ヴェロニカの中絶を拒み、ともに「進化」への道を歩ませようとする。
「すれ違い」「心の距離」とキレイにまとめるにはあまりにもグロテスクでダイナミックすぎる展開を経て、最終的にひとつの意思を示すセスと、それを受け入れるヴェロニカの姿には、おぞましさを突き抜けて妙な感動さえ覚えるから不思議だ。

ところで、本作はタイトルバックが終わってから、ホールでのパーティーの遠景が映り、その直後にインタビューを受けるセス・ブランドル=ジェフ・ゴールドブラムの顔で本編が動き出す。濃ゆい顔立ちで、特にギョロリとした目が目立つジェフの顔のインパクトは、もはやハエと融合する以前の問題。ハワード・ショアの音楽と、このワンショットのつかみという流れから、本作はもう勝利していると感じさせるのだった。

2015年1月25日日曜日

2014年アルバム極私的ベスト5

2014年=喪失・離脱のその先。

その年の新作映画を観る頻度より新作アルバムを買う頻度が少ないので、ベストといっても5位までが限界だというのに、なぜここで大幅に出遅れたアルバムベストを出すのか。
それは、こんなネタでも挟まないと、まがりなりにも映画・ロック地獄と銘打っているのに「ロック」のラベルが一向に増えないからである。まぁ、言ってるそばからマンソンの新譜買ったので、次のロック記事のネタは決まってしまったのだけれども。

ちなみに、映画サントラに関しては2014年映画極私的もろもろベストにベスト5があるので、こちらには入れていません。

1位 SLIPKNOT/.5: The Grey Chapter




#2ポールが亡くなってから初めて作られたアルバム。2013年のOzzfest Japanではポールの喪失を内包しつつの気迫だったが、ここで彼らは前進するためポールの思い出に一つの区切りをつけたように思えた(だからこその "So walk with me" であるように聞こえた)。昨年11月のKNOTFESTのステージを観て一層そう思えたし、バンドの状態が良好そうなのを観て、彼らにまた何度でも戻ってきてほしいとも思った。

↓リフのおどろおどろしさがたまらない「The Devil In I」。
MVには少しながらグロテスクなところもあるのでまったくダメな方は注意。


2位 TRIPTYKON/Melana Chasmata




『Eparistera Daimones』同様、長年熟成させた呪いの蓋を満を持して開封したかのようなドゥーム/ブラック。もちろんトム・G・ウォリアー(Vo.)の「う゛っ!!」も聴ける。ただし幕開けとなる1曲目は、Celtic Frost時代を彷彿させるスラッシュメタル風味。前作には19分25秒にわたる呪詛「The Prolonging」があったが、今回も12分25秒の「Black Snow」という知らない人にとっては嫌がらせのようなナンバーが。
本作のアートワークを手掛けたH.R.ギーガーは、2014年5月に死去。同じスイス出身のトムとは友人でもあり、Celtic Frostのころからアートワークを手掛けていて、トムのギターもギーガーモデル。これが最後のコラボレーションとなってしまった。

↓冒頭から7分の暗黒を。「Tree Of Suffocating Souls」


3位 WHITE EMPRESS/Rise Of The Empress




ディスクユニオンなどでたまたまかかっていた曲が気に入ってしまうことを一目惚れならぬ「一聴惚れ」と勝手に呼んでいるのだが、これがまさにそれ。デス声と女性のクリーンボイスとのツインボーカルだと思っていたら、どちらも同じ女性のボーカリスト(メアリー・ズィマー)だった。元Cradle Of Filthのポール・アレンダー(G)が携わるシンフォニックメタルとのことだが、Cradleよりも装飾が控えめになり、その分君臨する女帝(=ボーカル)が音楽を輝かせている。

↓猛々しい雪の女帝がおります。「Darkness Encroaching」


4位 MAYHEM/Esoteric Warfare




2014年1月の来日公演で重鎮ぶりを容赦なく見せてくれたので、「そろそろスタジオアルバムのほうでもカリスマ健在をガシガシアピールしていただきたい」などと言っていたら、本当にガツンガツンと猛アピールしてくださった。サウンドプロダクションが微妙に怪しいのは相変わらずだし意図的なところも多いのだろうが、それでもドラムがモコモコだった前作『Ordo Ad Chao』よりは向上しているほう。戦争によるカオスという世界観は『Grand Declaration Of War』にも通ずるものがあるが、まさか「宇宙実験」だの「催眠電波」だのうっすらSF風味も漂わせてくるとは……。


5位 WITHIN TEMPTATION/Hydra




『The Silent Force』『The Heart Of Everything』でシンフォニック・メタルを極めて以降、『The Unforgiving』でアメコミのようなコンセプトに乗り出したり、本作のように多彩なゲストを迎えたりと変化し続ける。もちろん賛否はあるだろうが、こういう風に一度様式美を作っておきながら凝り固まらないところは個人的に好きだ。中でも一番意外だったのは、ヒップホップ人脈からXzibitを迎えた「And We Run」。

ベタながら元Nightwishのターヤとのデュエットは最高に美しい。
↓「Paradise (What About Us?)」


どういうわけか、2014年のベスト3位内のアルバムアーティストは、メンバーを失ったり友人を失ったり、それまでのバンドを離れたりと、喪失や離脱を経験したばかりの方々になった。ベストには入らなかったが、昨年はMy Chemical Romance解散後のジェラルド・ウェイのソロアルバムもあった。
もっとも、彼らはすでに前進を始めている。どんな道を歩んでいくのか、まだまだ観ていきたい。

2015年1月18日日曜日

武器人間/ヒトラー最終兵器

東部戦線異状大あり。

ナチスとソビエトがトンデモな泥試合……いや血みどろ試合をくり広げてるのは、『Dead Snow 2 : Red vs. Dead』(処刑山2)だけじゃなかったらしい。いや、たぶん探せばまだ出てくるだろうけど、今回はとりあえずこのあたりで勘弁しといてもらえませんか。長時間一人で観てるとある意味で疲労困憊するから。

武器人間('13)

監督:リチャード・ラーフォースト
出演:カレル・ローデン、ジョシュア・ザッセ



第二次世界大戦下、ナチスドイツとソビエトの攻防が続く東部戦線。味方からのSOS信号を受信したソ連の特殊部隊は、発信元と思われる教会に辿り着いた。しかし、発見したのは死体の山と、謎の地下施設と、おぞましいクリーチャーの数々。そこでは、フランケンシュタイン博士の末裔が、人体と機械とを融合させた改造人間を製造していたのだった。

ソ連の特殊部隊に同行した戦争プロパガンダ映画撮影班のフィルムに残されていた映像……という設定のはずだが、フィルム映像ノイズなしスゲェクリア! ナチスもソビエトもノー母国語で英語ペラペラ! このあたりで時代背景だの軍事知識だの細かい話はぶん投げるよう心がけよう。

POVものにおいて最後までカメラを回し続ける奴は、報道義務にあふれすぎているかウザいばかりというパターンが多い。本作のカメラマン=ディミトリは、実は切羽詰まった背景があるとはいえ、POV主人公トップクラスのクズ男。クズがどうにもまとまりのない部隊を映し、彼らがモメたりブチ切れたりで、最終的にご対面するのはマッドサイエンティストで、さらにその後……と、敵にも味方にもロクな人間がいない。

その点、邦題になった武器人間たちは、みんな任務(=殺戮)に忠実で、作り主に忠誠心があって非常にエラい。口にドリル、手がハサミ、頭がプロペラだったりアイアンメイデンだったりと重量感たっぷりで、洗練されているとはいえないがオタク心に刺さるデザイン。『アイアン・スカイ』もそうだが、黒々とした重金属はなぜかナチスと相性がいいし、オタク心にもフィットするのである。造形美よりインパクト重視で作られているので、生体パーツのツギハギが多少どころじゃなく粗いのはご愛嬌だ。

しかし、明らかに殺傷用に作られていながら、ギリギリまで近づいているはずのディミトリに大した傷も負わせられていないのは、やはりみんな頭が重くて視界不良なんじゃないですかね。「武器人間」としては致命的なんじゃないですかね。
ケーブル一本切られたら停止しちゃうプロペラマン、大丈夫ですかね。
殺傷用じゃなくて助手として作られてるオッペンハイマーさんやエヴァちゃんやポッドマン(別名ハンス君)のほうが使える子なんじゃないですかね。
特に、博士の後をよちよちついて回るハンス君の愛らしさときたら! まぁ、そういう欠陥がまた可愛い奴らなんだけどね。
言うまでもないけど、ここは脳ミソや内臓のモロ出しに耐えられる人に限る価値観だからね。

ちなみに、フランケンシュタイン博士を演じたカレル・ローデンは、『ヘルボーイ』でラスプーチンを演じていた、ナチスとソ連を渡り歩く怪人俳優。今回も常人では理解できない新世界への道を開くべく、新人類の誕生に熱を注いでいる。「ちょっと共産主義が多いな……」「また作るさ!」の名言には、天才の思考力半端ねぇなと脱帽したものです。


ヒトラー最終兵器('13)

監督:キアラン・パーカー
出演:ブライアン・ラーキン、イヴァン・カマラス




第二次世界大戦下、ナチスドイツとソビエトの攻防が続く東部戦線。極秘の地下研究施設へ向かうナチスの一隊を殲滅させたソ連の特殊部隊は、逆に奇襲に遭って捕まり、研究施設へと送られてしまう。そこでは、ナチス開発・最強のバイオソルジャーが製造されていたのだった。

ソ連の特殊部隊に同行した撮影班のフィルムに残されていた映像……という設定はないから画面がノイズなしスゲェクリアでも問題なし! だけどやっぱりナチスもソビエトもノー母国語で英語ペラペラ! やっぱりある程度細かい話はぶん投げるよう心がけよう。

日本版ではバイオソルジャーと銘打たれたナチスの改造兵士だが、皮膚のボロボロ具合やツギハギ具合からして、要は限りなくゾンビソルジャー。ただ、並みのゾンビに比べると結構なパワーファイターである。一応、脳ミソも並みのゾンビよりはありそうだが、上からの殺人命令以外のコミュニケーションは困難で、ほぼ猟犬扱い。実際、鎖でつながれて4足歩行してるのもいるし。処刑山ゾンビたちや上記の武器人間と比べると、愛嬌やキャラ立ちはないが、兵士としては格段に使える奴らである。

研究施設から脱出しナチスの計画を阻止するため、捕らわれたソ連特殊部隊員はこのバイオソルジャーとの苦戦を強いられる……はずだった。しかし、改造人間でもなければ特殊な血清を打ったわけでもない特殊部隊隊長・ドロコフさんが、地味な佇まいながら実は最強のおじさんだったのだ!! 
ナチスに捕まって早々、部下がバイオソルジャーに殺されたのを目の当たりにしたドロコフさんは、なぜかタンクトップ1枚になり「かかってこいやぁぁぁ!!!」(超訳)とそいつらを立て続けに素手でブチ殺し、さながらえげつないダイ・ハード。
その無双ぶりに「こいつは実験に使えそうだなぁ」と別室に閉じ込められるも、素手で手錠をぶっちぎりドアをぶち破る、シュワルツェネッガーのごとき怪力。
力任せなだけでなく、ナチ軍服をお借りし、敵の背後から忍び寄ってはナイフで仕留めていくメタルギアソリッド戦法も大活躍。
そしてしまいには、銃撃の雨と爆薬でもって敵を殲滅するエクスペンダブルズ戦法へ……! 
ゾンビだらけのエグい戦いになるのかと思いきや、実はまさかのオヤジ無双映画。しかも、ナチスの一部隊やバイオソルジャー複数体よりもデキる奴。もう邦題を『スターリン最終兵器』に改めてもいいんじゃないですかね!?

なお、『ヒトラー最終兵器』の原題は『Outpost Ⅲ:Rise Of The Spetsnaz』。これ以前に『ゾンビ・ソルジャー』(Outpost)『アウトポスト BLACK SUN』(Outpost: Black Sun)という2作があって、本作はその前日譚という位置づけのよう。ソ連との戦いは終わっても、ナチスのバイオソルジャーはご健在だったのか。


ということで、現時点ではナチスとソビエトのトンデモ戦線ものはいったんお休みしてもよさそうな気がしている。しかし、トンデモ系ナチスものに関していえば、まだ観たい気がしてしまう。『ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ』とか……。
それもこれもすべてこいつが悪いんだよ! 『Dead Snow 2 : Red vs. Dead』が面白すぎるからだよ!!

2015年1月1日木曜日

新宿ミラノ座閉館に寄せて

映画バカ人格の生みの親。

2014.12.31.新宿ミラノ座、閉館。


私の初劇場観賞洋画は『ネバーエンディングストーリー3』('94)だった。
しかし、本格的に映画にのめりこむには、1998年初頭にミラノ座で『フィフス・エレメント』(公開は1997年末)を観るまで待たねばならなかった。
そこから『メン・イン・ブラック』でまだ宇宙人を取り締まる側だったトミー・リー・ジョーンズと出会い、『フェイス/オフ』でニコラス・ケイジを人生初スクリーンヒーローとし(裏地の赤いロングコートと横跳び二丁拳銃はいまだに憧れ)、『ジャッキー・ブラウン』でタランティーノとタラが愛したブラックミュージックを教えられた。
このミラノ座4連続コンボによって、私は10年以上にわたり映画バカ街道を邁進することになったのだった。

余談だが、いまだに覚えているのが『フェイス/オフ』公開時に場内にフェイス/オフフレームが使えるプリクラが置いてあったこと。もともとプリクラなぞ自主的に撮ることもないし「何だあれ?」とちょっと気になっただけだったが、観終わるころにはいろいろな意味ですっかりハマっていたので、完全にプリクラ撮りたいモードになっていた。が、すでにその日の最終上映だったため、プリクラはもう営業停止していたのだった。
その次にミラノ座に来るころにはプリクラは撤去されていたので、もはや撮影の機会は永久に失われた。どうでもいいことだが、これは本当にいまだ引きずる後悔である。一体どんなフレームがあったのだろうか……。

↓人生を(どちらかというとボンクラなほうに)変えた作品たち。↓

4つのスクリーンを抱え、巨大なスクリーンに相応しい大作から思いがけないB級、上映劇場が希少となりつつあるセガール映画まで上映してくれたミラノ座。
特に大作を観るときに嬉しかったのは、座席のゆったり具合である。ブロック最前列ならずとも悠々と脚を伸ばせる余裕のあるインターバル。シネコンに多い詰まり気味の座席とは大違い。よく上映前に「前の座席を蹴らないように」ってアナウンスが出るけど、これだったら体勢を変えたときにうっかり蹴飛ばす心配もないでしょう! もともと脚の長さもないけど。また、舞台挨拶用なのかスクリーン前にもだいぶ余裕があるので、かなり前方で観ても首が痛くならない。
それに、これだけ劇場が広いと、シネコンとちがって場内で誰かがコンビニ飯かスナックをガサガサやってても気にならないんだよなぁ。

↓最大でこの規模だもんな(ミラノ1)。
一番小さいミラノ3でもゆったりしてるんだよ。

そんなミラノ座が最後に実施してくれた『新宿ミラノ座より愛をこめて ~LAST SHOW~』。かつてこの劇場で大ヒットした映画ラインナップのリバイバル上映である。
観たい作品は数あれど、時間に限りがあるため、実際観られたのは『男たちの挽歌』『マトリックス』の2本だけ。
それでも、兄貴を助けに二丁マシンガンで戻ってくるチョウ・ユンファ、キアヌ・リーブスのブレット・タイム、そしてエージェント・スミスには感動させられっぱなしだった。特にキアヌのブレット・タイムでは、このシーンに熱くなる人たちが多かったせいか、客席の空気が変わったように思えたよ。そして上映後には(『マトリックス』では上映前にカーテンが開いたときから)惜しみない拍手が送られた。

ちなみに、上映前には支配人さんからご挨拶と作品解説があった。『マトリックス』については、「試写会を行った当時、若手社員はハマったが年配社員は首をかしげ、当たらないと踏んでいた。現実の大ヒットを受け、若手は内心ガッツポーズをした」との裏話が。また「キアヌ・リーブスの高速弾避けは、当時多くの人が真似しました」とのエピソードも。確かにいたなぁ。学校でマトリックスごっこやろうとした結果、腰を押さえて「痛てててて……」ってなってる奴らが。……いや、私じゃありませんよ。私はエージェント・スミスの口調を真似しようとしてた(そして挫折した)だけです。

ちなみに『マトリックス リローデッド』はエージェント・スミスが増える映画です。
『マトリックス レボリューションズ』はエージェント・スミスがもっと増える映画です。

今回はのびのびと映画を観られる劇場がなくなってしまうだけじゃなく、映画バカたる私の造物主となった劇場がなくなってしまったのだな。
ミラノ座さん、長年お世話になりました。どこまでもありがとう。




2014年12月31日水曜日

2014年映画極私的ベスト10

2014年=ダメな奴らが世界を救ったり救わなかったり。


今年はベスト1だけあっさり決まり、2位以下を決めるのに苦労したところ。ギリギリまで『ベイマックス』や『バッド・マイロ!』と楽しみにしていた作品が公開されたからなぁ。結局ベスト10からは漏れさせてしまったのだけれども。


1位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

ヒーローでもない犯罪者のうえ、コミック界での知名度も低く、監督もまさかのトロマ出身という、マーベル史上最もどう転ぶか分からない一本。それなのに海外映画サイトから好評価。こうして上がっていった期待値ハードルを軽々飛び越える快作。そしてサントラ!! 
「宇宙よ、これがヒーローか」なんて言うな。宇宙よ、これこそヒーローだ!!!



2位 ワールズ・エンド

宇宙人の侵略や世界の危機を前にビール飲みます。という笑いだけにとどまらず、思いのほかダメ人間のシビアな現実を突きつけてくる。
「バカをやるのは人間の基本的権利だ!!」「(オレには)それ以外何もない!!」など、それ自分の言いたいことですと割り込みたい名言あり。



3位 ゴーン・ガール

妻の失踪と第一容疑者に浮上する夫というサスペンスも早々に、「異常? いいえ、普遍的なのです」という戦慄の着地点へ。



4位 ポール・ヴァーホーヴェン トリック

変態監督が描くヤな奴だらけのホームコメディは、ドロドロするはずの人間関係がサラリと流され、痛快な結末を迎える。



5位 ニンフォマニアックVol.1&2

ラース・フォン・トリアー流ラブコメ(と解釈)。全てをいい意味で台無しにするオチに「オレの映画がそんなに後味いいと思ったかバーカバーカ」とでもいうような底意地の悪さがうかがえる。
でもここまできてやらかさないはずがないよね! それでこそトリアーだよね!



6位 ホドロフスキーのDUNE

制作できなかった映画のドキュメンタリーというより、ホドロフスキーの未完のクエストの物語
その物語は、『DUNE』で宇宙船のデザインをしていたクリス・フォスが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の宇宙船デザインを手掛けていたと知ったとき、いっそう熱さを増した。



7位 GODZILLA

怪獣王、復活! しかも人間なぞ端にも棒にもかけぬ神として! ギャレス・エドワーズ監督ありがとうと思う反面、この復活劇を日本ができなかった残念さも。




8位 キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー

現在のアメリカが最も描きにくいヒーローを普遍的な正義の味方として描いた前作をさらに発展させ、かつての親友との戦い、新しい相棒との軽妙なやり取り、ポリティカル・サスペンスを交えた重厚な娯楽大作に。今年のマーベルはスゴい。



9位 ザ・レイド GOKUDO

もちろんベースボールバットマンやハンマーガールやキラーマスターの残虐アクションが存分に観られるディレクターズカット版で。三部作になる予定ってことは、日本の極道組の活躍は次回にってことだろうか。イコ・ウワイスは主役だから当然続投として、ヤヤン・ルヒアンはマッドドッグ、プラコソに続いて三部作にそれぞれ別人として皆勤賞で出てくれないかな。


10位 X-MEN フューチャー&パスト

「スーパーマンやりたいから帰るね!」というファイナル・デシジョンにより現場をとっ散らかしたまま抜けていったブライアン・シンガーが、11年越しの壮大な後始末を見事に成し遂げた。「シンガー監督で大丈夫か?」とか思っててすみませんでした。



「犯罪者が世界を救う」「酔っ払いが世界じゃなくて自分を救う」「スゴい夫婦が世界に通じる」ベスト3。
以下、ヤな奴、色情狂、怪獣、マフィア&ヤクザと齢を重ねるごとにランキングの中身が大人げなくなっていくなぁ。
次点は『プリズナーズ』『300 帝国の進撃』『ヘラクレス』『ベイマックス』『オンリー・ゴッド』(以下キリなし)。

ちなみに新作ベスト以外のランキングではこんなところも……。



2014年リバイバル映画ベスト10


1位 デス・プルーフ(in 新橋文化劇場)
2位 ブルース・ブラザーズ(in 吉祥寺バウスシアター/爆音映画祭)
3位 ファントム・オブ・パラダイス(in 吉祥寺バウスシアター/爆音映画祭)
4位 タクシードライバー(in 新橋文化劇場)
5位 へんげ(in キネカ大森/ホラー秘宝まつり)
6位 マトリックス(in 新宿ミラノ座/新宿ミラノ座より愛をこめて ~LAST SHOW~)
7位 ゾンビ ダリオ・アルジェント監修版(in 新橋文化劇場)
8位 ゴジラ(1954年版)(in TOHOシネマズ シャンテ)
9位 男たちの挽歌(in 新宿ミラノ座/新宿ミラノ座より愛をこめて ~LAST SHOW~)
10位 2GUNS(in 新橋文化劇場)



2014年未公開映画ベスト5

1位 Dead Snow 2 : Red vs.Dead
2位 The Devil's Carnival
3位 The Strange Colour Of Your Body's Tears
4位 Pain & Gain(ペイン&ゲイン 史上最悪の一攫千金)
5位 Hotel Inferno(ヒットマン:ザ・バトルフィールド)


新橋文化劇場、吉祥寺バウスシアターと、リバイバル上映や変わった上映企画をやってくれる劇場が次々閉館してしまったのが残念な年でもあった。新宿ミラノ座も閉館してしまったし。それにまさか『ペイン&ゲイン』までDVDスルーになってしまうとはなぁ。
No More閉館。No More未公開。

2014年映画極私的もろもろベスト

映画にはそんな観方もある。たぶん


昨年実施分をご一読いただければわかると思うが、これは若干ズレた目線のベスト映画選出である。しかし、昨年の「ベスト空回り」「ベスト声に出して読みたい映画タイトル」みたいに、一際ヘンなものが出来なかったなぁという反省もある……しなくてもいい反省かもしれないが。




2014年映画ベストガール

  1. アルテミシア(エヴァ・グリーン)(300 帝国の進撃)
  2. マザー・ロシア(オルガ・カーカリナ)(キック・アス ジャスティス・フォーエバー)
  3. ハンマーガール(ジュリー・エステル)(ザ・レイド GOKUDO)
  4. ゾーイ(アマンダ・エイドリアン)(サベージ・キラー)
  5. エイミー(ロザムンド・パイク)(ゴーン・ガール)

極私的ボンドガールベストのときと同様、華だけじゃなくて毒気のある人、つまり強くて怖い人が好きなのが自分の傾向。ただ「強くて怖い」って括りだとエイミーは上4名とはちょっと別格。ゾーイちゃんは確かに強くて怖いけど、このメンバーの中では一番善良。
しかし、2位のマザー・ロシアは『007/美しき獲物たち』のグレース・ジョーンズ同様「ガール」という概念を超えた魅力がありますね。





2014年映画ベストガイ

  1. チャン(ヴィタヤ・パンスリンガム)(オンリー・ゴッド)
  2. プラコソ(ヤヤン・ルヒアン)(ザ・レイド GOKUDO)
  3. デ・サンティ兄弟(ネクロストーム)
  4. ゴジラGODZILLA
  5. 渡辺謙(GODZILLA/トランスフォーマー ロストエイジ)
一方ベストガイは、フィジカルな強さよりもアクの強さで、両方兼ね備えていれば尚良し……つまりベストガールの「華プラス毒気なら尚良し」と同じようなものか。
というわけで上位2位をアジアの最強おじさんたちが占め、イタリアで人体破壊工場を経営するボンクラ兄弟、ハリウッドから甦った怪獣王、そして今年のジャンル映画の顔日本代表が追随。






2014年映画ベストカップル

  1. ソフィー&レジ(モーガン・ブラザーズ)
  2. エイミー&ニック(ゴーン・ガール)
  3. ベル&野獣(美女と野獣)
1位のカップルは最後の「逆さまの恋」が謎のハートウォーミングな後味を残しました。逆さまつながりでいうと、個人的にはサム・ライミ版『スパイダーマン』のスパイダーマン&MJを超えました。当てにはしないでください。





2014年映画ベスト名言


  1. 「バカをやるのは人間の基本的権利だ!!」(ワールズ・エンド)
  2. 「男の子は男の子だな」(大脱出)
  3. 「天気予報しか見てねぇよ」(エクスペンダブルズ3)
  4. 「We call him …… ゴジラ!」(GODZILLA)
  5. 「アイアムグルート」
次点「オレとお前のダンスバトルだ」ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

実生活でも言えるものなら言ってみたい上2位に、大作映画のキメ台詞となった下2位(ダンスバトルはスーパーヴィランを前にした何とも素晴らしいとっさの行動でした)。
3位は、この一言がドルフ・ラングレンの偏差値バカを集約していたので。





2014年映画ベスト迷言

  1. 「ヨーデレイヒー♪」&「畜生! なんて太ももだ!」(アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー)
  2. 「道路にサメがあふれてるのよ!」(シャークネード)
  3. 「ネイバーフッド」(沈黙の処刑軍団)
1位はいずれもトリート・ウィリアムズなので、今年の総合迷言賞はこのお方です。さすが『ザ・グリード』で名言「お次は何だ?」を生み出した人。
2位は最高にバカげた状況を最高に深刻に伝えた一言。
3位はヴィング・レイムス率いるギャングが使っていた絶妙にカッコ悪い符丁。





2014年映画ベストソング

  1. Money Chant(ウルフ・オブ・ウォールストリート)
  2. Fuhre Mich(ニンフォマニアックVol. 1)
  3. Caged (サベージ・キラー)
  4. Batman Song(LEGO(R)ムービー)
  5. Let It Go(アナと雪の女王)
一般的なちゃんとした音楽を差し置いて、マコノヒーの「ん~んっ♪(ドンドン)ん~んっ♪(ドンドン)」が最強だったという大番狂わせ。
2位は私がラムシュタイン好きだからという上げ底もある。今年は『ポール・ヴァーホーヴェン トリック』といい、ヨーロッパ代表変態監督がラムシュタインを使ってくれたから嬉しいものだ。
あと、5位はあくまで原語版で。吹替じゃ意味合いが微妙に違うから。






2014年ベストサントラ

  1. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
  2. ワールズ・エンド
  3. GODZILLA
  4. ゴーン・ガール
  5. ザ・レイド GOKUDO
オリジナルスコアの良さよりも、既出曲の使い方の面白さで評価してしまうのが私の傾向。そんな中、4位と5位にじわじわ浸透するトレント・レズナーの影響力……。





2014年映画ベストファイト

  1. ザ・レイド GOKUDO
  2. キック・アス ジャスティス・フォーエバー(マザー・ロシア)
  3. ワールズ・エンド(ニック・フロスト)
  4. マチェーテ・キルズ(マルコ・サロール)
  5. キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー
  6. アダム・チャップリン
  7. サベージ・キラー(アマンダ・エイドリアン)
シラット最強。でもマザー・ロシアの警官10人殺しも最強。







2014年映画ベスト食欲増進飯/飲み物

  1. 白ワイン(ポール・ヴァーホーヴェン トリック)
  2. おこわ(キョンシー)
  3. インドネシアの刑務所飯(ザ・レイド GOKUDO)

1位のおかげで今年は白ワインを大量消費しました。
刑務所の飯というとだいたいマズそうなんだけど、3位のは粗末なトレイに乗ってるわりには何か美味そうに見えた。特にあのラマが手で食ってた揚げ物っぽいものが気になる。

逆に、2014年映画ワースト食欲減退飯第1位は、問答無用でプロテインバー(スノーピアサー)。観終わったあと羊羹食べたくなくなるぐらい。






2014年映画夢のガジェット

  1. 初代ソニーウォークマン(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)
  2. タイタス(イントゥ・ザ・ストーム)
  3. サマンサ(her/世界でひとつの彼女)

初代ウォークマンは実在するから手に入れられなくはないんだろうけど、e-Bayでもバカ高かったので「夢」なのかなぁ。
ちなみに、男性の声のOSならマイケル・アイアンサイドがいいなぁと思ったのだが、そうなると「このメールを削除するか5秒以内に決断しろ!」「所定時間内に目的地に着きたければ走れ!」という具合に片時も安らげない気がする。その場合タイトルは『him/世界でひとつの鬼軍曹』で。



2014年映画ある意味衝撃のエンディング

  1. Gメンのテーマで横並び歩き(西遊記 はじまりのはじまり)
  2. 全員集合ほのぼの(仮)エンド(スガラムルディの魔女)
  3. 切ない別れ(サベージ・キラー)
ごく一般的な意味での「衝撃の結末」は入れてあげません。






2014年映画励みになるベスト

  1. 心が折れそうなスタローンを励ます松岡シュワ造(大脱出)
  2. 冒険に踏み出すには空想の力も必要なのだ (LIFE!)
  3. そこまでやるか中国広告タイアップ(トランスフォーマー ロストエイジ) 
3位だけは「あーそれやっちゃっていいんだー」という別次元の励みです。



2014年それだったら死んでもいいなと思っちゃったベスト

  1. アルテミシア様の首ハネ(300 帝国の進撃)
  2. マザー・ロシアの投げ技(キック・アス ジャスティス・フォーエバー)
  3. ゴジラ襲来(GODZILLA)
……映画が勘違いさせてくれる瞬間って素敵ですね(言い訳)。

2014年12月26日金曜日

Dead Snow 2 : Red vs. Dead(処刑山2)

血沸きモツ踊る大運動会。

Dead Snow 2 : Red vs. Dead('14)
監督:トミー・ウィルコラ
出演:ヴェガール・ホール、オルヤン・ガムスト


  1. 走れる
  2. 陣形つくって歩行&ダッシュができる
  3. 軍人としての上下関係が健在
  4. アイコンタクトや首振りで意思疎通が可能
  5. 武器や軍装備などのツールを扱える
  6. 人肉にそんなにがっつかない
  7. ごく一部は喋れる(声を出して笑えるのは全員共通らしい)

処刑山 デッド・スノウ』から続く本シリーズのゾンビの特徴。基本的に「走るなゾンビ!」派の私ですが、ここまでロメロ的ゾンビルールから逸脱するともはや清々しいもんですよ。
でもこれ、見た目がゾンビなだけの最強軍人だよね?

前作のラストからの続き。片腕を切断しながらも唯一生き残った医学生マルティンは、ナチスゾンビのボス、ヘルツォーク大佐の追撃を車で振り切って何とか逃げのびた。しかし、搬送された病院で、振り切った拍子にもげて車内に転がっていた大佐の腕を間違って移植されてしまう。
その腕により、怪力および死者をゾンビとして甦らせるパワーを手に入れたマルティンは、アメリカからやってきたゾンビ・スクワッド(という名のオタクトリオ)と、復活させたソビエトゾンビ軍団を仲間とし、戦車隊を率いて下山・進撃するアインザッツ部隊の前に立ちはだかる。

舞台が雪山から街まで広がっただけあってスケール拡大。しかし決して助長にならず、「今回は怒涛の展開」と監督が豪語していただけあってストーリーがテンポよく進行。
つまり、進行の邪魔になりそうな奴は子どもであろうとサクサク死に、アインザッツ部隊は周辺の村人を老若男女関係なくザクザク殺して先に進み、一か八かの作戦は大変都合よく成功する。この際、道徳と論理は雪山に埋めてくるべきだろう。

トミー・ウィルコラ監督といえば、前作『処刑山』や『ヘンゼル&グレーテル』をご覧になれば分かるように、相手が魔女だろうとゾンビだろうと肉弾戦で決着つけるのが大好きなことで密かに有名(つまり一般的には無名)。その傾向は今回も健在どころか、今まで一番肉弾戦がアツいんじゃないだろうか。
何せクライマックスはナチスゾンビ対ソビエトゾンビの大乱闘。黒い血が飛び散り内臓が盛大にはみ出る殺し合いのはずだが、バトルフィールドがせいぜい街の広場規模なうえ、両者が十分に睨み合ってから「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」と突撃するので、完全に運動会のノリ。ちゃんと両チーム大将の一騎打ちもあるし。

だいたいナチスゾンビの皆さん、せっかく戦争博物館から第二次大戦期の武器を持ち出したのに、飛び道具といえば戦車ぐらいで、あとは軍用ナイフで刺殺か、ハンマーとかブラックジャック的なもので撲殺第一。実は装備にピストルもあったのにガン無視で刺すor殴る。本当にもうウィルコラ監督は好きだなぁ、直接的な物理攻撃が。

そうそう、もう1つウィルコラ監督が好きなものといえば、腸をふんだんに使った独特すぎるギャグ。前作でも断崖絶壁でゾンビの腸につかまってクリフハンガーやってたけど、今回はさらにいろいろ斬新な腸の使い方が拝めて、前作以上に勉強になります(個人差あり)。おすすめは「給油」です。

ホラーもシリーズものになると、メインを張る殺人鬼/クリーチャーがだんだん良くも悪くも個性的になっていくのが常。本シリーズのヘルツォーク大佐もまた然り。
前作は「よみがえれ!!」の一言のみだったセリフが、流暢に喋るわけではないものの格段に増量。部隊の上官であり司令塔というポジションながら、自ら最前線で人をぶん殴りに行くためアクションも増量。このあたりは前述した監督の好みが大いに影響しているからだろうが、おかげでクライマックスのキッチンファイトや戦車上ファイトなど楽しい場面が目白押しとなった。そしてまさかの冒頭から天然疑惑の浮上。部下はもっと天然だから、日ごろの活動には問題ないのかもしれないけど。

喋るホラーアイコンはチャームポイントがブラックユーモアというケースが多いのだが(『エルム街の悪夢』『チャイルド・プレイ』参照)、大佐はユーモアとは縁薄そうだからなぁ。ちなみに、大佐を演じるオルヤン・ガムストは本業がブラックメタルのボーカリストだそうで、これでもメタルヘッドの端くれたる自分には嬉しいところですよ。

大佐以外でも、前作に比べ格段に精悍になったマルティン、何一つ役に立ってない警察、大佐より流暢に喋るナチドクターゾンビ、ムダにコスチュームがカッコいい戦車隊ゾンビ、ソビエトゾンビの滅法強いリーダー・スタバリン中尉(リメイクジェイソンことデレク・ミアーズ!)、ポンコツかと思いきや意外と出来る人だったゾンビ・スクワッド、巻き込まれちゃったオネエ系のグレン君(実は前作の犠牲者ロイと同一役者。監督の友人にしてバンド仲間)、そしてマルティンたちの味方についた不憫な少年ゾンビと、実にイイキャラクターたちが顔をそろえています。

そういえば、前作は予告編&ソフト発売時に表記がゾンビではなく「ゾムビ」になっていたのだが、本作もゾムビ表記になるのか? 「ゾムビスクワッド」ってちょっと語感がふわっとしちゃうんだけど。

2014年12月24日水曜日

マイ最強ミックスVol.1

あなたの最強ミックスVol.1は?

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』において重要アイテムとなった、スターロード所有の「最強ミックスVol.1」。それに触発されてサントラを購入するのみならず、もしも自分だったら最強ミックスにどの曲をセレクトするか……と考えた人、居ますよね? むしろ居てほしいなぁ!!
自分ですか? もちろん作りましたとも!!! ちゃんとカセットテープで!!! そもそも自分、何でもベストをつくりたがったり他人にマイベスト聞かせて玉砕してるロブ・ゴードン気質の人ですし!!!(『ハイ・フィデリティ』参照)

↓コレな。


……と、いざ作ってみて改めて気づくのは、マイベストは作り手の過去(多くは中学~高校時代)を如実に反映するということ。自分の場合、'90年代後半~'00年代の映画の影響が思いっきりあらわれている。特に『ジャッキー・ブラウン』のサントラ収録曲の割合が一番多くなってしまった。
ちなみに、持っている曲すべての中からベストを作るのは至難の業なので、「昔、実際にカセットテープにダビングして聴いていた曲」に絞って選んだものである。

1.BOBBY WOMACK/Across 110th Street

いきなり『ジャッキー・ブラウン』のタイトルバックにしてサントラの1曲目に。そもそも『ジャッキー・ブラウン』は私にタランティーノを教えた映画であり、『フィフス・エレメント』→『MIB』→『フェイス/オ
フ』という流れで映画沼にハマるダメ押しの一本であり、初めて買った映画サントラでもあった。だからこのサントラに対する思い入れは一際大きいのですよ。

2.JAMIROQUAI/Canned Heat

中学時代の英語の授業でやったスピーチ。みんなが将来の夢や家族や友達について語る中、テーマにジャミロクワイを選んでしまった私は「しまったー……そういうマジメなやつか……」と思いつつ、今さら変更もできないしそのまま挑んだ。案の定クラスから一斉にキョトン顔が返ってきた(なお、微妙なスピーチテーマを選びクラスからキョトン顔をもらう癖は10年経っても治らなかった)。スベったと思いながら席に戻ると、後ろに座っていた女子Iさんが話しかけてきた。「ジャミロクワイ知ってるんだ?」彼女は中学校において希少な洋楽ロック友達となった。思わぬ怪我の功名だった。
そして後に、この曲が『ナポレオン・ダイナマイト』の名場面で使われたとき、感慨深さはいっそう強くなったのだった。

3.RAGE AGAINST THE MACHINE/Bombtrack

レイジを教えてくれたのは『マトリックス』のサントラだった。そして初めて聴いたレイジのアルバムから "Fuck you I won't do what you tell me" (Killing In The Name)という反逆メッセージを学習した。でもそこにたどり着くまえに、この1曲目にぶっ飛ばされたのだった。

4.BROTHERS JOHNSON/Strawberry Letter #23

再び『ジャッキー・ブラウン』のサントラより。サミュエル・L・ジャクソンがクリス・タッカーを言いくるめて車のトランクに入らせ、その後あっさり射殺するシーン。トランクに人を詰め込んで車走らせるときにはこの曲だな! とか思っていたけど、そんな状況ないしその前に免許取ってないし。

5.ALANIS MORISSETTE/Uninvited

『シティ・オブ・エンジェル』サントラより。ニコラス・ケイジが天使という映画設定もなかなかエキセントリックだが(でも死ぬ間際に見るのがニコさんでも大いに有りですよ私は)、優しいようで不穏なアラニスの曲もエキセントリックだった。のちに聴いた『Jagged Little Pill』はもっとトンでた。

6.LINKIN PARK/Pushing Me Away

先述した初めての洋楽ロック友達Iさんとは、互いにおすすめのアルバムを貸し借りしたことがある。N SYNCやWestlifeを聴かせてもらったけど、一番好みにハマったのはリンキンの『Hybrid Theory』だった。私からIさんには『Rage Against The Machine』を勧めが、もうご自宅にあったようで……自分出遅れたなぁ。ちなみに、2006年のサマーソニックで、この曲をピアノバージョンでチェスターが歌い上げたのも良い思い出。

7.THE ROLLING STONES/Time Is On My Side

人生で初めて聴いたストーンズが「Paint It Black」でも「(I Can't Get No)Satisfaction」でもなくコレになったのは、デンゼル・ワシントン主演の『悪魔を憐れむ歌』があったから。ストーンズへの取っ掛かりができたことには意義があるとは思うが映画自体は以下略。

8.BJORK/Hyperballad

ビョークに出会ったのは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』だが、ビョークの歌声一発で問答無用で泣けるんだから(しかもサントラにはトム・ヨークの声までついてくる)、あの映画は私の中では一大反則映画である。その後改めて『POST』で映画の偏見なくビョークの歌声を聴いたが、問答無用で泣けた。以来、ビョークの称号は「歌姫」を遥かに通り越した「女神」である。

9.GOO GOO DOLLS/Iris

これも『シティ・オブ・エンジェル』サントラより。「世界には僕を見てほしくない/理解してるとは思えないから」という曲に惚れ込んだのに、数年前から世界規模に自己を発信しているからインターネットって恐ろしい。

10.THE DELFONICS/Didn't I (Blow Your Mind This Time)

再び『ジャッキー・ブラウン』のサントラから。ジャッキーと共犯関係にありわずかに恋心もあるマックスが、ジャッキーに勧められたテープを買ってずっとカーステレオで聴いているのがこの曲。大人になったらデルフォニックスのテープをかけながら車を走らせようと思っていたのだが、現在免許は以下略。

11.APOCALYPTICA/Hope Vol.2

初の出会いは『ヴィドック』のエンディング。アンプにつないでたせいか、背後で鳴ってるリフがチェロの音だとは最初気づかなかった。のちにメタリカのカヴァーもやってるチェロメタルバンドだと知り、CDやライヴDVDも買い集めたけど、いまだライヴで本物を観れていないのが残念で仕方ない。

12.MARILYN MANSON/Rock Is Dead

『マトリックス』で出会い、マトリックス本編以上の衝撃を与えられ、この最強ミックスの中で最も人生に多大な影響を与えた曲。初めてMVを観たときには「何じゃこいつはーーーー!!!!!????」とのけぞったというのに、まさかロック界において人生の師匠となろうとは。ちなみに、映画界の人生の師匠は『ロッキー・ホラー・ショー』のフランク。つまり、我が人生の師匠はいずれも網タイツとガーター着用の野郎なのである。

13.RANDY CRAWFORD/Street Life

『ジャッキー・ブラウン』サントラから4曲目。いざ一世一代の賭けに出るジャッキーが颯爽と歩くシーンで使われる。この曲でカッコよく歩ける大人になれたらいいなぁと思いつつ現実は以下略。

14.LYNYRD SKYNYRD/Sweet Home Alabama

『コン・エアー』の挿入曲にしてエンドクレジット曲。ニコラス・ケイジ目当てで借りた本作だが、ジョン・キューザック、ジョン・マルコヴィッチ、スティーヴ・ブシェーミ、ヴィング・レイムス、コルム・ミーニーそして忘れちゃいけないダニー・トレホと、のちの映画人生でお世話になるクセメン大全となったのだった。


ところで、『ガーディアンズ…』の各音楽が流れるシーンで、自分だったらどの曲を使ってみたいだろうか。例えば、ノーウェアに向かうときには「Time Is On My Side」(時間はオレの味方さ)なんて余裕で構えるのもいいなぁと思うし、決戦に向かうときにはやっぱりマンソンでモチベーション高めたいし、「オレとお前のダンスバトル」ではジャミロクワイで踊りたい。ガモーラに聴かせるなら……グー・グー・ドールズかデルフォニックスか迷う。看守に「それはオレの曲だ!!」って言いたいのは…………どうしよう。どれもオレの曲主張したい。

ここまで書いちゃうと、思い入れと自分史の入りまくった他の誰かのマイ最強ミックスVol.1を知りたくなるなぁ。

2014年12月15日月曜日

KNOTFEST JAPAN 2014

デビルズ・カーニバル、日本上陸。

KNOTFEST JAPAN 2014
2014.11.16 幕張メッセ

スリップノットの#6クラウンことショーン・クラハンの初出演作『The Devil's Carnival』('13、日本未公開)。今回のポップで毒々しいスリップノットのステージは、この映画を思い出させるものだった。もっと言えば、この入口からして悪魔のカーニバルを想起させるものだったなぁ。


↓オズフェスト来年開催ってマジっすか!?




会場到着からほどなくして、肩慣らしというには贅沢にしてヘヴィすぎるアモン・アマース。ヨハン(Vo.)の首にはミョルニル(=ムジョルニア)のシンボルが下げられ、水分補給にはペットボトルの代わりに角笛が使われ、北欧神話のバックドロップが背景を飾る。個人的に久しく遠ざかっていたヴァイキングメタルの世界に戻ってきたことを実感させるステージである。
さらに、フォークソングルーツのメロディと北欧神話ベースの詩から成る勇壮なメタルに、約10ヵ月ぶりのヘッドバンギングで全身を任せれば、ますますメタルの世界に帰ってきた感が増す。特に「Guardians Of Asgard」には幸せな気分になれた。それだけに、もっと聴いていたくもあったのだが。
かくして、アモン・アマースという海賊船で、上々の船出で自分のKNOTFESTは始まったのだった。

さて、KNOTFESTというからには、主催はスリップノット。その記念すべきフェス日本上陸を記念、さらに主催者の歴史を振り返るイベントとして、場内(メッセ2階)にスリップノット・ミュージアムが設営された。こちらも毒々しいカーニバルをモチーフにしたデザインながら、紅白テントに運動会とか地域のバザーとか福引会場を連想しちゃったのはここだけの話だ。


歴代ツナギ。洗濯物に非ず。↓



『アイオワ』期のセットリストだ!↓

 連れがいたらここに乗っかって写真撮ってもらいたかったよ。↓




ミュージアムと飯(牛肉フォー)のあとにイン・フレイムス。先のアモン・アマース同様スウェーデン出身だが、こちらは2000年代隆盛のヘヴィ・ロック/メタルコア系サウンドなので、実は当初北欧じゃなくてアメリカと思ってたことも。
比較的メロディック系の曲が多かったものの、やはり北欧メタルに多いヴァイキング/フォークメタルとも、メロパワとも一線を画す音だった。思い切りのタテノリではないものの、オーディエンスもフェス中盤にしてなかなか激しい盛り上がりだったように映った。

一時休憩をはさんでトリヴィアム。ここが本日一番正統メタル色の濃いステージだったんじゃなかろうか。オーディエンスのジャンプ率も上昇してきていた。硬質なギターサウンドからも、マット・キイチ・ヒーフィー(ルーツは山口県だったんですね)の誠実なMCからも、真っ直ぐさの感じられる実に気持ちのいいメタルだった。

オムライスをかき込んで、最後の水分補給をしてから、MAN WITH A MISSION途中観戦。オオカミたちのステージは、ダークカーニバルのヘヴィな見世物小屋といったところか。ちょっと他に比べてヨコノリ感の高い音ながら、オーディエンスがぴょんぴょん跳ねてノッてきているステージの光景は壮観。スリップノットのシドのDJ飛び入り参戦もありました。

それにしても、体力と水分の消費が半端じゃないメタルフェスにおいて、ライヴエリア内に水すら持ち込めない状況は本当にどうかと思いますよ。
来場者の体調管理に関わる問題だし、来年のオズフェストこそどうにかしてもらえませんかね?

ここから本気出しました。↓

自分にとってはいよいよここから本番。2011年のサマソニ以来のKORNである。
やっぱり新譜(実はまだ買ってなかった)の曲からスタートかなと思っていたら、何も知らなければ意味不明なガナリでしかないであろう「Twist」でジョナサンが登場。まさかのセレクトにオーディエンスの熱さもひとしおとなった。ボルテージの高さと、湯気がたちはじめるほどの温度と両方の意味で。そしてその熱気は「Right Now」のシャウトで一気に起爆剤となるのだった。

おどろおどろしく重苦しく、それでいて時に「Falling Away From Me」「Good God」のように哀しさも滲ませるトラウマサウンドは当たり前のごとく健在で、それどころか風格を増しているように感じられる。
そんなKORNの始まりにして頂点たる「Blind」でステージは締めくくられたのだが、ジョナサンとともにオーディエンスが発した "Are you ready?" の雄叫びは、「これからの新しいステップについて来れるか!?」「すべて受け止めるぞ! 準備はいいか!?」という互いの覚悟のぶつけ合いにも見えていたよ。

危うくKORNのステージで燃え尽きてしまうところだったが、真打ちはこれからである。去年のオズフェスト・ジャパン同様、直前までステージを覆っていた幕が落ちると、今まで観てきたどのスリップノットのセットよりも、最も毒々しく大仰な装飾が目に飛び込んできた。巨大な悪魔の顔、その下に広がる出入り口、出入り口に続く階段、そのすべてをきらびやか且つ禍々しく飾るネオン。「ダークカーニバル」と銘打たれたKNOTFESTの真骨頂たるステージである。
#2ポールを亡くし、#1ジョーイもバンドを去ってしまった中、前進を決めたスリップノット。「XIX」で響いた "So walk with me" のオーディエンス大合唱は、そんなバンドについていくと決めたファンの思いとシンクロするものが。そんな思いに浸っている暇もなく、「Sarcastrophe」以降は本フェス最大級の熱気爆発。ステージ両脇のクリスとショーンのドラムセットも、いつになく回転と上下運動が激しく、バンドの気合いの表れのようだった。

しかし、「The Devil In I」のおどろおどろしさや「Custer」の "Cut/cut/cut me up and fuck/fuck/fuck me up" のように新しいアンセムを手に入れたときをさておいて、バンドが新しいフェーズに突入したことを最も実感した瞬間は「Dead Memories」だった。オズフェストのときはポールの喪失を強く感じさせる曲だったのに、今回そのときに#6ショーンのドラムセットに#0シドがよじ登り、ドラムの上に寝そべったり2人でロリポップを交互に食べていたりと、ステージ端で思わぬお遊びが繰り広げられていた。
でも決して余韻をぶち壊すものではなく、バンドの状態が良好だと伝えられているようで、暴れながらも和める様相であった。

パーカッションが高く上がってるの、お分かりいただけるでしょうか。



「Spit It Out」のスワレ→トベ(今回は普通にJump Da Fuck Up!! って言ってましたが)などもはや勝手知ったるイベント状態で、コリィが何か言い出す前から一部エリアではオーディエンスがしゃがみ始める。アンコール後の「(sic)」「People=Shit」「Surfacing」は前回と同じ流れながら、もう皆暴発せずにはいられず、サークルピットも出現する勢い。
KORNにしてもスリップノットにしても、本来なら「ベテランの域に達した」と言ってもいいキャリアだし、実際風格が備わっている。しかし、両者ともそんな落ち着きのある表現では到底測れないほど、勢いが止まらない。このエネルギッシュさと、登場した瞬間空気がそれまでと変わる威厳とを表すとしたら、もう「神がかっている」としか言いようがない。

#8コリィはステージの最初から最後まで、オーディエンスに深々と頭を下げ続け、「アリガトウ」と言い続けていた。日本初のKNOTFEST成功の感謝/誠意のお辞儀ではあったが、我々こそコリィの誠意に、スリップノットに、そしてすべてのKNOTFEST出演バンドにどこまでも感謝しなければならない。ダークカーニバルの日本席巻、楽しみに待っておりますよ。