2011年10月2日日曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第11話



王立交響楽団、トイレへ!
コメディのレベルとしては低いイメージの「便所ネタ」は、高貴で格調高い女王陛下のオーケストラと掛け合わせるに限ります……ってことらしい。

歴史の世界(その1)
……というか、葬儀屋の世界。ペストや黒死病の時代は葬儀屋の黄金時代、交通事故多発地帯は葬儀屋のオアシスってか。
この回は葬儀屋ネタが続く。

アガサ・クリスティー風コント
格調高そうな邸宅、密室殺人という要素は一応アガサ・クリスティー風だが……。とりあえず、収束がつくなんて思っちゃいけない。

サッカー選手インタビュー
イギリスのサッカーは労働者階級のスポーツ→労働者階級の教育水準は低い→小さい頃から練習してるサッカー選手はあまり勉強してる暇がない→ゆえにサッカー選手はアタマ悪い! という偏見ネタ。そういえば、労働者階級訛り丸出しのデヴィッド・ベッカム選手が、昔日本の報道では「貴公子」扱いだったのは皮肉な話。
ちなみに、何かと高圧的キャラの多いジョンだが、どんぐり眼でキョトン顔になると非常に愛らしい。

インタレスティング・ピープル
「奇人変人ショー」のことらしい。身長1cmの男、猫にインフルエンザをうつす男、煉瓦を眠らせる男など、色んな意味でスゴい人々が出てくるが、そんな人々を受け流しつつ、拍手ボタンを押しては笑顔をふりまき続けた司会者(マイケル)が、実は一番スゴいのかもしれない。

葬儀されてしまう葬儀屋
色んな人の棺を墓場まで送ってきた葬儀屋。自分たちは棺に入っても自力で墓まで向かいます?

歴史の世界(その2・セクシーバージョン)
姿はキャロル・クリーブランド(セクシーな女性)、声はジョン・クリーズ(ゴツい男性)。こんなタイラー教授の「18世紀の法制度講義」、集中できますか? それどころじゃありませんか?

歴史の世界(その3)
第9話に登場したチョビ髭のおっさん、ガンビーが初の増殖。マイケル、テリーJ、エリック、グレアム、ジョンが順番に演じている。この頃になって、ガンビーは「アブナイおっさん」から「アホのおっさん」キャラで定着。そんなガンビーだらけなので、トラファルガーの海戦を巡る議論は行われない。
一方、バトリー町婦人会は、真珠湾総攻撃の再現劇を実施。戦争は、おばさん同士がハンドバッグで殴り合って泥仕合くり広げるだけのものであってほしい。

2011年9月30日金曜日

チェンジリング

あなたなら、どう生きるか。

チェンジリング('08)
監督:クリント・イーストウッド
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ



事実は小説より残酷で悲しい。それでも事実を生き抜いた人がいることを、イーストウッドは観客に知らせる。そして、「あなただったら……?」と、壮大な問いかけを投げる。

1928年のロサンゼルス。電話交換手として働くクリスティンの息子、ウォルターが失踪する。5ヵ月後、ようやく息子が見つかったとの知らせが警察から届く。喜んで駆けつけたクリスティンだが、そこにいた「息子」はまったくの別人だった。
人違いを訴えるものの、警察はこの少年が彼女の息子と主張して譲らず、逆にクリスティンを異常者扱いし精神病院へ閉じこめる。しかし彼女は、警察の不正摘発に熱心なブリーグレブ牧師の手を借りて、警察のずさんな捜査体制を訴えに出る。

悪徳警官や権力者の横暴は、これまでも映画でさんざん描かれてきたが、ここではおおむね事実であるだけに恐ろしい。逆に、クリスティンの母親愛と芯の強さは、事実であるだけに痛ましくも素晴らしい。
クリスティンと警察との戦いだけを見れば、弱い立場の一市民が権力に立ち向かっていくドラマだ。しかし、ウォルター失踪事件には、世間を震撼させるもう1つのおぞましい事件が関わっていることが分かるため、権力をやっつける痛快さはない。たとえ進展があっても、一応の解決があっても、そこには常に冷たく重たい事実が影を落としている。
ただし、イーストウッドは最後にひとすじの光を残した。それは決して安易なハッピーエンドではないし、極めて不確かなものだ。それでも、クリスティンにとっては確かなものであり、それがあったからこそ彼女は生き続けたのだろう。

アメリカの歴史には、本作で描かれている事件のような闇がある。それでいて、闇に光を当てる本作のような映画を認め、大々的に公開する懐の深さもある。
イーストウッドは、祖国の懐の深さと暗い歴史の間で絶妙なバランスをとりながら、深い人間ドラマを描くことに秀でた監督である。

2011年9月28日水曜日

レッド・ドラゴン

人食いを食う男。

レッド・ドラゴン('02)
監督:ブレット・ラトナー
出演:アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン



女性を殺して皮膚を剥ぐバッファロー・ビル(『羊たちの沈黙』)。顔を破壊された復讐に、おぞましくも面倒な殺害計画を企てるメイスン・ヴァージャー(『ハンニバル』)。いずれもインパクトを残す残虐なキャラクターのはずだが、シリーズの中心たる御仁には存在感を食われっぱなしだった。
本作の殺人鬼レッド・ドラゴンは、一家殺害という犯行は残忍にしても、グロテスク度においては前二者にやや劣る。だが、その存在感は御仁に劣らない、もしくはそれ以上だった。

『羊たちの沈黙』のように、レクター博士は監房からすべてを操る。かつて自分を逮捕した捜査官グレアムに、殺人鬼のプロファイルを依頼され、ヒントを送る。
その一方で、密かに殺人鬼とコンタクトをとり、グレアム殺害の指示を送る。世間を騒がせる凄惨な事件も、御仁にかかっては、追うものと追われるものに知恵をつけて高みの見物という一種の娯楽。グレアム殺害指示さえ、自分を逮捕した復讐という感覚はなく、監房でディナーのセッティングをしてくれたシェフを一瞬ビビらせるのと同じ、レクター流「お茶目」のようである。事の顛末を思えば、ずいぶん猟奇的なお茶目もあったもんだが。

助言を求めてレクターの監房を訪ねるのは、元捜査官のウィル・グレアム。レクター博士の殺人を見抜き、傷を負わされながら逮捕に至ったものの、その後FBIを辞めていた。しかし、元上司のクロフォードの要請で、2件の一家惨殺事件の調査に乗り出す。レクターと対峙するシーンの緊迫感が『羊たちの沈黙』ほどではないのは、カメラワークのせいか、はたまたクラリスに比べると幾分「レクター慣れ」しているせいか。
レクター博士はグレアムに、「なぜ君は私を逮捕できたか分かるか?」と尋ねる。その答えは、グレアムを優れたプロファイラーたらしめるものであり、実はグレアムが非常に危うい存在であることの表れでもある。

そして、御仁を食う勢いの存在感を見せつけた、レッド・ドラゴンことフランシス・ダラハイド。
小説の映画化に当たって、大部分を省かざるを得ないのが、ダラハイドの幼少期である。彼のトラウマがレッド・ドラゴンを生み出すベースになるという重要なポイントなのだが、それを事細かに描くのは無理がある。
そのためにレイフ・ファインズが起用されたのではと思う。次に目をつけている一家の映像を見つめるときも、いけ好かない新聞記者を始末するときも、常に目元は哀しい。レイフの目の色は澄んだ青なのに、深い陰があるように見える。トラウマを刻みこまれたと分かる目元であり、レクターとはまた違った、人を惹きつける目である。そのため、残酷な殺人犯と分かっていても、完全なる怪物として見ることができないのだ。
トラウマと殺人計画のために交流を避けてきたダラハイドの心に唯一近づいたのが、盲目の女性リーバ。レクターがクラリスに出会う前のこの物語では、ラブストーリーの中核にいるのはレッド・ドラゴンと、ダラハイドにとっての太陽を纏う女だった。

ストーリーの流れはおおむね原作に忠実で、改変したポイントもそう悪くない。ダラハイドの過去がカットされている点を除けば、ここぞというポイントは映像化してくれている。音楽がいかにも緊張感を煽るようで少々気に障るところがあるものの、俳優たちのやりとり/ぶつかり合いは興味深い。監督は、いっそ主要キャスト1人1人が関わり合いになるシーンを撮りたい……! という欲求にかられなかったのだろうか?

2011年9月24日土曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第10話



あなたもコントに出ませんか?
夫(マイケル)と一緒に朝飯を食い、コートを着せてあげ、ついでに髪を整えてあげる。一連の動きがあまりにもおばちゃんとして自然体なテリーJは、コント出演を渋る夫の背中を押してあげるところといい、ある意味理想的な妻?

間違えた銀行強盗
意図せずしてお茶目な強盗(ジョン)なんだから、ブルマーぐらいくれてやりなよ。

お寒い番組司会者
うっかり「私を古いモホだちと思って…」と口走ったり、後に再登場したときはマッチョ男写真集を見ていたり。オープンゲイであるグレアムの自虐ネタか?

アーサー・ツリー
出演者全員が木(またはプラスチック版)で、しかも口だけがついていて喋る。スタジオ美術と技術の偉大なるムダ使い。

職業カウンセラー
株屋と並ぶ、パイソンズ的「退屈で面白味のない職業」は、公認会計士。街頭インタビューネタに利用される二大職業でもある。面白味のありすぎるマイケルは、なぜか気弱な公認会計士役が似合う。

ドーバー海峡をジャンプする男
無茶な企画に駆り出されながら、意気揚々と破滅へ突っ走る男ロン(テリーJ)。ここまでアホだと、悲惨な人生も充実して見えるんじゃないだろうか。
無茶企画の考案者として、イタリアン・マフィア風の男ルイジ・ヴェルコッティ(マイケル)が、第8話に続き再登場。

ペット・ショップ
ここに登場する店員は、「死んだオウム」の店員とほぼ同一人物じゃなかろうか。マイケルだし。やってることは「死んだオウム」の店員よりヒドいけど。

ゴリラの図書館司書インタビュー
ゴリラの中身(声)はエリック。中身エリックのゴリラなら採用してもよさそうに思えるけど、喋り出したら止まらなさそうだしな。

深夜の訪問者
なぜか異常にモテるテリーJ奥様。無理があるように見えても、テリーJのペッパー・ポットを見慣れるとだんだん女装に違和感を感じなくなる。うっかりすると可愛らしくさえ見える。
一方、アホのつくお人よしでいかにも退屈な男だけど、ある程度の下心とズルさは持っているマイケルの旦那。先の「あなたもコントに出ませんか」スケッチといい、この2人は結構いい夫婦かもしれない。

2011年9月23日金曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第9話



ラマ
偽スペイン人たちがフラメンコ風に教える偽ラマ情報。多少真実が含まれていたとしてもアホな情報のみ。試験に出しても試験対策にしてもいけない。

鼻にテープレコーダーが入った男
鼻から国家(ラ・マルセイエーズ)が流れるという不謹慎さを取っ払えば、単にマイケルが(後にはグレアムも一緒に)鼻に人差し指をさしているだけ。しょうもない場面を知性で引き伸ばすパイソンズの技。

乱視のキリマンジャロ登山隊
素人が単独で富士山に挑むのと、この登山隊に参加するのとでは、どちらが危険だろうか。

百科事典をセールスする神父
パイソンズ流・ヤな奴と権力者同時潰し定理=セールスマン+神父÷色欲。

散髪恐怖症の床屋さん~ランバージャック
散髪を恐れるあまり殺人衝動まで抱える床屋。ティム・バートン映画で有名になった殺人理髪師スウィーニー・トッドのパロディ?
と思ったら、「本当は木こり(=ランバージャック)になりたかった」という床屋さんの一言から、スケッチの流れは一転。森林警官隊と一緒に「ランバージャック・ソング」を歌い出す。しかし、男らしい木こりの歌のはずが、最終的には……。このアイディアは床屋さん役のマイケルの発案らしい。ランバージャックもまた、パイソンの人気スケッチの1つ。

ガンビー教授のTV番組批判
頭にハンカチを被り、メガネ、ちょび髭、サスペンダーつき半ズボン、ゴムブーツ……という出で立ちのややアブナイおっさんがガンビー。近所のおっさんをモデルに作り上げたらしい。このときはグレアムが演じているが、他のメンバーもたびたびガンビーに扮して増殖していたりする。メンバーで一番ガンビーが定番化したのはマイケルだった。

ナイトクラブの司会者
おしゃべりエリックによる長ーーーい前口上。いくら尊敬してやまないお方でも、ここまで紹介を引き延ばしてその素晴らしさを語れるだろうか。

アッパー・クラス・バカ狩猟コント
いまだ階級社会が生きているイギリス。ヒエラルキーの頂点に立つ上流階級をパイソンズがコケにしまくるのは、もはや当然。

招かれざる訪問者たち
階級を1つ隔てれば、言葉の訛りも生活様式も大きく異なる。また、上の階級ほど下の階級を見下す傾向にある。というわけで、お宅に勝手に上がりこんでくる労働者階級の軍団は、住人の中流階級男(グレアム)にとってはほとんど悪夢。特に、テリーJおばちゃんと、マントとパンツ一枚のテリーGがいる場合は……。

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第8話



1970年いまどきの軍人
入隊しておきながら、「危ないんだもん」「死んじゃうよ」「大きな戦争になったらケガするよ」と、上官に辞める宣言を出す新兵。自称「臆病者」だが、ある意味勇敢な行動にも思える。
スケッチ終盤に登場するヴェルコッティ兄弟は、「イタリア=マフィアの温床」という偏見ネタキャラ。マイケル演じる弟ルイジ・ヴェルコッティは、今後も第1シリーズのスケッチにたびたび登場する。

正面ストリップ
コラージュアニメとはいえギリギリです、テリーG。

欲求不満の美術評論家
スケベ精神丸出しのキャラでも、どこか可愛らしく映るのは、「ザ・いい人」マイケルの特権。

ベッド売り場
数字を10倍で言ったり、特定の単語に反応して袋を被ってしまったり。そんな癖のある人を差して「それ以外は正常です」と言われても……。実際めんどくさいよ。

世捨て人
俗世間を捨てて山暮らしをしてなお、洞窟の住居設計や食料調達について、主婦の世間話感覚で語る人々。しかもなぜか一方(エリック)はオネエ系。

踊るビーナス
第6話の『ダビデ』に引き続き、ボッティチェリの名画もパイソンズに(テリーGに)かかれば……。

死んだオウム
『空飛ぶモンティ・パイソン』で、最も有名かつ人気のスケッチ。
ペットショップで死んだオウムを売りつけられた男(ジョン)がクレームをつけに来るも、店員(マイケル)は笑顔で言い逃ればかりして絶対に謝らない。これは、マイケルが欠陥車を売りつけられた際に経験した実話がベースらしい。現在の店員さん事情はおそらく当時より改善されているだろうけど……多分まだ生き残ってるんだろうな、この手の厄介な人。
ちなみに、ジョン演じるクレーム客には「エリック・プラライン」という名前がついていて、第2シリーズにも再登場する。字幕上は「プラライン」だが発音は「プラリーヌ」で、要するに「ヘーゼルナッツクリーム」のこと。パイソンズのふざけた名字シリーズは、挙げだしたらキリがない。

露出魔の正面ストリップ
なぜ変質者ファッションは大陸を超えるのだろう……。

恐怖の不良集団グレバッバ族
正式名称は「ヘルズ・グラニーズ」。このスケッチは行き過ぎにしても、実際先進国では高齢者のパワーが増してきていると思われる。この際、巣鴨あたりで落ち着いていられるより、ハーレー(ベスパでも可)に乗ってあちこちを荒れない程度に疾走していただいたほうが、日本も活気づくのでは……というのは危険な発想だろうか。

クローム・ディヴィジョン/3rd・ラウンド・ノックアウト

悪魔だってパーティーしたいんです。
CROME DIVISION
3rd Round Knockout('11年)



ウィスキーとタバコと美女とハーレー。
ロックンロールの定番……というには、あまりにど直球すぎて引っくり返りたくなるアイテムである。
逆にいえば、そういうアイテムをさらりと着こなし、タイトなロックンロールにしてしまうバンドはカッコいい。だからモーターヘッドは偉大なのだ。

クローム・ディヴィジョンは、偉大なるモーターヘッドへの敬愛をエンジンとして突っ走っている。それでいて、モーターヘッドより幾分アタマの悪そうなポジションをとっている。
2006年に1stアルバムをリリースし、本作3rdに至るまで、メンバー交代劇などはあったものの、音楽性はあまり変わっていない。酒飲んでバカ騒ぎ、バイク暴走、喧嘩上等、女遊び上等、ロックンロール最高! 的な歌詞が、大したひねりもなく恥ずかしいほどストレートに書かれている。そいつを図太いビートに乗せて突っ走らせれば、モーターヘッド直系疾走ロックンロールの完成。
というと簡単な話のように思えるが、実は結構デリケートな作業である。本家モーターヘッドに近すぎてはただのコピー、うかつに奇をてらったことをすればただのパロディ、そもそも本家とは一線を画す個性が何かなければただの二流。
クローム・ディヴィジョンの場合、モーターヘッドよりも歌詞の洗練度を落とし、ブルージーな曲を加えることで(『ゴーストライダーズ・イン・ザ・スカイ』のカバーがその最骨頂だ)、より野暮ったさを醸し出している。それでいて、サウンドにはメタル的な鋭さと重さがある。その音楽は、装飾品をムダにつけまくり、ムダにチューンアップした、カッコよさとダサさ紙一重の改造ハーレーのようだ。

コアなメタル好きにしてみれば、クローム・ディヴィジョンは、ディム・ボガーのシャグラットのサイド・プロジェクトとして名が知れているだろう。ノルウェーブラックメタル界のトップクラスに位置するディム・ボガーは、宗教・人間の闇を描く歌詞、キーボードを多用した哀愁漂うメロディ、オーケストラを起用した重厚かつ荘厳なサウンドで知られている。
そのボーカリストが、荒くれパーティー野郎丸出しの曲を書くとは、にわかには結びつけにくいかもしれない。しかし、ディムのツアードキュメンタリーで、ホテルの部屋で悪質なイタズラに精を出し、バス内では酒飲んでふざけて、延々パーティーを繰り広げている様相を見ると、案外自然な流れのように見えるのだった。


2011年9月20日火曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第7話

やっとVol.1が終わります。



 ラクダマニア
ここでいうラクダとは、ナンバーがあり、エンジンがあり、食堂があり、車掌がいて、つまり……

株主総会
1ペニー(小銭レベル)の横領ぐらい見逃してやれよ。しかも相手は初犯で、「ザ・いい人」マイケルだよ。

SFコント
パイソンズ的SF。すなわち、宇宙人の策略でイングランド人がスコットランド人に変身して、宇宙人の正体はブランマンジェ(お菓子)で、その背後にはウィンブルドン優勝という野望が……
……非常にエド・ウッド的なお話である。バカらしさとプロットの妙はエドの遥か上を行っているが。
なお、パイソンズがTVシリーズで長編スケッチをやるのは、今回が初。TVシリーズ終盤には、テリーJ&マイケルのオックスフォード組がさらに長ーいネタを提供してくれる。

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第6話



芸術の時間 ヨハン・ガンボルプティ…
……ともあれ、皆さんよくこの名前をすべて言えたよ。本気でこのペースでドキュメンタリーを進めたら、一体どれくらいの月日がかかってその間に何人死ぬことか。

ダビデ
ええ、ミケランジェロの有名作品だって容赦しませんよ、パイソンズは。というかテリーGは。

法に律義なマフィアたち
この調子じゃ『ゴッドファーザー』をはじめとする名マフィア映画は生まれない。マフィア絡み犯罪の現実を思えば、これぐらい大人しければどれほど良いことかとも考えられる。

ウィゾ・チョコレート株式会社
このスケッチを見ると、ハリー・ポッターものに「蛙チョコ」が登場するたびに気色悪い気分になれる。

静かな株屋の一日
マイケルの人畜無害っぷりが存分に活かされているサイレント・コメディ風スケッチ。
ちなみに株屋は、パイソンズ的「退屈で面白味のない職業」の1つ。

劇場のインディアン
背後のお客さんに注目。そりゃこの状況下で笑うなってほうが無理だ。

馬上のスコットランド人
映画『卒業』のパロディ。ただし、式に乱入した男が盗んだのは……。

男を襲うベビー・カー
テリーGの描く乳母車や赤ちゃんには要注意。うっかりすると命の保証はありません。

20世紀ハタネズミ映画会社
元ネタはもちろん、サーチライトに「ぱんぱかぱーん」のファンファーレで有名なあの映画会社。
グレアム演じるユダヤ人プロデューサーに「ゴマすり野郎!」と真っ先に叩き出される脚本家が、現在パイソンズで一番映画監督として成功しているテリーGという点が皮肉。
書籍『モンティ・パイソン・スピークス』によると、意見を求められて切羽詰まったテリーJが答える「Splunge(スプランジ)」という単語は、グレアムが考えた造語らしい。「良い」とも「悪い」とも言い切れず、かと言って優柔不断だと思われたくないときに役立つ回答?
テンポの良さとドタバタ加減は、日本語吹き替え版でも上手いこと再現されているので、そちらも拝見願いたい。山田康雄さんのノリだと、このプロデューサーは田舎者の成金権力者ってところか。

ちなみに映画・舞台の世界では、トップクラスのクリエイターや強い権力を持つ製作者サイドにユダヤ系の方々が多い。一番有名なところではスティーヴン・スピルバーグ。末尾にバーグ(berg)が付く名字はユダヤ系の特徴。
というわけで、今回のエンドクレジットでは、全員名前の終わりに「berg」が付いている。

2011年9月18日日曜日

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第5話



ネコさま悩ませ有限会社
……という邦題のスケッチだが、実際は「猫混乱隊」と言っている。
猫一匹にここまで気を使うか……というぐらい気を使って猫に接するネタを出すかと思えば、後には散々な猫いじめネタも持ってくる、動物愛護精神を茶化しまくるパイソンズである。

スイス時計の密輸犯
ここでは弁解下手な犯人を演じるマイケルだが、後のシリーズではクレームをのらりくらりと笑顔でかわす曲者店員役も多い。どちらにしても、彼のいい人キャラが魅力になって憎めないのだが。

犯罪とモラルについて考える
社会問題を論ずる番組といえば、知識人の論争の場。でもパイソンズに言わせればろくでもない奴らというわけで……。特別知識人というわけでもない街頭の人々も小馬鹿にするのは、ある意味平等な扱い?
ちなみに、ジョン演じるハンカチを被って文句を並べ立てるアブナイ男は、後に定番キャラクターの1つとなる「ガンビー」の原型かもしれない。

アナウンサーが容疑者か?
BBCアナウンサーからかいネタ。スタジオと背後の映像との巧みな構成が妙。

ロマンチック映画のハイライト
塔、小魚の群れ、乳牛、倒れる大木、爆破……と、大人には分かる「象徴的」フィルム。

筋肉増量マシーン「ダイナモテンション」
なんでこの手の筋肉至上主義は、アメリカで際立った発展を見せているんだろう。そして、筋肉にも勝る武器、銃が多く流通しているのもアメリカ。

おねむちゃん
こんな面接のある会社には就職したくないような、してみたいような……パイソン好きなら就職するのも悪くない?

職業紹介所
自分が希望の職に就けなかった過去を引きずっている所長に職業を紹介してもらって、果たして希望はあるのか……。

百科事典のセールスマン
おしゃべりネタが得意のエリックは、確かにセールスマン向き。しかし、訪問したお宅にいるのが女装版ジョンだったら、普通は逃げ出す。
ここで描かれているような強引な商法からか、パイソンズ的にセールスマンは強盗以下の存在らしい。

空飛ぶモンティ・パイソン 第1シリーズ第4話



リビアのカーディフ・ルームから
クーデターでカダフィ政権が事実上崩壊した今、当時に輪をかけてヤバいロケーションネタになった。

アート・ギャラリー
196cm(ジョン)と192cm(グレアム)の巨大ペッパー・ポット。もとより迫力満点のおばちゃんがここまでサイズアップすると、もはや敵なし。
最終的に絵画を食べちゃうのは、お約束の芸術こき下ろし。

男の生きがいはリビアのカーディフ・ルームから
ここで強引にスケッチに割りこみ、「軍をバカにしている!」と止めさせてしまう軍人は、第1シリーズにたびたび登場。「くだらん!」「品がない!」と理由をつけてはスケッチを中断させている。エリックの長髪に文句をつけることも多い。
横柄な権力者役を得意とする、グレアムの人気キャラでもある。

男の生きがいは公衆の面前で裸になること
なぜか全裸/半裸キャラが定番化しているテリーJ。『空飛ぶモンティ・パイソン』で初めて脱ぎネタを披露したのは、サイレント・コメディ風のこのスケッチから。
言葉なしで笑えるネタなので、下に動画を貼りました。

フルーツから身を守る方法
なぜか果物を目の敵にしている、ジョン演じるハイテンションな護身術教官。吹き替え版では納谷悟朗さんが同じくハイテンションで演じている。怒鳴るキャラの声はほとんど銭形警部になっているが、意外と違和感なし。また、通常トーンの納谷さんの声は、比較的ジョンの地声に近い。
そして知っている人は知っているけど、グレアムの吹き替えの山田康雄さんはルパン三世の声でおなじみ。グレアムの声もほとんどルパンだが、こちらも意外と違和感がないという不思議。手足が長いという点では、ジョンもグレアムもモンキー・パンチの絵みたいだし。
中盤にテリーJを押しつぶす16トンの重りは、これ以降「強引なオチ」のしるしとして落とされることに。

熱心な執刀医たち
手術の度がすぎて患者をバラバラにする医者たちを描くアニメーション。パイソンズの「茶化すべき権力者リスト」には、医者も含まれている。

男の生きがいはイングランドの緑
ジョンの最後のセリフ「二度とプロデューサーとは寝ないぞ」を、「あんなプロデューサーもう愛してあげない!」に訳したのは、吹き替え版製作の妙。そこだけちょっと女性的な口調になった納谷さんの技の妙でもある。

英国歯科医師会こそ男の生きがい
本屋、歯医者、ボスのビッグ・チーズ……が、スパイ/ギャング劇風に入り乱れて、第1シリーズ屈指の謎なストーリーになったスケッチ。しかし、全員が銃や対戦車砲まで持ち出して、必死こいて探しているのが「歯の詰め物」ってだけで、バカらしさが一気に増すのであった。

テリーJの脱ぎネタはこちら↓